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COVID-19に関する国際保健活動報告

「新型コロナウイルス感染症」(COVID-19):
積極的に動くアフリカや世界の市民社会
COVID-19に関するアフリカ日本協議会の国際保健活動=

昨年末に東アジアから登場した「新型コロナウイルス感染症」(2019年コロナウイルス病、以下「COVID-19」)は、いまや世界中で猛威を振るい、世界人口の半分以上が外出や行動の制限の下に置かれています。これまでグローバルなつながりをよしとして動いてきた世界は、COVID-19パンデミック(地球規模感染症)によって、一気に反転させられています。

一方、2月下旬以降、欧州や北米をCOVID-19が席巻してから、欧米、アジア、アフリカをはじめ、世界の市民社会はCOVID-19に関わる情報分析、政策提言、また、現場での活動を始めています。アフリカ日本協議会(AJF)の国際保健部門では、これまで、HIV/AIDSや結核、また、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(必要とする質の高い保健・医療を、お金の心配をせずに受けられる仕組みづくり)について、世界の市民社会と連携して、特に政策提言やネットワーキングの面で取り組んできました。私たちが関係を持ってきた様々なネットワークでも、COVID-19について、タスクフォースを作り、毎週インターネット会議などをもって、これをどのように打ち返していくか、また、政府や国際機関の政策をどう改善していくかについて、声明を出したり、ネット上でのキャンペーンや政策提言を行ったりして、積極的に取り組んでいます。

以下、AJFが関わっている様々なネットワークでの取り組みや、AJFとしてリードしているNGOの取り組み等について報告していきます。

1.各ネットワークの声明・提言などへの賛同

(1)GFAN(グローバルファンド活動者ネットワーク)の声明

アフリカ日本協議会は、2000年以降、アフリカのエイズ問題に取り組み、その中で、アフリカを中心に途上国のエイズ・結核・マラリア対策に資金を供給する国際機関「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の取り組みを支援する世界の市民社会のネットワーク「GFAN」(Global Fund Advocates Network, グローバルファンド活動者ネットワーク、事務局=オランダ)に参加してきました。

このネットワークでは、毎年3月初頭にオランダで世界戦略会議を開催しており、ここ2年は、AJFから稲場と廣内が参加しています。本年は、この世界戦略会議で「COVID-19緊急タスクフォース」が設置され、特にグローバルファンドのCOVID-19対策に関して、政策提言を行うことになり、AJFからは稲場がタスクフォースに参加しています。

このタスクフォースで、グローバルファンドのCOVID-19に関する取り組みについての声明がまとまり、AJFとしても賛同しました。内容としては以下の通りです。

◎グローバルファンドはCOVID-19への対応について、人権に基づいたアプローチをとり、COVID-19やそれへの対策がもたらしかねない貧困や暴力、差別などに取組み、保健システムを強化する必要がある。
◎COVID-19やそれへの対策の影響によって、結核・HIV/AIDS、マラリアに関する取り組みが途絶しないようにしなければならない。
◎「誰一人取り残さない」という立場から、他の保健の国際機関との連携においてリーダーシップを発揮し、質の高いCOVID-19保健医療対策を実現する必要がある。また、保健ワーカーのCOVID-19への感染を防ぐための必要な取り組みを行う。等

(声明)COVID-19に対する「ひと中心」のアプローチ:対応の中心に人権を(英語)
https://www.globalfundadvocatesnetwork.org/tools-for-advocacy/covid-19-resources/covid-19-key-asks/

なお、グローバルファンドはすでに、16ヶ国でCOVID-19対策への資金拠出を行っているほか、広域向け資金の枠組みの一つである「コミュニティ・権利・ジェンダー・プログラム」では、アジア・アフリカの市民社会の取り組みへの拠出計画が進められています。

(2)「グローバルCOVID19アドボカシー調整ハブ」の「8原則」

一方、これまでG7、G20サミットに向けた世界の市民社会の政策提言をリードしてきた「G7/G20市民社会ワーキンググループ」の枠組みでは、「グローバルCOVID-19アドボカシー調整ハブ」(Global COVID-19 Advocacy Coordination Hub)という、情報交換と政策提言の仕組みができています。ここでは、毎週電話会議を行い、COVID-19への対策がどうあるべきかについて、8つの原則をまとめました。これについては、稲場がメンバーとなってインターネット会議に参加しています。この「原則」についても、AJFとして賛同しました。原則は以下の通りです。

◎「ひと」を第一に
◎人権を守る
◎普遍性(すべての人が平等に保健・医療や資金支援等にアクセスできるようにすべき)}
◎比例措置(対策は過不足があってはならず、COVID-19対策以外の政治的な意図などを持ち込むべきでない)
◎説明責任を果たす
◎地球規模(COVID-19はグローバルな課題なので、国を越えた取り組みや協力が必要)
◎未来志向(COVID-19対策や経済対策等は中長期のビジョンを持つべき)
◎害をなさない(Do no harm)

