今知る世界の食料危機 No.3(2018年9月号)

国連食糧農業機関(FAO)は、Global Information and Early Warning System(GIEWS)というページで、世界の食料危機に関する情報を提供しています。

2017年度まで、国際農林業協働協会が発行する季刊誌「世界の農林水産」に、GIEWSの資料の一部(”Crop and Prospects”および”Food Outlook”)を紹介するページが設けられていました。

2018年度、同誌は紙面リニューアルを行い、この紹介ページはなくなりました。
そこで、昨年度からAJFが呼びかけて行っている「FAOの資料を読む学習会」参加メンバーが中心となって、”Crop and Prospects”の「外部からの支援を必要としている国」「世界の穀物の需給概況」「低所得・食料不足国の食料事情」の3項目の参考訳を作成し、紹介していくことになりました。

「今知る世界の食料危機 No.3」では、今年9月に公開された”Crop and Prospects #3 SEP 2018″の該当ページを紹介します。

「FAOの資料を読む学習会」、「今知る世界の食料危機」の作成に関心を持ったら,food@ajf.gr.jpへ連絡下さい。

外部からの支援を必要としている国

アフリカ (31カ国)


食料生産・供給総量の異常な不足

中央アフリカ共和国-紛争、避難、食料供給の制約
・2018年6月時点の国内避難民(IDP)は、同年3月時点より10%減って61万5,000人と推定された。広範囲で継続する治安の悪化、数年にわたる食料生産量の減少、機能していない市場により、全人口の43%に当たる約2百万人(特に、避難民、受け入れ家族、帰還民)に食料の緊急支援が必要とされている。
・暴力的衝突と共同体間の緊張が続き、食料保障に深刻な影響を与え、大規模な避難を引き起こしている。


広範囲な食料アクセスの欠如

ブルンジ共和国-社会不安、経済不振、一部地域での不作
・市場、農業生産活動、暮しの混乱が、限られた人道支援と食料輸入能力の低下と相まって、引き続き食料事情に深刻な影響を与えている。
・約167万人が厳しい食料危機に直面していると推定されている。最も影響を受けているのは、ルイギ州西部である。

チャド共和国-社会不安、国内避難民、牧畜環境の悪化
・「Cadre Harmonisé」によれば、サヘル地域における牧畜環境の深刻な悪化により、6月から8月期に約99万人が食料不安の状況であったと推定された
・北東部の反乱により190万人近くが国内避難民にとどまっており、さらに45万人の難民を受け入れている。

コンゴ民主共和国-紛争と東部および南部地域からの避難、そして難民流入による受け入れコミュニティへの負担
・中央アフリカ共和国から17万6,000人、南スーダンから9万4,000人、そしてブルンジから4万7,000人の難民を受け入れている。国内避難民の合計は450万人と推定されている。
・8月26日にエボラ出血熱(EVD)発生の報告があり、5月以降2倍以上のレベルとなる111件が確認された。

ジブチ共和国-牧畜地域で続く雨季の降雨不足
・雨季の降雨不足が続いた影響で、主にオボック市北部と南東部国境地域の牧畜地域に集中して約19万7,000人が深刻な食料不足に直面している。

エリトリア-経済的制約による食料不安人口の増加

エチオピア連邦民主共和国-干ばつの地域の生計システムへの影響
・2016年中ごろから2017年後半までの長引いた厳しい干ばつにより推定788万人人々が食料不足にある。
・ソマリ州、オロミア州、南部諸民族州での共同体間の対立が原因で、2018年6月以降、約100万人が避難した。

マラウイ共和国-穀物生産の減少
・2018年の食料不足人口は一年の間に二倍以上の330万人に達したとみられている。
・2018年の生産量は平均以下になると推定されており、食料不足人口の急激な上昇は、主に穀物生産の減少が原因である。

ニジェール共和国-社会不安と牧草不足が食料保障を阻害
・「Cadre Harmonisé」最新号の分析によれば、6月から8月期に約80万人に緊急支援が必要になるとしている。
・近隣諸国の社会不安により、16万6000人以上が難民として住んでおり、そのうち10万8000人がナイジェリアから、5万7000人がマリからの難民である。

ナイジェリア連邦共和国-継続する紛争による北部地域での避難民、市場の混乱、食料支援へのアクセスの制限
・「Cadre Harmonisé」の分析によれば、6月から8月期に約530万人が支援を必要になるとしている。
・進行中の社会不安は市場機能と生計活動に引き続き影響を及ぼし、脆弱世帯の食料アクセスを制限している。人道支援にアクセスできない地域は、さらに悪い食料保障の状況に直面している。

