国連食糧農業機関(FAO)は、Global Information and Early Warning System(GIEWS)というページで、世界の食料危機に関する情報を提供しています。
2017年度まで、国際農林業協働協会が発行する季刊誌「世界の農林水産」に、GIEWSの資料の一部(”Crop and Prospects”および”Food Outlook”)を紹介するページが設けられていました。
2018年度、同誌は紙面リニューアルを行い、この紹介ページはなくなりました。
そこで、2017からAJFが呼びかけて行っている「FAOの資料を読む学習会」参加メンバーが中心となって、”Crop and Prospects”の「外部からの支援を必要としている国」「世界の穀物の需給概況」「低所得・食料不足国の食料事情」の3項目の参考訳を作成し、紹介していくことになりました。
「今知る世界の食料危機 No.16」では、2021年12月に公開された”Crop and Prospects #4 Dec 2021”の該当ページを紹介します。
「FAOの資料を読む学習会」、「今知る世界の食料危機」の作成に関心を持ったら、info@ajf.gr.jpへご連絡ください。
外部からの支援を必要としている国
アフリカ (33カ国)
食料生産・供給総量の極めて深刻な不足
中央アフリカ共和国ー紛争
- 最新の食料安全保障レベル分類(IPC)によれば、2021年9月から2022年3月までに社会不安の高まりから、IPCフェーズ3( 危機)以上の深刻な食料不足人口は210万人になると推定される。10月の大統領の停戦宣言によって、紛争が縮小し始める可能性がある。
ケニア共和国ー不十分な雨
- 2021年11月から2022年1月にかけて、約240万人が深刻な食料不安に陥ると推定される。これは、2020年後半からの雨季の連続した降雨不足が主に北部と東部の牧畜、農牧および限界農耕地域の作物と家畜生産に与えた影響を反映したものである。
ニジェール共和国ー紛争、穀物生産の不足
- 「Cadre Harmonisé」最新号の分析によれば、農業や市場の取引活動の広範な混乱をもたらした治安に関わる事案の増加により、世帯が生計を立てる機会が失われ、2021年10月ー12月期に約258万人が人道支援を必要としていると推定されている。
- 2021年9月の内戦によって推定28万人がディファ、タウア、ティラベリ地域で避難民となっている。さらに、ナイジェリアとマリからの25万人の難民を受け入れている。
- 加えて、2021年の国内穀物生産は、悪天候と内戦により、平年を下回り落ち込むと予想されている。そしてこの内戦はさらに状態が悪化すると予想される。結果として2022年6月から8月の間に、364万人が深刻な食料不安に直面すると予想される。
ソマリア連邦共和国ー不十分な雨、社会不安
- 350万人が、2021年10月から12月にかけて、IPCフェーズ3(危機)およびIPCフェーズ4(緊急)の深刻な食料不安に陥ると推定される。これは2020年後半の不順な雨が作物と家畜生産に深刻な影響を与えたことと、2021年初頭からの紛争の高まりによるものである。
広範な食料アクセスへの欠如
ブルンジ共和国ー異常気象
- 2021年6月から9月の間に、約104万人が深刻な食料不安に陥ると推定されているが、これは主に、ブジュンブラ・マイリ―、ルモンゲ、マカンバ各州で約4万人が避難した、タンガニーカ湖の水位上昇とルフィジ川の氾濫によって引き起こされた生計手段の喪失によるものである。
チャド共和国ー社会不安、穀物生産の不足
- 最新のCadre Harmoniseの分析によると、ラックおよびティベスティ地域では、生計活動を妨げ、人口移動を引き起こすような不安定な状況が続いており、2021年10月から12月にかけて、約96万5000人がCHフェーズ3(危機)以上になると推定されている。
- 2021年8月現在、チャド湖地域の治安の悪さから、約40万人が避難している。また、中央アフリカ共和国、ナイジェリア、スーダンを中心とした52万人の難民が、紛争のために国内に居住している。
- さらに、悪天候や内戦の影響により、2021年には国内の穀物生産は平均を下回る水準にまで低下すると予想される。 その結果、2022年6月から8月の間に、174万人が深刻な食料不安に直面すると予測される。
