今知る世界の食料危機No.5(2019年3月号)

国連食糧農業機関(FAO)は、Global Information and Early Warning System(GIEWS)というページで、世界の食料危機に関する情報を提供しています。

2017年度まで、国際農林業協働協会が発行する季刊誌「世界の農林水産」に、GIEWSの資料の一部(”Crop and Prospects”および”Food Outlook”)を紹介するページが設けられていました。

2018年度、同誌は紙面リニューアルを行い、この紹介ページはなくなりました。
そこで、数年前からAJFが呼びかけて行っている「FAOの資料を読む学習会」参加メンバーが中心となって、”Crop and Prospects”の「外部からの支援を必要としている国」「世界の穀物の需給概況」「低所得・食料不足国の食料事情」の3項目の参考訳を作成し、紹介していくことになりました。

「今知る世界の食料危機 No.5」では、今年3月に公開された”Crop and Prospects #1 March 2019”の該当ページを紹介します。

「FAOの資料を読む学習会」、「今知る世界の食料危機」の作成に関心を持ったら,food@ajf.gr.jpへ連絡下さい。

外部からの支援を必要としている国

アフリカ (31カ国)


食料生産・供給総量の異常な不足

中央アフリカ共和国-紛争、避難、食料供給の制約
・2018年12月の国内避難民は64万1,000人と推定され、2018年10月から若干減少した。広範な社会不安が続き、数年にわたって食料生産が低迷し、市場が機能不全に陥っており、特に避難民・受け入れ家族・帰還民にとって市場利用が困難なため、人口の31%に当たる約190万人が食料支援を必要としている。
・暴力的な衝突と共同体間の緊張が続き、避難をさらに大規模で広範なものにし、これが食料保障に悪影響を与えている。


広範囲な食料アクセスの欠如

ブルンジ共和国-社会不安、経済の悪化、一部地域での作物生産不足
・市場、農作業、暮らしの混乱が、限られた人道支援や食料輸入能力の低下と相まって、引き続き食料保障に悪影響を与えている。食料不安が最も深刻な地域はタンザニア連合共和国と国境を接するマカマ州、ルタナ州、ルイギ州およびカンクゾ州西部の多くの地区。
・約172万人が厳しい食料不足に直面していると推定されている。

チャドチャド共和国-社会不安、国内避難民、地域的な厳しい乾燥
・「Cadre Harmonisé」によれば、約51万9,000人が6月から8月期に食料不安に直面すると予想される。
・約45万6000人の難民に加え、北東部での軍事衝突によって、16万5,300人近くが国内避難民となっている。

コンゴ民主共和国-紛争と東部および南部地域での避難民発生、そして難民の流入が受け入れコミュニティの負担になっている
・国内避難民は全部で450万人と推定されている。それに加え、中央アフリカ共和国の難民17万2,000人、南スーダン難民9万6,000人、ブルンジ難民4万3,000人を受け入れている。
・エボラウイルス病(EVD)の感染拡大により548人が亡くなった。さらに、EVD感染拡大は市場の機能マヒを引き起こし、影響を受けている地域の家々の食料アクセスに悪影響を及ぼしている。

ジブチ共和国-連続する雨季の降雨不足による牧畜民の暮らしへの影響
・降雨不足の雨季が続いた影響で、主にオボック市北部と南東部国境地域の牧畜地域に集中して約19万7,000人が厳しい食料不足に直面している。

エリトリア-経済的制約による食料不安人口の増加

エチオピア連邦民主共和国-干ばつが地域の生計システムへ及ぼす影響
・2016年半ばから2017年後半まで続いた厳しい干ばつの影響を受けた主に南東部の農牧畜地域で、795万人が食料不足に陥ったと推定された。
・共同体間紛争の結果、ソマリ州、オロミア州、南部諸民族州、ベニシャングル・グムズ州で2018年から2019年初めまでに約100万人が国内避難民となった。

マラウイ共和国-穀物供給の減少と価格高騰
・2018年10月から2019年3月にかけて食料不安に直面すると見られる人々の数は330万人となり、2017/18年の同時期から倍増する。
・食料不安人口の急増は、主として2018年の食料生産が不作となり穀物生産が減少し、また食料価格高騰により食料へのアクセスが困難になったことによるものである。

