世界のすべての人に、公正な医薬品アクセスを!
貧しい国への医薬品アクセスを阻む仕組みを改め、
世界すべての人が安全で質の高い必要な医薬品にアクセスできる仕組みをつくろう
=「公正な医療アクセスを世界のすべての人に!」連絡会へのご参加・ご協力のお願い=
■連絡会へのご参加・ご協力のお願い (登録フォーム:https://forms.gle/9UJzzurvZPaCPBRm6)
■2024年9月27日 資料集発行!!Seed for Thought「パンデミック条約」交渉延長:コロナの経験に学び、次の健康危機に備えるために
■ウェビナー開催と資料集 映像完成記念上映会「新型コロナが映すいのちの格差—公正な医療アクセスを求める世界の市民社会」(2023年2月7日開催)までアップ!
■2022年5月12日 緊急開催!コロナ時代のグローバルヘルスへの日本の取り組みに関する緊急院内集会
■2022年3月11日 ウェビナー「3.11に考える持続可能性への新しい道」=コロナ危機と震災復興= 開催
■2022年2月21日 WTO一般理事会(2/23-24)に向け政府に要望書提出
■2021年5月26日 プレスリリース 茂木外務大臣の答弁について
■2021年5月14日 日本政府への要望書に賛同をお願いします
■2021年5月5日 米国の政策を変えた市民社会の取り組み
■2021年2月17日 日本政府と公式対話を持ち、要望書を提出
■呼びかけ団体について
(2024年9月20日更新)2019年末に始まった「新型コロナウイルス感染症」(COVID-19)の世界的流行は、変異ウイルスの登場などもあり、その後3年間にわたって、きわめて深刻な状況が続きました。東アジアに始まり、欧米を席巻したCOVID-19は、中東・北アフリカ、中南米、南アジア、サハラ以南アフリカなどの中所得国・低所得国(途上国)にも拡大しました。これを克服するため、膨大な資金がワクチン・医薬品開発に注がれ、世界は驚くほど短期間に治療薬、診断薬、ワクチンを手にすることになりました。しかし、そこで大きな問題が生じました。国際社会は迅速な医薬品開発には成功したものの、世界全体で必要とする人々にこれを公平に配分することには失敗したのです。
2020年10月、南アフリカ共和国とインド政府は、世界貿易機関(WTO)の「知的財産権の貿易の側面に関する協定」(TRIPs)理事会に対して、各国がワクチンをはじめとする医薬品を安価に製造できるように、COVID-19に関する知的財産権の一部・一時免除を提案しました。この提案には、グローバル・サウス諸国(途上国)の殆どが賛成しました。しかし、欧米諸国や日本など一部の先進国はこれに強く反対、結果として、2022年、WTOでの交渉は、極めて不十分な形で終わることになりました。
これと前後して始まったのが、世界保健機関(WHO)を舞台とする「パンデミック条約」の策定と「国際保健規則」の改定交渉です。これらの条約交渉の最大のテーマとなったのが「公平な医薬品アクセス」です。次のパンデミックに備えて、開発された医薬品をどのように公平・公正に、必要とする世界すべての人々に届けられる仕組みを作ることができるか、また、知的財産権をはじめとする、公正なアクセスを阻むリスクのある制度をどれだけ改めることができるかが問われています。「国際保健規則」の改定は2024年5月の世界保健総会で<衡平性と連帯の促進>という記述が入れられ、公平な医薬品アクセスを促進するいくつかの事項が盛り込まれて成立しました。一方、「公正な医薬品アクセス」にとっては本丸となる「パンデミック条約」については、特に、これを実現するための制度提案の一つである「病原体情報へのアクセスと利益配分」(PABS)について加盟国が合意できず、最長1年間延長して交渉が続けられることになりました。
適切な制度を盛り込んだ「パンデミック条約」への合意が2024年~25年に成立したとしても、それだけでは「世界全体での公正な医療アクセス」は実現しません。世界各地での医薬品の研究開発や製造能力の強化のための具体的な取り組みや、保健システムの強化に向けた取り組みなど、やるべきことは山積しています。
