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TICADウオッチ

「横浜行動計画」実施に関して、アフリカと日本の市民社会組織が効果的な取り組みをするための条件と活動について

A concept proposal: The TICAD Watch
Setting and maintaining an effective role for African and Japanese CSOs in the Implementation of the Yokohama action plan

『アフリカNOW 』No.82(2008年10月発行)特集記事

グスターブ・アサー :アフリカ市民委員会議長
Gustave Assah : Chair of Civic Commission for Africa

※本稿は、『アフリカNOW』No.82の30~31ぺージに掲載している “A concept proposal The TICAD Watch” 全文の日本語訳です。(翻訳:斉藤龍一郎)


はじめに

「横浜行動計画」に結実したTICADⅣプロセスの成果をフォローアップしていくために提案をしたい。TICADウオッチ・プロセスを立ち上げ、TICADで作られた「横浜行動計画」の実施に関して市民社会組織(CSO)が効果的な取り組みしていくことを保証しようという提案だ。アフリカおよび日本のCSOがTICADⅣに参加し一定の成果をあげたことを踏まえた提案である。TICADⅣ以降に検討対象となっている課題、また「横浜行動計画」に盛り込まれた課題は、きわめて重要でありCSOとしても関わらないわけにはいかない。
 一方、アフリカにおいて、また世界各地で暮らすアフリカ人コミュニティにおいて、もっと多くのCSOが連帯し協力しあっていたら、TICADⅣプロセスに対してより大きな影響力を行使することが可能であったことも忘れてはならない。したがって、TICADウオッチはアフリカ内外でのより広範なCSO間の連帯・協力・ネットワークをめざしている。さらにこれから5年間、TICADⅤに向けた取り組み、TICADⅤにおける取り組みそしてそれ以降の取り組みの中で、CSOがより大きな役割を果たすためにも必要である。

背景と根拠

TICADがアフリカ開発に寄与するものとして開催されているにもかかわらず、アフリカのCSOがこれまでのTICADに効果的に関わっていなかったことから、2007年1月にナイロビで開かれた世界社会フォーラム(WSF)の際に、日本のCSOがアフリカのCSOと連絡を取ろうとしたのが、ことの始まりである。
その後、アフリカと日本のCSOは積極的にTICADプロセスに関わっていった。具体的には、アフリカと日本で開かれた一連の会合(1)およびすでにアフリカと日本の団体や個人同士がつくってきた連携やネットワークを通して取り組みは進められた。そして以下の成果があがった。

・アフリカと日本のCSO間の連携が強まり、TICADプロセスにおけるCSOの影響力と注目が高まった。
・TICADⅣに向けてCSOへの注目が勢いをまし、また他とのつながりを深めていった。
・TICADⅣの主要テーマである経済成長促進、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成・平和の定着・民主主義を通した人間の安全保障、環境と気候変動への対応に対するCSOの共同の見解と提言が”Voices2008″(2)にまとめられ広く共有された。
・CSOは、十分とは言えないにしても、アフリカにおいても日本においても、また関係者の中でも、広く社会的にもTICADプロセスの中で信頼のおける参加者になることができた。

 TICADⅣ本会合期間中もCSOは注目を集め、次の役割を担った。

・TICADⅣ全体会合および分科会に積極的に参加し、より豊かな成果をあげた。
・アフリカおよび日本のCSOが積極的にメディア対応を行い、TICADプロセスおよびフォローアップメカニズムに関する見解を明確に伝えた。<
・TICADⅣ本会合で”Voices2008″を紹介した。
・アフリカ市民委員会(C-CfA)参加団体をはじめ、広範なCSO、国際組織、在外アフリカ人コミュニティ、芸術家、歌手らが参加し、それぞれが持つ力を開発プロセスに寄与するように方向付けるためにTICADのようなプロセスにさまざまな市民社会のアクターを参加させることが重要であることを明示した。