コンゴ民主共和国 ー社会不安の永続化
- 2021年11月のIPC分析によると、2021年9月から12月の間に2700万人が深刻な食料不安に直面すると推定され、そのうち約600万人が致命的なレベルの深刻な食料不安、IPCフェーズ4(緊急事態)を経験している。 これは、避難を引き起こし続けている東部州で進行中の紛争と、COVID-19パンデミックの社会経済的影響によるものである。
ジブチ共和国ー洪水
- 2021年1月から8月の間に約19万4,000人が深刻な食料不安に陥っていたと推定されている。これは主に洪水や地滑りによる生計の損失と、COVID-19パンデミックによる脆弱世帯の生計への社会経済的な影響によるものである。
エリトリアーマクロ経済の課題による食料不安人口の増加
エチオピア連邦民主共和国ー高い食料価格、洪水、サバクトビバッタ、ティグライ州における紛争
- 2021年7月から9月にかけて、ティグライ州、アムハラ州、オロミア州、南部諸民族州の西部および中央部の穀物が不足する地域では、約740万人が深刻な食料不安に陥ると推定されている。特にティグライ州では、2020年11月に始まった紛争の影響により、約40万人がIPCフェーズ5(大惨事)レベルの食料不安に直面すると推定されている。
ナイジェリア連邦共和国ー北部地域での紛争の持続
- 「Cadre Harmonisé」の最新の分析によると、特に北部州において新たな人口移動引きここしている紛争の悪化、食料価格の高騰、世帯購買力の低下により、2021年10月から12月にかけて約1,290万人が人道的食料援助を必要とすると推定されている。北部諸州では、市民の不安や自然災害により、300万人以上が国内避難民となっていると推定される。人道的介入が不可能な地域は、最悪の食糧不足に直面している。
- 2022年6月から8月の収穫高が減る時期には、1,800万人が深刻な食糧不安に直面すると予測されている。
南スーダンー経済の低迷、社会不安、洪水の影響の長期化、紛争の長期化
- 持続的な人道支援にもかかわらず、食糧供給不足、経済の低迷、食糧価格の高騰、2020年に発生した広範囲な洪水の影響が残ることにより、食糧不安は依然として人口の大部分に影響を及ぼしている。2021年4月から7月にかけて、約720万人(全人口の約60%)が深刻な食糧不足に陥ったと推定される。
- 特に懸念されるのは、ジョングレイ州、北部バールエルガザル州、ワラップ州、近隣のピボール行政区の世帯で、人口の60~85%が深刻な食糧不安に陥り、合計10万8,000人が直面していると推定された。
ジンバブエ共和国ー食料価格の高騰、経済の悪化
- 2022年1月から3月にかけて、推定300万人が人道支援を必要とすると予測されている。これは主に、食料価格の高騰による食料へのアクセスの悪さと、景気後退の影響による所得の減少が理由である。しかし、この数字は、かなりの穀物の収穫が家計の食糧供給を押し上げたため、2021年の同じ時期の数字より低くなっている。
厳しい局地的食料不安
ブルキナファソー北部での社会不安、穀物生産量の不足
- 「Cadre Harmonisé」の最新分析によると、2021年10月から12月の間に165万人が食糧不安に陥り、人道支援を必要とすると推定されている。センター・ノール地域とサヘル地域では、治安悪化で人口の移動が続いており、2021年9月現在、約140万人が避難し、支援を必要としている。また、サヘル地域には、マリを中心とした約2万4,000人の難民が居住している。
- また、国内の穀物生産は、悪天候の影響や内戦の影響により、2021年には平均を下回る水準に落ち込むと予測されており、状況はさらに悪化することが予想されている。2022年6月から8月の収穫高が減る時期には、260万人が深刻な食糧不安に直面すると予測されている。
カメルーンー社会不安、人口移動
- 2021年10月の「Cadre Harmonisé」の分析によると、2021年10月から12月の間に、約240万人がフェーズ3(危機)以上の深刻な食糧不安に陥ると予測されている。これは主に、紛争、社会政治的不安、COVID-19関連の経済的ショックの結果である。