現在も公平な医療アクセスを求める世界の市民の運動は続いています。医薬品への平等なアクセスを求める途上国・新興国の市民社会の運動に連帯するためにも、私たちは、日本の市民社会関係者の皆様に、この問題に関心を持つこと、新たなパンデミックの克服のために取りうる手段を途上国にも開いていく取り組みに協力することを強く訴えるものです。
今後のご参加・ご協力の方法等
上記趣旨に基づき、COVID-19や新たなパンデミックに関わる公正な医療アクセスを、グローバルに実現するための政策提言や発信、情報流通に取組むための市民社会の連絡会として「公正な医療アクセスを世界のすべての人に!」連絡会を設置しました。ご参加・ご協力を希望される方は、以下の登録フォームにアクセスし、必要事項を御記入ください。
*「新型コロナに対する公正な医療アクセスをすべての人に!」連絡会 は2023年8月1日より「公正な医療アクセスを世界のすべての人に!」連絡会 に改称しました。
登録フォーム: https://forms.gle/9UJzzurvZPaCPBRm6
事務局:(特活)アフリカ日本協議会 国際保健部
メール:ajf.globalhealth@gmail.com
関連情報:https://ajf.gr.jp/covid-19/
(報告)TRIPs協定知的財産権保護免除提案について
日本政府と公式対話会合を持ちました。
(2021年2月17日)
南アフリカ共和国・インド等11か国による「新型コロナ(COVID-19)に関連する知的財産権保護の免除」提案(以下、「南ア・インド等提案」)は、世界貿易機関(WTO)のTRIPs(貿易関係知的財産権協定)理事会で審議されています。2月23日のTRIPs理事会、3月1-2日の一般理事会、3月10-11日のTRIPs理事会に向けて、審議が継続されることになっています。これを踏まえ、世界の市民社会は、この提案に反対している主要先進国などに対して、COVID-19の収束に向けて「独占でなく共有」「競争でなく協力」を掲げて、この提案への支持、もしくは少なくとも反対しないことを求めて、働きかけを進めています。
日本政府は「南ア・インド等提案」に反対の立場をとり続けていますが、私たち「連絡会」も、日本政府がこの提案について、支持もしくは、少なくとも反対をしない形に方針を変更することを求めて、日本政府に対して働きかけていこうと考え、呼びかけ団体にて「要請書」を作成しました。この提案には、2月17日までに、呼びかけ団体7団体に加え、日本国内で56団体、海外でも56団体の賛同を頂きました。賛同いただいた団体の皆様に心より感謝いたします。
「連絡会」では、賛同団体の募集と同時に、外務省、経済産業省、財務省などと非公式の協議を行ったうえ、2月17日(水)、政府との公式対話を開催しました。市民社会側からは、呼びかけ団体から国境なき医師団(MSF)日本、アジア太平洋資料センター(PARC)、アフリカ日本協議会(AJF)が参加。政府側からは、外務省の経済局知的財産室長、国際協力局(地球規模課題審議官組織)国際保健政策室長、経産省の通商機構部・国際知的財産制度調整官らが参加しました。
対話では、まず要望書を説明したのち、出席した3団体の代表が発言、政府側が回答を行いました。対話は1時間以上にわたって続きました。政府は「南ア・インド等提案」への反対姿勢は堅持しましたが、世界全体でのCOVID-19に対する公正な医療アクセスの必要性については、市民側と共通認識を持つと言明。途上国へのワクチン供給の多国間枠組みであるCOVAXへの支援を含め、積極的な取り組みを行っていくことは表明しました。私たち連絡会としては、日本政府に対して、引き続き「南ア・インド等提案」への支持を訴えていくほか、世界全体での「公正な医療アクセス」の実現に向けて提言を継続していく所存です。
質問等ございましたら、連絡会事務局までお問合せ頂けると幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
連絡会事務局
(特活)アフリカ日本協議会 (担当:稲場・廣内)
