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アフリカ日本協議会ってなんだ?

『アフリカNOW』 No.20(1996年発行)掲載

アフリカ日本協議会って何をしている団体ですか?とよく質問されます。パンフレットを読んでもよく分からない。何でもやっていそうで、でも何をしているのか分からない。協議会という名のわりにはメンバーが片寄っている等など。そんなアフリカ日本協議会も今年で3年目を迎えました。まさに正念場です。今号では、6月1日の総会を前に、アフリカ日本協議会がどのようにして生まれ、どこに進もうとしているのか?その原点である『アフリカシンポジウム』から振り返って見てみたいと思います。活動の中心にいるのは、今は確かに少人数の人間かもしれませんが、これからの方向性を打ち出し、活動を前進させていくのは、まさにこれを読んでいるあなた自身です。 (文責:事務局長 尾関葉子)


誰のための開発か 協議会の設立

1993年10月東京アフリカ開発会議(以下TICAD)が開かれた。アフリカに関しての会議としては、今世紀最後で最大の会議と言われたこの会議に向けて、NGOからも発言をしようと何人かのNGO関係者、アフリカ研究者が集まって話し合った。1993年の4月のことである。世界中がアフリカを何とかしようとしているにも関わらず、成果が乏しいのは『援助する側に何か問題があるか、世界の枠組みの中でアフリカが発展できない仕組みになっている』のではないか?現在のアフリカの開発は『援助する側』の価値観、尺度に基づくものであり、アフリカ側のそれとは大きく異なるのではという問いがシンポジウム開催のきっかけであった。

アフリカの何を知っているのか?

アフリカシンポジウムの開催を決定した当初は、TICADに向けたNGOの会議とするつもりであった。しかし、準備が進むにつれ、沸き上がってきたものは、私達はアフリカの何を知っているのか?という疑問であった。アフリカの開発とは言っても地域も広く、テーマも多い。何をメイン・テーマにしてシンポジウムを行うかTICADの為だけのシンポジウムに終始するのではなく、自分達なりの開発に関するシンポジウムを開こう、アフリカの草の根の人々が考える『開発』とは何なのか?アフリカのNGOが何をめざしてどんな活動をしているのか?それを聞き、共に考える時間にしようということになった。その後、アフリカのNGOから9名を招くことが決まり、10月2・3日の2日間で『アフリカシンポジウム』が延べ700名を越す参加者とともに開催された。準備段階から総勢、千人を越す人の力の集大成である。

自ら参加したい

アフリカシンポジウムでは『援助する』側からの価値観や評価ではなく、『援助される側』の価値観、評価に基づいてアフリカの問題を捉えようとした。アフリカ各地から来日した9人のゲスト達がシンポジウムで主張したことは『自分たちの国の開発に自分たちを参加させてほしい』というものであった。住民不在の開発に反対の声をあげたくてもあげられない人々が存在しており、当たり前のように住民不在の開発計画が実行されている。『金が欲しいのではない』という彼らの言葉に、今おこなわれている開発はいったい誰の為のものなのか、考えさせられた2日間であった。

出会いの場として

シンポジウムで参加者が確認したことは、草の根の人々の代弁者であるNGOがもっと力をつけなくてはアフリカの人々の暮らしは良くならないということであった。その為に日本に何ができるか?

一方では年々増えるODA。そのODAをこれまでの小規模無償資金協力(注:現在のいわゆる「草の根無償」)やNGO事業補助金といった1年限りのプロジェクト単位ではない形で現地のNGOに還流できないか?と考えた。

と同時に、アフリカシンポジウムの準備段階からシンポジウムが終わってしまえばただそれだけなのか?と誰もが考えるようになった。せっかく集まったNGOは現場に、研究者はまた自分のフィールドに戻っていく。また、これからアフリカの開発に参加したいと思っている人々も、個々バラバラになっていく。このシンポジウムのために集まった力を保ち続けることはできないだろうか?どこかに立場を越えてアフリカのことを真剣に話し合える場所が必要ではないだろうか?打ち上げ花火のようにパッと咲いて散ってしまうのではなく、ここから始まる活動をおこそうと誰かが言い出した。

『協議会』のアイデアはしだいにふくらみ、シンポジウムで採択された提言書の中に盛り込まれた。アフリカの開発を考え、討議し、行動を生み出す場所として、参加した人がまた個々に活動を続けていける場として、そしてさらにはODAがもっとアフリカのNGOを支援することが出来るような仕組みのために、日本側で受け皿となる団体を目指して協議会が生まれた。

