今知る世界の食料危機 No.13(2020年12月号)

国連食糧農業機関(FAO)は、Global Information and Early Warning System(GIEWS)というページで、世界の食料危機に関する情報を提供しています。

2017年度まで、国際農林業協働協会が発行する季刊誌「世界の農林水産」に、GIEWSの資料の一部(”Crop and Prospects”および”Food Outlook”)を紹介するページが設けられていました。

2018年度、同誌は紙面リニューアルを行い、この紹介ページはなくなりました。

そこで、2017年からAJFが呼びかけて行っている「FAOの資料を読む学習会」参加メンバーが中心となって、”Crop and Prospects”の「外部からの支援を必要としている国」「世界の穀物の需給概況」「低所得・食料不足国の食料事情」の3項目の参考訳を作成し、紹介していくことになりました。

「今知る世界の食料危機 No.13」では、2020年12月に公開された”Crop and Prospects #4 Dec 2020”の該当ページを紹介します。

「FAOの資料を読む学習会」、「今知る世界の食料危機」の作成に関心を持ったら、food@ajf.gr.jpへご連絡ください。

外部からの支援を必要としている国

以下の国々は様々な程度でCOVID-19パンデミックの影響を受けており、その結果、以下では特段言及されていないかもしれないが、パンデミックは食料不安を悪化させ、人道支援の必要性を高めた、主な要因として考えられている。

アフリカ (34ヵ国)

食料生産・供給総量の異常な不足

中央アフリカ共和国紛争、避難

・最新の総合的食料安全保障レベル分類 (IPC)によれば、深刻な食料不安に直面する人々 (IPCフェーズ3:「危機」もしくはそれ以上)の数は、2020年9月から20214月に190万人になると推定され、1年に20%増加している。

・この状況の悪化は、長引く紛争と武装集団間の暴力行為の増加に起因しており、それは食料の価格水準を上昇させる一因となっており、広範囲にわたる人々の避難を引き起こしている。

ケニア共和国ー洪水とサバクトビバッタ

・国の大部分を占める農村部の乾燥地及び半乾燥地として分類される、干ばつが発生しやすいカウンティで、2020年10月から12月にかけて、約85万人が深刻な食料不安に陥っていると推定されている。これは、2期連続の好雨により、2019年後半の310万人から減少している。

・対照的に、都市部では、食料安全保障の状況が著しく悪化しており、脆弱な家計の生活に対するパンデミックの社会経済的影響により、約100万人が食料不安に陥っていると推定されている。

・10月の時点で、約12万4,000人が、6月以降の集中豪雨による洪水の影響を受けている。

ソマリア連邦共和ー洪水、社会不安、サバクトビバッタ

・2020年10月から12月にかけて、約210万人が緊急支援を必要とすると推定される。

・10月の時点で、約63万3,000人が、6月以降の集中豪雨による洪水で影響を受けている。

ジンバブエ共和国ー平年以下の穀物収穫、食料価格の高騰、景気低迷

・主に2020年の農業生産高の減少と著しい食料価格の高騰により、推定で338万人が2021年1月から3月の間に緊急の人道支援を必要とすると予測されている。

現在計画されている支援がなければ、この数は大幅に増加すると予想される。

広範な食料アクセスの欠如

ブルンジ共和国ー洪水、地滑り

・主に洪水や土砂崩れによる生計手段の喪失、そして脆弱な家計の生活に対するパンデミックの社会経済的影響の結果として、2020年6-8月に、約85万人が深刻な食料不安に直面したと推定された。

チャド共和国ー社会不安

・最新の「Cadre Harmonisé」によれば、2020年10月-12月期に約60万人がフェーズ3:(「危機」もしくはそれ以上)にあると推定されている。

・チャド湖地域での社会不安の影響で約33万6,000人が国内避難民のままである。さらに、紛争が続いているため、中央アフリカ共和国、ナイジェリア、スーダンからの約48万4,000人の難民を受け入れている。

コンゴ民主共和国ー社会不安の永続化

2020年7月に実施した最新のIPC分析によると、続く社会不安とCOVID-19に関連した対策の影響により、2,180万人(分析された人口の33%)が、2020年7-12月にかけて深刻な食料不安であると推定されている。