COVID-19対策に関する8原則(英語)
http://www.thesherpatimes.com/principles/

(3)米国のNGO「パブリック・シチズン」の声明

プライマリー・ヘルス・ケア(PHC)をベースに、世界レベルで公共の保健医療制度の拡充と市民レベルでの保健への取り組みを進める運動体の政策提言のためのネットワークとして、「ピープルズ・ヘルス・ムーブメント」(PHM)があります。このPHMは、昨年亡くなった南アフリカ共和国・西ケープ大学のデイヴィッド・サンダース氏が設立、リードしてきたネットワークです。PHMは、医薬品に関する過剰な知的財産権保護など、途上国においてPHCを妨げかねない制度や、保健医療従事者に対する抑圧・人権侵害への抗議に、世界規模で取り組んできました。日本では、(特活)シェアやアジア保健研修所などがPHMと連携しており、AJFもPHMとの関係づくりに取組んでいます。このPHMが、COVID-19に関する医薬品の研究開発と、途上国で必要とする人へのアクセスの促進を訴える米国のNGO「パブリック・シチズン」の声明への賛同を呼びかけたので、AJFとしても賛同しました。趣旨は、COVID-19の治療薬や診断に使う医薬品や装置、その他は、グローバルな協力の下で開発され、必要な人すべてにアクセスを保証すべき、という内容です。

COVID-19:世界のアクセス、イノベーションと協力(英語)
https://www.citizen.org/article/covid-19-principles-for-global-access-innovation-and-cooperation/

2.AJFとして取り組むCOVID-19に関わる政策提言

上記の「賛同」以外に、AJFで国際保健の文脈で以下の取り組みを行っています。

(1)C20(市民20)での国際保健の取り組み

昨年、大阪で開催されたG20サミットに向けた、世界の市民からの公式な政策提言の機会として、「C20」(市民20)がありました。AJFはC20の国際保健ワーキンググループの国内コーディネイターとして、世界の市民社会のネットワーキングと政策提言を担いました。本年のG20開催国はサウジアラビアですが、前年度の開催国である日本の市民社会として、今年のC20に積極的に参加しています。C20国際保健ワーキンググループは、COVID-19に関する提言を3月2日にまとめ、C20以外の6つの公式な提言グループ(B20(ビジネス)、L20(労働)、T20(シンクタンク)、W20(女性)、Y20(ユース)等とともに発表しました。

G20参画グループによる地球規模感染症への対応力強化に関する要望(英語)
https://civil-20.org/joint-statement-on-global-pandemic-preparedness-2/

また、3月24日には、G20の政府側の保健ワーキンググループとC20保健ワーキンググループの対話をヴァーチャルで行い、アジア太平洋やアフリカの市民社会のCOVID-19への取り組みの紹介や政府の対策への評価などについての調整を行いました。結果として、エチオピア、韓国、中国、シンガポールの市民社会代表から、COVID-19に関する政府の対策に関する市民社会としての評価や課題の提示などを行うことが出来ました。

(2)アフリカ・アジアの市民社会との連携

Photo in GFAN mtg2020
EANNASOのムンバ事務局長、RAMEのユグバレ調整役と(2020年3月)

上に述べたGFAN(グローバルファンド活動者ネットワーク)において、AJFは、GFANアフリカとの連携で、TICADにおける保健分野の政策アドボカシーを実施してきました。

このGFANアフリカは、英語圏については「東アフリカ地域国家エイズ・サービス組織ネットワーク」(EANNASO、本部タンザニア(アルーシャ))、仏語圏については「必須医薬品アクセス連合」(RAME、本部ブルキナファソ(ワガドゥグ)が主要な構成団体となっており、これらのネットワークは、グローバルファンドが、国境をまたがって資金を拠出する「広域・イノベーションのための資金拠出」枠にある、市民社会への資金拠出の仕組み「コミュニティ・権利およびジェンダー・プログラム」(CRG)の資金の受け手として機能しています。

APCASO Members
APCASOの代表評議会メンバーたちと
(2018年、韓国)

また、アジアでは、同様にGFANアジア太平洋(GFAN AP)があり、稲場が運営委員を務めていますが、このGFAN APの事務局を務めるAPCASO(旧・アジア太平洋エイズ・サービス組織評議会)も、上記CRGのアジア太平洋地域での資金の受け手となっています。

AJFは、このGFANアフリカおよびGFANアジア太平洋と連携して、特に日本が関わる国際的な機会(TICADやG20、G7など)に、これらのネットワークと共同で政策

提言を行っています。今回のCOVID-19に関しても、C20などの機会に、政策提言などにおいて積極的に連携しています。

(3)日本の保健分野市民社会のネットワーキングと提言

JFは、日本の保健分野のNGOと外務省の定期的な対話の機会である「GII/IDI懇談会」で、NGO側連絡会の代表を務めています。今回のCOVID-19の事態に際して、GII/IDI懇談会で、日本の国際保健政策の中でのCOVID-19対策について、政策提言を行うこととなり、これについて、同連絡会の事務局を務める(公財)ジョイセフと協力して、提言の作成や、外務省とのヴァーチャルな対話機会の確保を進めています。

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