今知る世界の食料危機No.18(2022年3月号)

国連食糧農業機関(FAO)は、Global Information and Early Warning System(GIEWS)というページで、世界の食料危機に関する情報を提供しています。

2017年度まで、国際農林業協働協会が発行する季刊誌「世界の農林水産」に、GIEWSの資料の一部(”Crop and Prospects”および”Food Outlook”)を紹介するページが設けられていました。

2018年度、同誌は紙面リニューアルを行い、この紹介ページはなくなりました。

そこで、2017からAJFが呼びかけて行っている「FAOの資料を読む学習会」参加メンバーが中心となって、”Crop and Prospects”の「外部からの支援を必要としている国」「世界の穀物の需給概況」「低所得・食料不足国の食料事情」の3項目の参考訳を作成し、紹介していくことになりました。

「今知る世界の食料危機 No.18」では、2022年3月に公開された”Crop and Prospects #1 Mar 2022”の該当ページを紹介します。

「FAOの資料を読む学習会」、「今知る世界の食料危機」の作成に関心を持ったら、info@ajf.gr.jpへご連絡ください。

外部からの支援を必要としている国

アフリカ (33カ国)

食料生産・供給総量の極めて深刻な不足

中央アフリカ共和国ー紛争

  • 最新の食料安全保障レベル分類(IPC)によれば、2021年9月から2022年3月までに社会不安の高まりから、IPCフェーズ3( 危機)以上の深刻な食料不足人口は210万人になると推定される。

ケニア共和国ー不十分な雨

  • 2022年2月、約310万人が深刻な食料不安に陥ると推定される。これは、2020年後半からの雨季の連続した降雨不足が主に北部と東部の牧畜、農牧および限界農耕地域の作物と家畜生産に与えた影響を反映したものである。

ニジェール共和国ー紛争、穀物生産の不足

  • 「Cadre Harmonisé」最新号の分析によれば、農業や市場の取引活動の広範な混乱をもたらした治安に関わる事案の増加により、世帯が生計を立てる機会が失われ、2021年10月ー12月期に約258万人が人道支援を必要としていると推定されている。
  • 2022年1月現在、内戦によって推定26万5,000人がディファ、タウア、ティラベリ地域で避難民となっている。さらに、ナイジェリアとマリからの25万人の難民を受け入れている。
  • 加えて、2021年の国内穀物生産は、悪天候と内戦により、平年を下回り落ち込むと予想されている。そしてこの内戦はさらに状態が悪化すると予想される。結果として2022年6月から8月の間に、364万人が深刻な食料不安に直面すると予想される。

ソマリア連邦共和国ー不十分な雨、社会不安

  • 415万人が、2022年2月から3月にかけて、IPCフェーズ3(危機)およびIPCフェーズ4(緊急)の深刻な食料不安に陥ると推定される。これは2020年後半の不順な雨が作物と家畜生産に深刻な影響を与えたことと、2021年初頭からの紛争の高まりによるものである。

広範な食料アクセスへの欠如

ブルンジ共和国ー異常気象

  • 2022年1月から3月の間に、約100万人が深刻な食料不安に陥ると推定されているが、これは主に、タンガニーカ湖の水位上昇と川の氾濫と引き続きおこなわれている帰還、COVID-19の社会経済的影響によって引き起こされた生計手段の喪失、によるものである。

チャド共和国ー社会不安、穀物生産の不足

  • 最新のCadre Harmoniseの分析によると、ラックおよびティベスティ地域では、生計活動を妨げ、人口移動を引き起こすような不安定な状況が続いており、2021年10月から12月にかけて、約96万5000人がCHフェーズ3(危機)以上になると推定されている。
    2022年1月現在、チャド湖地域の治安の悪さから、約41万人が避難している。また、中央アフリカ共和国、ナイジェリア、スーダンから56万人が紛争のために避難し、人道支援を必要としている。
    さらに、悪天候や内戦の影響により、2021年には国内の穀物生産は平均を下回る水準にまで低下すると予想される。 その結果、2022年6月から8月の間に、174万人が深刻な食料不安に直面すると予測される。

