• info@ajf.gr.jp
  • 〒110-0015 東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F

今知る世界の食料危機 No.15(2021年7月号)

国連食糧農業機関(FAO)は、Global Information and Early Warning System(GIEWS)というページで、世界の食料危機に関する情報を提供しています。

2017年度まで、国際農林業協働協会が発行する季刊誌「世界の農林水産」に、GIEWSの資料の一部(”Crop and Prospects”および”Food Outlook”)を紹介するページが設けられていました。

2018年度、同誌は紙面リニューアルを行い、この紹介ページはなくなりました。

そこで、2017からAJFが呼びかけて行っている「FAOの資料を読む学習会」参加メンバーが中心となって、”Crop and Prospects”の「外部からの支援を必要としている国」「世界の穀物の需給概況」「低所得・食料不足国の食料事情」の3項目の参考訳を作成し、紹介していくことになりました。

「今知る世界の食料危機 No.15」では、2021年7月に公開された”Crop and Prospects #2 Jul 2021”の該当ページを紹介します。

「FAOの資料を読む学習会」、「今知る世界の食料危機」の作成に関心を持ったら、food@ajf.gr.jpへご連絡ください。

外部からの支援を必要としている国

アフリカ (34カ国)

食料生産・供給総量の異常な不足

中央アフリカ共和国-紛争、人口の移動

・最新の総合的食料安全保障レベル分類 (IPC)によれば、2020年12月の選挙に関連した武装暴力により、すでに高いレベルにあった社会不安がさらに高まり、深刻な食料不安に直面する人々 (IPCフェーズ3:「危機」もしくはそれ以上)の数は2021年4月から8月の端境期に230万人になると推定される。

・およそ140万人が国内で避難民になっているか、隣国で難民になっている。

ケニア共和国-不十分な雨、サバクトビバッタ

・北部及び東部の牧畜地帯、農耕牧畜地帯、限界農業地帯における穀物と家畜の生産に影響した2020年10月から12月にかけての「小雨」と2021年3月から5月にかけての「長雨」による貧弱な生産を反映して、2021年3月から5月の期間で、約200万人が厳しい食料不安に直面していると推定される。

ソマリア連邦共和国-雨、社会不安、サバクトビバッタ

・主に穀物と家畜の生産に厳しく影響した2020年10月から12月の”Deyr”の雨と4月から6月の”Gu”の雨によって、2021年4月から9月の期間で、およそ280万人が厳しい食料不安(IPCフェーズ3:「危機」もしくはIPCフェーズ4 「緊急事態」)に直面していると推定される。

広範な食料アクセスへの欠如

ブルンジ共和国-極端な天候

・主に北部地域における不十分な雨とタンガニーカ湖と接する西部地域における洪水によって、2021年6月から12月の期間に、およそ100万人が厳しい食料不安に直面していると推定される。COVID19パンデミックの社会経済的なインパクトが脆弱な世帯の生活をさらに制約している。

チャド共和国-社会不安

・最新のCadre Harmoniséの分析によると、ラク州とティベスティ州での不安定な状況が続いているため、生計活動が妨られ、人口の移動が発生し、2021年6月から8月の期間で、およそ178万人がフェーズ3:(「危機」もしくはそれ以上)の状態に置かれている。

・チャド湖地域での社会不安の影響で約40万人が国内避難民になっている。さらに、紛争が続いているため、中央アフリカ共和国、ナイジェリア、スーダンからの約50万5,000人の難民を受け入れている。

コンゴ民主共和国-社会不安の永続化

・2021年3月に実施したIPC分析によると、2021年2月から7月の期間で2,730万人が、深刻な食料不安にあると推定される。これは記録上最多のレベルである。これは主に、地域経済におけるCOVID19パンデミックの影響と東部の州において続いている、人口の移動を引き起こす紛争によるものである。