ジブチ共和国ー連続する雨季の降雨不足

・2020年1月には降雨不足の雨季が続いた影響で、約17万5,000人が食料不安に直面していると推定された。

・最も食料不安の影響を受けたディキルとオボックでは、人口の45%から50%が極度の食料不安に直面していた。

エリトリアーマクロ経済の課題による食料不安人口の増加

エチオピア連邦民主共和国ー高い食料価格、洪水、サバクトビバッタ、前の干ばつの影響

・約670万人がSNNP(南部諸民族州)、オロミア州、ソマリ州で、2020年10月-12月の間に深刻な食料不安であると推定されている。食料不安の主な要因は、「Belg」で平均以下の収穫、サバクトビバッタによる局所的な作物と牧草地の損失、収入と食料価格に影響するCOVID-19パンデミックの制限措置の悪影響である。

・10月の時点で、約110万人が、6月以降の集中豪雨による洪水の影響を受けている。

ニジェールー内戦

・「Cadre Harmonisé」最新号の分析によれば、2020年10月-12月期に約120万人が人道支援を必要としていると推定された。

・ディファ、タウア、ティラベリ地域で内戦によって避難民となった人の数は25万7,000人と推定されている。さらに、ナイジェリアとマリ出身者を中心に難民23万人を受けいれている。

ナイジェリア連邦共和国ー北部地域での終わらない紛争

「Cadre Harmonisé」最新号の分析によれば、2020年10月-12月期に人道支援を必要とした人の数は約980万人と推定されている。

・270万人以上が東北部のアダマワ州、ボルノ州、ヨベ州での紛争および北部の西側から中央地帯にかけての地方組織の対立と自然災害により国内避難民になっていると推定される。人道支援の介入が届いていない地域では、最悪の食料危機に直面している。

南スーダンー深刻な経済低迷、社会不安、洪水、長期にわたる紛争により長引く影響

・継続的な人道支援にも関わらず、不十分な食料供給、経済の低迷、高い食料価格により、人口の大半が食料不安の影響を受けている。2020年5月-7月期は、約648万人(全人口の55%)が厳しい食料危機に直面すると推定された。

・この推定値はCOVID-19および広範に及んだ洪水の前のもので、2020年10月の時点でこれらは85万6,000人に影響を与えている。したがって、現在の食料不安の規模と深刻度は、この予測をはるかに上回る可能性がある。

・特に、洪水前の段階ですでにIPCフェーズ4「緊急事態」に陥っていたジョングレイ州の約50万人については懸念が大きく、食料支援を早急に拡大させなければ飢餓に見舞われる可能性がある。

厳しい局地的食料不安

ブルキナファソー北部の社会不安

最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、2020年10月-12月期に、約200万人が外部からの食料支援を必要とすると推定される。

・紛争のため約100万人が国内避難民となっており、そのうち50%はセンター・ノルド地域に暮らす人々である。また、マリ出身者を中心とする約2万人の難民はいまもサヘル地域に暮らしている。

カボベルデー干ばつの長引く影響

・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、2020年6月-8月期に約1万人(全人口の約2%)がフェーズ3「危機」もしくはそれ以上の厳しい状況にあったと推定された。

カメルーンー社会不安、避難民

FAO、WFPおよび政府による分析では、2020年第2期には、約490万人(人口の18%)がひっ迫した深刻な食料不安に陥っており、昨年の数値をはるかに上回っている。COVID-19により長引く紛争の影響が悪化した結果である。

コンゴ共和国ー洪水

・政府は2020年11月、北部の豪雨による国内避難民の発生と広域にわたる作物と家畜の喪失を引き起こした洪水のあと、人道緊急事態を宣言した。

・さらに、ブラザビルでは約70万人(ブラザビルの人口の3分の1以上)が食料不安に陥っていると推定された。政府とWFPの調査によればCOVID-19の社会経済的影響によるものである。