- 深刻な食料不安のある人々の約42%は北西部と南西部におり、2021年10月現在、100万人以上が国内で国内避難民となっている。
コンゴ共和国ー難民の流入、避難民の発生
- 2021年10月現在、中央アフリカ共和国から約2万8,800人、コンゴ民主共和国から約3万2,500人の難民が国内に居住している。受入れコミュニティは食料不足と限られた生計の機会に直面しており、難民の食料確保は基本的に継続的な人道支援に依存している。
- また、2021年9月現在、約30万4,400人が国内避難民となっている。
エスワティニー経済の低迷、所得の減少
- 2021年10月から2022年3月にかけて、推定31万6,000人が食料不安と評価されており、2021年1月から3月の34万7,000人から減少している。この改善は、2021年の平均を上回る収穫を反映しているが、世帯は引き続き食料アクセスの制約に直面しており、主にCOVID-19パンデミックが経済に与える影響によるものである。
ギニアーCOVID-19パンデミックに関連した所得の減少
- 2021年10月から12月の間に、主にパンデミックの影響を受けた食料アクセスの制約により、約56万5,000人が食料援助を必要とすると予測された。今後2022年6月から8月にかけて、約74万人が深刻な食糧不足に直面すると予測されている。
- また、コートジボワールとシエラレオネを中心とした約6,000人の難民が居住している。
レソトー経済の低迷、所得の減少
- 2022年1月から3月の間に食糧不安に陥ると予測される人の数は31万2,000人で、同時期の2021年の推定値のほぼ半分である。見通しの改善は、主に2021年に国内の穀物生産が好転して、家計の穀物供給が強化されることにかかっている。しかし、経済回復の遅れが引き続き世帯の収入に制約を与えており、食料を入手する経済的能力に影響を及ぼしている。
リベリアー食料価格の高騰、経済の低迷
- 最新の「Cadre Harmonisé」の分析によると、高い食料インフレ率とCOVID-19パンデミックによる経済への悪影響により、2021年6月から8月にかけて約94万人がフェーズ3(危機)以上と推定されている。また、同国は支援を必要とする約8,500人の難民を受け入れている。
リビアー社会不安、経済的・政治的不安定、高い食料価格
- 2021年人道的ニーズ概要によると、130万人(人口の23%)が人道支援を必要としており、そのうち70万人が食糧支援を必要としている。人道支援を必要とする人の半数は、国内に居住している国内避難民や、国内を通過する移民である。
マダガスカルー南部での干ばつ、限られた収入の機会
- 南部地域では、推定130万人が食料不安に陥り、緊急の人道支援を必要としている。
2021年の農業生産への深刻な干ばつの影響、COVID-19パンデミックの影響、特に経済減速による収入減が食料不安の主な要因となっている
マラウィー経済停滞と収入減少
- 2021年10月から2022年3月の間に推定150万人が食料不安を抱えている。この数字は260万人が人道的支援を必要としていると評価された2021年1月から3月までの推計値を大きく下回っている。
改善された状況は2021年の穀物の大豊作により、COVID-19パンデミックの悪影響が一部緩和されたことによる。
マリー社会不安
- 最新の「Cadre Harmonisé」分析によると、紛争の激化によって人々の避難が続き、あわせてパンデミックや異常気象の影響を受けた結果、2021年10月から12月の間に、約117万人がフェーズ3:「危機」以上であると推定されている。
- 主に中部および北部では、約40万人が避難している。また、主にニジェール、モーリタニア、ブルキナファソから約4万7,000人の難民を受け入れている。
- 加えて、増加する紛争状態と悪天候により、2021年に国内の穀物生産が減少することが予測されているが、まだ5年間平均近くにとどまっている。結果として、2022年6月から8月の間に184万人が深刻な食料不安に陥ると予測されている。
モーリタニア・イスラム共和国ー農業生産不足と収入減少
- 最新のCadre Harmoniséの分析によれば、主要作物と畜産品の不足、COVID-19パンデミックとその経済的影響という負の影響により、約34万8,000人が2021年10月から12月の間に人道支援が必要と評価された。