コンゴ民主共和国 ー東部の社会不安、経済低迷

・2021年11月のIPC分析によると、2022年1月から6月の間に2600万人が深刻な食料不安に直面すると推定される。これは、避難を引き起こし続けている東部州で進行中の紛争と、COVID-19パンデミックの社会経済的影響によるものである。

・さらに、同国実施されたIPC緊急栄養不足分析によると、85万7,000人の5歳以下の子どもたちの栄養不足が喫緊であり(IPCフェーズ2またはそれ以上)、2021年9月から2022年3月までに519人のうち70人が「健康ゾーン」に入ると推測された。

ジブチ共和国ー洪水、収入減少

  • 2021年1月から8月の間に約19万4,000人が深刻な食料不安に陥っていたと推定されている。これは主に洪水や地滑りによる生計の損失と、COVID-19パンデミックによる脆弱世帯の生計への社会経済的な影響によるものである。

エリトリアーマクロ経済の課題による食料不安人口の増加

チオピア連邦民主共和国ーティグライ州における紛争、南東部の不十分な雨、食料価格の高騰

  • 約1800万人が食料不安にあると公式発表されている。2021年人道支援計画中間評価によると、ティグライ州の紛争の影響を除き、約1280万人が食料支援を必要としているとされている。このうち、干ばつの影響を受けているソマリ地域では、390万人が食料不安にあるとされている。ティグライ地域では、2021年北部エチオピア対応計画の改定によると、約520万人が紛争による生計への影響で深刻な食料不安に直面している。

イジェリア連邦共和国ー北部地域での紛争、穀物生産の局地的な不足

  • 「Cadre Harmonisé」の最新の分析によると、特に北部州において新たな人口移動引きここしている紛争の悪化、食料価格の高騰、世帯購買力の低下により、2021年10月から12月にかけて約1,290万人が人道的食料援助を必要とすると推定されている。北部諸州では、2021年10月の時点で、320万人以上が国内避難民となっていると推定される。
  • 2022年6月から8月の収穫高が減る時期には、1,800万人が深刻な食料不安に直面すると予測され、そのうち62万人はCH フェーズ4に直面し、1万3550人がCH フェーズ5に直面すると予測されている。

南スーダンー経済の低迷、洪水、治安の悪化

  • 持続的な人道支援にもかかわらず、食料供給不足、経済の低迷、食料価格の高騰、2020年に発生した広範囲な洪水の影響が残ることにより、食料不安は依然として人口の大部分に影響を及ぼしている。2021年4月から7月にかけて、約720万人(全人口の約60%)が深刻な食料不足に陥ったと推定される。
  • 特に懸念されるのは、ジョングレイ州、北部バールエルガザル州、ワラップ州、近隣のピボール行政区の世帯で、人口の60~85%が深刻な食料不安に陥り、合計10万8,000人がIPC フェーズ5直面していると推定された。

ジンバブエ共和国ー食料価格の高騰、経済の悪化、天候の悪化

  • 2022年1月から3月にかけて、推定300万人が人道支援を必要とすると予測されている。これは主に、食料価格の高騰による食料へのアクセスの悪さと、景気後退の影響による所得の減少が理由である。
  • 2021/22年の平均以下の降雨量および異常気象により穀物生産量が減少し、2022年後半の食料不安が加速するとみられる。

厳しい局地的食料不安

ブルキナファソー北部での社会不安、穀物生産量の不足

  • 「Cadre Harmonisé」の最新分析によると、2021年10月から12月の間に165万人が食料不安に陥り、人道支援を必要とすると推定されている。センター・ノール地域とサヘル地域では、治安悪化で人口の移動が続いており、2021年12月現在、約160万人が避難し、支援を必要としている。また、サヘル地域には、マリを中心とした約2万5,000人の難民が居住している。
  • また、国内の穀物生産は、悪天候の影響や内戦の影響により、2021年には平均を下回る水準に落ち込むと予測されており、状況はさらに悪化することが予想されている。2022年6月から8月の収穫高が減る時期には、260万人が深刻な食料不安に直面すると予測されており、そのうち43万5,000人がCHフェーズ4に帳面するとされている。2022年1月のクーデターも治安悪化と食料不安に拍車をかける要因になっている。