・2021年5月、北キブ州にあるニーラゴンゴ山の噴火によって、およそ41万5,000人が避難民となった。

ジブチ共和国-洪水

・主に洪水や土砂崩れによる生計手段の喪失、そして脆弱な世帯に対するパンデミックの社会経済的影響の結果として2021年1月から8月の期間で約19万4,000人が深刻な食料不安に直面していると推定される。

エリトリア-マクロ経済の課題による食料不安人口の増加

エチオピア連邦民主共和国-高い食料価格、洪水、サバクトビバッタ、ティグライ州における紛争

・1,600万人以上が2021年5月から6月の間に深刻な食料不安であると推定される。食料不安の主な要因は、サバクトビバッタによる局所的な作物と牧草地の損失、高い食料価格、収入と食料価格に影響するCOVID-19パンデミックの制限措置の悪影響である。2020年11月に紛争が勃発した後、ティグライ州では人道支援のニーズが急激に高まっている。特に、2020年11月に始まった紛争によって、IPCフェーズ5「大惨事」の状態にある35万人を含む550万人(人口の約60パーセント)が深刻な食料不安に直面していると推定されるティグライ州及び隣のアムハラ州とアファール州一帯に懸念がある。

ニジェール共和国-紛争

・「Cadre Harmonisé」最新号の分析によれば、農業や市場の取引活動の広範な混乱をもたらした治安に関わる事案の増加により、世帯が生計を立てる機会が失われ、2021年6月ー8月期に約230万人が人道支援を必要としていると推定されている。

・ディファ、タウア、ティラベリ地域で内戦によって避難民となった人の数は30万320人と推定されている。さらに、ナイジェリアとマリ出身者を中心に難民24万人を受け入れている。

ナイジェリア連邦共和国-長引く北部地域での紛争

・「Cadre Harmonisé」最新号の分析によれば、特に北東、北西及び中北部地域において、さらなる避難民を生み出している紛争悪化の結果として、2021年6月ー8月期に約1,280万人が人道支援を必要としていると推定された。280万人以上が東北部のアダマワ州、ボルノ州、ヨベ州での紛争および北部の西側から中央地帯にかけての地方組織の対立と自然災害により国内避難民になっていると推定される。人道支援の介入が届いていない地域では、最悪の食料危機に直面している。

南スーダン-経済低迷、社会不安、洪水と長期にわたる紛争により長引く影響

・継続的な人道支援にも関わらず、不十分な食料供給、経済の低迷、高い食料価格、2020年に発生した広範囲に及ぶ洪水により、人口の大半が食料不安の影響を受けている。2021年4月ー7月期は、約720万人(全人口の60%)が厳しい食料危機に直面すると推定されている。

・特に懸念が大きいのは、ジョングレイ州、北バハル・アル・ガザール州、ワラブ州および近隣のピボール行政区の世帯で、人口の60-85%の人が深刻な食料不安にあり、10万8,000人がIPCフェーズ5「大惨事」のレベルに直面している。

ジンバブウェ-高い食料価格と経済停滞

・2021年の穀物生産量が平均を大きく上回り食料の安全保障が改善した。前年比で約半分ではあるものの、推定180万人が広範に渡る高い食料価格と経済停滞による収入減の影響で7月-9月に食料不安にあるとされる。

厳しい局地的食料不安

ブルキナファソ-北部の社会不安

・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、2021年6月ー8月期に、約287万人が人道支援を必要としていると推定された。センター・ノルド地域とサヘル地域においては、不安定な状況にあるため避難民となる人があとをたたず、食料安全保障の状況を一層悪化させている。

・紛争のため約122万人が国内避難民となっており、そのうち50%はセンター・ノルド地域に暮らす人々である。また、マリ出身者を中心とする約2万2,300人の難民はいまもサヘル地域に暮らしている。

カーポ・ベルデ-長引く干ばつの影響

・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、2020年6月ー8月期に約1万人(全人口の約2%)がフェーズ3「危機」もしくはそれ以上の厳しい状況にあったと推定された。

