今知る世界の食料危機 No.4(2018年12月号)

国連食糧農業機関(FAO)は、Global Information and Early Warning System(GIEWS)というページで、世界の食料危機に関する情報を提供しています。

2017年度まで、国際農林業協働協会が発行する季刊誌「世界の農林水産」に、GIEWSの資料の一部(”Crop and Prospects”および”Food Outlook”)を紹介するページが設けられていました。

2018年度、同誌は紙面リニューアルを行い、この紹介ページはなくなりました。
そこで、昨年度からAJFが呼びかけて行っている「FAOの資料を読む学習会」参加メンバーが中心となって、”Crop and Prospects”の「外部からの支援を必要としている国」「世界の穀物の需給概況」「低所得・食料不足国の食料事情」の3項目の参考訳を作成し、紹介していくことになりました。

「今知る世界の食料危機 No.4」では、昨年12月に公開された”Crop and Prospects #4 DEC 2018″の該当ページを紹介します。

「FAOの資料を読む学習会」、「今知る世界の食料危機」の作成に関心を持ったら、food@ajf.gr.jpへ連絡ください。

外部からの支援を必要としている国

アフリカ (31カ国)


食料生産・供給総量の異常な不足

中央アフリカ共和国-紛争、避難、食料供給の制約
・2018年10月の国内避難民は64万3,000人と推定され、2018年7月から5%増加した。広範な社会不安が続き、数年にわたって食料生産が低迷し、市場が機能不全に陥っており、特に避難民・受け入れ家族・帰還民にとって市場利用が困難なため、人口の31%に当たる約190万人が食料支援を必要としている。
・暴力的な衝突と共同体間の緊張が続き、避難をさらに大規模で広範なものにし、これが食料保障に悪影響を与えている。


広範囲な食料アクセスの欠如

ブルンジ共和国-社会不安、経済の悪化、一部地域での作物生産不足
・市場、農作業、暮らしの混乱が、限られた人道支援や食料輸入能力の低下と相まって、引き続き食料保障に影響を与えている。食料不安が最も深刻な地域は西部のルイギ州。
・約167万人が厳しい食料不足に直面していると推定されている。

チャド共和国-社会不安、国内避難民、地域的な厳しい乾燥
・「Cadre Harmonisé」によれば、約18万9,000人が10月から12月期に食料不安に直面したと推定された。
・約45万人の難民に加え、北東部での軍事衝突によって、44万9,195人近くが国内避難民となっている。

コンゴ民主共和国-紛争と東部および南部地域での避難民発生、そして難民の流入が受け入れコミュニティの負担になっている
・中央アフリカ共和国の難民17万6,000人、南スーダン難民9万4,000人、ブルンジ難民4万7,000人がいる。国内避難民は全部で450万人と推定されている。
・エボラウイルス病(EVD)の発生が報告されており、8月26日時点で111件が確認され、5月以降、発生件数が倍増した。

ジブチ共和国-連続する雨季の降雨不足による牧畜民の暮らしへの影響
・降雨不足の雨季が続いた影響で、主にオボック市北部と南東部国境地域の牧畜地域に集中して約19万7,000人が厳しい食料不足に直面している。

エリトリア-経済的制約による食料不安人口の増加

エチオピア共和国-干ばつが地域の生計システムへ及ぼす影響
・2016年半ばから2017年後半まで続いた干ばつの影響を受けた主に南東部の農牧畜地域で、795万人が食料不足に陥ったと推定された。
・共同体間紛争の結果、ソマリ州、オロミア州、南部諸民族州、ベニシャングル・グムズ州で2018年までに約144万人が国内避難民となった。

マラウイ共和国-2018年、穀物不作
・2018年10月から2019年3月にかけて食料不安に直面すると見られる人々の数は330万人となり、2017/18年度の同時期から倍増する。
・食料不安人口の急増は、主として2018年の食料生産が不作となり穀物生産が減少した結果である。

ニジェール共和国-紛争と不作
・「Cadre Harmonisé」最新号の分析によれば、10月から12月期におおよそ60万人が緊急支援を必要とすると推測された。
・近隣諸国の紛争により、ナイジェリア難民11万9,000人、マリ難民5万7,000人を含む17万6,000人以上が難民として流入しているのに加え、10万4,288人以上が国内避難民となっている。

ナイジェリア連邦共和国-北部地域での終わらない紛争
・「Cadre Harmonisé」の分析によれば、10月から12月期に約240万人が支援を必要とすると推測された。
・現在進行中の社会不安は脆弱世帯の食料アクセスを制限し、市場機能と生計活動に引き続き影響を及ぼしている。人道支援にアクセスできない地域は、最悪の食料保障環境に直面している。