今後に向けて明らかになった課題

CSOがTICADに積極的に関わってきたのは、TICADⅣプロセスをアフリカの人々の考えと必要に関わる実効性のあるものにするためであった。この狙いは一定程度達成されたが、TICADで採択された「横浜行動計画」においてCSOが担うべき役割は明確ではない。TICADウオッチを通して、「横浜行動計画」実施へのCSO参加および行動をさまざまな観点からモニターしていくことを保証しなくてはならない。CSOが担うべき役割は「横浜行動計画」に明記されていないので、CSOが計画を実施する際に主要な役割を担っていくことを保証するメカニズムが必要であることを主張することが重要である。

目的

TICADウオッチは、TICADⅣに向けたCSOの取り組みを踏まえたものでなければならない。TICADウオッチを通して、アフリカと日本のCSOはTICAD行動計画実施が人々を中心にしたものであるようにモニターし、また実施に積極的に参加していかなくてはならない。特に、以下の取り組みが必要である。
1.「横浜行動計画」の対象となっていること関する地域横断的な、また国ごとの大衆動員と組織づくり
2.アフリカと日本のCSOがTICADに向けて提起した課題に関する組織間ネットワークの強化
3.「横浜行動計画」の実施およびフォローアップに関するロビイングとアドボカシー
4.TICADフォローアップ委員会および他の関係者に向けた独自レポートの作成と配布

主要な活動

目的1. 「横浜行動計画」の対象となっていること関する地域横断的な、また国ごとの大衆動員と組織づくり
・「横浜宣言」、「横浜行動計画」へのフィードバックと広報
・「横浜行動計画」に関するさまざまなCSO間のネットワーク構築と運営
・草の根の人々の現実とTICADに関わる国ごとの、地域横断的なそして国際的なプロセスをむすびつける取り組みの開始と継続
・コミュニティと行動計画実施の動きをむすびつける取り組み
・(「横浜行動計画」に関する)認識形成と参加の取り組み

目的2. アフリカと日本のCSOがTICADに向けて提起した課題に関する組織間ネットワークの強化
・ウェブサイト開設
・「横浜行動計画」への広範な市民の関心を高め、関与を促すための定期的な情報提供
・恒常的な連絡体制による、TICAD行動計画をアフリカ開発に有効なものへと変えていくためのフィード・バック、情報交換
・アフリカと日本のCSO同士のネットワークの強化
・国ごと、地域横断的な組織作りとネットワーク

目的3. 「横浜行動計画」の実施およびフォローアップに関するロビイングとアドボカシー
・TICADフォローアップ委員会への参加
・「横浜行動計画」実施にあたって周辺化された人々の課題に焦点があたるようにするために周辺化された人々の声と課題を恒常的に明示

目的4. TICADフォローアップ委員会および他の関係者に向けた独自レポートの作成と配布
・「横浜行動計画」実施状況のモニターと評価
・毎年、独自の調査報告を作成し、実態に即したCSOの見通しを提示
・「横浜行動計画」への参加型モニターおよび評価と国ごと、地域横断的、大陸横断的なCSOによる実施
・国ごと、地域横断的な取り組みのフォローアップ
・日本のCSOとの情報共有

戦略

・情報収集と提供
・テーマに基づいたモニターと評価のための国ごと、地域横断的なネットワークの創出
・国ごと、地域横断的そして大陸横断的なロビー活動とアドボカシー

めざすべき成果

・アフリカ連合(AU)、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)、南部アフリカ開発共同体(SADC)、アフリカ経済委員会(EAC)および北米など、さまざまなレベルでの「横浜行動計画」に関する意見交換と影響力の行使
・アフリカと日本のCSOの協力関係強化
・モニタリングと評価によるTICAD成果の明確化
・CSOの能力と役割の強化
・CSOおよびメディアがTICAD成果の具体化およびTICADⅤプロセスにとって除外できない参加者であることの明確化

【注】
(1) これらの会合は、ナイロビ、東京、ルサカ、チュニス、リーブルビル、そしてTICADⅣの期間中に開催された。
(2) TICADⅣの議題になった広範な課題について意見を表明したCSOの共同文章。

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