カメルーン-社会不安、避難民

・2021年3月の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、2021年3月ー5月期に約260万人が深刻な食料不安(フェーズ3「危機」もしくはそれ以上)と推定され、これは主に、紛争、社会政治的混乱及びCOVID-19に関連する経済的打撃によるものである。

・深刻な食料不安にある人の44%が北西部や南西部の人である。

・2021年5月末までに100万人以上が国内で避難生活を送っていた。

コンゴ共和国-洪水の影響、難民の流入

・2020年末に同国北部で発生した豪雨による洪水で、人々は避難し、作物や家畜の大規模な損失が発生した。この洪水の影響を受けた人の数は17万人と推定されている。

・中央アフリカ共和国からの難民が約2万1,000人、コンゴ民主共和国からの難民が約2万人居住している。受入コミュニティは食料不足に直面し、生計を立てる機会も限られており、難民は基本的に継続的な人道支援に依存して食料を確保している。

エスワティニ-収入の減少

・2021年の穀物生産は平均を上回ると思われ、世帯への食料供給にとって明るい兆しとなっている。しかし、2021年の経済回復は、2020年のパンデミックによる経済縮小を引きずって小幅にとどまり、引き続き食料へのアクセスは限定的になるだろう。推定20万9,000人が2021年4月-9月に食料不安にあると見られており、その数は1月-3月の34万7,000人より減少している。

ギニア-局地的な穀物生産不足

・2021年6月-8月期は約45万4,000人に食料支援が必要と推定されている。さらに、6,000人の難民を抱えている。

レソト-収入減少

・2021年の穀物生産は平年を超えると見られる。しかし、2021年の経済回復の遅れば、引き続き世帯の収入を抑制し、食料アクセスに負の影響を与える。概ね、食料不安にある人々の数は2020年10月-2021年3月期の深刻な食料不安に陥った58万2,000人よりは減少するとみられている

リベリア-高い食料価格

・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、高い食料価格により、約94万人が2021年6月ー8月期にフェーズ3「危機」またはそれ以上と推定されている。約8,500人の難民も受け入れている。

リビア-社会不安、経済・政治不安、高い食料価格

・2021年の「人道的ニーズの概要」によれば、人道支援が必要な人は合計130万人(人口の23%)、そのうち70万人に食料支援が必要と推定された。人道支援を必要とする人々の半数は、国内避難民または同国で暮らしているもしくは同国を通過する移民である。

マダガスカル-南部での収穫量の減少、限られた収入の機会

・南部、南東部地域では推定114万人が食料不安にあり、緊急の人道支援を要とする。 

2021年の干ばつが農作物生産におよぼした影響とCOVID-19パンデミックの影響、特に景気低迷による収入の減少は、食料不安の主要な原因である。

マラウイ共和国-収入の減少

・国家的には、2021年の穀物生産量は豊作と推定され、世帯への穀物供給は平均から平均以上になり、食料保障は改善されると予想されている。食料供給は良好な条件にもかかわらず、COVID-19のパンデミックの影響により収入は減少し、食料へのアクセスを抑制し続けている。

マリ-社会不安

・最新の「Cadre Harmonisé」分析によると、紛争の激化によって人々の避難が続き、あわせてパンデミックや異常気象の影響を受けた結果、2021年6月から8月の間に、約137万人がフェーズ3:「危機」以上であると推定されている。

・中部および北部では、約37万2,000人が避難している。また、約4万7,000人の難民を受け入れている。

モーリタニア・イスラム共和国-農耕牧畜作期の作柄不良

・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によると、2021年6月から8月の間に人道支援を必要とされるのは約48万4,000人にのぼると見られている。これは、トラルザ州、ブルクナ州、ゴルゴル州、ギディマカ州、アサバ州の飼料生産が不足した結果である。