南スーダン共和国-紛争、内戦、深刻な経済低迷
・継続的な人道的支援にもかかわらず、食料危機はまだ人口の大半に影響を与えている。6月から7月にひどい食料危機に直面した人々の数は600万人にのぼったと予想された。このきわめて大きな数字は、長引く社会不安がもたらしたものである。

ジンバブエ共和国-食料アクセスの制約
・2018年では240万人の人々が食料不安に直面していると推定される。これは主として、低所得や流動性の問題によって、穀物生産の減少と食料アクセスの制約が引き起こされたからである。


厳しい局地的食料不安

ブルキナファソ-供給ひっ迫と食料価格高騰
・最新の“Cadre Harmonisé” の分析によれば、主として地域的な食料生産不足のために6月から8月にかけて約95万人が食料支援を必要としたと予想される。
・国内に2万5,000人の難民、多くはマリからの難民が暮らすと推定される。

カーボヴェルデ共和国-2017年の農牧収穫期が不作に終わり生計に大きな損失が出た
・最新の“Cadre Harmonisé” の分析によれば、2万1,000人(全人口の約4%)がフェイズ3「危機」もしくはそれ以上の厳しい状況にあったと推定された。

カメルーン共和国-難民流入によるコミュニティへの負担と国内避難民の発生
・中央アフリカ共和国からの難民の数は2018年6月末時点で26万1,000人と推定された。ナイジェリアとの国境地域の治安の悪化により、23万8,000人の国内避難民が発生した。
・周辺化の強要と仏語を使用する多数派への同化に対する英語を使用する少数派の抵抗による、2016年10月以降進行する危機によって、北西部州・南西部州の人々が大きな被害を被っている。

コンゴ共和国-難民流入が国内共同体のすでに少ない資源を圧迫している
・2018年1月末時点で、中央アフリカ共和国からの約3万2,000人の難民が国内で生活している。

エスワティニ王国(旧:スワジランド王国)-穀物の不作
・2018年、主として天候不順によって穀物が不作となった東部および南部で、約12万2,000人が食料危機の影響を被っていると推定される。

ギニア共和国-局地的な生産不足
・約3万4,000人が食料 支援を必要としていると推定される 。

ケニア共和国-連続した雨期の降雨不足による食料生産と家畜への影響
・2016年半ばから2017年末まで続いた厳しい干ばつの影響を受け、主として東部、南東部および沿岸部の諸地域で約235万人が厳しい食料不安に直面している。

レソト王国-穀物の不作
・2018年、30万9,000人が食料危機の影響を受けていると推定される。
・2018年の穀物不作により、今年度の食料危機の影響を受ける人々が2017年よりも若干増加すると予想される。

リベリア共和国-局地的な生産不足および難民の流入
•約2万9,000 人が食料支援を必要としていると推定される。

リビア-社会不安
・食料支援を必要としている人々の数は、40万人と推定され、そのもっとも食料危機にさらされやすい人々の中に、難民、難民申請者、国内避難民がいる。
・食料不足は基礎的な食品の供給が不足している南部と東部で主に報じられる。影響を受けた人々の中で補助金の支援がある食料へのアクセスが限られている。

マダガスカル共和国-乾燥気候とサイクロンの影響
・2018年は天候不順によって穀物生産が平年作以下となり、また年初めの価格高騰が食料へのアクセスに悪影響を与え、食料不安に影響された人々の数は、南部において130万人に増えた。
・国レベルでは、中部および北部における穀物生産改善により2018年のコメ生産は増加し、食料入手可能性が高まることが予想される。

マリ共和国-北部での社会不安と、牧畜業収入の減少による食料へのアクセス制限
・この国には約2万人の難民、5万人の国内避難民、6万4,000人の帰還民がいて、主に人道支援に依存している。
・「Cadre Harmonisé」の分析によれば、国内紛争が続くと予想されるため、6月から8月までに食料支援を必要とする人々の数は93万3,000人に増加すると予測された。

モーリタニア・イスラム共和国-農業と牧畜業生産の減少の結果食料不安に陥る
・2018年3月の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、穀物供給が平年を下回り、家計の購買力が低下するため、6月から8月にかけ、53万8,000人は食料支援を必要とすると推定された。
・主としてマリからの難民約5万8,000人が国内に居住している。