エスワティニー局地的な生産減少、収入創出活動の減少

・2020年10ー2021年3月期で約36万6,000人が食料不安により人道支援が必要と推定され、2019/20年の同時期を上回っている。状況の悪化は局地的な生産減少、高い食料価格、COVID-19による経済低迷が引き起こした収入創出活動の喪失を反映している。

ギニアー局地的な穀物生産量の不足

・2020年6月-8月は約26万7,000人に食料支援が必要と推定されている。さらに、5,500人の難民を抱えている。

レソトー局地的な生産量の不足、収入創出活動の喪失

・約58万2,000人が2020年10月-2021年3月に深刻な食料不安に陥ると推定されており、2019/20年の同時期よりも10%多い。こうした状況の悪化は、高い食料価格とCOVID-19に誘発された経済の低迷による収入創出活動の喪失を反映している。

リベリアー高い食料価格

・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、約45万750人が2020年10月-12月期にフェーズ3「危機」またはそれ以上と推定されている。さらに約8,200人の難民も受けいれている。

リビアー社会不安、政治不安、高い食料価格

・2020年に人道支援が必要な人は合計90万人、そのうち34万人に食料支援が必要と推定されていた。難民、難民申請者、国内避難民はなかでもとくに脆弱な立場にある。通貨の下落が止まらず、食料価格は上昇、COVID-19によって雇用の機会が限られるなか、この人数はさらに上昇する可能性がある。

マダガスカル共和国ー南部での収穫量の減少、食料価格の高騰、限られた収入の機会

・2021年1月から3月の間に、南部・南東部地域で厳しい食料不安に直面していたとされる人口は、最近実施されたアセスメントの結果を待たずに、2020年同期の72万8,000人を上回る見込みである。

・この見通しの悪化は、COVID19パンデミックの影響を反映したもので、特に経済の減速による収入の減少に加えて、南部地域における穀物生産量の減少も影響している。

マラウイ共和国ー地域的な生産不足と景気低迷

・2020年10月から2021年3月の間に262万人が食料不安に陥ったとされ、そのうち200万人は農村部に住み、残りの60万人は都市部に住んでいる。

・2020年には穀物生産量が増加するものの、COVID19パンデミックの影響により、収入が減少して食料へのアクセスが制限され、厳しい食料不安が続いている。

マリ共和国ー社会不安

・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によると、2020年10月-12月の間に、約43万7,000人がフェーズ3:「危機」以上の状態になると推定されている。

・中部および北部では、28万7千人以上が避難している。また、約4万7,000人の難民を受け入れている。

モーリタニア・イスラム共和国ー農耕牧畜作期の作柄不良

・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によると、2020年10月-12月の間に人道支援を必要と評価されているのは、約17万8,000人である。

・主にマリからの難民約6万5,500人が居住している。

モザンビーク共和国ー景気の低迷、主食食料生産の地域的な不足、北部地域の不安定さ

・COVID19パンデミック以前に、約200万人の人々が食料不足に陥ると見られていた。

・現在の国内の食料不安の状況は、さらに悪化することが予想される。

・パンデミックによる景気後退に伴う収入減と、南部における主食の生産不足によるものである。北部地域での継続的な不安定さも、影響を受けている地域の状況を著しく悪化させている。

ナミビア共和国ー主食の生産量の局地的不足と、経済の低迷

・2020年10月から2021年3月の間に、約44万1,000人が食料不安に陥り、食料援助を必要とすると予測されている。食料は十分かつ安定的に供給されているが、主に所得と雇用の喪失などのCOVID19パンデミックの負の影響により、世帯の食料へのアクセスが制限されている。

セネガル共和国ー局地的な穀物生産の不足

・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によると、2020年10月-12月の間に、約51万2,000人が支援を必要としていたと推定されている。

・主にモーリタニアからの難民、推定1万4,500人が国内に居住している。

シエラレオネ共和国ー食料価格の高騰

・2020年10月から12月の間に約85万2,000人が深刻な食料不安に陥っていると推定される。

スーダン共和国ー紛争、社会不安、洪水、高騰する食料価格

・2020年10月から12月の間、深刻な食料不安人口は710万人と推計された。

・6月からの集中豪雨による洪水に、2020年10月時点で、約87万5,000人が被災している。

ウガンダ共和国ー洪水、難民の流入

・2020年9月から2021年1月の間に、カラモジャ地方、都市部、難民居住区、ホストコミュニティで、約200万人が深刻な食料不安を抱えている。

・首都カンパラを含む従来から食料が確保されている都市部では、COVID-19ウイルスの蔓延を抑制するために導入された制限措置により、60万人以上の人々が食料不足に陥っている。