・支援を必要とする主にマリからの難民約7万2,000人が居住している。

モザンビーク共和国-主食用作物生産の地域的な不足、北部地域の不安定さ

・推定165万人が、少なくとも2021年9月まで人道支援を必要とする。紛争による生計への影響と、降雨不足による2021年穀物生産量の減少により、カーボデルガドの人々は非常に深刻な食料不安に直面し、そこに暮らす推定22万7,000人がIPCフェーズ4:「緊急事態」にある。

ナミビア共和国-収入の減少

・2021年の収穫量は平年以上で、前年に比べ食料保障は改善されると予想されるが、COVID-19パンデミックの影響により収入と仕事を失い、家計の食料へのアクセスは引き続き制限される見込みである。

セネガル共和国-局地的な穀物生産の不足 

・最新の「Cadre Harmonisé」分析によると、悪天候(干ばつや洪水)が穀物および飼料生産に与えた影響から、2021年6月から8月期に、約49万人が人道支援を必要とすると推定されている。

・主にモーリタニアからの難民、推定1万4,500人が国内に居住している。

シエラレオネ-食料価格の高騰 

・2021年6月から8月期に、高い食料価格や購買力の低下によって世帯の食料へのアクセスが急激に制限されることから、約176万人が深刻な食料不安であると推定される。

スーダン-紛争、社会不安、食料価格の高騰

・2020年の洪水により家計の損失が続き、食料価格は高騰し、また紛争のために、2021年6月から9月期では、深刻な食料不安人口は980万人と推計された。

ウガンダ-洪水、難民の流入

・2020年9月から2021年1月、カラモジャ地方、都市部、難民居住区、難民受入コミュニティで、約200万人が深刻な食料不安を抱えていた。首都カンパラなど従来から食料が確保されていた都市部でも、COVID-19ウイルスの蔓延を抑制するために導入された制限措置により、60万人以上の人々が食料不足に陥っていた。農村部では2020年4、5月の豪雨により、局地的に生産が落ち込み生計手段を喪失した。

・南スーダンからの約89万1,000人、およびコンゴ民主共和国からの42万3,000人が難民キャンプに受けいれられており、人道支援に頼っている。

タンザニア共和国-局地的な主食用作物の生産不足

・2020年5月から9月の間で、主に北東部のマニャラとキリマンジャロ地域、中央部のドドマとシンギダ地域で、約50万人に緊急支援が必要と推定された。これらの地域では、2019年の収穫において、長引く乾季の影響を受け、穀物の生産量が大幅に減少した

ザンビア共和国-収入の減少

・COVID19パンデミックの影響により、国全体の食料不安が深刻化しており、特に収入の減少により世帯の食料へのアクセスは制限されている。しかしながら、2021年の穀物生産は豊作と予想され、結果、全体の食料保障は前年に比べて改善すると予想されている。

アジア(9カ国)

食料生産・供給総量の異常な不足

レバノン共和国-財政及び経済的危機

・2020年8月、国連西アジア経済社会委員会は、人口の55%以上が貧困状態にあり、2019年の28%から増加していることを推測した。世帯の購買力が低下しているため、現在の数値はより高くなっていると思われる。

シリア・アラブ共和国-内戦、経済危機

・全国的な食料安全保障評価では、2019年末と比べて540万人多い、約1,240万人(全人口の60%)が2021年には食料不安に陥っていると推定されており、その主な原因は生計機会の制約と経済の急速な悪化にあると推測されている。

・一部の国際的な食料支援は行われているが、シリア難民は近隣諸国のホストコミュニティの資源を圧迫しているのも事実である。

広範な食料アクセスへの欠如

朝鮮民主主義人民共和国-食料消費レベルの低さ、食生活の多様性の低さ、経済不振

・国民の大部分は、食料消費量が少なく、食生活の多様性が非常に乏しい状態にある。

・特にCOVID19パンデミックの世界的インパクトからの経済不振は、人々の食料不安に対する脆弱性を高めている。

・不足する食料は、2020/21市場年(11月/ 10月)で約86万トンと明らかになったと推定されている。この不足が商業的輸入や食料援助によって十分に補われない場合、特に8月から10月まで、2021年の主耕作期の穀物が消費可能になると予想される時まで、家計は(消費量の)限られた厳しい期間を経験する可能性がある。