まず日本へのアピールを

そうしたことを可能にするにはまず、日本の中でのアフリカへの関心度をあげる必要がある。しかし、相変わらずアフリカのイメージは難民、飢餓、干ばつ、内戦といったものばかりである。日本にいると、アフリカの各地で自らの力で問題を解決しようとしている人々の姿は伝わってこない。そしてなにより現在、日本の国内で入手できるアフリカの情報が少なすぎる。どこにアクセスしたらよいかもわからない。『協議会』がアフリカの情報を発信する窓口となる必要があると考えた。そのためにも、もっと多くの人がこの活動に参加・協力してもらうことが必要である。情報源として、日本国内にある情報・経験の集約をすることが急務になった。

1年目は幸運なことに、新聞や雑誌が何度か協議会のことを取り上げてくれた。それらを通じて、アフリカに関わる個人や団体に協議会のことを知ってもらうことができた。記事になることで、協議会の知名度をあげ、未知なるアフリカ関係者を増やそうとするものだった。また、1年目の戦略としては『やれそうなことはとりあえず何でもやる』というものだった。色々やってみて、その中から何が効果的で、何が難しく、何が求められているのかを知ろうとした。

具体的な活動

活動は対象別に、日本国内、アフリカ向け、国際社会向けに分かれる。その中で中心はやはり、国内活動である。国内活動は、1.情報収集、2.NGOとのネットワーク、そして3.情報発信。とりわけ3.情報発信は活動のほとんどを占めている。具体的には日常の電話応対や会報、FAXニュースリリースの作成・発行、理解講座開催や学校・地方公共団体への講師派遣、雑誌・新聞などの取材対応、原稿執筆がある。年に1度アフリカのNGOスタッフを招聘して開催するシンポジウムは活動の柱であるがこれも情報発信活動の1つである。

情報センター的役割・情報データベース

現状としては、この機能が一番望まれているのではないかと思う。事務局にかかってくる電話の半数以上が、一般から専門家まで広範囲な『アフリカの○○に関する情報はないか?』というものであるからだ。多くは日本国内でのアクセス先を知りたがっているものであるが、同様にアフリカ各国内の情報も求められている。現状としては、頻繁に情報交換をしている会員またはNGO、研究者からの情報を事務局で蓄積している状態である。そのため情報内容に地域やテーマの偏りがある。今後は情報内容を広範囲でしかも深いものにする必要があるだろう。

とは言うものの、情報は人を介して入手するものであるため、情報ソースを確立する作業が当面の課題である。ソースとしては、現地NGO、日本のNGO、青年海外協力隊員、欧米のNGO、ジャーナリスト、国連職員、研究者、JICAなどの専門家などが考えられよう。まずは定期的に、もしくは必要に応じてまたはいざという時に情報提供に協力してくれる人物を見出すことをしなければならない。そのために、国、地域、問題分野別と言う形でテーマを設定し、データベースを作り、そのテーマに関する情報は徹底的に収集し、フォローするスタンスで人材探しを行う必要があろう。

しかし、現実問題として、第一の情報源であるアフリカ側でのリソースパーソン発掘のための出張予算を獲得することは難しいし、全てのテーマをフォローすることも不可能であろう。現在はシンポジウム企画や国際会議参加などと絡めて出張を行い、リソースパーソンを増やしているが、今後はどの種類の情報に重点を置くか、プライオリティーを行う必要がある。

日本のNGOのまとめ役なのではないのか

設立当初、協議会はNGOと研究者が作るネットワークとしてその活動を始めた。しかし、NGOといえども、その主体は個人である。まず個人(自分)から始まるとして、活動の主体を個人会員とする事にした。もちろん、将来的には団体会員も検討してゆくつもりである。もともと、その名前をアフリカNGO協議体とするかどうか議論があったほど、アフリカに関するNGOのまとめ役として期待されている面は大きい。実際、NGOがまとまって行動をおこさなければならない時は、協議会は率先してその連絡調整役をかってでている。例えば、1994年の夏から冬にかけて日本でもかなり取り上げられたルワンダのケースでは、ルワンダ支援の日本国内団体のリストを作成し、官公庁、地方自治体に流すといった活動から始め、9月にはルワンダの問題をルワンダ国内、難民キャンプ双方から捉えようと自らルワンダ国内にミッションを送り、国内外のNGOと一緒にルワンダ人自身の手によるNGO活動への支援呼びかけのミーティングを持ったりもした。この様なNGO間の連絡調整はもとより、他にも国際機関とNGOのミーティングのセットアップや連絡調整も行っている。そのどれもが個々の問題分野別でNGO全体をまとめるという訳ではなく、たくさんのテーマ別のネットワークを作り、その各々のネットワークが重なり合ってさらに深めていくというイメージを抱いてもらえればよいのではないか。

そもそも、NGOは統括・管理されるべき対象ではないし、各主体で意見が異なるのは当然である。しかし、日本のアフリカ関係NGOが一度集まり、何かしら共通の問題や課題があるかどうか抽出する機会は作るべきであろう。共通課題がなければそれでよいし、なにかあれば協議会が中心となり、課題解決の為の対外交渉を進めるべきではないかと考えている。

シンポジウムは何のために行っているのか?