・2020年10月時点で、6月からの集中豪雨により約1万7,000人が被災した。

・南スーダンから約88万5,000人、コンゴ民主共和国から約41万8,000人の難民が、キャンプに受け入れられ、人道支援に頼っている。

タンザニア連合共和国ー局地的な主食の生産不足

・2020年5月から9月の間で、主に北東部のマニャラとキリマンジャロ地域、中央部のドドマとシンギダ地域で、約49万9,000人が緊急支援を必要としていると推定された。これらの地域では、2019年の収穫が、長引く乾季の影響を受け、穀物の生産量が大幅に減少した。

ザンビア共和国ー局地的な穀物生産の不足

・COVID19パンデミックの影響により、国全体の食料不安が深刻化しており、その結果、穀物の生産量が多く、価格が下がったにもかかわらず、支援を必要とする人の数は昨年と同程度のレベルに高止まりしている。2020年10月から2021年3月の間に、推定200万人が支援を必要としている。

アジア(9カ国)

食料生産・供給総量の異常な不足

レバノン共和国ー財政的及び経済的危機

・政府によれば、レバノン市民の約45%(243万人に相当)は2020年4月時点で貧困状態にあり、22%は極端な貧困状態であった。深刻化する経済危機から、食料価格と失業者が増加、そしてCOVID-19関連の政策のインパクトも合わせて、雇用の機会と収入を減少させるため、この数字は増加することが予想される。

シリア・アラブ共和国ー内戦、停滞する経済

WFPの脆弱性分析マッピング(2020年7月)によると、930万人が食料不安の状態にあり、更に220万人が食料不安に陥る可能性がある。

・国際食料援助が提供されているが、シリア難民はまた近隣諸国のホストコミュニティの資源を圧迫している。

広範囲の食料アクセスの欠如

朝鮮民主主義人民共和国ー低い食料消費レベル、食事の多様性の不足、経済不振、洪水 

人口の大半が低いレベルの食料消費と大変貧弱な食事の多様性にあえいでいる。

・特にCOVID-19パンデミックの世界的インパクトからの経済不振は、人々の食料不安に対する脆弱性を高めた。

8月と9月初めの数度の台風による洪水により多くの人々が被災し、南部で家畜と食料供給に損害を与えた。

イエメン共和国ー紛争、貧困、洪水、高い食料価格及び燃料価格

・全人口の80%以上(2,430万人)が何らかの人道支援を必要としている。食料安全クラスターは、2020年6月から12月に2,010万人が食料安全保障と農業支援を必要としており、そのうち1,000万人が緊急に必要としていると推計している。これらの数字は収入の機会の制限と仕送りの減少と共に増加することが予想される。

厳しい局地的食料不安

アフガニスタン・イスラム共和国ー紛争、避難民の発生、停滞する経済

・2020年8月から10月の間、総計1,115万人が深刻な食料不安(IPC評価フェーズ3かそれを超える)に直面し、緊急の人道支援を必要としたと推定された。2020年11月から2021年3月の間-収穫高が減る時期-には、1,315万人が緊迫した食料不安を経験することになると予想される。

バングラデシュ人民共和国ー経済不振、モンスーンによる洪水

・収入の減少とCOVID-19パンデミックによる仕送りの低下のため、食料不安のレベルは上昇を続けている。 

・2020年3月、この国の南西部でおきたサイクロン・アンファンと2020年7月の広範囲に及ぶ洪水は、少なくとも500万人の生計に影響し、農業分野へダメージを与え、家屋やインフラを崩壊させた。

UNHCRの最近(2020年10月)の数字によると、約86万人のミャンマーからのロヒンギャ難民はバングラデシュの主にコックスバザール県に住んでいた。難民の多くは受け入れコミュニティに負担をかけている。

