TICAD IVフォローアップ

第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)フォローアップの概要と市民社会の動き

目次

TICAD IVフォローアップと市民社会

  2008年5月に横浜にて開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)では、具体的な対アフリカ支援策が「横浜行動計画」として取りまとめられました。同時に、今後のTICADプロセスで表明される支援策の実施状況をモニターするための「TICADフォローアップ・メカニズム」が設置されました。 詳細はこちら(外務省ホームページへ)

市民社会としての取り組み

2008年10月のTICAD IV・NGOネットワーク(TNnet)解散後に、TNnetの成果を継ぎ、TICADプロセスに恒常的に関わっていく後継組織を立ち上げるという合意がなされました。これに基づき、2009年1月、TICADプロセス合同モニタリング委員会、TICAD閣僚級フォローアップ会合に取り組むためにタスクチームが、旧TNnet参加団体の承認を得て発足しました。
2月の合同モニタリング委員会、3月のボツワナ閣僚級フォローアップ会合への参加を経て、このアドボカシー・チームは2009年3月、貧困のない世界の実現を目指し結成されたNGOネットワーク「動く→動かす」のチームとして「TICADアドボカシー・チーム」設置を提案し、旧TNnet加盟団体の承認および「動く→動かす」運営委員会での承認を得て、2009年6月12日にTICADタスク・フォースが設置されました。
「動く→動かす」TICADタスク・フォースでは、「動く→動かす」全体の運営を担う事務局スタッフと別に、アフリカ日本協議会が事務局・スタッフを設置しています。事務局は、チーム内の連絡・調整および外部への窓口を担当し、チーム会合での決定に基づき、政策チーム・運営委員会とも連携して事業実施のため、会合の召集、会計など事務手続などを担っています。「動く→動かす」の正会員、フレンズ、サポーター団体で、TICADプロセスに関心を持ち、アフリカ開発に関わる日本国内のNGOがチーム・メンバーとして参加し、チーム全体会合およびメーリングリストを通じてチームの情報共有を図り、活動を行っています。


TICAD IV (第4回アフリカ開発会議)
2008年5月28-30日、横浜

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/index_tc4.html
  主催:外務省、UN-OSAA、UNDP、世界銀行
  参加:アフリカ51ヵ国、国際機関・地域的機関74機関、民間セクター、市民社会

  TICAD IV重点分野
(1)(経済)成長の加速化
(2) 平和の定着、グッドガバナンス、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成を含む「人間の安全保障」の確立
(3) 環境・気候変動問題への対処

主な成果

横浜宣言
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/tc4_sb/yokohama_s.html
横浜行動計画
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/tc4_sb/yokohama_kk.html
TICADフォローアップ・メカニズム
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/tc4_sb/ticad_fum.html

このTICADフォローアップ・メカニズムは3つの層からなるモニタリング・メカニズムとして立ち上げられました。

  • 事務局(外務省)
  • TICADプロセスモニタリング合同委員会
    (毎年日本で開催)
  • TICADフォローアップ会合(年1回閣僚級会合を開催)

第1回TICADフォローアップ閣僚級会合
(2009年3月21-22日ボツワナ、ハボロネ

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/followup/index.html
  主催: TICAD共催者(日本政府を含む)、 ボツワナ政府
  参加: アフリカ諸国閣僚, 日本・アフリカ政府代表, 地域機関・国際機関,民間セクター、市民社会組織(アフリカのNGOから5名が参加)

この会合では、TICAD IV年次進捗報告書で示された、TICAD IV以降のプロセスの進捗状況について検討がなされました。会合を通じて、コミュニケが採択され、世界経済危機がアフリカに及ぼす悪影響についての懸念が示されたほか、同年4月に開催されるG20サミットへこの懸念を伝えることが確認されました。

TICAD IV年次進捗報告書2008年度版(2009年2月)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/report/annual/2008/report2008.pdf
第1回TICAD閣僚級フォローアップ会合 コミュニケ
日本語版(仮訳)http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/followup/communique.html
英語版 http://www.ticad.net/ticadiv/communique.shtml

この会合において、アフリカ開発を加速する取り組みの一環として、日本政府は迅速に0億米ドル相2当の借款と技術支援を実施すると発表しました。

アフリカと日本の市民社会からの声明

 スピーチ(スー・ムバヤ氏)(英語)
プレスリリース(英文)