ニジェール共和国-紛争と不作
・「Cadre Harmonisé」最新号の分析によれば、2019年6月から8月期に約122万2,000人が緊急支援を必要とすると推測される。
・近隣諸国の紛争により、15万8,000人以上が国内避難民となっており、ナイジェリア難民11万9,000人、マリ難民5万6,000人を含む約17万5,000人が難民として暮らしている。

ナイジェリア連邦共和国-北部地域での終わらない紛争による国内避難民の発生、市場崩壊そして食料アクセスの困難
・「Cadre Harmonisé」の分析によれば、2019年6月から8月期に約450万人が支援を必要とすると推測される。
・社会不安が長引き、200万人以上が国内避難民となっている。人道支援にアクセスできない地域は、最悪の食料保障環境に直面している。

南スーダン共和国ー紛争、内戦、深刻な経済低迷
・継続的な人道支援にも関わらず、食料危機はまだ人口の大半に影響を与えている。10月から12月に厳しい食料危機に直面する人々の数は645万人に上ると予想される。著しく高いこの数字は、継続的な社会不安、ひっ迫した供給、経済的制約、貿易の不振と食料価格の高止まりの結果である。

ジンバブエ共和国-深刻な食料アクセスの制約
・2019年はじめには300万人近くの人々が食料不安に直面していると推定され、以前予想された240万人を上回る。食料不安の深刻化の主な要因は、2018年10月以降に発生した主食の食料価格の急上昇だが、厳しい経済環境により収入を生み出す機会が減少し、状況がさらに悪化している。


厳しい局地的食料不安

ブルキナファソ–北部での社会不安
・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、2019年6月から8月にかけて食料支援を必要とする人々の数は67万6,000人と予想された。主に地域的な食料生産の不足による。
・2万5,000人の難民、多くはマリからの難民が国内に暮らすと推定される。一方で4万人の国内避難民がいる。

カーボヴェルデ共和国-2018年農牧収穫期の不作
・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、2019年6月から8月期にかけて約1万1,000人(全人口の約2%)がフェーズ3「危機」もしくはそれ以上の厳しい状況にあると推定される。

カメルーン共和国-難民の流入によるコミュ二ティへの負担と国内避難民の発生
・中央アフリカ共和国からの難民の数は2019年1月に27万6,000人と推定された。
・2016年10月から続く国内闘争によって英語話者地域の北西州と南西州の約43万2,000人が国内避難民となった。

コンゴ共和国ー難民の流入が、国内コミュニティのすでに制限されている資源を圧迫している
・コンゴ民主共和国からの1万6,000人の難民が国内で生活していると推定される。

エスワティニ王国ー局地的な生産不足
・2019年3月までに、24万7,000人が人道支援を必要とすると推定され、多くはルボンボとシセルウェニでの生産不足による。

ギニア共和国ー局地的な生産不足
・2019年6月から8月に、約17万8,000人が食料支援を必要としていると推定される。

ケニア共和国ー連続した雨季の降雨不足
・2016年半ばから2017年末までの深刻な干ばつの影響が長引き、主として北部、東部地域で約70万人が厳しい食料不安に直面している。

レソト王国ー穀物生産の減少
・2018年12月から2019年2月にかけて、約27万3,000人が食料不安に直面したと予想された。2018年の穀物生産の減少を受け、昨年よりも人数が増加した。
・2019年の厳しい穀物生産予想に基づき、状況は年内に悪化するとみられる。

リベリア共和国-局地的な生産不足および難民の流入
・約3万9,000 人が食料支援を必要としていると推定される。

リビア-社会不安
・人道支援を必要としている人々の数は、82万人(人口の11%)と推定され、そのうち30万人は食料支援を必要としている。難民、難民申請者、国内避難民は食料危機にもっともさらされやすい人々である。