モザンビーク共和国-荒天の影響と局地的な生産不足
・乾燥状態と害虫により、南部と中部諸州において生産は不足している。結果として、89万1,000人が食料不安に直面しており、主として中心部のテテ州と南部のガザ州に居住している。
・国レベルでは、2018年の穀物生産は増加すると予想された。

セネガル共和国−牧畜条件の悪化
・最終の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、6月から8月にかけて75万人が支援を必要と推定された。
・主としてモーリタニアからの難民、推定1万5,000人が国内に居住している。

シエラレオネ共和国-洪水、局地的な生産不足
•約1万2,000人が深刻な食料危機に直面していると推定される。

ソマリア連邦共和国-紛争、社会不安、広範囲にわたる干ばつの影響
・主として国全体に広がる国内避難民と2016年中旬から2017年末に起きた干ばつ被害を受けた農牧民コミュニティの約156万人が緊急支援を必要としていると推定される。

スーダン共和国-紛争と社会不安
・5月から7月の期間、主に国内避難民と紛争影響地域にある共同体で暮らす人々、620万人が厳しい食料不安に直面すると推定される。2017年を通して、乱高下する食料価格と穀物生産減の影響で余裕を失った家計は懸念の対象である。

ウガンダ共和国-局地的な生産不足および難民の流入
・北東部に位置するカラモジャ地方では、収穫が遅れたことにより、通常よりも1ヶ月遅く2017年9月に端境期が終了した。加えて、生産量は平均を下回り、2018年の12月までに、家での備蓄は底を尽くことが予想される。よって次の端境期の始まりも早い見込み。
・南スーダンからの約110万人の難民と、コンゴ民主共和国からの約31万6,000人の難民が人道支援に頼っている。

アジア (7カ国)


食料生産・供給総量の異常な不足

シリア・アラブ共和国-紛争および天候不順
・約650万人が食料危機に直面しており、さらに400万人が食料危機におちいる可能性がある。
・2018年の穀物生産量は、降雨不足により著しく減産する見込み。
・国際的食料支援が実施されているものの、シリアからの難民が近隣諸国の受け入れコミュニティの食料不安を高めている。


広範囲な食料アクセスの欠如

朝鮮民主主義人民共和国-2018年主耕作期の局地的な生産不足と経済不振
・2018年主耕作期における穀物生産量の減少を受けて、多くの家庭で継続的に、食料消費が生存可能ラインギリギリもしくはそれ以下の状態にあると予想される。

イエメン共和国-紛争、貧困および食料価格・燃料価格の高止まり
・2017年推定値から5%増加した、約1,780万人が食料危機にあり、緊急の人道支援を必要としている。


厳しい局地的食料不安

アフガニスタン・イスラム共和国-継続的な紛争と避難民の発生
・約220万人が慢性的な食料危機に直面しており、そのうち140万人は、干ばつによる厳しい食料危機にある。続く紛争、自然災害および限定的な経済活動が、生存ラインギリギリの農家も含む、最も貧しい家庭への打撃を上昇させている。

イラク共和国-紛争
•2018年1月時点で、約260万人が国内避難民となった。
•2017年12月現在、約80万人が食料支援を必要としていた。

ミャンマー連邦共和国-カチン州、シャン州の一部での紛争、及びラカイン州で再発した暴力の影響
・国際連合人道問題調整事務所(UNOCHA)の最新の情報(2018年6月)によれば、約91万9,000人のミャンマーからの難民がバングラディシュにおり、続く紛争のため、カチン州、カイン州、シャン州およびラカイン州の24万1,000人が国内避難をさせられている。これらの人々は、必要最低限の生活をするために人道支援に頼っている。

パキスタン・イスラム共和国-避難民の発生と一部地域での穀物生産不振
・シンド州サルパカール県とその周辺では、2018年は干ばつによる穀物生産不振と家畜被害により食料危機が進行し、厳しい栄養不良につながった。
・この国では、140万人に近い、登録、非登録のアフガン難民がいる。これらの人々の大半が、人道支援を必要としている。

ラテンアメリカ・カリブ海 (1カ国)


厳しい局地的食料不安

ハイチ共和国-ハリケーン被害
・食料事情は緩やかに改善され、ICP評価に階層づけられる項目はない。しかし、2016年のハリケーン「マシュー」の被害により、38万6,050人が人道支援を必要としている。