南スーダン共和国-紛争、内戦、深刻な経済低迷
・継続的な人道支援にも関わらず、食料危機はまだ人口の大半に影響を与えている。10月から12月に厳しい食料危機に直面する人々の数は440万人に上ると予想される。著しく高いこの数字は、継続的な社会不安、経済的制約、貿易の不振と食料価格の高止まりの結果である。

ジンバブエ共和国-食料アクセスの制約
・2018年では240万人の人々が食料不安に直面していると推定される。これは主に、低所得や流動性の問題によって、穀物生産の減少と食料アクセスの制約が引き起こされたからである。


厳しい局地的食料不安

ブルキナファソ–穀物供給ひっ迫と食料価格高騰
・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、6月から8月期に食料支援を必要とする人々の数は95万人と予想された。主に地域的な食料生産の不足による。
・2万5,000人の難民、多くはマリからの難民が国内に暮らすと推定される。

カーボヴェルデ共和国-2018年農牧収穫期の不作
・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、約1万500人(全人口の約2%)がフェーズ3「危機」もしくはそれ以上の厳しい状況にあったと推定された。

カメルーン共和国-難民の流入によるコミュ二ティへの負担と国内避難民の発生
・中央アフリカ共和国からの難民の数は2018年10月に26万8,000人と推定された。ナイジェリアとの国境地域の治安の悪化により、22万8,000人の国内避難民が発生した。
・2016年10月から続く国内闘争によって北西州と南西州の約45万人が国内避難民となった。

コンゴ共和国ー難民の流入が、国内コミュニティのすでに制限されている資源を圧迫している
・中央アフリカ共和国からの3万2,000人の難民が国内で生活していると推定される。

エスワティニ王国(旧:スワジランド王国)ー局地的な生産不足
・2019年3月までに、24万7,000人が人道支援を必要とすると推定され、多くはルボンボとシセルウェニでの生産不足による。

ギニア共和国ー局地的な生産不足
・約9万人が食料支援を必要としていると推定される。

ケニア共和国ー連続した雨季の降雨不足による食料生産と家畜への影響
・2016年半ばから2017年末までの干ばつの影響が長引き、主として北部、東部地域で約70万人が厳しい食料不安に直面している。

レソト王国ー穀物生産の減少
・2019年2月までに約25万7,000人が食料不安に影響されると推定される。
・2018年の穀物生産減少のために、今年の食料不安人口の推定は2017年よりもわずかに高い。

リベリア共和国-局地的な生産不足および難民の流入
•約1万7,000 人が食料支援を必要としていると推定される。

リビア-社会不安

・食料支援を必要としている人々の数は、40万人と推定され、そのもっとも食料危機にさらされやすい人々の中に、難民、難民申請者、国内避難民がいる。
・食料不足は主に南部と東部で報じられている。影響を受けた人々の中で補助金の支援がある食料へのアクセスが限られている。

マダガスカル-乾燥気候とサイクロンの影響

・南部地方では、雨季の降雨不足により2018年の穀物生産量が平均を下回るため、食料不安にさらされる人々が130万人に増加した。同時に、年の初めから続く記録的な高値も食料へのアクセスに負の影響を与えた。
・国レベルでは、中央および北部地方の収穫増を反映して、2018年における稲作の生産量は増加が予想され、食料供給が改善されている。

マリ共和国-中央および北部での絶え間ない危機
・この国は約2万5,000人の難民、7万7,000人の国内避難民、6万9,000人の帰還民がいて、主に人道支援に依存している。
・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、国内紛争が続くため、10月から12月期に、約18万5,000人が食料支援を必要とすると推定された。

モーリタニア・イスラム共和国-穀物生産量の減少
・2018年12月の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、10月から12月期に、約22万7,000人が食料支援を必要とした。
・主としてマリからの難民約5万9,000人が国内に居住している。

モザンビーク-荒天の影響と局地的な生産不足
・降雨不足と害虫の発生により、南部と中部のいくつかの州では生産不足である。結果として、180万人が食料不安に直面する。
・国レベルでは、2018年の穀物生産量の増加が予想される。

セネガル共和国−局地的な降雨不足
・最新の「Cadre Harmonisé」の分析によれば、約9万5,000人が10月から12月期に、食料支援を必要とされている。
・主としてモーリタニアからの難民、推定1万5,000人が国内に居住している。