- ほとんどがマリ出身の約7万5,000人の難民は、人道支援を必要としている。
- 加えて、国内穀物生産は悪天候により2021年に減少すると予測されているが、まだ5年間の平均近くにとどまっている。それは最も脆弱な世帯の状況を悪化させるだろう。2022年6月から8月の来る農閑期のピークには、66万人が深刻な食料不安に陥るだろうと予測される。
モザンビークー主要作物の地域的な不足、北部地域の不安定さ
- 2021年9月まで約170万人が人道的支援を必要としていると推定される。世帯がその収穫からの食料貯蓄を消費するので、2022年3月からの次の収穫期まで、この数字は徐々に増加することが予測される。
- カボ・デルガドでは、最も深刻なレベルの厳しい食料不安が発生しており、2021年の穀類生産に悪影響を与えた紛争による生計への影響や降雨量の不足を反映して、推定36万3,000人がIPCフェーズ4(緊急)レベルの食料不安に直面している。
ナミビア共和国ー経済停滞
経済停滞と収入の減少
- 2021年は、前年度に比べると食料安全保障の状況は改善した。しかし、COVID-19パンデミックの負の影響、主に収入と雇用の喪失が引き続き各世帯の食料へのアクセスを制限している。
セネガルー局地的な穀物生産の不足と収入減
- 最新の「Cadre Harmonisé」分析によると、2021年10月から12月期に、約30万5,000人が人道支援を必要とすると推定され、これは悪天候が穀物生産に負の影響を与えたことによる局地的な生産の減少、およびCOVID-19パンデミックの影響を受けたもっとも脆弱な世帯の収入減によるものである。長引く食料アクセスの制限により、2022年6月から8月の間に約77万人が深刻な食料不安に陥ると予測されている。
- モーリタニア出身者が大半を占める推定1万4,500人の難民が人道支援を必要としている。
シェラレオネー食料価格の高騰
- 2021年10月から12月の間、高い食料価格や購買力の低下によって世帯の経済的な食料へのアクセスが急激に制限されたことから、約110万人が深刻な食料不安であると推定された。長引く食料へのアクセスの制限により、2022年6月から8月の間に約145万人が深刻な食料不安に陥ると予測される。
スーダンー紛争、社会不安、急激に高騰する食料価格
- 食料価格の高騰、また共同体間の紛争のために、2021年10月から2022年2月の間の深刻な食料不安人口は600万人と推計されている。
ウガンダー異常気象
- カラモジャ州では、2021年8月から2022年1月にかけて、約18万8,000人(人口の16%)が深刻な食料不安に陥ると推定されている。これは主に、不規則な雨を特徴とする連続した雨季が作物や家畜の生産に悪影響を及ぼした結果である。
- 南スーダンからの約100万人の難民と、コンゴ民主共和国からの約48万2,000人の難民がキャンプで受け入れられ、人道支援に頼っている。
タンザニア連合共和国ー局地的な主食用作物の生産不足
- 2020年5月から9月の間で、主に北東部のマニャラとキリマンジャロ地域、ドドマ中央部とシンギダ地域で、約50万人に緊急支援が必要と推定された。
ザンビア共和国ー収入減少と穀物生産の局地的な不足
- 推定158万人が2021年10月から2022年2月にかけて人道支援が必要になると予測されており、2020年から2021年の同時期の食料不安人口200万人より減少した。2021年の農業生産量が多かったことが主な原動力となって状況が改善した。しかし、COVID-19パンデミックの影響が世帯の食料への経済的アクセスを制限し、穀物生産量の局地的な不足があるため、改善レベルは限定的となった。
アジア
食料生産・供給総量の極めて深刻な不足
シリア・アラブ共和国ー内戦、経済危機
- 国の食料不安アセスメントは、主に制限された生計の機会と急速に悪化する経済により、約1,240万人(全体の60%)が2020年に食料不安であると推計し、それは2019年末より540万人多い。
- 国際的な食料支援が行われているが、シリア難民は隣国の受け入れコミュニティの資源をも圧迫している。
広範な食料アクセスへの欠如
朝鮮人民共和国ー低い食料消費レベル、貧弱な食事の多様性、経済低迷
