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DNDiの調査・研究によって生み出された新しい薬と治療法

『アフリカNOW 』87号(2010年2月28日発行)掲載

執筆:平林史子
ひらばやし ふみこ:DNDi(顧みられない病気のための新薬イニシアティブ)Japan代表。大学卒業後、外資系製薬企業で8年間勤務後、香港で多国籍投資信託会社のマーケティング・コーディネーター、タイの病院において薬剤師として働く。2000年に国境なき医師団日本に参加。「必須医薬品キャンペーン」を担当した後、ウガンダのHIV / AIDSプロジェクトにフィールド薬剤師として派遣。2004年より現職 。


DNDiは、2014年までに内臓リーシュマニア症(VL)、アフリカ睡眠病(HAT)、シャーガス病、マラリアに対し、6?8種類の新薬や治療方法を治療現場に送り出すこと、さらに、患者の治療ニーズに対応する強力なR & Dポートフォリオを構築することを第一の目標としています。そのために、ダンディー大学、ロンドン大学公衆衛生熱帯医学大学院(LSHTM)、アントワープ大学と密接に連携をとり、またMedicine for Malaria Venture (MMV)、結核治療薬開発世界連合 (GATB)、Consortium for Parasitic Drug Development (CPDD)と薬剤開発につながる関係を進めています。 DNDi はこれまでにグラクソ・スミスクライン(GSK)、サノフィ・アベンティス、メルク、ノバルティスといった製薬企業との協力関係を構築し、ファイザーやその他企業とも現在協力関係の構築に努めています。

アフリカでは、地域の政府機関・大学・研究機関・医療機関とともにアフリカ睡眠病プラットフォーム、リーシュマニア症東アフリカ・プラットフォーム(LEAP)を立ち上げて、病気の広がりや病原体・治療法について調査・研究を行うと共に、医療者への研修も実施しています。これまでの取り組みから新しい治療薬、新しい治療法が開発され、また現在開発中です。以下、アフリカに関わる取り組みを紹介します。

マラリア治療薬
マラリア治療薬への薬剤耐性マラリアが広がっており、地域によってはこれまでの治療薬では治療ができないところもあります。このような事態に対して、世界保健機関(WHO)は、アルテミシニン誘導体ともう一種類のマラリア治療薬を組み合わせた併用療法を推奨しています。
DNDiがサノフィ・アベンティスと共同開発したASAQは、WHOの要求に応えるアルテスネート(AS)とアモジアキン(AQ)の新しい合剤(FDC)です。サノフィ・アベンティスが主としてアフリカ向けに製造・販売しています。以下の特徴があります。
(1)年齢に基づくシンプルな処方。乳幼児・小児・青年期は1日1錠、3日間投与。成人は1日2錠、3日間投与。
(2)過量・過少投与を避けるため最適化された配合比率。
(3)WHOの事前承認リストに収載されたアモジアキンとアルテスネートによる初めての抗マラリア合剤です。
(4)現在サハラ以南のアフリカ24カ国で承認済。
2008年の治療件数は延べ530万人、2009年末までに、延べ2,000万人以上に提供される予定です。またDNDiは、ブラジルの政府系研究所と協力して、ブラジルの薬剤耐性マラリアに対応する、アルテスネート(AS)とメフロキン(MQ)の新しい合剤ASMQも開発しました。こちらの特徴は、次のとおりです。
(5)小児にも成人にも簡易な1-2-3の服用:1日1回、1回に1?2錠を3日間投与。
(6)2008年3月にブラジルで承認され、ブラジル当局によって実施された試験で目覚しい成果を遂げています。
(7)Aラテン・アメリカと南アジアの国々で間もなく承認される予定です。
(8)妊婦に対するASMQの治療上の有用性を評価するための臨床試験が進行中。アフリカでの使用を検証するための試験が計画されています。
ASAQはこれまでの治療薬の半額、大人向け1日1米ドル以下、子ども向け1日50米セントで供給されています。

アフリカ睡眠病の新しい治療法:NECT
DNDiが取り組んできたニフルチモックスとエフロルニチンの併用療法臨床試験の結果、2009年4月、WHO必須医薬品リス(EML)に収載されました。それまで、1日4回の点滴を2週間続けることが必要だったアフリカ睡眠病第2ステージの治療が、1日2回の点滴と服薬が1週間ですむようになりました。

内臓リーシュマニア症の治療法開発
東アフリカで1,000名以上の患者および多くの医療機関が参加してパロモマイシン(PM)とスチボグルコン酸ナトリウム(SSG)の併用による短期治療効果の評価と、パロモマイシンの承認申請を目的とした臨床試験を実施しました。また、2009年にはアンビソームの臨床試験も開始しました。

顧みられない病気に対する取り組み
平林史子さんに聞く-DNDi: 顧みられない病気のための新薬イニシアティ
神戸国際大学ブルーリ潰瘍問題支援プロジェクトの取り組み 新山智基


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