対象者として意識しているのは、国際協力に関わっている層、または今後関わっていきたいと考えている層である。つまり、NGO、ODA関係者、研究者、国際機関などに加え、開発や地域研究を学ぶ学生およびアフリカ問題に関心のある一般の人である。こうした人々を対象に、アフリカの草の根の人々の代弁者であるNGOが考えていること、行っていることを当人達の言葉で直接語ってもらう機会を1年に1回でも定期的に設けていくことは重要であると考えている。

毎回違ったテーマで統一がないのでは?

これまでのシンポジウムやセミナーでは、アフリカの現状を浮き彫りにするための様々な切り口を用いているが、狙いはアフリカの草の根の人々が考える開発、発展の姿を知り、そこから共に生きる道を考える為の機会とすることであり、その為に敢えて同一テーマではなく、毎回違った角度からアフリカを捉えようとしている。敢えて言えば、アフリカ側が主張するものは、『住民不在の開発からの脱却』であり、いかなる切り口であろうと、浮き彫りにされる問題点は、環境劣化と貧困、そして生活自立の難しさの悪循環であるという一連の流れがある。

過去2年間、官民協力(南アフリカ)、砂漠化(西アフリカ)、協同組合(ジンバブエ)と、多面的にテーマ設定してきたが、言い替えれば模索してきたものは、草の根の人々が望んでいる開発とはなにか?というものである。そして、それを彼らの言葉で語ってもらおうとしている。アフリカには様々な問題がある。そのどれもが重要な問題であるが、そのどんな問題に対しても人々は独自の解決法で挑んでいる。彼らがその諸問題にどう取り組み、何が問題で、どうしようとしているのか?その解決方法も、その視点も、もしかしたら国際社会の視点とは大きくずれているかも知れない。それであればなおさら、アフリカの人々の視点と同じ高さでものを捉えてみよう。それがシンポジウムの統一されたテーマである。今後も統一したテーマとしての草の根の人々が考える開発と国際協力のあり方との接点を探してゆきたいと考えている。

ODA資金環流の調整機能の話は進んでいるのか?

提言書にもある通り、ODAの受け皿となり、アフリカのNGOへ資金を流す窓口となることを掲げて発足した協議会である。ODA資金の流れを大枠から変えて、現地NGOに適切に還流させる仕組みを構築してゆこうという試みは、非常に重要であるが時間のかかることである。とりあえず、現在の資金の流れを定量的、定性的に把握することから始め、問題点の指摘や新規の資金提供方法を提示し、随時省庁、行政当局、国会議員などと議論の場を持つという方向で進めるのが望ましいと考える。まず、定期的な研究会かタスクフォースから始め、NGO活動推進センター(JANIC)やC’sなどの活動への参加とあわせて深めるべきであろう。同時に債務問題をはじめとする日本政府・各国政府ウォッチを求められている。とりわけ、政府がイニシャティブを取って進めている国際会議は常に存在し、そこでの決定事項が各国のアフリカへの協力体系に影響を与えることも多い。したがってアフリカに関する一連の国際会議を把握する必要度は高い。しかし、全ての国際会議をフォローしていくことは現状では不可能である。情報発信と同様に、自分たちの見解や姿勢を明確にしていき、その上で、プライオリティーをつけてゆく必要があるだろう。

アフリカ現地へは何をしているのか?

アフリカのNGOが最も必要としていること:『アフリカの人々が彼ら同士の経験を共有する機会を作り、国際社会に直接声を発信する機会を作る』という協議会の目標も、協議会の自己資金が確立されていない現状では具体的にこの為の活動を始めることは難しい。これまでのように、アフリカの人が日本に来る機会(セミナー、スピーカーズツアー)と日本人がアフリカに行く機会(調査や会議参加)を年に一度は作り出していくことが現地への働きかけの前段階としての情報発信やアフリカの人と日本人が直接出会える機会として必要であろう。

協議会の2つの動き

協議会には大きく分けて2つの特徴がある。ひとつはアフリカに関わる専門家の集団であること。そして誰でも参加できるオープンな場所であることである。この2つが離れてしまわずに、しかし互いが活動を深めつつ、前進していく術を模索しながら活動を続けたい。

フォーラム(場)として、触媒として

協議会はサラダボールの様なものだと考えてみてほしい。参加する各人が自分の持っている経験や、情報や意見をボールに投げかける。そして誰かと討論し、他の意見や技術を手にし、自分のフィールドやネットワークに投げかえす。協議会はそんな場所だと思っている。ネットワークとは1の財産(情報、経験など)を持っている人がネットワークに参加することでネットワークから10をもらうことだと言った人がいるが、その『10』が協議会に存在しなくてはネットワークは始まらない。『10』をつくる為には、多くの会員に参加してもらうことが必要不可欠である。よりいっそうの会員の参加で協議会の活動が今以上に盛んになることを願っている。


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