シエラレオネ共和国-食料アクセスの困難

・約10万7,000人が深刻な食料危機に直面していると推定される。

ソマリア連邦共和国-紛争、社会不安、広範囲にわたる干ばつの影響
・2016年半ばから2017年末まで続いた干ばつの影響が続き、主に国内避難民と農牧民コミュニティの約156万人が緊急支援を必要としていると推定される。

スーダン共和国-紛争、社会不安と高騰する食料価格

・5月から7月の期間、主に国内避難民と紛争影響地域にある共同体で暮らす人々、620万人は厳しい食料不安に直面すると推定された。2017年を通して、高騰する食料価格と穀物生産減の影響で余裕を失った家計は懸念の対象である。

ウガンダ共和国―局地的な生産不足及び難民の流入
・北東部に位置するカラモジャ地方では、2018年の穀物生産は平均をかなり下回ることが予想され、2018年後半まで各家庭での備蓄は底をつくことが予想される。よって次の端境期の始まりが早まる見込み。
・南スーダンからの約78万5,000人の難民と、コンゴ民主共和国からの約28万4,000人の難民が人道支援に頼っている。

アジア (8カ国)


食料生産・供給総量の異常な不足

シリア・アラブ共和国―紛争及び穀物生産の低下
・約550万人が食料危機に直面しており、何らかの食料支援を必要としている。それに加え、イドリブ県(北西部)の50万から80万人が食料危機に直面している。
・紛争による制限や天候不順により、2018年の穀物生産は1989年以来最も低い。
・国際的食料支援が実施されているものの、シリアからの難民が近隣諸国の受け入れコミュニティの食料不安を高めている。


広範囲な食料アクセスの欠如

朝鮮民主主義人民共和国―2018年主耕作期の局地的な生産不足と経済不振
・2018年主耕作期における穀物生産量の減少を受けて、多くの家庭で継続的に、食料消費が生存可能ラインギリギリもしくはそれ以下の状態にあると予想される。

イエメン共和国―紛争、貧困および食料価格・燃料価格の高止まり
・2017年推定値から5%増加した、約1,780万人が食料危機にあり、緊急の人道支援を必要としている。


厳しい局地的食料不安

アフガニスタン・イスラム共和国ー継続的な紛争と避難民の発生及び干ばつによる生産減少
・2018年9月時点で、980万人(農村人口の約44%)がIPC評価のフェーズ3「危機的レベル」とフェーズ4「緊急事態」であると予想される。続く紛争、自然災害及び限定的な経済活動が、生存ラインギリギリの農家も含む、最も貧しい家庭の危機対応能力を弱めている。

バングラデシュ人民共和国ー難民の流入が受け入れコミュニティに負担をかけている
・国際移住機関(IOM)の最新の情報によると、2019年1月には、ミャンマーからの約92万3,000人のロヒンギャ難民がバングラデシュで暮らしており、彼らは主にコックスバザール県にいる。多くの避難民は、2017年8月末のミャンマー・ラカイン州での暴力再発を受けて、バングラデシュに逃げた。

イラク共和国ー紛争
・約260万人が国内避難民となった。
・2017年に約80万人が食料支援を必要としていた。

ミャンマー連邦共和国ーカチン州、シャン州の一部での紛争、及びラカイン州で再発した暴力の影響
・国際移住機関(IOM)の最新の情報(2018年10月)によれば、70万人以上のロヒンギャ難民が2017年8月末のラカイン州での暴力再発に続いて、バングラデシュに避難した。さらに、続く紛争のため、カチン州、カイン州、及びラカイン州の24万1,000人が国内避難を強いられている。これらの人々は一時的な住まいに居住し、高いレベルの食料不安に直面し、必要最低限の生活をするために人道支援に頼っている。

パキスタン・イスラム共和国―避難民の発生と一部地域での穀物生産不振
・シンド州サルパカール県とその周辺では、2018年は干ばつによる穀物生産不振と家畜被害により食料危機が進行し、厳しい栄養不良につながった。
・この国では、140万人に近い、登録、非登録のアフガン難民がいる。これらの人々の大半が、人道支援を必要としており、受け入れコミュニティの既に限られた資源に負担をかけている。

ラテンアメリカ・カリブ海 (1カ国)


厳しい局地的食料不安

ハイチ共和国―続く干ばつのインパクト
・干ばつが穀物生産(特にトウモロコシ)に与える影響と、弱い現地通貨と、輸入食料の高値の結果、2018年10月から2019年2月の間で、約77万4,000人が食料支援を必要としていると予想される。

世界の穀物の需給概況

2018年の世界穀物生産は2017年の記録的生産高より低いと予想される

FAOによる最新の2018年世界穀物生産予想は25億9,500万トンで、11月の予想からわずかに減少し、昨年の記録的な生産高より2.4%(6,250万トン)低下した。

