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プロサバンナ事業に対する私たちの要望

『アフリカNOW』99号(2013年10月31日発行)掲載

執筆:高橋清貴
たかはし きよたか:大学卒業後、青年海外協力隊としてフィリピンに派遣。その後、開発コンサルタント、英国留学を経て、1997年から日本国際ボランティアセンター(JVC)調査研究・政策提言担当。2005年から恵泉女学園大学教員。専門は平和構築論、NGO・NPO 論。近著は『NGOから見た世界銀行』(共著、ミネルヴァ書房、2013)


私たちは、昨年12月に開催されたNGO と外務省との定期協議会であるODA 政策協議会のときからプロサバンナ事業の問題を扱うようになりました。それ以後これまでに5 回、プロサバンナ事業に関するNGOと外務省の意見交換会を実施してきました。その中でJICA・外務省は一貫して「プロサバンナ事業は小農支援である」と主張してきました。私たちは、このことが真実であってほしいという希望をもって現地調査を行いましたが、現実にはこれが本当に小農支援かと疑問に思われることが数多くありました。現地には文字が読めない農民も多く、どれだけ情報が入るのかもわからない状況のもとでプロサバンナ事業が進められています。この状況をふまえて私たちは、プロサバンナ事業の早急な中断と抜本的な見直しを求める緊急声明を発表することにしました。

まず、プロサバンナ事業の現地調査からわかったことで、この声明の土台となっている事実を3つ指摘します。1つ目は、モザンビークで実際に土地収奪が起こっているということ。2つ目は、政府による抑圧がかなり強く、自由にものが言えるのかがわからないということ。3つ目は、プロサバンナ事業はとても複雑で多岐に渡っており、農民たちに十分に理解されていないということ。説明したと言っても、資料も情報開示もありません。これらの事実に基づき、この事業が小農支援となるためには果たしてどうしたらよいのかについて提案するために、7つの要求項目を取り上げました。

要求項目の1では、現地農民組織のUNAC など23のモザンビークの市民社会団体から公開書簡が出されているにもかかわらず、これに対する返事がいまだにないことに対して、書面にて公開書簡に返答してもらいたいと要求しました。2では、前述した3点の事実をふまえて、ていねいで独立した現地調査をふまえて案件を組み立て、フレームワーク全体の抜本的な改革を行うことを要求しました。

要求項目の3〜5は、対話のあり方についての要求です。これまでもJICA・外務省は対話を大事にすると言ってきましたが、不十分なものでしかありませんでした。

3では、プロサバンナ事業に対してかなり批判的な意見を持っているUNAC が対話から排除されている現状を見直して、UNAC の意見もきちんと聞いてほしいと要求しました。4では、PDIF の第2次募集が今年7月に行われたことについての説明を求めました。PDIF は見直しが求められているにもかかわらず第2次募集が行われ、モザンビークの農民は不信感を募らせています。なぜ農民の声に反して事業を進めているか、対話とはどうあるべきなのかについて考え直してもらいたいと思います。5では、十分な情報公開と説明責任を要求しました。農民と市民社会にきちんと情報が伝わり、理解してもらうにはどうしたらいいのかについて、モザンビーク市民社会ときちんと話し合うことを求めました。

要求項目の6〜7では、小農支援のあり方について提案しました。6では、UNAC が作成した持続可能な「家族農業支援のための国家計画案」を参考にして、小農支援がどうあるべきか考えてもらいたいと要求しました。7では、農民の権利について要求しています。

DUAT の取得によって移住型農業から定住型農業に変更することがプロサバンナ事業の一つの方向性とし打ち出されていますが、この選択は農民自身に託してもらいたい。農民に十分な情報を提供し、考える時間をしっかりと保障して、農民自身がどうすべきか決めることが、農民の権利を守ることになるでしょう。

現地調査からプロサバンナ事業を問い直す


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