アフリカの稲作振興に関する取り組みを考える

-セネガルの事例を中心として-
AJF・HFW合同学習会 報告

開催日時:2009年4月12日
講師:杉山さん

4月12日に開催した合同学習会の参加者は、HFWから2人とAJF食料安全保障研究会から4名、AJF会員3名とそのほか1名の計11名でした。

全員が集まるまでの間に、参加者の自己紹介と学習会に期待することを話していただき、講師の杉山さんに自己紹介をいただきました。ニジェールの青年海外協力隊(土壌肥料)として1986年にアフリカの地を踏んでから、JICAの仕事でカンボジア、ケニア、マダガスカル、ニジェールなどで業務をされてきたとのことです。

お話の前に司会からFAOデータ、JICA「セネガル稲作再編計画調査」最終報告書(注1)からの情報をもとにセネガルの稲作についての概要を紹介しました。資料としてはこれらのほかに、杉山さんご提供のアフリカの稲作開発における課題に関するマトリックス(案:試行段階)と日本農業新聞の記事、所属機関のSAED(セネガル川流域・デルタ開発公社)から情報発信用に発行されているニュースレター2種類などが配布されました。

農業機械を除いてすべての項目(灌漑インフラ開発、灌漑農業技術・生産者組織化、生産者の経営向上、農業投入資材へのアクセス改善、精米・収穫後処理、流通・マーケティング、民間投資支援、政策整備支援、など)を対象に活動されているとのことでした。配布資料のニュースレターは品質改良と市場情報に関する情報提供を目的としていますが、次なる目標は、消費者と生産者を結ぶというものだとか。セネガル川流域・デルタ地域(モーリタニア国境沿い)に千ほどある生産者組織(小規模経営体、アソシエーションなど形態はいろいろ)に対するアンケートを実施して、携帯電話を用いた情報ネットワークの構築は、非常に興味深い試みだと思います。

田んぼでの脱穀時の混ざり物(小石や雑草の種など)を取り除く装置の開発や、品質基準の作成に向けた取り組み、収穫後の保存(特に乾季(暑期)の収穫)状態を改善するための倉庫設置に関する基本調査など、セクター全体を通した基盤整備への支援が多様なことに気づかされました。また、精米部門への支援としてのセパレーター(精米した白米をサイズに合わせて分ける装置)を貸し出して、全粒、砕米が混ざらないようにして品質を上げる試みなども、今後検討されてゆくことになっているとのことでした。

そのほか印象に残ったのは、いくつか紹介された業務上の工夫。たとえば、コメの輸入業者とのコンタクト、情報収集のために政府機関ARM(市場監視庁)を引き連れてアプローチするという話。大きなお金が絡んだビジネスだけに身の安全を図る手段を講じているわけです。

もう一つ、「国産米置いてます」シールを使って国産米消費を奨励しつつ、業者にその配布を任せるのと引き換えに販売店情報を出させ、全国に広がる販売網を把握するといった手法にも感心しました。コメの流通インフラである販売網の全体像をつかむには非常に効率的だと思いました。

それから、昨年のコメ価格急騰でコメが余らなくなってしまったという情報にもびっくりしました。コメができる前から商人が現金を置いていく、いわゆる青田刈り状態、というのには本当に驚きしました。作っただけ売れるわけです。一時的にせよ、売る苦労はしなくて済むわけで生産者にとっては現金収入のまたとないチャンスですが、「品質向上から国産米振興へ」というシナリオは「売るコメ」を作っているセネガル稲作農民には通用しなくなってしまわないか心配も残ります。

CARD(アフリカ稲作振興のための共同体)のコトヌ会議での話も興味深いものでした。参加各国の国家稲作戦略担当者が顔をつき合わせてお互いの戦略を発表しあい、吟味し、必要があれば修正作業を行う。その作業は間違いなく担当者の能力強化に役に立ったはずだと杉山さんは言ってらっしゃいました。6月初旬のCARD東京会議には来られない見込みとのことですが、私たちもしっかりウォッチしていかなければならないと思います。

(注1) https://openjicareport.jica.go.jp/841/841/841_526_11838521.html

(注2) ガーナでも「コメ総合生産・販売計画調査」が実施され、2008年3月に最終報告書が出されています。こちらもご参照ください。 https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/11900479_01.pdf

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