イエメン共和国-紛争、貧困、洪水、高い食料価格及び燃料価格

・2021年1月から6月の間に、食料不安人口(IPCフェーズ3以上)は300万人近く増加し、1,620万人になると予測された。このうち、IPCフェーズ3:「危機」に該当する人は1,100万人、IPCフェーズ4:「緊急」に該当する人は500万人、IPCフェーズ5:「大惨事」に該当する人は4万7,000人に増加すると予測された。

厳しい局地的食料不安

アフガニスタン・イスラム共和国-内戦、人口移動、停滞する経済

・2020年11月から2021年3月の間に、約1,315万人(全人口の5分の2以上)が深刻な急性食料不安に陥り、緊急の人道支援を必要としていると推定された。そのうちIPCフェーズ3:「危機」に該当するのは852万人、IPCフェーズ4:「緊急」に該当するのは430万人であった。

バングラデシュ人民共和国-経済的制約、難民の流入

・COVID19パンデミックの影響による収入と仕送りの減少のため、食料不安・貧困レベルが上昇した。

・UNHCRの最新情報(2021年4月)によると、ミャンマーからのロヒンギャ難民約88万人がバングラデシュのコックスバザール県を中心に避難している。


イラク共和国-内戦、原油価格の下落、経済の停滞

・2021年の「人道的ニーズの概要」では、410万人が人道的支援を必要としており、そのうち240万人が急性の人道的ニーズを抱えていることが確認された。極端な食料不安を抱える人は約43万5,000人、食料不安に陥りやすい人は73万1,000人と推定されている。

ミャンマー-紛争、政情不安、経済的制約

・2021年2月1日の軍事政権発足後の政治危機により、国中で緊張と不安が高まっていた。現在の不透明な政治状況は、国内に居住する脆弱な世帯やロヒンギャ族の国内避難民の脆弱な状況をさらに悪化させる可能性がある。

・ラカイン州、チン州、カチン州、カイン州、シャン州で続く紛争は、特に2017年から大規模な避難を引き起こした。

・COVID19パンデミックのインパクトによる収入と仕送りの低下は、脆弱な世帯の食料不安の状況を悪化させている。

パキスタン・イスラム共和国-人口流出、経済的制約及び主食作物の高価格

・同国は140万人近くの登録のアフガン難民及び約60万人の未登録のアフガン難民を受け入れている。これらの人々のほとんどが人道的支援を必要としており、受け入れ先コミュニティの限られた資源に負担をかけている。

・COVID-19パンデミックの経済に対する影響により、収入を得る機会が失われているため、貧困レベルが上昇している。

・国の主食作物である小麦の価格は、2021年5月にはほとんどの市場で記録的なレベルに達し、食料へのアクセスを制限している。

ラテンアメリカ及びカリブ海地域(2ケ国)

 広範な食料アクセスへの欠如

ベネズエラ・ボリバル共和国-深刻な経済危機

・同国からの難民・移民の総数は560万人と推定され、最も多くの人々がコロンビア(170万人)、ペルー(100万人)、チリ(45万7,000人)に定住している。難民と移民の人道的ニーズは大きい。COVID19の影響で受け入れ国での収入創出機会が失われたことにより、移民の食料不安は2020年に悪化したと報告されている。受け入れる国の経済の回復が遅れることが予想されるため、移民の生活はわずかにしか回復しないと考えられる。

・「同国からの難民と移民の関連機関調整プラットフォーム(R4V)」によると、食料支援を必要としているベネズエラ人の難民及び移民(移動中もしくは一時的を含む)の人数は、2021年に326万人と推定されている。