2009年3月~2010年5月のTICADフォローアップ関連の動き

第5回アジア・アフリカ・ビジネス・フォーラム(AABF V
(2009年6月 ウガンダ、カンパラ

  主催: TICAD 共催者
第5回アジア・アフリカ・ビジネス・フォーラム(AABF V)では観光開発に焦点が当てられました。AABF Vは、観光関連産業における連携の構築と技術移転の促進、観光開発のための投資の増進を目的として開催されました。
http://www.undp.or.jp/ticad/news-20090617.html

TICADラウンドテーブル「アフリカ市民社会と考えるTICADプロセスの今後」
(2009年10月20日, 東京

  主催:動く→動かす/東京大学「人間の安全保障」プログラム

日時:2009年10月20日(火)午後2時~5時
会場:東京大学駒場Ⅰキャンパス18号館コラボレーションルーム1

このラウンドテーブルでは、アフリカと日本の市民団体の代表がTICAD共催者や学識者とTICADフォローアッププロセスの課題について指摘・議論を行いました。ここでは、TICADフォローアッププロセスにおけるオーナーシップと連携の強化の重要性が確認されたほか、国際協力のためのNGO基金などに言及して市民社会や各国政府の能力強化の重要性が指摘されました。
詳細はこちら
ラウンドテーブル報告書(PDF:255KB

TICADプロセス・モニタリング合同委員会
(2010年4月 東京

  主催: 外務省(日本)、TICAD共催者
TICADプロセス・モニタリング合同委員会がTICAD共催者と主要なTICAD行動計画実施組織の間で行われました。委員会は、5月に開催されるTICADフォローアップ閣僚級会合に提出予定のTICADフォローアップ進捗報告書の準備を行っていました。報告書のダイジェスト版はこちら;
TICAD IV年次進捗報告2009年(ダイジェスト版
(外務省発行:PDF

この会合の際に、アルーシャで開催される直近のTICADフォローアップ閣僚級会合のコミュニケ(共同声明)案や議題などが紹介されました。


第2回TICADフォローアップ閣僚級会合
(2010年5月2-3日タンザニア、アルーシャ

主催:タンザニア連合共和国政府、 TICAD共催者
  TICAD関係国の閣僚や民間セクターや市民社会団体を含むTICAD関係者がこのTICADフォローアップ閣僚級会合に招待されました(アフリカ側市民社会団体からの招待者は5名)。
  この会議では、TICADフォローアップメカニズム(Third Tier)の一部として、TICADプロセス実施の進捗状況が検討されました。

会合では、以下の4つの課題に焦点が当てられました:

  1. 横浜行動計画実施の進捗状況と今後の課題
  2. 世界金融・経済危機からの回復に向けたアフリカの努力
  3. MDGs(ミレニアム開発目標)の達成
  4. 気候変動問題への対処

  市民社会からは、11人の参加者8団(体)がアフリカの市民社会団体より第2回フォローアップ会合に「オブザーバー」として参加しました。

MDGsセッションでのスピーチ(マウンゴ・ムーキ氏

今会合第3セッション「MDGsの達成」において、マウンゴ・ムーキ氏(ボツワナNGO評議会)がアフリカ市民協議会(Civic Commission for Africa:CCfA)を代表して7分間の基調演説を行いました。このスピーチの内容は、市民社会団体の参加者全体で市民社会準備会合にて準備・執筆が行われました。

MDGsセッションでの市民社会側スピーチ
英語原文(マウンゴ・ムーキ氏

日本語仮訳(マウンゴ・ムーキ氏

気候変動セッションでのスピーチ(マーク・ウェゲリフ氏

会合第4セッション「気候変動問題への対処」では、マーク・ウェゲリフ氏(オックスファム・インターナショナル)がスピーチを行いました。スピーチは、彼が執筆したものを市民社会準備会合において市民社会側参加者により推敲され、作成されました。
気候変動セッションでの市民社会側スピーチ
英語原文(マーク・ウェゲリフ氏

市民社会セッション

市民社会側の参加者は、閣僚級会合第1日目の昼休みに市民社会セッションを開催しました。このセッションでは、以下の課題が提示され、議論されました。

  • TICADプロセスへの市民社会側の参加の背景
  • この閣僚級会合への評価
  • 市民社会側のスピーチについて(MDGsセッション、気候変動セッション)

市民社会団体の参加者は、スピーチで提示された課題や今後の市民社会のネットワーク形成について参加者から、コメントをいただききました。

その他の成果

この会合においてコミュニケ(共同声明)が採択され、この文書はG8,G20,国連MDGサミットなどの同年の重要な国際会議において発表される予定です。日本政府は、本会合において次回2011年のフォローアップ会合までにMDG関連支援実施を10億米ドルにまで拡大することを約束しました。
詳細については、コミュニケを参照。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/2followup_1005/communique_j1005.html(外務省リンク・仮訳