カメルーンー社会不安

  •  2021年10月の「Cadre Harmonisé」の分析によると、2021年10月から12月の間に約240万人が深刻な食料不安、フェーズ3(危機)以上と推定された。これは主に、紛争、社会政治的不安、COVID 19のパンデミックによる経済的影響によるものである。
  •  深刻な食料不安のある人口の約42%は北西部と南西部におり、2022年1月31日現在、約93万7,000人が国内で国内避難民となっている。

コンゴ共和国ー難民の流入、洪水

  • 2021年12月31日現在、中央アフリカ共和国から約2万8,900人、コンゴ民主共和国から約3万5,900人の難民が国内に居住しており、その多くがリクアラ県とプラトー県に居住していtる。ホストコミュニティは食糧不足と限られた生計の機会に直面しており、難民の食糧確保は基本的に継続的な人道支援に依存している。
  • 2021年11月29日、北部地域での洪水により、特にリクアラ、サンガ、キュベット、プラトー県で作物や家畜が失われ、人々が避難したため、非常事態が宣言された。難民を含め、約7万1,700人が影響を受けたと推定される。

エスワティニー経済の低迷

  • 33万6,000人近くが、少なくとも2022年3月までは食糧不足になると評価されたが、COVID-19の流行が経済に及ぼす悪影響による、主に食料へのアクセスが制限されているためである。

ギニアー収入の減少

  • 2021年10月から12月の間に、主にCOVID-19パンデミックの影響による食料アクセスの制約で、約56万5,000人が食料援助を必要としていると推定された。2022年6月から8月にかけては、約74万人が深刻な食糧不足に直面すると予測されている。
  • また、コートジボワールとシエラレオネを中心とする約5,500人の難民が居住している。

レソト王国ー経済の低迷

  •  2022年1月から3月の間にフェーズ3(危機)レベルの食糧不安に直面する人の数は33万8,000人と推定され、これは、食糧アクセスのための世帯の経済的能力に影響を及ぼしている遅い経済回復を反映したものである。

リベリアー食料価格の高騰、経済の低迷

  • 最新の「Cadre Harmonisé」の分析によると、高い食料インフレ率とCOVID-19の大流行による経済への悪影響により、2021年6月から8月にかけて約94万人がフェーズ3(危機)以上と推定された。また、支援を必要とする約8,000人の難民を受け入れている。
  • 主食であるコメの生産量は2021年に平均を下回ると推定され、2022年の食糧不安をさらに悪化させる要因になると予想されている。

リビアー社会不安、経済的・政治的不安定、高い食料価格

  • 2022年人道的ニーズ概要によると、人口の10%にあたる80万人が人道支援を必要としており、そのうち50万人が国内避難民または国内に居住または通過する移民で食料支援を必要としている。

マダガスカルー異常気象

  •  南部地域では推定164万人が食糧難に陥っており、相次ぐ干ばつにより緊急の人道支援を必要としている。
  • 2022年初頭に発生したサイクロンと熱帯低気圧により、特に東部地域で多くの人々が影響を受けており、2022年後半には食料不安の人々が増加すると予想されている。さらに、干ばつは南部の世帯に影響を与え続けており、これらの地域では食糧不安の深刻さと蔓延が増加するとみられている。

マラウィー経済の低迷、所得の減少

  •  推定165万人が2022年1月から3月にかけてフェーズ3(危機)レベルの食糧不安に直面しており、これは穀物生産の局所的な不足とCOVID-19の流行による経済低迷の影響が残っているためである。
  • 作期開始時の雨不足と2022年1月の熱帯性暴風雨アナによる、作物と生計の損失により、2022年の後半に人道的ニーズが増加すると予想される。