厳しい局地的食料不安

ハイチ共和国-農業生産量の減少、社会的及び政治的混乱

・2021年3月から6月にかけて、約440万人が深刻な食料不安に直面し、緊急の食料支援を必要としていると推定される。2018年から2020年の主耕作期の穀物生産量の減少と通貨安を受けた食料価格の高騰により、食料不安レベルが高い。COVID19のパンデミックと社会政治的混乱の中での収入の喪失は、すでに劣悪な食料不安の状況を悪化させている。

世界の穀物需給概況

2017/18以降初めて2021/22年度の世界の穀物在庫が上昇することが見込まれる。

2021年の世界の穀物生産のFAOによる予測では7月に前月に比べてわずかに下がり、28億1,700万トンとなったが、まだ2020年より1.7%(4,780万トン)高く、新記録を更新する。前月比のわずかな減少は主に粗粒穀物に関するもので、現在世界生産は15億1,300万トンであり、それは前月の予測より300万トン低い。ブラジルのトウモロコシ生産予想の大幅な減少が、予想される世界的減少の大部分を占めるが、これは長く続いた乾燥気候が収量予測を減少させたためである。

世界の大麦予想についても下方修正されている。これは、以前予測されたより少ない植え付け面積を反映しヨーロッパ連合における生産予想が下方修正されたこと、及び中近東のいくつかの国で広範な乾燥気候により収量予測が抑えられたことによる。これらの減少は、中国(本土)、ロシアとウクライナにおけるトウモロコシ生産予想に対する上方修正を上回るものである。世界の小麦生産予想も、中近東の乾燥気候が収量予測を減少させたため、今月わずかに減った。結果、2021年の世界の小麦生産高は100万トン低い7億8,470万トンとなり、まだ前年比では1.2%高い。

対照的に、2021年の世界のコメ生産予測は6月以降わずかな上方修正があった。それは、イラクの上昇傾向の地域予測とアルゼンチンとウルグアイの記録的な収量がヨーロッパ連合の下方修正を上回ったためである。ヨーロッパでは灌漑用水の不足が以前予想された以上にスペインで植え付けを抑えられたとしている。結果、2021年にはコメの記録的な5億1,950万トンが収穫されることが予想され、それは2020年から1%上がった。

2021/22年度の世界の穀物使用予測は、7月に月ごとで1,500万トン低下し、28億1,000万トンとなったが、それはまだ2020/21年度より1.5%高い。その下方修正は、主に中国(本土)におけるとうもろこしの飼料利用が、他の飼料をより多く使い、また工業用にも使うという予測のため、以前予測されていたより低かったためである。この下方修正にもかかわらず、2021/22年度の世界の総粗粒穀物利用は2020/21年度のレベルから0.9%増加し、15億1,500万トンに至ると予測される。対照的に、2021/22年度の世界の小麦の利用予測は前月比7億8,000万トンに上昇し、2020/21年度から2.7%増えた。小麦利用の毎月の上方修正と予測される前年に対する増加は両方とも、トウモロコシに対する価格競争性による小麦のより多くの飼料利用によるものである。2021/22年度の世界のコメの利用は5億2,080万トンになり、前年から1.5%上昇し、6月の予測からわずかしか変わっていない。飼料利用もまた増加しているとみられるが、食物利用の予測される増加は大部分今年の増加によるものであり、世界の1人当たりのコメ利用がほぼ54㎏に達している。