FAOによる2018年世界コメ生産予想は、11月の予想から変わらず、世界の生産高は昨年比から1.3%増の、5億1,300万トンを記録した。国レベルでは、マダガスカルで降雨不順と暴風雨の影響があり、圃場評価が示す通り以前予想されたよりも生産回復が困難で生産の縮小が予想される。一方で、いくつかのラテンアメリカとカリブ海諸国の生産国、特にペルーでは以前の予想より単位あたり収量が良く、全体として予想が改善されている。

世界の小麦生産予想は、7億2,510万トンで、11月の数字より、280万トン減少した。これは、トルコと、ロシア連邦での今年の収穫予想の減少を反映している。粗粒穀物の世界生産予想は、大麦とソルガムの下方修正の結果、310万トン減の、13億 5,700万トンとなった。しかし、世界のトウモロコシ生産予想は依然変わらない。ウクライナでは予想を上回る収量により上方修正となったが、米国での低収量予想により、大部分は相殺されている。

これから、2019年冬小麦の作付けが北半球で進行する。米国ではより高い生産価格が植え付けの拡大につながるが、播種時期の水分過多により、植え付けの進行は遅くなる可能性がある。EUでの一部の国では乾燥した気候が影響を及ぼしているが、冬小麦の植え付けは拡大が予想されている。
概して好適な天候に恵まれたロシア連邦とウクライナでは植え付け拡大が予想されている。同様にアジアでは好適な天候が中国(本土)とインドで良好な生育につながっている。しかし、パキスタンでは水利用の減少により、作物の初期の生育見通しに影響が出た。

南半球では2019年夏季の穀物の播種が現在行われている。アルゼンチンとブラジルでは好天と価格高騰によりトウモロコシの生産見通しが押し上げられ、2017年の減少から生産量が回復すると予想される。南アフリカでは、トウモロコシの作付け面積が拡大すると予想され、初期の気象条件は大部分が良好であったが、エルニーニョに関連した異常な乾燥状態が国と南部アフリカ地域での見通しを減少させた。

2018/19年度の穀物利用は食料利用と飼料利用の需要の伸びにより拡大

2018/19年度の 世界穀物利用は26億4,900万トンとなり、11月の予想をわずかに下回ったが、2017/18年度からは1.3%上昇した。特に中国(本土)と米国で飼料利用と工業利用へにおけるとうもろこし需要の急増(3.3%)により
11億800万トンに達し、粗粒穀物の全利用は新たな記録である14億100万トンに届くと予想される。一方で2018/19年度の小麦利用は11月から変わらず、わずかな増加のみとなり7億4,000万トンである。小麦の食料利用は人口成長と進度を合わせ、5億1,000万トンに到達し、小麦の飼料利用は生産減と価格高騰の条件のもと、1億4,100万トンで停滞すると予想される。FAOによる2018/19年度の世界コメ利用予想は5億900万トンで、11月からわずかに減少しているが人口増に伴う食料利用の増加があり、食料利用量は全体として年間1%の上昇となっている。

2018/19年度の穀物貿易はわずかに減少する予想


穀物の国際貿易は2018/19年度にはわずかな減少に向かっているように見え、前回の記録的レベルより0.9%減少し、4億1,660万トンとなった。 世界の小麦貿易は1億7,050万トンで、2017/18年度より2.1%減り、11月の予想をわずかに下回った。2018/19年度、アルジェリア、モロッコそしてインドでは今年の国内の生産増により小麦の輸入は減少すると予想される。輸出国によると、世界の最も大きな小麦輸出国であるロシアからの小麦の輸出は今年の国内生産の急減を受けて、2017/18年度から15%低下し3,450万トンと予想される。ロシアからの輸出減少は米国での2017/18年度から28%増の2,950万トンの輸出によってほぼ補填されると予想される。アルゼンチンやカナダでも輸出増が予想され、オーストラリアやEU、ウクライナなどの輸出減を相殺すると予想される。
2018/19年度の粗粒穀物の世界貿易は150万トン増加し、約1億9,700万トンとなり2017/18年度の予想をわずかに上回り新記録となった。EUおよび、中国(本土)、メキシコ、カナダでもトウモロコシ輸入は上方修正があり、貿易量の増加の多く占めている。2018/19年度の世界のトウモロコシ貿易は1億5,720万トンで2017/18年度より1.4%上昇した。これはEUでの強い輸入需要が予想されたためである。
一方で中国(本土)での輸入減が予想されることが主たる要因となって2018/19年度のソルガム貿易は2017/18年度から21%減と大きく落ち込み、かろうじて超え留まり600万トンとなる。アフリカやアジアの一部の国々では輸入量が減ることから大麦の貿易はわずかに減少し3,000万トンをわずかに下回ると予想される。
輸出を見れば、ウクライナでトウモロコシが記録的豊作となったため輸出が増加した。また、アルゼンチンや米国などの輸出増はブラジルでのトウモロコシ、ロシア連邦でのトウモロコシと大麦の急激な輸出減を予想し、補って余りある。