マリー社会不安

  • 最新の「Cadre Harmonisé」の分析によると、紛争の激化に加え、COVID-19パンデミックと気象変動の影響で、2021年10月から12月にかけて約117万人がフェーズ3(危機)以上になると推定されている。
  • 2021年12月現在、国内避難民は約35万人で、そのほとんどが同国の中部と北部で発生している。また、ニジェール、モーリタニア、ブルキナファソを中心とした約5万3,000人の難民を受け入れている。
  • 2022年6月から8月にかけて、2021年の主食生産量の不足もあり、184万人が深刻な食糧難に直面すると予測されている。暫定軍事政権による選挙の延期を受け、同国に課された国際的な制裁は、経済活動を鈍らせ、世帯の経済力をさらに圧迫し、食料を入手できなくなる可能性がある。

モーリタニア・イスラム共和国ー農業生産不足と収入減少

  • 「Cadre Harmonisé」の最新の分析によると、穀物や家畜の生産不足、COVID-19パンデミックが経済に及ぼす悪影響による所得の減少で、2021年10月から12月の間に約34万8,000人が人道支援を必要とすると評価された。– また、マリからの難民を中心とした約7万5,000人が人道支援を必要としている。

    – さらに、2021年には天候不順により国内の穀物生産が減少し、最も脆弱な世帯の状況を悪化させる可能性がある。2022年6月から8月にかけてのリーンシーズンのピーク時には、66万人が深刻な食糧不安に直面すると予測されている。

モザンビークー局所的な食料生産の不足、北部地域の不安定さ、異常気象

  •  推定190万人が少なくとも2022年3月まで人道支援を必要としている。これは主に食料生産の不足と、人々が最も深刻なレベルの急性食料不安を経験している北部カボデルガド州における治安の影響によるもので、約2万4,000人がフェーズ4(緊急)レベルの食料不安にさらされている。
  • 2022年初めのサイクロンと熱帯性暴風雨は、特に中部州で多くの人々に影響を与え、2022年後半には食糧不安の人数が増加すると予想される。

ナミビア共和国ー主食の生産が局所的な不足、経済の低迷

 2021年に不作に見舞われた地域や、主に世帯の食料へのアクセスを制約する収入や仕事の減少などのCOVID-19パンデミックの悪影響で、2021年12月から2022年3月の間に推定75万人がフェーズ3(危機)レベルの食料不安に直面すると予測される。

セネガルー局地的な穀物生産の不足と収入減

  • 最新の「Cadre Harmonisé」分析によると、2021年10月から12月期に、約30万5,000人が人道支援を必要とすると推定され、これは悪天候が穀物生産に負の影響を与えたことによる局地的な生産の減少、およびCOVID-19パンデミックの影響を受けたもっとも脆弱な世帯の収入減によるものである。長引く食料アクセスの制限により、2022年6月から8月の間に約77万人が深刻な食料不安に陥ると予測されている。モーリタニア出身者が大半を占める推定1万4,500人の難民が人道支援を必要としている。

シェラレオネー食料価格の高騰

  • 2021年10月から12月の間、高い食料価格や購買力の低下によって世帯の経済的な食料へのアクセスが急激に制限されたことから、約110万人が深刻な食料不安であると推定された。2022年6月から8月の間に約145万人が深刻な食料不安に陥ると予測される。

スーダンー紛争、社会不安、急激に高騰する食料価格

  • 食料価格の高騰、また共同体間の紛争のために、2021年10月から2022年2月の間の深刻な食料不安人口は600万人と推定されている。

ウガンダー異常気象

  • カラモジャ州では、2021年8月から2022年1月にかけて、約18万8,000人(人口の16%)が深刻な食料不安に陥ると推定されている。これは主に、作物や家畜の生産に悪影響を及ぼす不十分な雨を特徴とする雨季が続いた結果である。
  • 南スーダンからの約96万人の難民と、コンゴ民主共和国からの約46万人の難民がキャンプで受け入れられ、人道支援に頼っている。

タンザニア連合共和国ー局地的な主食用作物の生産不足

  • 小雨期の降雨不足による減産を反映して、主に北東マラ、アリューシャ、キリマンジャロ、及びタンガ州で、2021年11月と2022年4月の間で約43万7,000人が人道的支援が必要と推定された。

