エイズ・結核・マラリアの「三大感染症」の終息と途上国の保健システム強化のために2024-26年の三年間で必要とする資金を集めるプロセスです。
グローバルファンドは、2011年に「新規資金拠出モデル」(New Funding Model)を採用して以降、3年に1回、増資(replenishment)を行い、そこで集まった金額をベースに、途上国の三大感染症や保健システム強化などへの資金配分を決定しています。近い過去を振り返ると、第5次増資プロセスが2016年、第6次増資プロセスが2019年にあり、各増資期間で集めた資金をベースに、途上国の三大感染症対策の資金拠出を行っています。
グローバルファンドが2024~26年に拠出する資金を集める「第7次増資プロセス」は2022年を通じて行われます。2022年2月にアフリカの5か国(コンゴ民主共和国、ケニア、ルワンダ、セネガル、南アフリカ共和国)の首脳の呼びかけで「増資準備会議」が開催され、そこで、第6次増資の目標金額(140億ドル)から28.6%増の180億ドルという増資目標が承認されました。これは、コロナ下で三大感染症のこれまでの対策の成果が大きく後退したこと、また、コロナ下での三大感染症対策の実施には、通常時よりも多くの資金がかかること、さらに、保健システム強化への取り組みを加速させる必要があることによるものです。
増資準備会議を受けて、各国は目標額を達成するための資金誓約へと進みます。米国は目標額の3分の1である60億ドルの拠出を誓約。第5位の拠出国である日本は8月27日、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の開会セッションで岸田文雄総理が10.8億ドルの拠出誓約を発表しました。これは、前回の日本の拠出誓約(8.4億ドル)から、ちょうど28.6%増額したもので、グローバルファンドの増資の成功に向けて日本のリーダーシップを発揮したものとして世界から称賛されました。第4位の拠出国であるドイツはそれまでに前回から20%増の12億ユーロの拠出誓約をしていましたが、9月8日、これを10%積み増し、30%増の13億ユーロの拠出を誓約しました。増資期間のゴールとなる増資会議は、9月18-19日に米国ニューヨークにて、バイデン米国大統領の主催で行われることとなっています。
アフリカ日本協議会は、アフリカのエイズ問題への政策面からの取り組みを2000年以降行っており、グローバルファンドについては、2002年の設立以来、20年間にわたって日本の市民社会としてその取り組みを支援してきました。今回も、同様にグローバルファンドに関する拠出増の働きかけやアドボカシーに取り組むアジア・太平洋やアフリカなどの市民社会ネットワーク、また、日本国内でエイズ・結核・マラリアや保健システムの課題に取り組む市民社会団体と連携して取り組んできました。日本政府の10.8億ドル誓約については、三大感染症を終わらせ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するうえで必要な貢献を日本が率先して行い、世界に範を示したことを高く評価するものです。
グローバルファンド第7次増資に向けた取り組み ニュース&アクション グローバルファンドの第7次増資に関わるニュースと行動提起については、こちらをご覧ください。 |