マダガスカル共和国-南部のいくつかの地域で穀物の在庫量急減
・南部のいくつかの地域では、雨季の降雨不足により2018年の穀物生産量が平均を下回るため、食料不安にさらされる人々が130万人と推定された。記録的な高値も食料へのアクセスに影響を与えて、食料不安をさらに悪化させている。

マリ共和国-中央および北部での絶え間なく続く危機(家畜や国内避難民への影響)
・この国には約2万7,000人の難民、約12万人の国内避難民、6万9,000人の帰還民がいて、主に人道支援に依存している。
・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、国内紛争が続くため、2019年6月から8月期の間に、約41万6,000人が食料支援を必要とすると推定された。

モーリタニア・イスラム共和国-穀物生産量の減少
・2018年11月の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、穀物供給は平年を下回り、また購買力が低下するため、2019年6月から8月期にかけ、約57万6,000人が食料支援を必要とすると推定された。
・主としてマリからの難民約5万9,000人が国内に居住している。

モザンビーク共和国-局地的な生産不足
・降雨不足により、南部と中部のいくつかの州では生産不足である。結果として、2019年1月から3月にかけ、200万人近くが食料危機にあると推定された。

セネガル共和国-局地的な降雨不足
・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、約37万6,000人が2019年6月から8月期にかけ、食料支援を必要としている。
・加えて、主としてモーリタニアからの難民、推定1万5,000人が国内に居住している。

シエラレオネ共和国-食料価格の高騰
・2019年6月から8月にかけて、約14万6,000人が深刻な食料危機におちいると推定される。

ソマリア連邦共和国-紛争、社会不安、広範囲にわたる干ばつの影響
・2018年10月から12月の降雨不足と、2016年半ばから2017年末まで続いた干ばつの影響が長引き、主に国内避難民と農牧民コミュニティの約155万人が緊急支援を必要としていると推定される。

スーダン共和国-紛争、社会不安と高騰する食料価格

・2019年1月から3月に深刻な食料不安にさらされている、主に国内避難民と紛争影響地域にある共同体で暮らす人々は576万人と推定される。高騰する食料価格に余裕を失った家計もまた懸念の対象である。

ウガンダ共和国―局地的な生産不足及び難民の流入
・北東部に位置するカラモジャ地方では、2018年の穀物生産は平均をかなり下回ることが予想され、2018年後半まで各家庭での備蓄は底をつくことが予想される。よって次の端境期の始まりも早くなる。
・南スーダンからの約79万5,000人の難民と、コンゴ民主共和国からの約31万3,000人の難民が難民キャンプにおり、人道支援に頼っている。

アジア(8ケ国)

食料生産・供給総量の異常な不足

シリア・アラブ共和国―紛争及び穀物生産の低下
・約550万人のシリア人が食料危機に直面しており、何らかの食料支援を必要としている。それに加え、イドリブ県の50万から80万人が食料危機に直面している。
・国際的食料支援が実施されているものの、シリアからの難民が近隣諸国の受け入れコミュニティの食料不安を高めている。


広範囲な食料アクセスの欠如

朝鮮民主主義人民共和国―2018年主耕作期の局地的な生産不足と経済不振
・高温と7月から8月にかけての少雨のために2018年主耕作期における穀物生産量は公式に、平均以下であった昨年のレベルと比べても減少することが予想されている。結果として、多くの家庭で継続的に、食料消費が生存可能ラインギリギリもしくはそれ以下の状態にあると予想される。

イエメン共和国―紛争、貧困および食料価格・燃料価格の高止まり
・2018年12月から2019年1月期に、1,590万人(人口の53%に相当)が深刻な極度の食料不安に直面している(IPC評価のフェーズ3:「危機」もしくはそれ以上)。その中には63,500人がフェーズ5:「大災害」のレベルにある。


厳しい局地的食料不安

アフガニスタン・イスラム共和国ー紛争と避難民及び干ばつによる生産減少
・2018年9月時点で、980万人(農村人口の約44パーセント)がIPC評価のフェーズ3「危機的レベル」とフェーズ4「緊急事態」であると予想される。続く紛争、自然災害及び限定的な経済活動が、生存ラインギリギリの農家も含む、最も貧しい家庭の危機対応能力を弱めている。