ザンビア共和国ー収入減少と穀物生産の局地的な不足

  • 推定158万人が少なくとも2022年3月まで人道支援が必要になると予測されており、2020年から2021年の同時期の食料不安人口200万人より減少した。2022年の初期には2021年の農業生産量が多かったことが状況を改善した。しかし、COVID-19パンデミックの影響が世帯の食料への経済的アクセスを制限し、穀物生産量の局地的な不足があるため、改善レベルは限定的となった。

アジア

食料生産・供給総量の極めて深刻な不足

シリア・アラブ共和国ー内戦、経済危機

  • 国の食料不安アセスメントは、主に制限された生計の機会と急速に悪化する経済により、約1,240万人(全体の60%)が2020年に食料不安であると推計し、それは2019年末より540万人多い。
  • 国際的な食料支援が行われているが、シリア難民は隣国の受け入れコミュニティの資源をも圧迫している。

広範な食料アクセスへの欠如

朝鮮人民共和国ー低い食料消費レベル、貧弱な食事の多様性、経済低迷

  • 人口の大半は低いレベルの食料消費と大変貧弱な食事の多様性に直面している。
  • 長引く経済的制限はCOVID-19パンデミックの拡大を抑えるための制限措置により悪化し、重要な農業投入財と人道支援物資を含む輸入品を大幅に減少させ、人々の食料不安への脆弱性を増加させている。

レバノンー経済危機

  • 2021年9月、国連西アジア経済社会委員会は、保健、教育、公共サービスへのアクセスなど所得以外の側面を考慮すると、人口の82%が多次元貧困にあると推定され、2019年の42%から増加した。

イエメンー紛争、貧困、洪水、高い食料価格および燃料価格

  • 食料不安にあるIPCフェーズ3(危機)以上の人数は、2021年1月から6月の間に300万人近く増加し、1620万人になると予測された。
  • このうち、IPCフェーズ3(危機)の人は1,100万人、IPCフェーズ4(緊急)の人は500万人、IPCフェーズ5(大惨事)の人は4万7,000人に増加する可能性が高いと推測された。

厳しい局地的食料不安

アフガニスタン・イスラム共和国ー内戦、避難、停滞する経済

  • 最新のIPC分析によれば、2021年11月から2022年3月にかけてIPCフェーズ3(危機)とIPCフェーズ4(緊急)にいる人の数は2,280万人で、2021年(9月-10月)の1,900万人より増えた。

バングラデシュ人民共和国ー経済的制約、難民の流入

  • COVID-19の大流行の影響による収入減で、食料不安と貧困レベルが悪化した。
  • UNHCRの最新の数字(2022年1月)によると、92万1,000人のミャンマーからのロヒンギャ難民が主にコックスバザール県に滞在していた。

イラク共和国ー内戦、経済の停滞

  • 2022年「人道支援ニーズ概要」では、250万人が人道的支援を必要としており、うち96万人が緊急の人道支援ニーズにあることが確認された。約120万人のイラク人が紛争により避難している。

ミャンマーー紛争、政情不安、経済的制約

  • 2021年2月1日の軍事政権発足後の政治危機により、国中で緊張と不安が高まり、新たに避難民が発生した。UNHCRの最新統計(2022年1月)によると、軍事政権発足後、44万人がさらに避難し、現存する37万人の国内避難民(2020年12月現在)が加わった。IDPの多くはラカイン州、チン州、カチン州、カイン州、シャン州に居住している。現在の不透明な政治状況は、脆弱な世帯や国内に居住するロヒンギャ国内避難民の脆弱な状況をさらに悪化させる可能性がある。
  • COVID-19の大流行の影響による収入減は、脆弱な世帯の食料安全保障の状況に影響を与えている。

パキスタン・イスラム共和国ー人口流出、経済的制約及び主食作物の高価格

  • 同国は140万人近くの登録済アフガン難民(UNHCR、2021年6月時点)を受け入れている。ほとんどが人道的支援を必要としており、受け入れ先コミュニティの限られた資源に負担をかけている。アフガニスタンにおけるタリバン政権発足後、この数字はさらに12万人増加したとされた。
  • 国の主食作物である小麦の価格は、2022年1月にはほとんどの市場で記録的なレベルに達し、食料へのアクセスを制限している。
  • IPCの最新の分析によると、約466万人、人口の25%が、バロチスタン、シン、カイバー、パシュトゥンクワ州と分析される25県で、少なくとも2022年4月まで、IPCフェーズ3(危機)及びそれ以上の、極度の食料不安の高いレベルに直面していると推定されている。

