• info@ajf.gr.jp
  • 〒110-0015 東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F

いま日本の反アパルトヘイト運動から学ぶ

Learning from the anti-apartheid movements in Japan: Lessons for today

特集にあたって いま日本の反アパルトヘイト運動から学ぶ

『アフリカNOW』102号(2015年4月30日発行)掲載

執筆:牧野久美子
まきの くみこ:アジア経済研究所研究員。AJF 理事

2014年10月11日、東京外国語大学本郷サテライト(東京都文京区)にて、「反アパルトヘイト運動の経験を振り返る」という公開研究会を開催し、1960年代から1990年代にかけて日本で反アパルトヘイト運動に関わっていた方々に当時のお話をうかがいました。この研究会は、私が研究代表者を務め、AJF の津山代表、斉藤事務局長、立岩理事がメンバーに加わっている研究プロジェクト「反アパルトヘイト国際連帯運動の研究:日本の事例を中心として」(科研費基盤研究(C) 課題番号26380227)の一環として実施したものです。

本号には、東京の反アパルトヘイト・グループ、アフリカ行動委員会(JAAC-Tokyo)の創設メンバーで、アフリカ関連の著作も多く、長年、反アパルトヘイト運動のリーダーとして活躍してこられた楠原彰さんによる、当日の基調報告の内容を掲載します。会場には、楠原さんの呼びかけにこたえて、20名をこえる反アパルトヘイト運動のメンバーが参加し、関東のみならず、静岡、名古屋、京都で運動をしていた方々も楠原さんの基調報告のあと、お一人ずつ、当時の経験についてお話しいただきました。アフリカ行動委員会の歴史は約30年に及び、メンバーも途中で入れ替わっています。運動の最盛期であった1980年代後半のメンバーにとっては、初期のエピソードのなかには初めて耳にするものも多かったようですし、また1960年代の学生運動のなかからアフリカ行動委員会の立ち上げに関わった草創期メンバーからは、その後、運動がこれほど長く続いたことへの驚きの声も聞かれました。そこで語られたメッセージが、当時を知らない若い世代にどのように受け止められたのか、本号に掲載した宮森万由子さんのレポートを合わせてお読みいただければと思います。

欧米やアフリカ諸国の反アパルトヘイト運動については近年多くの研究が蓄積され、資料の保存・整備も進められてきているのに対し、日本の反アパルトヘイト運動については、研究、資料のアーカイブ化とも遅れをとってきました。世界的な反アパルトヘイト運動の歴史は、南アフリカ民主主義教育基金(South African Democracy Education Trust: SADET)の『民主主義への道』(”The Road to Democracy”)という報告書の第3巻(国際連帯)と第5巻(アフリカの連帯)にまとめられていますが、そのなかで日本の反アパルトヘイト運動についてほとんど触れられていないことが、このプロジェクトを始める一つの動機となりました。ただし最近では、アフリカ行動委員会の『あんちアパルトヘイトニュースレター』が全号オンラインで読めるようになり(1)、大阪のこむらどアフリカ委員会の機関誌についても電子化されるなど(2)、運動当事者による資料整理・保存の動きも始まっています。楠原さんと大阪の下垣桂二さんを中心に、全国の反アパルトヘイト運動資料の収集作業も進められています。また、2014年5月に、南アフリカ民主化20周年行事の一環として、在日本南アフリカ大使館主催により、南アフリカと日本の市民のあいだの連帯や協力の歴史を振り返るイベントが行われたことは、南アフリカのアパルトヘイトとの闘いと民主化の歴史のなかに、日本の市民の貢献が公に位置づけられたという点で、大きな意義があるものでした(3)。

反アパルトヘイト国際連帯運動は、国境を超えたグローバル・ジャスティス要求運動の先駆けともいわれており、21世紀のアフリカや、地球規模の課題に取り組む日本の市民にとって、その経験から学べるところは多いでしょう。本プロジェクトでは、反アパルトヘイト運動の当事者の方々と連携をとりながら、運動に関わってこられた方々へのインタビューと、運動資料の収集・整理・保存の2点を中心に、今後も活動を進めてまいります。

(1)「あんちアパルトヘイトニュースレターアーカイブ」。このアーカイブは、『あんちアパルトヘイトニュースレター』元編集部によって作成されたものである。
(2)下垣桂二さん(関西・南部アフリカネットワーク世話人、元こむらどアフリカ委員会メンバー)から提供を受けた機関誌のPDF ファイルを、2015年3月に公開した。
http://www.arsvi.com/aa/cac.htm
(3)“Twenty Years of Democracy in South Africa and Fifty years of Solidarity and Cooperation with the people of Japan” 、 2014年5月17日、南アフリカ大使公邸にて。

【参考記事】城島徹「幸せの学び: <その96 >南ア民主化20周年」毎日新聞ウェブサイト、2014年5月21日 http://mainichi.jp/feature/news/20140521org00m070006000c.html( 現在は未公開)


アフリカNOWリンクバナー