メールアドレス:ajf.globalhealth@gmail.com
呼びかけ団体
(特活)アジア太平洋資料センター(PARC) 共同代表 内田聖子
(公財)アジア保健研修所(AHI) 事務局長 林かぐみ
(特活)アフリカ日本協議会 共同代表理事 津山直子・玉井隆、国際保健ディレクター 稲場雅紀
(特活)国境なき医師団日本 会長 久留宮隆
(特活)シェア国際保健協力市民の会 共同代表 本田徹
世界民衆保健運動(People’s Health Movement) 日本代表幹事 宇井志緒利
(公社)日本キリスト教海外医療協力会 会長 畑野研太郎
■連絡会への参加呼びかけ PDF[794KB]
米国の政策を変えた市民社会の取り組み
ピープルズ・ワクチン連合のG7諸国世論調査とアジアからの声
(2021年5月5日)
5月5日、米国のキャサリン・タイ通商代表は、バイデン・ハリス政権が世界貿易機関(WTO)に討議されている「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)収束まで、COVID-19に関わる知的財産権を一時免除する」というインド・南アフリカ他61ヶ国の提案を支持する、と公式に発表しました。公式発表に関する詳細は以下のアフリカ日本協議会の記事をご覧ください。
https://ajf.gr.jp/covid19_05may21_2/
米国の政策転換は、COVID-19に関する公正な保健・医療アクセスのグローバルな保障に向けた大きな一歩を示すものです。一方、日本を含め、米国以外の先進国は、一部を除いて態度を表明しておらず、今後も働きかけを行っていく必要があります。
米国の政策転換をもたらした大きな要素として、COVID-19の深刻さに加え、世界の市民社会が連携して米国を含む先進国政府に働きかけを強めたことがあります。保健・人道支援・人権などに取り組むオックスファム、アクションエイド、アムネスティなどの市民社会組織や国連合同エイズ計画(UNAIDS)などの国際機関、現役および引退した国家指導者や宗教指導者などでつくる「ピープルズ・ワクチン連合」(People’s Vaccine Alliance)は、昨年「利益のためのワクチンでなく、人々のためのワクチンを」(People’s Vaccine, not for Profit Vaccine)という声明を発表して以降、COVID-19関連の知的財産権の一時免除に向けて積極的にキャンペーンや提言を展開してきました。去る4月14日に、ブラウン英元首相、オランド仏元大統領ら現役および引退した国家指導者らと梶田隆章氏らノーベル賞受賞者157人がバイデン大統領に「コロナ収束に向け知財権免除を」求める書簡を送ったのは、この「ピープルズ・ワクチン連合」のイニシアティブによるものです。
「ピープルズ・ワクチン連合」は、G7英国サミットに向けて、英国の調査会社「ユーガブ」(YouGov)などと連携して、G7諸国で世論調査を行い、G7諸国の市民の10人に7人が、製薬企業によるCOVID-19ワクチンの独占に反対し、製法やノウハウの共有によってワクチンを「国際公共財」とすることを支持している、という事実を明らかにしました。5月5日、この世論調査についてのプレスリリースが発表されました。日本語訳はこちらをご覧ください。
<プレスリリース G7諸国世論調査 結果発表>
G7諸国の10人に7人が、新型コロナ・ワクチンへの製薬企業の独占権をなくし、新型コロナ・ワクチン製造のノウハウを共有すべきとの主張に賛成 PDF [978KB]
また、アジアやアフリカ、ラテンアメリカの市民社会も同連合に合流し、アジアでは「ピープルズ・ワクチン連合アジア」が発足。日本を含むアジア諸国政府に対して、COVID-19ワクチンなど保健・医療への平等なアクセスのために、WTOにおいて知的財産権免除の提案を支持することを呼びかけています。
アジア諸国政府への書簡(ピープルズ・ワクチン連合アジア) PDF [703KB]
私たち連絡会も、同連合のオンライン会議や取り組みに日本から参加しています。