ジャーナリストが出会った子ども兵士たち

ーアミンが残した憎しみの連鎖ー

イベント概要

  • 日 時:2007年6月23日(土)14:30~16:30
  • 講 師:下村靖樹さん
  • 場 所:文京シビックホール

子ども兵士という存在をみなさんはご存知ですか?自分の背丈ほどの自動小銃を抱え、銃弾の飛び交う戦場で戦う少年少女が、世界には30万いると言われています。 この春公開され話題となった「ラスト・キング・オブ・スコットランド」の舞台となったウガンダ。この国にも多くの子ども兵士たちが、今なお存在しています。1986年から北部ウガンダでゲリラ活動を続けるLRA(神の抵抗軍)が、今までに6万5千人以上の子どもたちを誘拐し、強制的に兵士として戦わせたと言われています。 アフリカ一の独裁者と言われたウガンダ大統領アミンが残したものは何だったのか?アミンが去ってから20年以上経過した現在のウガンダの姿は?アフリカで 10年以上取材を続けているジャーナリストの下村靖樹さんを講師に迎え、北部ウガンダで出会った子ども兵士の姿を伝えてもらいます。子ども兵士を取材し、想像を絶する残酷さと救いようのない現実を目の当たりにして絶望したという下村さん。その下村さんに希望を与えてくれたのもまた苦しみの底から立ち直った、子ども兵士たちでした。

アフリカのニュースや映画を見ただけではわからないアフリカのこと、さらにその一歩踏み込んだ先のアフリカのことを、子ども兵士の話を通じて知ってみませんか? 最近話題になることが増え始めたアフリカですが、まだまだリアルな声を聞く機会は少ないことと思います。このイベントをきっかけにアフリカについてもっと学んでみませんか?

講師プロフィール

下村靖樹さん
フリージャーナリスト。一過的な「ニュース」だけではなく、その背後に隠された人々や、「ニュース」の「その後」を取材対象とする。また日本とは様々な意味で対極にあるアフリカで起きる事件や生活する人々の姿を通し、日本と日本人を顧みる。 活動地域は主にアフリカのグレートレイクス・レジョン (ルワンダ・ケニア・タンザニア・ウガンダ)とソマリア。フォトルポルタージュ・ビデオルポルタージュ・講演などを行っている。

【Website】 http://www.realtime-press.com/

イベント報告

下村さん は、グレートレイクス・レジョン (ルワンダ・ケニア・タンザニア・ウガンダ) とソマリアでの活動を中心として、アフリカに10年以上関わっていらっしゃる方 です。日本では、フォトルポルタージュ・ビデオルポルタージュや講演などを 行っています。今回の講演では、現地での取材からの写真や映像を交えながら、 主に北部ウガンダの子ども兵士や、そこから派生するウガンダの話、ジャーナリ ストとしてのご自身の経験談などをお話して頂きました。
参加者はお客様28名、 ボランティア10名の計38 名で、定員30名の会場に対し、満員御礼となり、ボラ ンティアの方には立ち見をして頂くことになってしまうほどでした。

アフリカひろば第19回

はじめに下村さんが行ったのは、アフリカに関してのクイズ。このクイズは参加 者に立ってもらい不正解の人は座っていく方式で、最後に残った人には下村さん からポストカードが渡されました。クイズに出されたのは、例えばこんな問題です。

Q.次のものの中でアフリカにないものは?
1. 野球場 2.スキー場 3.オーロラビジョン

この他にも様々なタイプの問題が出題され、楽しみながらアフリカについて学べ るといった内容でした。特に下村さんのユニークな経験談を交えた問題では、会 場から笑いが生まれました。

写真で説明

さて、クイズで会場が暖まった後は、子ども兵士の話です。
写真や映像を交えながら、子ども兵士をとりまく状況や、ウガンダの歴史、政 治、北部と南部の違いについてなどのお話をされました。これまでも子ども兵士 についての情報を得る機会はありましたが、実際に現地へ赴いて得た話を聞き、 撮影した写真・映像を目の前で見ると、今までとは伝わり方がまったく違いま す。救出直後とリハビリ開始後しばらくたってからとでは、子ども兵士たちの目 の輝きがまるで本当に別人のようで、彼らの体験したことの悲惨さを、なにより も正確に伝えていました。またその他にも、顔の一部を切り取られた子の写真な どを見せられ、それらは思わず目を覆いたくなるようなものでしたが、参加者の みなさんも真剣にご覧になっていました。最後には、ウガンダを取材し始めて7 年が経ち、子ども兵士たちが立ち直っていく姿を見てきて、そこから人間の可能 性・本質を感じたという話をされ、その言葉がとても印象に残りました。

その後質疑応答が行われ、映画『ラスト・キング・オブ・スコットランド』の解 説や、子ども兵士たちのリハビリを行っている施設の話、大人の兵士についての 話などがされ、こちらもとても興味深いものでした。

下村靖樹さん

ここでアンケートに寄せられた感想や、講師へのメッセージをご紹介します。

  • 写真やビデオによる説明がとてもわかりやすかった(20代女性)
  • ジャーナリスト側から見たアフリカのお話を聞けて良かったです。ジャーナリストという職業に興味を持ちました(10代女性)
  • 映像とお話がうまくミックスされて、飽きませんでした。下村さんの目の輝きが素敵でした(20代女性)
  • 体に気を付けて、これからもアフリカの状況をリアルに発表していって下さ い(40代女性)
  • 人に対して真摯に対峙されている姿が印象的でした。取材対象の人々が、リ ラックスした表情をしていることからも、下村さんのお人柄が伺えます。これか らも活躍してください(30代女性)
  • 私には惨状を直視する勇気がありません。これからも現状を伝えて欲しいと 思います。私も少しでも世界を理解する努力をしていきたいです(20代女性)

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