TICADフォローアッププロセスの年次進捗報告も、今回の会合で紹介され、公開されています。
TICAD年次進捗報告ページ(外務省


第3回TICADフォローアップ閣僚級会合
(2011年5月1-2日セネガル、ダカール

第3回TICADフォローアップ閣僚級会合では、68ヵ国(うち、アフリカから47ヵ国、30名の閣僚級首席代表が参加)、42の地域・国際機関、NGO16団体、民間セクターなど計約500名が参加しました。
市民社会からは、アフリカのNGOネットワークであるアフリカ市民協議会CCfA(Civic Comission for Africa)より4名、セネガルのNGOより6名、日本より稲場雅紀、宮道一千代の2名、およびアフリカ市民社会とのリエゾンを担ったセネガル在住者2名が参加しました。

会合では、以下の4つの課題に焦点が当てられました:

  1. 横浜行動計画の進捗状況及び今後のTICADプロセス
  2. アフリカ経済の活力ある包括的かつ持続的な成長に向けて
  3. ミレニアム開発目標(MDGs)の達成
  4. グローバルな課題への対応に向けたアフリカとの協力

気候変動セッションでのスピーチ(グスターブ・アッサー氏

今会合第4セッション「グローバルな課題への対応に向けたアフリカとの協力」において、グスターブ・アッサー氏(ソーシャル・ウォッチ・ベナン)が7分間の基調演説を行いました。このスピーチの内容は、市民社会団体の参加者全体で市民社会準備会合にて準備・執筆が行われました。
グスターブ・アッサー氏のスピーチ(英語原文)
日本語仮訳

市民社会セッション

市民社会側の参加者は、閣僚級会合第1日目の昼休みに市民社会セッションを開催し、市民社会側の主張を示しました。日本、アフリカの関係者30名ほどが参加しました。
市民社会団体の参加者は、スピーチで提示された課題や今後の市民社会のネットワーク形成について参加者から、コメントを頂きました。

その他の成果

本会合の成果として、コミュニケ(共同声明)が採択されました。この文章は2011年開催予定のG8,G20,MDGsフォローアップ会合,COP17等の重要国際会議に向けメッセージを発信のために利用されます。 コミュニケは以下の外務省のページを参照してください。
(英語 http://www.mofa.go.jp/region/africa/ticad/min1105/communique_e1105.html
(仏語仮訳 http://www.mofa.go.jp/region/africa/ticad/min1105/communique_f1105.html
(日本語仮訳 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/3followup_1105/communique_j1105.html


第4回TICADフォローアップ閣僚級会合
(2012年5月5-6日モロッコ、マラケシュ

モロッコ王国マラケシュで開催された第4回TICAD IV 閣僚級フォローアップ会合に、アフリカ市民社会 22 名、日本市民社会 2名が参加し、以下の事項を実施しました。

第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合報告書

本会合は、概して市民社会の参画が拡大し、アフリカ市民社会との連携強化が可能になりました。 しかし一方で、市民社会の参加に関する位置付けの不足、会場の特に障害者に対する配慮の不足、コミュニケの起草委員会への 参加権限がないこと、日本の市民社会の資金不足の問題も依然として散見されました。

  1. CCfA/JICA共催サイドベント
  2. 本会合第3セッション(MDGsの達成と2015年に向けて) でのスピーチ(コメント)
  3. 本会合終了後の記者会見、及び CCfAとしてのコミュニケの発行

CCfA/JICA共催サイドベント

市民社会は、本会合前日の5月4日、CCfAとJICAの共催という形でのサイドイベント「人間の安全保障とアフリカの 開発―アフリカ市民社会からの提言―(Human Security and Africa’s development: From the view of African Civil Society)」を開催しました。同イベントは本会合前日の午前に開始され、開始時は若干、参加者が少なかった ものの、徐々に増え、最大で50名近くの参加となり、白熱した議論が行われました。

本会合第3セッション

MDGsセッションでのスピーチ「アジェンダ設定から実行段階へ:その時は今!」
ファラー・エンサ=ンダイマ氏(シエラレオネ)(英語原文)
日本語仮訳

本会合終了後の記者会見、及び CCfAとしてのコミュニケの発行

本会合終了後、会場内での公式記者会見直後の12時30分より、CCfA主催による記者会見が会場のすぐ横で行われ、 日本の記者は参加しなかったものの、モロッコのメディアを中心に多くの報道陣が集まりました=写真はCCfAのメンバー。

日本語仮訳

第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合報告書


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