2019年(暦年)国際コメ貿易は、昨年比で1.4%減少し4,700万トンとなり11月の予想から変わらない。輸出国の中では輸出量はタイで大きく減少し、パキスタンやブラジルが続く。一方で中国(本土)やインド、米国、ベトナムでは輸出が増加すると予想される。

主な輸出国における小麦とトウモロコシの広範囲な作付け減少は、穀物在庫を急激に落ち込ませる

2019年に期末を迎える世界の穀物在庫は7億6,200万トンで11月から変わらず、史上最高であった期首からの5,300万トン(6.5%)が減少した。主な穀物の中では、昨年比で最も大きな減少がみられたのはトウモロコシで、中国(本土)に続き米国、アルゼンチン、ブラジルで大きな減少したことから14%(4,400万トン)減少し、1億5,700万トンとなった。小麦は2018/19年度の期首の記録から少なくとも12%(440万トン)減少すると予想され、これらの多くは主な輸出国に減少が集中する。世界のコメ在庫は歴史的高水準の1億770万トンで、期首より2.7%上昇し、2019/20年度に予想される、利用の34.3%は十分足りる量と予想される。更に、現時点での予想では、世界的な穀物の期末在庫率は28.1%で、17年ぶりの最高値であった前年度に記録された30.8%から2013/14年度以降の最小値となった。

低所得・食料不足国の食料事情

天候不順が2018年における低所得・食料不足国の穀物総生産量を減少させる

低所得・食料不足国の穀物生産量は4億9,420万トンと予測されている。このレベルの平均生産量は例年よりわずかに低いが、直近の5年間の平均を上回っている。

2018年の前年に比べての減少は、アジアの低所得・食料不足国、とりわけパキスタン、ウズベキスタン、シリア、アフガニスタン(減少の小さな順)での減少を反映している。この減少は、主に干ばつによる低収量が平均以下穀物生産量を招いた結果だが、パキスタンだけは例年に近い生産量が推定された。さらに、シリア国内の紛争の厳しい負の影響が、最近の治安の回復による農地へのアクセスの改善にも関わらず、1989年以降最悪の穀物生産量の減少をもたらした。南部アフリカでも昨季の重要な時期での降雨不足のため、顕著な生産量の減少が記録され、マラウイとジンバブエでは最大の前年比減少が予測されている。

全体の大きな減少を回避して、バングラデシュとインドでは、主に市場価格に誘導された作付け拡大による穀物生産の好転が予測された。加えて、東アフリカ諸国での主作期の好天候により、ほとんどの国で平均以上の収穫が予測されている。マダガスカルは他の南部アフリカ諸国と対照的に、洪水により大幅な増収には至らなかったものの、2018年の収穫は増加したと推定された。

アジア東部での需要が伸びなかったため、輸入需要は減少するとの見通し

FAO予測では、2018年2019年市場年度の低所得・食料不足国の穀物輸入需要は前年比4%減の6,500万トンの水準となっている。減少の主な理由はバングラデシュとインドの輸入需要の減少によるもの。同様に、マダガスカルの輸入予測も、コメ生産が回復したことにより引き下げられた。東アフリカでは、国内での豊作への期待から、トウモロコシの輸入は減ると予想されている。

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世界の食料 国別状況 あ行

ウガンダエスワティニエチオピアエリトリア

世界の食料 国別状況 か行

カーボヴェルデカメルーンギニアケニアコンゴ共和国コンゴ民主共和国)

世界の食料 国別状況 さ行

ザンビアシエラレオネジブチジンバブエスーダンセネガルソマリア)

世界の食料 国別状況 た行

タンザニアチャド中央アフリカ)

世界の食料 国別状況 な行

ナイジェリアナミビアニジェール)

世界の食料 国別状況 は行

ブルキナファソブルンジ)

世界の食料 国別状況 ま行

マダガスカルマラウイマリ南スーダンモーリタニアモザンビーク)

世界の食料 国別状況 ら行

リビアリベリアレソト)