世界の穀物の需給概況


2018年の世界の穀物生産予想は増加すると予想されたが、まだ昨年の記録的レベルには及ばない

FAOによる2018年の最新の世界穀物生産は、7月から少し(120万トン)上方修正があったが、3年で最も低い25億8,700万トンであった。この予想によれば、世界の穀物生産は昨年の歴史的に高い量より6,450万トン、すなわち2.4%低い量となった。

FAOによる2018年の世界の小麦生産予想は、7月の予想に比べて1,400万トン(1.9%)低く、現在は約7億2,200万トンと、2013年以来最も低い数値となっている。月次の大方の下方修正は、EU北部諸国で夏の期間乾燥して暑い気候が続き、生産性が悪化したことから来ており、生産予想を6%(900万トン)ほど減少させた。EUの小麦生産高は現在1億3,800万トンと予想されており、2012年から最も低いレベルである。オーストラリア、中国(本土)とロシア連邦の生産予想も、主として天候不順のため低下した。一方、アルゼンチン、米国では上方修正された。

FAOによる2018年の世界の粗粒穀物生産予想はほぼ13億5,400万トンと、7月の予想より1,500万トン(1.1%)上昇したが、まだ昨年のレベルより3,640万トン(2.6%)低い。7月からの最新の生産性予想の上方修正は、主として、天候の回復によるもので、中国(本土)、ウクライナと米国でのとうもろこしの生産予想が改善された。これらの国の生産高増加の予想は、湿潤不足が生産性予想を下げたEUやロシア連邦の生産高予想の減少を上回る。2018年の世界大麦生産予想は若干下回った。これは主として、EUで以前から予想された通り、乾燥と不適な気温だったために生産性が低かったことによるものである他方、世界のソルガム生産予想は7月以来ほぼ変化していない。

FAOによる2018年の新しい世界のコメの生産予想は7月に続いてわずかに上方修正され、5億1,180万トンと、2017年から1.3%アップし、史上最高を記録した。国レベルでは、バングラデシュとベトナムで、生産性が改善され、以前予想されていたよりも大きな生産高の回復になっている一方で、スリランカと米国で以前予測されたよりも大きな面積の植え付けが行われたことによって、生産が回復したと指摘される。それに対して、エジプトでは、国の保水措置と、綿花との競合によりコメの植え付けが急激に縮小したと予想されている。


特にとうもろこしの飼料利用と工業利用の増加により、2017/18年度の全体の穀物利用がゆるやかに増加すると予想される

世界の穀物利用に関する予想は7月以降700万トン(0.3%)上昇し、26億4,800万トンとなり、2017/18年度より3,000万トン(1.2%)上昇している。最新の月毎の上方修正や前年からの予想される増加は、とうもろこしによるものである。とうもろこしの飼料利用や工業利用が増加し、全体のとうもろこし利用を11億500万トンに増やすことが予想され、7月の予想からほぼ1,400万トン(1.3%)ほど、また2017/18年度より3,000万トン(2.8%)高くなることが予想される。2018/19年度にもとうもろこしの飼料の利用は増加するとみられ、予想される他の主要な穀物、特に大麦、小麦、ソルガムの飼料利用の減少を相殺して上回るとみられる。2018/19年度のコメの利用は1.1%増え、5億960万トンになると予想される。これは世界の1人当たりのコメの食料摂取が約53.9kgで安定するに足りるレベルである。


世界の穀物在庫は4年連続で低いレベルとなる

7月の予想から、2018/19年穀物年度の終了時点での世界の穀物在庫予想は710万トンほど低くなり、7億4,180万トンと4年連続で低下し、記録的に高かった開始レベルから6,500万トン、8%ほど低くなると予想された。これにより、世界の穀物の利用に対する在庫率が27.3%と、2013/14年度以来、最低レベルという結果となる。2018/19年度の予想される在庫率低下の大半は、中国(本土)、EU、ロシア連邦での在庫率低下の結果である。小麦生産予想の最新の下方修正によって、小麦在庫の予想もかなり修正され、2億5,200万トンと、7月の予想からほぼ1,200万トン、史上最高レベルから2,140万トン(7.8%)低下する。現在予想されるレベルでは、主要な小麦輸出国における小麦の期末在庫の、全消失に対する割合(国内の利用プラス輸出として定義され、世界市場での入手可能性の良い指標として考えられている)は15.3%と6年連続低下しており、2017/18年度に予想される20.8%を下回る。対照的に、FAOによるとうもろこしの在庫予想は7月からほぼ700万トン上方修正された。しかし、この増加にもかかわらず、世界のとうもろこしの在庫量はその開始レベルよりまだかなり(13.6%)低下しており、2億6,700万トンに減少して、6年間で最低レベルとなっている。それに対し、2018/19年度末の世界のコメの在庫は、3年連続増加することが予想され、1億7,340万トンとなる。これは、輸入国、特に中国(本土)とインドネシア、主要な輸出国、インドや米国での在庫回復によるものである。