2021/22年度の期末までの世界の穀物在庫は、7月に2,400万トンの上方修正があり、8億3,600万トンに達し、それは前年の厳しいレベルから2.4%上がり、2017/18年度以降初めて期初より上がることが予測される。中国(本土)で予測されるより高いトウモロコシ在庫は、今月の世界の穀物在庫量の上方修正の大部分を占めている。中国(本土)のトウモロコシ在庫は、1億5,200万トンに達することが予測され、以前の予測より約2,400万トン高く、修正された期初レベルから300万トン多く、6年間で初めて前年比増となった。この修正で、2021/22年度の粗粒穀物の在庫は期初レベルより4%上がり、3億5,400万トンとなることが予測される。対照的に、2021/22年度の小麦の在庫量は前月から減少したが、まだ期初レベルから1.8%増加し、記録的な2億9,700万トンに達すると予測され、これは主にオーストラリア、中国(本土)、ヨーロッパ連合、インド、モロッコ、ウクライナにおける予測される増加を反映している。パキスタンにおける前年からの持越し予測へのわずかな上方修正を反映して、2021/22年度期末の世界のコメ在庫のFAOによる予測は1億8,490万トンであり、これは前年比0.5%の増加であり、今までで在庫量が2番目に多い。世界の穀物在庫と利用予測の今月の修正に基づき、2021/22年度の世界の穀物の利用に対する在庫割合は現在約29%と予測され、これは2020/21年度レベルと同じである。

2020/21年度のFAOによる最新の世界の穀物貿易予測は、6月以降僅かに上がり、現在記録的な4億7,200万トンとなり、2020/21年度の量から0.8%増加した。前月から変わらないほぼ2億3,500万トンで、2021/22年度(7月/6月)の粗粒穀物貿易は2020/21年度の推定レベルに近くとどまると予測される。中国(本土)からの継続する大量のトウモロコシの購入は2021/22年度の記録的なトウモロコシ貿易レベルを支えているとみられ、一方ソルガム貿易の予測される拡大は、中国(本土)、モロッコ、サウジアラビアによる予測される購入の低下による、大麦の輸入の予測される減少を相殺するとみられる。アルジェリアとパキスタンからの期待されるより多くの輸入需要は2021/22年度の世界の小麦貿易のFAOの今月の予想を1億8,900万トンに上げ、主にアジアのいくつかの国からの継続する強い需要から、2020/21年度から2.1%上昇させた。2021年(1月-12月)のコメの国際貿易は4,820万トンとなり、これは6月予測からわずかに上昇しているが、2020年の量より6%増加している。バングラデシュからの輸入需要の復活は、中国(本土)、コートジボアールとナイジェリアによる増加する輸入とともに、この増加を牽引していると予測され、ベトナム(主要なコメの輸出国)による予測される購入増加も今年の世界の輸入拡大に貢献している。

低所得・食料不足国の食料事情

低所得・食料不足国(LIFDCs)の穀物生産は、アジア諸国で前年比の生産から減少しているが、2021年も平均を上回る予想である。

2021年に4つの国(ジブチ、ソロモン諸島、ベトナム、インド)がリストから卒業し、低所得・食料不足国(LIFDCs)の穀物生産のFAO最新予想では平均を上回るレベルの1億8,970万トンとなった。しかしこのレベルは、昨年の生産レベルからは410万トン下回る。

この一年の生産減は、主にアジア諸国アフガニスタンやシリアでの長期的かつ広範囲にわたる降雨不足が収量の低下に関連しており、その結果2021年穀物生産は平均以下のレベルになると予想される。

降水量が少ないことはウズベキスタンの作物にも悪影響を及ぼしており、収穫量も平均をやや下回るレベルと予測される。アジア地域の他の国々は、2021年に平均をわずかに上回る収穫量と予想される。

アフリカでは、低所得・食料不足国(LIFDCs)間の穀物の総生産量は、2021年も平均を上回るレベルになると予測されているが、前年の豊作と比べると下回る。 南部アフリカ諸国、特にジンバブエでは、ほぼ理想的な気象条件により穀物の収穫量が平均の2倍以上になり、大幅な生産量の増加が見込まれる。