- 人口の大半は低いレベルの食料消費と大変貧弱な食事の多様性に直面している。長引く経済的制限はCOVID-19パンデミックの拡大を抑えるための制限措置により悪化し、重要な農業投入財と人道支援物資を含む輸入品を大幅に減少させ、人々の食料不安への脆弱性を増加させている。
- 2021年の主耕作期の収穫は10月/11月に世帯に届くことが予想され、食料不安が一時的に改善するだろう。
レバノンー経済危機
- 2021年9月、国連西アジア経済社会委員会は、保健、教育、公共サービスへのアクセスなど所得以外の側面を考慮すると、人口の82%が多次元貧困にあると推定され、2019年の42%から増加した。
イエメンー紛争、貧困、洪水、高い食料価格および燃料価格
- 食料不安にあるIPCフェーズ3(危機)以上の人数は、2021年1月から6月の間に300万人近く増加し、1620万人になると予測された。
- このうち、IPCフェーズ3(危機)の人は1,100万人、IPCフェーズ4(緊急)の人は500万人、IPCフェーズ5(大惨事)の人は4万7,000人に増加する可能性が高いと推測された。
厳しい局地的食料不安
アフガニスタン・イスラム共和国ー内戦、避難、停滞する経済
- 2021年9月から10月にかけて、約1,900万人がIPCフェーズ3(危機)およびIPCフェーズ4(緊急)に該当すると推定された。
- IPCの分析では、2021年11月から2022年3月には、IPCフェーズ3(危機)およびIPCフェーズ4(緊急)に属する人々が、2,280万人に増加する可能性があると推定した。
バングラデシュ人民共和国ー経済的制約、難民の流入
- COVID-19の大流行の影響による収入減で、食料不安と貧困レベルが悪化した。
- UNHCRの最新の数字(2021年9月)によると、ミャンマーからのロヒンギャ難民約90万3,000人がコックスバザール県を中心にバングラデシュに避難している。
イラク共和国ー内戦、経済の停滞
- 2021年「人道支援ニーズ概要」では、人道支援を必要とする人が410万人、そのうち240万人が緊急の人道支援ニーズがあることが確認された。深刻な食料不安を抱える人は約43万5,000人、食料不安に陥りやすい人73万1,000人と推定されている。
ミャンマーー紛争、政情不安、経済的制約
- 2021年2月1日の軍事政権発足後の政治危機により、国中で緊張と不安が高まり、新たに避難民が発生した。UNHCRの最新統計(2021年9月)によると、軍事政権発足後、176,000人がさらに避難し、現存する37万人の国内避難民(2020年12月現在)が加わった。IDPの多くはラカイン州、チン州、カチン州、カイン州、シャン州に居住している。現在の不透明な政治状況は、脆弱な世帯や国内に居住するロヒンギャ国内避難民の脆弱な状況をさらに悪化させる可能性がある。
- COVID-19の大流行の影響による収入減は、脆弱な世帯の食料安全保障の状況に影響を与えている。
パキスタン・イスラム共和国ー人口流出、経済的制約及び主食作物の高価格
- 同国は140万人近くの登録済アフガン難民及び約60万人の未登録のアフガン難民を受け入れている。ほとんどが人道的支援を必要としており、受け入れ先コミュニティの限られた資源に負担をかけている。アフガニスタンにおけるタリバン政権発足後、この数字は大幅に上昇し、受け入れコミュニティの既に厳しい食料不安状況にさらに負担を強いている。
- COVID-19パンデミックの経済に対する影響により、収入を得る機会が失われているため、貧困レベルが上昇している。
- 国の主食作物である小麦の価格は、2021年8月にはほとんどの市場で記録的なレベルに達し、食料へのアクセスを制限している。
ラテンアメリカ及びカリブ海地域(2ケ国)
広範な食料アクセスへの欠如
ベネズエラ・ボリバル共和国ー深刻な経済危機
- 同国からの難民・移民の総数は590万人と推定され、最も多くの人々がコロンビア(174万人)、ペルー(129万人)、エクアドル(48 万3,000人)、チリ(44万8,000人)にいる。難民と移民の人道支援ニーズは大きい。COVIDー19の影響で受け入れ国での収入創出機会が失われたことにより、移民の食料不安は2020年に悪化したと報告されている。受け入れる国の経済の回復が遅れることが予想されるため、移民の生活はわずかにしか回復しないと考えられる。