ラテンアメリカ及びカリブ海地域(2ケ国)

 広範な食料アクセスへの欠如

ベネズエラ・ボリバル共和国ー深刻な経済危機

  • 同国からの難民・移民の総数は604万人と推定され、最も多くの人々がコロンビア(184万人)、ペルー(129万人)、エクアドル(50 万9,000人)、チリ(44万8,000人)にいる。難民と移民の人道支援ニーズは大きい。「ベネズエラからの難民・移民のための地域内関連機関調整プラットフォーム(R4V)」によると、食料支援を必要としているベネズエラ人の難民及び移民(国外の目的地にいる)の人数は、2022年に350万人と推定されている。

厳しい局地的食料不安

ハイチ共和国ー農業生産量の減少、社会的及び政治的混乱、自然災害による悪化

  • 2022年3月から6月の間、約456万人が深刻な食料不安に直面し、緊急の食料支援を必要としていると推定された。2018年から2021年の穀物生産量の減少と社会政治的混乱が状況を悪化させている食料価格の高騰により、食料不安の度合いは高い。8月に同国をおそった2つの自然災害(マグニチュード7.2の地震とハリケーン)は生産的資産とインフラを破壊し、備蓄食料の喪失を引き起こして状況を悪化させている。所得向上機会の欠如と悪化する社会不安、困難なマクロ経済状況は食料不安を悪化させるだろう。

世界の穀物需給概況

2021/22年の世界の穀物在庫は増加の見込み

FAOは、2021年の世界の穀物生産量について、2月に発表した予測値から220万トン引き上げ、2,796万トンとし、前年比で0.7%増とした。

この上方修正は、世界のトウモロコシとコメの生産量予測が増加したことに起因する。一方、ソルガムの世界生産量予測が引き下げられ、月次総量の上昇を緩やかにしている。これらの変更を加味した結果、世界の粗粒穀物生産量予測は15億100万トンとなり、前年同期比1.2%増となった。この増加の大部分は、欧州連合とインドにおけるトウモロコシ生産の増加によるもので、スーダンの粗粒穀物生産の減少を補って余りあるものである。

世界のコムギ生産の予測は、オーストラリアの生産量増加を反映し、記録的なレベルを確実なものとしている。一方、欧州連合、イラク、パラグアイの推定値がわずかに引き下げられたことで相殺され、月単位で7億7,540万トンに据え置かれた。220万トンの上方修正を受け、2021年の世界コメ生産量は5億1,930万トンに達すると予想され、2020年から0.7%増加し、新記録に達することになる。2月の予想と比較すると、この増加は主にインドの生産見通しがより好調であることを反映しており、公式にも今シーズンの主要作物の収穫量が記録的であることが示されている。この修正とマダガスカルの生産量予測の上方修正により、タンザニア連合共和国の下方修正は目立たなくなっている

2021/22年の世界の穀物利用率の予測は28億200万トンに引き下げられ、2月の報告よりも350万トン減少し、2020/21年のレベルを1.5%(4,100万トン)上回った。今月の下方修正の大部分は、世界のコムギの利用量が300万トン減少したことによるもので、主にインドでの使用量が予想より少なく、輸出の増加が見込まれるためである。それでも、主に食料消費の増加が見込まれるため、コムギの利用量は前年比1.5%増の7億7,280万トンになると予想されている。同様に、2021/22年の世界の粗粒穀物利用量は、前回予測からわずかに縮小した。飼料用穀物の使用量がやや減少したことを反映し、15億900万トンに縮小したが、それでも2020/21年比で1.4%増加すると見られている。FAOの2021/22年の世界のコメの利用予測は2月以来わずかな変更しかなく、引き続き前年比1.7%増の5億2,000万トンとなり、過去最高となることが示された。