2021年の主耕作期の収穫が年内に行われる東アフリカでは、初期の生産見通しはほぼ平均的な穀物生産量を示している。小雨季では作物収穫前の降雨不足によって、低収量となり、特にソマリアでは生産量が平均より20〜40%少ないと予測される。 しかし、この地域全体の主耕作期には好ましい降雨量が予測されており、収穫量の見通しがよくなり、2021年のほぼ平均的な総生産量の予想が裏付けられている。

西アフリカでは、沿岸国の悪天候の予測と紛争の継続的な影響にもかかわらず、2021年の穀物生産は平均を超えると予想されている。中部アフリカでは、紛争が農業の生産能力を弱体化させ続けているため、穀物生産は平均的なレベルと予測されている。

中央アメリカとカリブ海諸国では、法外に高いコストと農業投入財の供給が少ないため、ハイチでの作付けが少なくなり、2021年の穀物生産予想は平均以下になっている。ニカラグアでは、最近の良好な降雨が、シーズンの早い時期の悪天候の影響を相殺しており、生産量は平均をわずかに上回ると予測されている。

 

2021/22年に輸入増加

2021/22市場年度の低所得・食料不足国(LIFDCs)による穀物輸入の合計は6,010万トンで、5年間の平均を7.5%上回り、年間ベースで3%増加している。 増加の大部分はアジア諸国、特にアフガニスタン、シリア・アラブ共和国、ウズベキスタンに関連しており、大幅な生産の減少が見込まれているためである。 西アフリカでは、悪天候の予想と紛争の影響を受けて生産量の見通しが不安定なため、輸入需要が増加すると予想される。

 対照的に、南部アフリカでは、国内収穫量の増加を反映して、2021/22年の輸入需要は大幅に低下している。

アフリカの食料生産の概要

2021年のアフリカの穀物総生産量は2億1,800万トンとなり、5年平均を6.2%上回り、年間ベースでも中程度の増加となる見込みである。

大幅な増産は、南部アフリカと北アフリカでの豊作を反映している。この地域では、乾燥した地域と時期があったものの、季節的な天候に恵まれ、穀物の栽培面積と収量が増加した。

東アフリカでは、2021年の主耕作期の穀物収穫が年の後半になるが、全体の生産量は平均を上回るものの、前年を下回ると予想される。これは主に、不順な降雨による小雨期の収穫量の減少によるものである。

西アフリカでは、降雨予測が、あまり好ましくない沿岸部と、順調とされるスーダン地帯やサヘル帯とで異なっている。その結果、この地域の2021年穀物生産量の暫定的な予測では、ほぼ平均的なレベルになっている。

西アフリカと中央アフリカのいくつかの国で起きている紛争の影響で、引き続き農業活動が損なわれ、影響を受けた地域の生産量は期待できない状況が続いている。

⇦ 今知る世界の食料危機 No.14(2021年3月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.13(2020年12月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.12(2020年9月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.11(2020年7月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.10(covid-19の影響)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.9(2020年3月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.8(2019年12月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.7(2019年9月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.6(2019年7月号)

⇦ 今知る世界の食料危機No.5(2019年3月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.4(2018年12月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.3(2018年9月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.2(2018年6月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.1(2018年3月号)


世界の食料 国別状況 あ行

ウガンダエスワティニエチオピアエリトリア

世界の食料 国別状況 か行

カーボヴェルデカメルーンギニアケニアコンゴ共和国コンゴ民主共和国)

世界の食料 国別状況 さ行

ザンビアシエラレオネジブチジンバブエスーダンセネガルソマリア)

世界の食料 国別状況 た行

タンザニアチャド中央アフリカ)

世界の食料 国別状況 な行

ナイジェリアナミビアニジェール)

世界の食料 国別状況 は行

ブルキナファソブルンジ)

世界の食料 国別状況 ま行

マダガスカルマラウイマリ南スーダンモーリタニアモザンビーク)

世界の食料 国別状況 ら行

リビアリベリアレソト)