2018/19年度の世界の穀物貿易は、2017/18年度の記録的なレベルから緩やかに減少

FAOによる2018/19年度の世界の穀物貿易予想は、ほぼ4億1,400万トンに増加し、これは7月に報告されたものより170万トン多い。この上方修正は主としてとうもろこし貿易の増加が、小麦、コメ、ソルガムの貿易予想の低下を上回ることを反映している。にもかかわらず、現在予想されるレベルでは、2018/19年度の世界穀物貿易は、記録的であった前年度よりまだ640万トン(1.5%)ほど及ばない。個別の穀物の中で、現在の市場年度での小麦の貿易は1.8%(320万トン)の減少が見込まれ、ソルガムの貿易は14.4%(110万トン)、コメは1.1%(518,000トン)減少すると予想される。

低所得・食料不足国の食料事情


CISアジアおよび南部アフリカ諸国では悪天候により生産が減少

2018年の低所得・食料不足国(LIFDCs)の穀物生産は4億9,140万トンと予想され、2017年より少ないものの、直近5年の平均より1,900万トン多い。主に南部アフリカ、CISアジアおよび近東で悪天候により生産が減少する減するが、アジア東部および東アフリカでの生産増により相殺され変化の少ない結果となると見込まれている。

南部アフリカでは、収穫期の終わり頃の良好な天候条件にも関わらず、主要な作付段階における降雨不足が、2018年の穀物生産を減少させ、マラウイとジンバブエで最大の減少予想となった。一方で西アフリカ、特にナイジェリアとコートジボワールでは、穀物収穫量は2017年の豊作から平年レベルに戻ると予想される。CISアジアでは、降雨不足により、タジキスタンとウズベキスタンで生産量が減少した。同様に近東では、悪天候により、アフガニスタンでの穀物生産量減少が予想される。さらに、シリアアラブ共和国では、主に穀物栽培地域における雨季の降雨不足に加えて、紛争の影響が引き続き農業生産能力を急激に低下させ、2018年の生産予測を大幅に低下させている。
アジア東部では、主にバングラデシュとインドにおける穀物生産の増加によって、2018年の穀物生産は増加すると予想される。

LIFDCの中でも生産量が最大のインドでは、主として良好な天候に恵まれ小麦生産が記録的となり今年の生産量上昇につながった。同様にバングラデシュでは、良好な天候に恵まれ販売価格が高まる期待があり、2018年稲の植え付けの拡大が進み、天候不順による収量減少した2017年と比較して、穀物生産が増加した。東アフリカの国々では、2017年の生産量は減少であったが、2018年には穀物収穫量が増加すると予想されている。今年の早期の豪雨と8月の洪水によって、局所的な作物の損失があったが良好な天候に恵まれたおかげで増加が予想される。ケニア、ソマリア、タンザニア共和国では、前年同月比で増加が見込まれている。アフリカ中央部と中米での生産見通しは、前年の平均と比べ、2018年の収穫もほとんど変化がないとされる。


アジア東部では輸入が減少すると予想されるが、アフリカの一部では収穫量が減少する為輸入需要は増加する

2017年2018年市場年度のLIFDCによる穀物輸入に関するFAOの予想は6,430万トンで、前年から4%減少となる。この減少の大部分は、バングラデシュとインドを中心としたアジア東部における輸入需要の低下に起因する。
同様に、コメ生産の回復でマダガスカルの輸入予想は減少した。一部では輸入が減少したが、CISアジアおよび南部アフリカと西アフリカ諸国では穀物の国内生産による供給量が減少する為、輸入が増加し、全体としての量は変わらない。

 

⇦ 今知る世界の食料危機 No.1(2018/7/26)
⇦ 今知る世界の食料危機 No.2(2018/11/14)
今知る世界の食料危機 No.4(2019/5/11)⇨
今知る世界の食料危機 No.5(2019/5/19)⇨