バングラデシュ人民共和国ー難民の流入が受け入れコミュニティに負担をかけている
・国際移住機関(IOM)の最新の情報によると、2019年1月には、ミャンマーからの約92万5,000人のロヒンギャ難民がバングラデシュで暮らしており、彼らは主にコックスバザール県にいる。多くの避難民は、2017年8月末のミャンマー・ラカイン州での暴力再発を受けて、バングラデシュに逃げた。

イラク共和国ー紛争
・約260万人が国内避難民となった。
・2017年に約80万人が食料支援を必要としていた。

ミャンマーーカチン州、シャン州の一部での紛争、及びラカイン州で再発した暴力の影響
・国際移住機関(IOM)の最新の情報(2018年10月)によれば、70万人以上のロヒンギャ難民が2017年8月末のラカイン州での暴力再発に続いて、バングラデシュに避難した。さらに、続く紛争のため、24万1,000人がカチン州、カイン州、及びラカイン州へ国内避難を強いられている。これらの人々は一時的な住まいに居住し、高いレベルの食料不安に直面し、必要最低限の生活を維持するために人道支援に頼っている。

パキスタン・イスラム共和国―避難民の発生と一部地域での穀物生産不振
・シンド州サルパカール県とその周辺では、2018年は干ばつによる穀物生産不振と家畜被害により食料危機が進行し、厳しい栄養不良につながった。
・この国では、140万人に近い、登録、非登録のアフガン難民がいる。これらの人々の大半が、人道支援を必要としており、受け入れコミュニティの既に限られた資源に負担をかけている。

ラテンアメリカ・カリブ海 (2カ国)


厳しい局地的食料不安

ハイチ共和国―続く干ばつ及び高いインフレ圧力インパクト
・干ばつが穀物生産(特にトウモロコシ)に与える影響と、コメや主食を含む輸入食料の高値の結果、2019年3月から6月の間で、約260万人が食料支援を必要としていると予想される。


広範囲な食料アクセスの欠如

ベネズエラ・ボリバル共和国―厳しい経済危機
・厳しく、長引いている経済危機の中、ベネズエラからの難民と移民の数は340万人に上ると予想される。彼らは南米及びカリブ海の近隣諸国に定着している。受入国でのこれらの難民と移民に対する人道支援のニーズは大きい。
・同国において、ハイパーインフレを考慮すると、購買力は激減し、世帯の食料アクセスを厳しく制限している。それに加え、2018年の穀物生産は、主に農業投入財不足を反映して、平均よりかなり低いレベルである。

世界の穀物の需給概況

2018/19年度の穀物市場は全体的に供給は十分である
FAOによる最新の2018年世界穀物生産予想は26億900万トン(精米ベースのコメを含む)で、2月の予想から280万トン減少した。世界全体の穀物生産は、概ね米国のとうもろこし生産減予想により、前年比より減少し、現在は1.9%と下方修正されると推定されている。FAOによる2018年世界コメ生産予想は、2017年から1.6%上昇し、5億1,500万トンとなり、史上最高となった。主としてナイジェリアで記録的な生産が予想されることから上方修正され、最新の予想では2月の予想より80万トン増加となる。コロンビアや米国でも、主として単位あたり収量が高くなったと報告され、コメ生産が増加した。2018年世界穀物生産は今月下方修正され、また、2018/19年度の粗粒穀物の飼料利用が米国で減少することから世界穀物利用は26億5,200万トンへと減少する。2018/19年度の世界粗粒穀物利用は前年度の水準から2%上昇するが、一方で、世界のコメ利用は0.9%、小麦利用は0.5%上昇すると見られる。FAO予想の2019年に迎える耕作期終了時の世界の穀物在庫は2月の予想より低下し、7億6,650万トンとなる。更に、現時点での予想では、世界の穀物の期末在庫率は2017/18年度の30.5%から低下して2018/19年度は28.3%となるが、まだ比較的高いレベルである。最新の下方修正は主に小麦ととうもろこしの在庫によるもので、一方で期末における大麦とコメの在庫は前回の予想より増加すると見られる。南半球諸国とアメリカでのとうもろこし減少予想は以前より大きく2018/19年度の粗粒穀物在庫を11%押し下げると見られる。アジア諸国の一部とアルゼンチンで小麦在庫が更に下方修正されたことから、小麦の総在庫は期首から4%ほど低下すると予想される。一方で、世界コメ在庫は史上最高に達すると見られ、期首から3%増加し、インドと中国(本土)今年度の在庫を拡大させている。FAOによると、2018/19年度の世界穀物貿易は、先月4億1,300万トンをわずかに越えるた予想されたが、200万トン減と予想される。世界小麦貿易は、先月の予想より80万トン減少し、1億7,100万トンとなったが、これはアジア諸国の一部と南米諸国の輸入が以前より減ると予想されるためである。この水準では、世界小麦貿易は、2017/18年度の記録的レベルから3.3%低下する。粗粒穀物の貿易合計も縮小すると見られ、2017/18年度より0.7%低下し、2018/19年度は約1億9,500万トンとなる。最新の予想では、中国の輸入減を反映した大麦の世界貿易の下方修正が、中国とEUの輸入増加を反映したとうもろこし貿易増加予想よりも大きいため2月から110万トン落ち込む。2019年コメ世界貿易は、前年比2.1%減、20万トンとわずかな減少となり、4,700万トンに縮小する。ブラジル、アルゼンチンとウルグアイでは収穫減のため、輸出が減少すると予想され、今月はわずかな下方修正が予想される。