イラク共和国ー紛争、低い石油価格、停滞する経済

・約410万人、主に国内避難民と帰還民は人道支援を必要としている。極端に食料不安にある人々の数は約92万人と推計され、主に国内避難民と帰還民の170万人は食料不安に陥りやすく、その大半はディヤラ、ニネべ、サラアルディン、アンバーとカークック州に集中している。

ミャンマーー紛争、経済不振

・ラカイン、チン、カイン、シャン州での継続する紛争は特に2017年から人々の大規模な避難を引き起こした。大半が女性と子供である推計23万5,000人が国内避難民となり、これらの中で最も多くの人がラカイン州とカチン州に避難している。

・COVID-19パンデミックのインパクトによる収入と仕送りの低下は最も脆弱な世帯の食料不安の状況を悪化させている。

パキスタン・イスラム共和国ー避難民の発生、主食作物の高価格

・同国は140万人近くの登録・未登録のアフガン難民を受け入れている。これらの人々の大半は人道支援を必要としており、既に限られた受け入れコミュニティの資源に負担をかけている。

・国の主食作物である小麦の価格は、今年初めから高く、2020年10月にはほとんどの市場で記録的なレベルに達し、食料へのアクセスを制限している。

約118万人が、カイバル・パクトゥンクワの行政的に統合された地域で、食料不安のIPC評価フェーズ3「危機的レベル」とフェーズ4「緊急事態」であったと推定された。

ラテンアメリカ及びカリブ海地域(2ヵ国)

広範囲の食料アクセスの欠如

ベネズエラ・ボリバル共和国ー深刻な経済危機

同国からの難民と移民の総数は540万人と推定され、最も多くの人々がコロンビア(170万人)とペルー(100万人)、チリ(45万7,000人)に定住している。難民と移民の人道支援ニーズは甚大である。COVID-19パンデミックの中で、受け入れる国々での収入創出機会が消失し、約13万5,000人の移民が同国に戻り、すでに限られている資源にさらに負担をかけている。

・2019年の第3四半期に行われたWFPの食料安全保障分析によると、約230万人(全人口の8%)は同国で、主に高い食料価格の結果、深刻な食料不安であった。

厳しい局地的食料不安

ハイチ共和国ー農作物の生産減少と高いインフレ率

2020年の主耕作期の低い穀物生産と、高い食料価格により、2020年8月から2021年2月の期間、約400万人が深刻な食料不安に直面しているため、緊急の食料支援が必要であると推定される。仕送りの低下と収入の減少、COVID-19パンデミックは、既にひどい食料不安の状況をさらに悪化させると予想される。

世界の穀物需給概況

2020年世界の穀物生産はさらに減少する予想

FAOによる2020年の世界穀物生産の予想は、12月で3ヶ月連続で引き下げられ、全ての主要穀物が下方修正となった。それでもなお、世界の穀物生産は、前年の見通しを1.3%上回った27億4,200万トンとなり史上最高レベルに届くと予想される。

世界の粗粒穀物生産は前月と比べ12月に680万トン削減され、2020年は14億7,200万トンとなった。修正の多くは米国とウクライナでのトウモロコシの収量減少の見通しを反映している。米国では、この国内の記録上3番目に生産量の多い作物を未だ収穫中である。これらの修正は、2020年に史上最高に達すると見られているセルビアのトウモロコシ生産予測の引き上げを上回っている。12月の2020年世界の小麦生産予測は、前月からわずかに調整され、7億6,170万トンとなり、2019年の生産量と同等のレベルとなった。アルゼンチンとブラジルまたカザフスタンでは最近の少量の雨による収量減少予想を反映し下方修正があったが、ロシアでの収量増加予想によって相殺された。コメ生産予想はバングラデシュとベトナムで、天候がその他の作物に悪影響を与えた為、コメの生産予想も悪化した。しかし、両国で予想される生産量の減少は、その他小さな下方修正とともに、予備調査で、更なる作付け面積拡大が2020年の記録的な収穫につながると示されているパキスタンの上方修正によって部分的に相殺される。結果として、2020年世界のコメ生産予想は史上最高の5億840万トンとなり、減少した2019年から1.5%増加したが、前月の予想からはわずかに減少した。