2022年末の世界の穀物在庫は、前月比1,160万トンの上方修正を受け、当初から僅かに(0.5%)増加し、8億3,600万トンに達する見込みである。最新の予測によれば、世界の2021/22年の穀物使用量に対する在庫比率は29.1%となり、2020/21年の29.7%からわずかに減少して8年ぶりの低水準となるものの、全体として十分な供給レベルを示している。欧州連合のコムギ在庫が増加しているのは、過去の生産量の上方修正と予想輸出量の減少によるものであり、今月、世界のコムギ在庫が360万トン上方修正された要因になっている。今月の世界のコムギ在庫は2億9,100万トンとなり、期首比1%増となる見通しである。インドと欧州連合におけるトウモロコシの生産量増加で、世界のトウモロコシ在庫も増加し、粗粒穀物在庫も470万トン上方修正された。インドが保有する予想備蓄量が上方修正されたことにより、2021/22年販売シーズン終了時点におけるFAOの世界コメ在庫予測は、2月の予測から320万トン上回り、1億9,090万トンとなった。

FAOの2021/22年の世界穀物貿易の予測は、前回予測より270万トン増加し、2020/21年のレベルを0.9%(450万トン)上回り、前月比4億8,400万トンに引き上げられた。この予測は、ウクライナ紛争がウクライナとロシアからの輸出に与える潜在的な影響をまだ想定していない。2021/22年シーズンの残り(3月1日~6月30日)については、ウクライナはコムギを約600万トン、トウモロコシを1,600万トン、ロシア連邦はコムギを約800万トン、トウモロコシを250万トン輸出すると予測されている。

FAOはこの動向を注視しており、2021/22年の世界の穀物貿易への影響を評価していく予定である。2021/22年(7月/6月)の世界コムギ貿易は、現在、2020/21年のレベルを2.5%(480万トン)上回り、記録的な1億9,400万トンと予測されている。これは、カザフスタンとサウジアラビアの需要が前回予想を上回り、110万トン増加したことを反映している。輸出面では、記録的な豊作がインドとオーストラリアによる前回予想を上回る販売を支えていると見られる。2021/22年(7月/6月)の粗粒穀物貿易予測も前回レポートから140万トン引き上げられたが、依然として2020/21年の水準から0.9%(210万トン)縮小し2億3,700万トンになると予測される。この縮小は主に、世界のトウモロコシ貿易が1.7%減少することによるものである。十分な輸出量と、特にアフリカと中東のバイヤーを中心とした需要増により、3年連続で年間5,340万トンの拡大を維持すると予測される。

2022年産穀物の早期見通し

FAOが発表した予備予測では、世界のコムギ生産量は4年連続で増加し、7億9,000万トンになる。

この増加の大部分は北米に由来すると予想される。カナダとアメリカ合衆国の両地域では、価格主導の面積拡大と収量の回復が見込まれるため、生産量は前年同期比で増加し、2022年の生産高は、過去5年間の平均を上回る見込みである。欧州での結果は一様とはならないことが予想されている。

ロシア連邦では、早期の乾燥から天候が改善し、収量が増加する見込みで、2022年の生産量は、暫定的に8,200万トンとなる見込みである。ウクライナはコムギ作付面積の縮小により生産量は減少することが予想されるものの、過去5年平均を若干上回ると予想される。これらの予測では紛争の影響を考慮していない。欧州連合では、作付けは前年比ほぼ横ばいと予測され、コムギの生産量は暫定的に1億3,300万トンに減少する見込みである。これは、2021年に記録した高水準に続く収量の減少が予想されるためである。

英国および北アイルランド連合王国のコムギ生産量は、播種面積を若干拡大した効果が収量の減少により相殺される見込みで、前年並み約 1,400 万トンにとどまる見込みである。アジアでは、インドとパキスタンで小幅な増産が見込まれている。これは、政府の支援政策が継続されていることと、報酬価格が高い水準にあり播種が維持されていることが下支えとなっている。中国(本土)のコムギの作柄も良好で、2022年の生産量は5年平均を上回ると予想される。中東諸国では、初期の降雨不足に続いて、2021年末から2022年初めにかけての広範囲かつ平均を上回る降雨により作物の見通しが改善し、2022年の生産量は平均レベルに近いと予測される。カザフスタンでは、これまでの降雨が概ね良好であったため、生産見通しが改善され、コムギの生産量は平年をやや上回ると見られている。北アフリカでは、モロッコ、アルジェリア西部、チュニジア中部で広範な旱魃が作物に影響を与え、2022年のコムギ生産量全体の見通しを悪化させている。

