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農村・農業開発におけるNGOの役割

-ガーナ国での活動を通して-

食料安全保障研究会 第4回 公開講座 報告

日時:2002年4月25日(木)18時50分-21時
会場:東京都文京区立茗台生涯学習館
講師:増見国弘さん(国際開発フロンティア機構 理事長)
題目:「農村・農業開発におけるNGOの役割-ガーナ国での活動を通して-」

講師プロフィール

増見国弘氏(日本大学生物資源科学部助教授、国際開発フロンティア機構理事長)
講師からのひと言
我が国の途上国への農業協力(ODA)は、今日まで相手国農民の実態から問題発掘をして行く現場直結型プロジェクトというより、セクター別縦割り技術の政府間技術移転という性格を持ち、現在もその色彩を色濃くしている。我が国のNGO農業協力はこうしたODA農業協力とどのような力点の差を置いて活動すべきなのか。ガーナでのIDFO(NGO)とJICA農業プロジェクトとの活動体験をもとに述べると共に、今後の日本のアフリカへの農業協力のあり方とNGOの役割と活動について皆様と考えていきたい

出席者

今回は、開発コンサルタント、NGO、JICA、研究者といった「開発」の業務に関わる方の他、学生の参加者も多かった。合わせて28名になる。

内容

河内が司会を担当した。はじめに、講師の方から解説を頂き、その後、質疑応答/討議へと進んだ。

配布レジュメ(本文)

1.はじめに

  1. 特定非営利活動法人 国際開発フロンティア機構(IDFO)について

    「風の学校」海外分校として1981年フィリピンに熱帯農業研修所設立、1996年「国際開発フロンティア機構」

  2. アフリカとの出会い

    1986年のエジプトの稲作機械化プロジェクト、1991年象牙稲作機械化訓練計画事前調査、同年エジプト第三国研修評価、1996年象牙稲作機械化終了時評価、1996年ガーナ小規模灌漑農業振興計画長期調査、同年道実施競技調査、1996年から2002年2月までJICA営農・農民組織化専門家、2001年ガーナ大統領の招待により自民党援助調査団 同年AICAFの実証調査の候補地選定

2.ODA農業開発協力の実態と課題
-セクター別縦割り技術の政府間技術移転-

  1. プロジェクト発掘・採択・形成(R/D)およびTSI
  2. プロジェクト実施運営と専門家活動
  3. モニター、終了時評価
  4. 調査団派遣と本部、国内支援委員会、現地事務所、日本大使館等の支援制
  5. 各省会議 農林水産省、JICA、外務省

3.我が国の農業・農村開発協力NGOの現状と課題

  1. 小規模な資金と連帯性の不足
  2. マネージメント能力の不足
  3. 組織作りなど構造再編の取り組みの未熟

4.ガーナでのODA及びNGO活動の事例から

1)IDFOの活動

a. ガーナ・伝統的村落社会における農民の組織化による土地利用の高度化
b. ガーナ北部地域における女性の地位向上のための農民組織化支援

2)ODAの活動

ガーナ小規模農業振興計画:モデル営農システムを改善する

5.NGOの役割

地域社会密着型をより深めるため、相手国農村・農民社会の深部に入り込んで活動することによって社会的責任を負う生活をももつことである。NGOは、農民の自助努力(オーナーシップ)によるムラづくり・組織作りや貧困層への到達のため、場合によっては、ムラの社旗構造にまで切り込んでプロジェクトを展開すること。

  1. 社会構造(制度、社会)内部からのアプローチ
  2. 村作り、組織作り、貧困層への
  3. 流通、クレジット
  4. ODAの対座勢力、補完勢力となる。

講師からの指摘と提言

1)日本の技術方式とPCM

  • 日本のJICA技術協力は「直営方式」、ドイツのGTZも同様の方式であるが経済協力省と案件の契約を結んだ「直営方式」である。米国のUSAIDはコンサルタント、大学、NGOへの「委託方式」である。このような委託方式であるから第三者機関による外部評価が実施しやすく、専門家、コンサルタント等の競争原理により効率効果的な援助が実施できると考える。
  • GTZとJICAの仕組み・制度が異なることから、現在のJICAの事前、長期、R/D等の各調査団のメンバーが異なる分業方式、専門家リクルート方式によるチーム編成とプロジェクト運営方式ではPCMによる効果・効率的プロジェクト運営は図られないと思われる。
    PCMの問題をよく聞くが日本の制度・仕組みに合ったプロジェクト運営管理方式をつくることが必要ではないか。
  • ガーナのプロジェクト長期調査に派遣された時、東京で「問題分析」のマトリックスを作成し現地に行った。相手国の実施機関は現地調査も十分行っていないのなぜ「問題分析」ができたのかと非公式に言っていた。現地の実態調査が十分行われないままに、プロジェクトの課題が設定された。
  • モニター、評価についても現地専門家が主に作成し、調査団が確認するという評価方式である。

2)アフリカの食糧増産への取り組みについて

  • アフリカの食糧増産にまず米ありきと言うことでよいのであろうか。
    アフリカでは水は貴重な生活用水である。代かき、仕込み水等大量の水を必要とする水田稲作は水不足のアフリカ農民の眼にどのように映るであろうか。換金作物であり雑穀物であるこのような米は日本人が考える米ではないと考えられる。食糧として根菜類、トウモロコシ、プランティーンバナナ等多くの食料作物があり、米はその中のひとつであることから農民は収益性のある作物を選択するであろう。生産性追求だけでなく米は高コスト、低価格と言われている面にあることから農家経営からも作物の導入を検討することが重要であろう。

3)NGO

  • 国家のニーズと農民のニーズは一致しない場合がある。国家の食糧自給、外貨節減の米政策と農民の欲する農業所得の向上とは一致しないこともある。
  • ODAは官から官への技術移転である。現場からのアプローチではない。NGOは農村社会の内部の変革が求められる場合がある。
  • NGOは資金不足のため継続性が難しい。
  • NGOはODAの対座勢力、補完勢力として存在することが必要である。

4)今後のあり方etc.

  • JICAも協力の効率・効果を図るため直営方式から委託方式にすることが必要ではないか。
  • 専門家の活動を支援するためまた相手国のためにもリーダー、現地事務所は相手国実施機関に言うべきをきちんと言うことが必要ではないか。ガーナでの活動ではその必要性を強く感じた。私自身農民組織・営農が担当であり「農民組織育成強化」に努めるた結果、実施機関の総裁等一部はあまりその活動を快く思わなく、延長について2回否定されたが農民組織および大臣がその成果を認め延長支援をしてくれた。その時リーダー、現地事務所の役割に疑問を感じた。その後その農民組織は立派に育ち、農業大臣も大変評価し農民組織の成果について各地域で演説を行っている。
  • 協力隊派遣についてその枠をNGOにも与えることにより、より現場からのアプローチができ、成果が期待できるのではないか。

コメント

・とにかく専門用語が多いので、解説が欲しい。
→別途。AJFのHPにアップします。

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