さらに先を見ると、北半球での2021年冬小麦の作付けが始まっており、最近の乾燥気候が作付け面積の拡大を妨げる可能性があるものの、いくつかの主要生産国では高価格に牽引され作付け面積を増やすと見られる。米国では、作付け作業は速いペースで進行しているが、ラニーニャ現象の影響で乾燥気候となり、結果として前年と比べ、作物の状況はやや悪化している。ヨーロッパでは、強い輸出需要と価格高騰がロシアの作付面積拡大を促進し、公式には1,920万ヘクタールと推定される。一方ウクライナでは、2021年限られた降雨で作付面積は平均を下回った。2019年に作付面積が削減されたが、EUでの小麦播種は実質的に、回復が期待される。アジアでは、気象条件が2021年の小麦作物を全体的に助長し、有益な価格に支えられ、中国(本土)やインド、パキスタンの作付面積は増加するとみられる。2020/2021年度の世界穀物利用量は、2019/2020年度から1.9%高い記録的な27億4,400万トンと予想される。2020/2021年度の粗粒穀物の総利用量は、前シーズンから2.6%高い14億7,700万トンと予想され、特に中国(本土)でのトウモロコシとソルガムの飼料利用とその他の利用においての増加、ブラジルと米国のトウモロコシ由来のエタノール生産の増加の結果を起因とする。2020/2021年度の世界小麦利用は、2019/2020年度を1.1%高い7億5,760万トンと予想され、これは食料利用の増加予想の結果である。2020/2021年度の世界米利用は5億1,030万トンに達すると予想され、先月の予想と変わらず、2019/2020年度から1.5%増える。

2021年期末における世界穀物在庫の予想は前月から12月時点で960万トン減り、8億6,640万トンで、期首から0.7%下回る。世界の穀物の在庫使用率は2019/20年度の31.8%から2020/21年度には30.7%に低下し、5年ぶりの低水準となるが、比較的良好なレベルである。粗粒穀物の総在庫は4億250万トンで、以前の予想よりも1,000万トン以上少なくなっている。これは主に、米国でのトウモロコシの在庫の下方修正を反映している。今月の修正により、世界の粗粒穀物在庫は、期首から2.8%下がる。 対照的に、世界の小麦在庫の予測は、主にカナダ、中国(本土)、およびEUでのより大きな在庫の予想に基づいて、11月以来ほぼ200万トン拡大され、期首から2.3%増加し、現在は2億8,290万トンとなっている。  中国(本土)での小麦在庫は、世界の在庫で予想される前年比の拡大の大部分を占めている。2020/21年度の世界のコメ在庫は1億8,100万トンで、期首から0.4%減少し、先月の予想を100万トン下回る。 月の修正は主に、インドでの輸出見通しの改善で、予想される備蓄が減少することを反映している。 それにもかかわらず、インドの在庫量は過去最高の水準で予測されている。 実際、インドでの予想される備蓄は、タイで以前に予想されていたよりもさらに高い蓄積であるとともに、主要な輸出業者の総コメ備蓄の増加を促進していると見られている。2020/21年度の穀物の世界貿易は4億5,460万トンと予想され、前月と比べ12月には320万トン増え、2019/20年度からは3.4%高い。2020/21年度(7/6月)の世界粗粒穀物貿易は前月比で270万トン増加し2億2,300万トンとなり、前シーズンの記録を5.7%上回った。今月の上方修正は、主に中国(本土)で継続的な買い付けが強く続いているために、米国でのトウモロコシ販売速度が予想より早くなっていることに起因する。2020/21年度(7/6月)の世界小麦貿易は1億8,450万トンで、ロシアからの予想売上高の増加が結果としてアルゼンチンの輸出の下方修正と釣り合うため、先月から変わらず、2019/20年度のレベルでおおよそ留まると予想される。2021年(1月から12月)のコメの世界貿易は現在4,760万トンと予測されており、2020年の修正予測である4,450万トンを6.9%上回っている。今月は中近東及びアフリカのさまざまな国で輸入の上方修正が導入され、フィリピンの輸入見通しがやや鈍化することを補なっている。