粗粒穀物の生産については、南半球の国々では今後数ヶ月で2022年産穀物の収穫が始まるが、赤道より北の国々ではまだ作付けが始まっていない。南米では、アルゼンチンとブラジルの2022年のトウモロコシ生産量が平均を大きく上回り、特にブラジルでは過去最高の1億1200万トンに達すると予測されている。この見通しは、国内穀物価格の上昇と旺盛な輸出需要に農家が積極的に反応し、播種量が過去最高となったことが主な要因となっている。南部アフリカでは、南アフリカの生産見通しが同様に良好で、作付けが若干減少するものの、良好な気象条件により2022年のトウモロコシの生産量は平均を上回ると予測されている。

低所得・食料不足国の食料事情

悪天候のため、低所得・食料不足国の2022年穀物の初期生産量の減少が予想されており、2022年穀物の収穫は南部アフリカとアジアで4月から始まり、播種は東アフリカ、中央アフリカ、西アフリカで同じような時期に始まる見込みである。

南部アフリカのマダガスカル、マラウイ、モザンビーク、ジンバブエでは穀物生産の見通しは芳しくない。これは、雨季の開始が遅く、雨季の2021年10月から12月の最初の3ヶ月は平均以下の降雨量であったことが影響している。その後、1月と2月にサイクロンと熱帯性暴風雨の被害を受け、2022年の穀物生産量は平均かそれ以下と予想される。東アフリカでは、2022年の穀物の大半は3月から4月にかけて作付けされる予定である。現在の気象予測によれば、次の雨季(3月〜5月)の収穫はまちまちで、不確実性が高い。平均以下の降雨量予測が現実のものとなれば、前例のない4年連続の降雨不足の雨期が食料供給とアクセスの面で悲惨な結果をもたらすだろう。さらに、南スーダンやエチオピアのティグライ州などの紛争影響地域では、引き続き農作業の中断が予想され、生産見通しをさらに悪化させている。西アフリカでは、2022年の穀物の播種も3月から4月にかけて開始される予定である。同様に、2021年はニジェールやブルキナファソなどの紛争の影響を受けているいくつかの国では引き続き生産資材へのアクセスが妨げられ、収量が減少すると予測される。中東のシリアとアフガニスタンではシーズン始めの不規則で例年以下の降雨により、2022年の小麦の生産予測が悪化している。残りの期間の作物生育状況が改善するには順調な降雨が必要である。CIS(独立国家共同体)アジア諸国では、春先の降雨量の少なさが続くという予報に加え、不順な天候であるため、6月に収穫される2022年の冬小麦の生産量が減少する見込みとなった。

2021年のLIFDCsの穀物総生産量に関するFAOの最新予測における総生産量は平均を上回り、1億8600万トンで、平均より約210万トン高い。平均を上回る増加の大部分は、バングラデシュと南部アフリカ諸国での大豊作によるもので、ガーナとセネガルでの生産量の増加も全体の総生産を押し上げる要因となった。対照的に、スーダン、ニジェール、シリア、アフガニスタンでは、天候不順や紛争が農作業に与えた影響により、穀物生産量が著しく低下した。

2021/22年の輸入需要の増加

2021/22穀物年度のLIFDCの輸入総需要は、過去5年間の平均を15%上回る6,660万トンと推定される。平均を上回る総輸入需要の大部分は、2021年の生産不足を反映した東アフリカと西アフリカの国々の高い輸入需要が占める。バングラデシュでは、食料消費の高まりにより小麦の輸入量が増加しており、全体として平均を上回る輸入需要の要因となっている。南部アフリカ諸国では、2021年の豊作で輸入需要が減少し、特にジンバブエで顕著であった。