2019年は小麦生産が回復すると見られる

2019の穀物については、北半球の冬小麦の大部分が作付け後の休眠状態あるが、2019年の世界小麦生産のに関するFAO の最初の予想は7億5,700万トンとなっている。この水準であれば、今年の生産は2018年のレベルから4%増加するが、史上最高であった2017年には届かない。2019年の予想される前年からの増加の大部分は、ヨーロッパにおいて予想される生産増によるものである。EUでは、小麦の作付け面積は 3% 拡大すると予想され、一般的におだやかで好適な気象に恵まれ、霜害も限定的と見られ、2019年の生産は11% 上昇すると見込まれている。同様にロシア連邦では、小麦の作付けが全体として増え、好適な天候に恵まれるので、700万 トンの増加と予想され、国としての収量は7.900万トンとなる。比較的好適な生育の条件があるウクライナでは小麦生産が 8%、上昇し 2650万トンに達すると予想される。北米では、米国の冬小麦の作付けは、作付け時の過度に湿った状態のため4% ほど縮小していると推定され、春の作付けの増加にもかかわらず、2019年の小麦作付け総面積は若干低くなる見込み。しかし、収量はわずかだが回復し、平均放棄率から見れば、生産は昨年の水準に近づくと思われる。カナダでは冬小麦の作付けが減少したが、春小麦の作付けが拡大して、全体としては作付けは拡大すると見られる。収量は前年比で増加が見込まれ、生産は増加して3,300万トンになると予想される。アジアでは、インドでモンスーンによる雨の影響で作付け作業が遅れているにも関わらず、高い生産価格が見込まれるので、小麦の作付け面積は前年並みを維持すると予想される。結果として、インドの小麦生産は9,900万トンと予想され、史上最高であった2018年にわずかに及ばない。一方で、パキスタンでは水不足によって作付けが制限され、単位あたり収量も減少すると見られ、国内生産は減少して、2,450万トンになると予想される。南半球では、作付けは5月にならないと始まらないが、オーストラリアの小麦生産は昨年の干ばつによる減少から回復し、世界的な生産増の見通しが予想される。南半球での2019年粗粒穀物の収穫は今後数カ月内に始まると予想され、一方北半球では作付け作業が5月にはじまると予想される。南米では、作付け拡大と好適な気象条件により、2019年のとうもろこしの収穫はアルゼンチンで豊作と予想され、ほぼ5,000万トンになる。ブラジルでは、二期作の作付けが例年より小さかったがそれを補う、一期作での作付け拡大が予想され、全体的として増加すると予想される。このように、2019年のとうもろこし生産は9,200万トン近くに回復すると予想される。一方で、南アフリカ共和国では乾燥した気候により、単位あたり収量予想が減り、また、例年より早く作付けが終了し、作付け面積自体も縮小した。その結果、総生産は1,100万トンに減少すると予想される。降雨不足により隣国ジンバブエでも生産の見通しが低下したが、マラウイ、ザンビア、モザンビークでは、より好適な気象条件によって、平年もしくは平年を上回るとうもろこしの収穫が予想される。

