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COVAX、中国ワクチン1億本を9月末までに途上国に供給

中国では複数の製薬企業が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを開発・製造しているが、このうち、多くの途上国で使われているのが中国国家医薬集団(シノファーム)・北京生物製剤研究所のワクチンと、中国科興生物製品(シノバック)のワクチンである。このうちシノファームのワクチンは5月7日、シノバックのワクチンは6月1日、世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに掲載された。

中所得国を中心に広く二国間で流通してきた中国ワクチン

COVID-19に関する多国間協力の枠組みであるACTアクセラレーター(COVID-19製品アクセス促進枠組み)でワクチンの開発と供給を担当するCOVAXは、WHOが緊急使用リストに掲載したワクチンを使用することになっている。COVAXは感染爆発に直面したインドのワクチン一時禁輸措置により、あてにしていたインド血清研究所(SII)製のアストラゼネカ・ワクチンの供給が止まったためにワクチン供給の機能を低下させていたが、2つの中国ワクチンがWHO緊急使用リストに掲載されたことから、まず、シノファームとシノバックのワクチン1億本を8月から9月末までにアジア・アフリカに供給することを決定した。供給はすでに始まっており、中国のコンサルティング企業Bridgeが公開している「中国COVID-19ワクチン・トラッカー」ウェブサイトによると、8月30日までにバングラデシュ、パキスタンに出荷されている。今後もアルジェリア、ウガンダ、キルギスなどに供給されることとなっている。

各国への技術移転と各国での生産も促進

同ウェブサイトによると、上記2社のワクチンを中心に、中国ワクチンはこれまで合計11.5億本の販売契約と5400万本の寄付契約が決定し、現在までに供給されたのは6.93億本であるという。販売先は中南米、中東・北アフリカ、東南アジアなどの中所得国であり、サハラ以南アフリカでは41カ国に供給されてはいるものの、全体に対する割合は他地域と比較してかなり低くなっている。一方、中国はワクチンを必要とする各国に技術移転をして各国の製薬企業で製造し、各国で供給するプログラムも行っており、エジプト、モロッコ、アルジェリア、アラブ首長国連邦、セルビアなどのワクチン・製薬企業が中国からの技術移転を受けてワクチンを製造し、各国で使用している。

COVAXはまた、英グラクソ・スミスクラインや米ダイナヴァックス社と連携してワクチンの開発を行っている中国の三叶草生物製薬(クローバー・バイオファーマシューティカル社)との間で、同社のワクチンがWHOの緊急使用リストに掲載された段階で4億1400万本の供給を受けることになっている。このワクチンは開発資金の一部について、COVAXの開発分野を統括しているCEPI(感染症流行対策イノベーション連合)の拠出を受けている。

インド企業は世界初のDNAワクチン開発に成功

COVID-19ワクチンについては、中国やロシア、インド、キューバの企業や研究機関が、欧米メガファーマとは別に独自にワクチンを開発しているが、WHOの緊急使用リストに掲載され、多国間協力の枠組みで活用されるようになったのは中国のワクチンが初めてである。ロシアのガマレヤ疫学・微生物学研究所が開発したウイルスベクターワクチン「スプートニクV」は提出資料が少なく、まだ緊急使用リスト掲載に至っていない。また、インドのバラット・バイオテック社が開発した不活化ワクチン「コバクシン」も、審査を待っている状況である。キューバが開発したソブラナ2・ソブラナ3・アブダラの3種類のワクチンも審査継続中となっている。なお、インドのワクチンメーカー、ザイダス・カディラ社(Zydus Cadila、カディラ・ヘルスケア)は、世界初のDNAワクチンを開発し、インドの医薬品許認可当局はこれを承認した。COVID-19ワクチン開発に関する中国、インドの台頭は、その供給のボリュームの大きさや、多国間協力枠組みへの参加なども含めて、いわゆる「ワクチン外交」の範疇を越えている。COVID-19を踏まえたパンデミック対策・対応や国際保健安全保障枠組みの構築に、こうした国々がどのように参画していくかは、こうした枠組みが真にグローバルなものとして成功するかどうかの試金石の一つと言える。