低所得・食料不足国の食料事情

東アジアと南部アフリカ諸国にけん引され、2020年の低所得・食料不足国(LIFDC)の穀物生産が増加

LIFDCでは、2020年の穀物は大部分が収穫され、一部の国では2021年の作付けがすでに始まっている。LIFDCの2020年の総生産量は、前年より約1,000万トン多い4億9,630万トンとなり、5年平均を7%上回る。これは主に南部アフリカと極東アジアでの大きな生産量を反映している。

アジアのLIFDCでの2020年の穀物生産量は、前年比で2.6%増の3億8,500万トンと予測されている。この増加分のほとんどは、LIFDC最大の穀物生産国であるインドの生産量増加によるものである。バングラデシュでは、洪水の影響はあったものの、収穫量は増加した。ネパールでは豪雨が作物に影響を与えたが、2020年の収穫量は平均以上の水準を維持し、前年並みであると推定される。対照的にベトナムの穀物生産量は減少するとの予測。これは、農家がより収益性の高い園芸作物に切り替えたため、トウモロコシの生産量が減少したことが一因。シリア・アラブ共和国では、治安の改善により生産量が増加し、好天に恵まれたこともあって収穫量が増加した。CISアジア諸国では、キルギスとタジキスタンの生産量がわずかに増加したものの、ウズベキスタンの生産量の減少が穀物生産量の足を引っ張った。しかし、穀物総生産量は平年に近いレベルを維持している。アフリカでは、マラウイ、レソト、マダガスカル、モザンビークで、シーズン後半の好天で作物の収量が平年ないし平年以上のレベルに達したため、最大の生産増加が南部アフリカ諸国で記録された。ジンバブエでは降雨量が少なく、高いインフレ率のために農業投入材へのアクセスが制限され、作物の生産性が押さえられたため、穀物収穫量は年々の増加が見られてきたものの、2020年は平均を下回ると予測されている。東アフリカでは、いつくかの国々の洪水は作物に広範な被害を与えたが、2020年の穀物の生育と総生産量は雨期の順調な降雨に支えられ、平均以上を維持することが予想される。最大の生産増加はスーダンとタンザニアで予想される一方、ある程度の増加もケニアやウガンダで期待される。サバクトビバッタの発生は、特にソマリアやケニア、エチオピアで作物や牧草に影響したが、大規模な対策が被害の程度を押さえた。西アフリカでは、2020年の全体の生産は、2019年の高かった水準には及ぼないものの、平年を上回った。多くの国は平年の生産量を17%まで減少させたと見込まれる一方、わずかな生産増加がニジェールやコートジボワールで見込まれる。中部アフリカでは、農業活動は引き続き紛争の影響を受けており、穀物生産は年間の生産量ではほぼ変わらず、平年のレベルを維持すると予測される。

輸入需要は2020/2021年度に緩やかに上昇する

2020/21市場年度の低所得・食料不足国のための穀物輸入必要量は、7,390万トンと推定され、年単位で370万トン増加する。より大きな需要は主に、2020年に生産が減少した西アフリカ諸国の需要増加によりもたらされる。南部アフリカでは、生産増加は輸入需要を和らげたが、全体の輸入量は増加することが予測され、これはほぼすべて、ジンバブエの大きな輸入需要のためである。輸入需要のわずかな増加は中部アフリカと東アフリカの国々で予想されるが、その予測される増加は近年の年増加率に即している。輸入はいくつかのアジアの国々、特にアフガニスタンやネパールでも増えることが予想される。

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ウガンダエスワティニエチオピアエリトリア

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カーボヴェルデカメルーンギニアケニアコンゴ共和国コンゴ民主共和国)

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ザンビアシエラレオネジブチジンバブエスーダンセネガルソマリア)

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タンザニアチャド中央アフリカ)

世界の食料 国別状況 な行

ナイジェリアナミビアニジェール)

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ブルキナファソブルンジ)

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マダガスカルマラウイマリ南スーダンモーリタニアモザンビーク)

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リビアリベリアレソト)