 

低所得・食料不足国の食料事情

低所得・食料不足国での2019年の生産見通しはまちまち
低所得・食料不足国では、2019年の穀物収穫が3月から始まるが、気候条件の違いや紛争の影響で、生産見通しは地域ごとで大きく異なる。
南部アフリカでは、作付面積と収量見通しを縮小させた不順な降雨が、レソトとジンバブエの2019年の穀物生産を減少させるとみられている。しかし、マダガスカル、マラウイ、モザンビークでは良好な降雨が見込まれるため、平均的な収穫につながると期待されている。東部、中部、西部アフリカでは、2019年の穀物の作付が3月/4月に開始される。気象予報は、東アフリカのほとんどの地域で平均あるいは平均以上の降雨があると高い確率で予想している。他方、西アフリカでは平均に満たない降雨と予想されている。中部アフリカでは、長引く社会不安が引き続き農業生産能力を弱体化し、2019年の収穫への期待は低い。アジアを見ると、東アジアでの2019年小麦生産の見通しは一様ではない。インドでは、好天候と比較的大きな作付面積により、前年の記録的な生産量に近くなるとみられている。パキスタンでは平均以下の灌漑量と2018年10月から12月の低い降雨により、生産減少が予想されている。中東では、良好な天候にもかかわらず、シリアとイエメンで続く紛争と投入財不足が、引き続き農業分野の衰弱を招き、2019年の見通しは著しく低い。

2018年の低所得・食料不足国での生産増加は、主にアフリカでの生産の好転による
2018年の穀物が収穫され、FAOは低所得・食料不足国での穀物総生産を、西および東アフリカでの上方修正を反映して、5億230万トンと予測している。今のところ、2018年の低所得・食料不足国での穀物総生産は、2017年の平年の生産量を600万6,000トン(1.3%)上回る見込み。前年に対する大きな増加は、主に西と東アフリカでの生産増によるが、低所得・食料不足国における最大の穀物生産国であるインドでの顕著な生産増も影響している。対前年比の生産増は、南部アフリカ、アジアの独立国家共同体諸国、中東での生産縮小を補って余りある。

東アジアでの低需要により予想される輸入量が減少
FAOの2018/19年度における低所得・食料不足国の穀物輸入需要予想は、平年以上であった前年より5%少ない6,500万トンを示している。減少のほとんどは、バングラデシュとインドでの外部依存が減ったことによる。同じようにマダガスカルでも、イネ生産の回復を背景に輸入予測が下方修正された。加えて、東および西アフリカでは、2018年の国内生産の増加が、輸入需要の緩やかな減少につながっている。

⇦ 今知る世界の食料危機 No.1(2018年3月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.2(2018年6月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.3(2018年9月号)

⇦ 今知る世界の食料危機 No.4(2018年12月号)

今知る世界の食料危機 No.6(2019年7月号)⇨

今知る世界の食料危機 No.7(2019年9月号)⇨


世界の食料 国別状況 あ行

ウガンダエスワティニエチオピアエリトリア

世界の食料 国別状況 か行

カーボヴェルデカメルーンギニアコンゴ共和国コンゴ民主共和国

世界の食料 国別状況 さ行

シエラレオネジンバブエスーダンセネガルソマリア

世界の食料 国別状況 た行

チャド中央アフリカ

世界の食料 国別状況 な行

ナイジェリアニジェール

世界の食料 国別状況 は行

ブルキナファソブルンジ

世界の食料 国別状況 ま行

マダガスカルマラウイマリ南スーダンモーリタニアモザンビーク

世界の食料 国別状況 ら行

リビアリベリアレソト