- 「ベネズエラからの難民・移民のための地域内関連機関調整プラットフォーム(R4V)」によると、食料支援を必要としているベネズエラ人の難民及び移民(移動中もしくは一時的を含む)の人数は、2021年に326万人と推定されている。
厳しい局地的食料不安
ハイチ共和国ー農業生産量の減少、社会的及び政治的混乱、自然災害による悪化
- 少なくとも2022年2月までは、約430万人が深刻な食料不安に直面し、緊急の食料支援を必要としていると推定された。2018年から2021年の穀物生産量の減少と食料価格の高騰により、食料不安の度合いは高く、COVIDー19パンデミックと社会政治的混乱における収入の喪失が状況を悪化させている。8月に同国をおそった2つの自然災害(マグニチュード7.2の地震とハリケーン)は生産的資産とインフラを破壊し、備蓄食料の喪失を引き起こして状況を悪化させている。これらの地域では、2021年9月から2022年2月の緊急食料不安人口が93万2,000人から98万人に上昇すると推定される。
世界の穀物需給概況
(作成中)
低所得・食料不足国の食料事情
低所得食料不足国(LIFDC) の 2021 年穀物生産の大部分は収穫され、いくつかの国では 2022 年作物の作付けが既に進行中である。LIFDCの2021年の総生産量は1億9200万トンとされ、平均より約800万トン多いが、主に近東アジア諸国の生産縮小を反映して、前年比では500万トン近く減少している。
アジアのLIFDCsの中で、2021年の穀物総生産量は7,180万トンと、前年の実績から7%減少し、平均を下回ると予測される。この減少は、アフガニスタンとシリア・アラブ共和国での大幅な生産減に関連しているものが多く、長期にわたる大幅な降雨不足による収穫量の減少が原因となっている。両国の厳しい社会経済状況によっても、農業生産能力が弱体化し続けている。こうした生産高の低さに加え、ウズベキスタンとキルギスタンでの収穫量の減少が、2021年にトウモロコシ生産量が過去最高を記録したバングラデシュでの大幅な生産増を相殺した。
アフリカでは、LIFDCsの穀物総生産量は2021年に1億1920万トンと推定され、平均を8%上回り、前年の生産量を僅かに上回るとされている。2021年の最大の生産量増加は南部アフリカとみられ、マラウィとジンバブエの穀物収穫量は、良好な気象条件を反映した高い収量により、平均を大きく上回るレベルまで急成長した。東アフリカでは、主要な収穫が進行中のため、見通しはまちまちである。
ケニアでは不規則な降雨による生産量の減少が予想されており、エチオピア北部では紛争による大幅な農作物の損失が発生している。ソマリアでは大幅な降雨不足により、収穫見込みは大きく後退し、2021年の生産量は平均を大きく下回ると予測されている。西アフリカの穀物生産量は、2021年にはほぼ平均的な水準となり、1年前と比べて減少すると予測されており、これは不順な降雨と、紛争が続いていることが作物の収量の減少につながったと考えられるためである。中央アフリカでは、紛争が引き続き農業活動を妨げているため、穀物生産は前年比のほぼ横ばいで、平均的な水準にとどまっている。
2021/22年度の輸入需要のわずかな増加
低所得・食料不足国(LIFDCs)の輸入総需要は、2021/22年度には6,450万トンに微増したと推定され、過去5年間の平均を約12%上回った。この増加のほとんどは、アジア諸国、特にアフガニスタンとシリア・アラブ共和国における需要の増加に関係している。西アフリカのいくつかの国の生産量の減少、または平均値に近い生産量も、輸入需要の微増につながっている。2021年の豊作により南部アフリカ諸国では輸入需要が減少しており、特にジンバブエでは輸入量が平均を大きく下回ると予測されている。
⇦ 今知る世界の食料危機 No.10(covid-19の影響)
(カーボヴェルデ、 カメルーン、 ギニア、 ケニア、 コンゴ共和国、 コンゴ民主共和国)
(ザンビア、 シエラレオネ、 ジブチ、 ジンバブエ、 スーダン、 セネガル、 ソマリア)
(マダガスカル、 マラウイ、 マリ、 南スーダン、 モーリタニア、 モザンビーク)