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アフリカの課題を考える―開発と環境

課題検討会(2013年12月13日実施)報告

アフリカは天然資源が豊富なことから、石油や鉱物、木材といった天然資源を諸外国へ輸出することで、近年経済開発を進めています。そして、その天然資源を目当てに、日本を含む多くの先進国がアフリカに投資しています。
しかしながら一方では、開発の現場で水や大気の汚染が生じたり、インフラ整備によって交通アクセスの良くなった森林伐採区域付近で野生生物密猟が激化する等、開発に伴って甚大な環境破壊が引き起こされています。また、アフリカは天然資源輸出によって莫大な利益を得ていながら、その利益は適切に分配されておらず、人々の貧困は未だ解消されていません。

例えば、コンゴ共和国は、広大な森林を伐採し木材を輸出することで多大な利益を得ているはずですが、この利益は一般国民の間にまで届いてはおらず、適切な利益の分配がなされていません。伐採業に従事し熱帯林付近で生活する人々の暮らしは保障されておらず、食料の一部は野生生物(ブッシュミート)で賄われているのが現状です。

また、中には熱帯林に棲むゾウを密猟し、国際的に需要の高い象牙を売買することで生計を立てている人もいます。熱帯林開発の現場の人々の貧困は、環境保全に悪影響をもたらしています。野生生物を密猟しなければ生活できないと言う人々が、今後密猟に依存せず生活していける仕組みや経済基盤をどのように確立するかは、熱帯林の開発に伴う大きな課題です。

このような開発によって生じる課題は、金やレアメタルといった鉱山の開発や、石油開発の現場にも共通しています。

またアフリカ各地では、都市化によって人々の暮らしが便利になりゆく背景で、環境破壊が進み、生物多様性が失われるといった、開発による弊害も起きています。例えば、アフリカ大陸南部のレソト王国では、南アフリカ共和国と共同でダム建設プロジェクト(Lesotho Highlands Water Project)を進めていますが、この結果、希少品種のMaloti Minnowというレソト王国の河川にのみ生息する魚が絶滅の危機に瀕する事態となっています。

このように、アフリカにおける環境保全や人々の安全保障の問題は、開発の問題と深く結びついていながら、これらの問題はそれぞれ別の場で議論されており、分野を越えて議論される機会が少ないのが現状です。

アフリカにとって発展とは何か、先進国や中進国による資源開発、経済支援や国際貢献は何を意味しているのでしょうか。このような事態に、私たちにはいったい何が出来るでしょうか。こうした問いかけは、「食料安全保障」、「保健・医療」、「教育」、「平和活動」など諸分野における活動でもかかわってくる事柄です。

AJFでは2013年12月13日に課題検討会を開催しました。開発が環境や人々の生活に与える影響について学んだ上で、今後日本はアフリカに対してどのようにアプローチするべきか、ということを参加者の皆さんと議論しました。

【プレゼンター】
西原智昭さん
コンゴ共和国北部Ndokiランドスケープ・自然環境保全技術顧問
Wildlife Conservation Societyコンゴ共和国支部
生存学:西原智昭

神野(かみの)幸男さん
主任研究員・コーディネーター
オイスカ・インターナショナル
編著 “TOWARDS A SUSTAINABLE ECOLOGY: Global Challenges and Local Responses in Africa and Asia”

検討会―問題提起

検討会では、西原さんと神野さんの二人から問題提起を受けました。
まずアフリカ中央部熱帯林の現状に詳しい西原さんのお話から、現状のアフリカ開発には、社会的・環境的影響への配慮が足りていないことが分かりました。
 例えば、

  1. アフリカの伐採区域付近で、道路や通信といったインフラ整備を進めた結果、森林内へのアクセスを容易化し、密猟を増加させたこと、
  2. 開発の一環として特定の地域に病院を開いたことによって、その地域へ人口が集中し、食料難の問題が生じたこと、
  3. 先住民の子どもたちを学校に通わせ近代教育を受けさせた結果、先住民の伝統知識や文化の継承に困難が生じたこと等、

開発に伴って引き起こされたさまざまな問題が紹介されました。

このような、人々の生活への影響や環境負荷を顧みない開発の原因として、国策の一環としてや、自身の利益を目的に、アフリカで国際協力事業やビジネスを進める先進国の存在が指摘されました。
また、先進国からの投資を通じて得られた利益がアフリカの一般の人々にまで分配されていない問題については、アフリカの国々における政治腐敗の問題が指摘されましたが、この政治腐敗の原因には、自国の利益を目的として、腐敗構造を利用する先進国の存在があることが議論されました。
つまり、日本を始めとする先進国は、国内で強大な権益を持つ現状の腐敗したアフリカ諸国の政府と交渉することで、アフリカにおける天然資源開発やビジネスの権利を得ているのです。このことから、アフリカの環境破壊や人々の貧困や安全保障の問題には、日本政府も大きな責任があると言えます。

オイスカで環境変動と人々の生活の関係などをウオッチする活動を行っている神野さんからは、世界的な環境変化や人口推移の動向等が紹介されました。

  1. 人口の急増に伴う生物の急速な大絶滅
    1900年に16億人だった人口が2000年には61億人に急増し、生物種の生存圏を脅かした結果、通常の100-1000倍のスピードで生物種が絶滅。2100年までに半分 の高等生物種は絶滅する。
  2. サハラ以南アフリカの人口都市化と貧困
    サハラ以南アフリカの人口は2050年までに世界人口の21%を占める。今後40年に都市人口は3億1500万人から10億人以上に急増し、そのうちの60%はスラム街居住者となる。
  3. 気温上昇とアフリカの将来
    環境破壊に伴う地球温暖化により、2100年までに気温は2.5℃~10℃上昇し得る。2℃以上の気温上昇で、多くのアフリカ人は貧困・飢餓・渇きに苦しむ環境難民となり、4℃の上昇で、70~80%のアフリカ人が飢餓に苦しむこととなる。

研究者らによる数値的な今後の予測から、環境保全や社会的影響への配慮の必要性が再度認識され、巨大な人口を抱えるアフリカの開発問題も、地球レベルでの重要な課題であることが分かりました。
また、神野さんからは、環境保全分野における女性の活躍の可能性についての提起もありました。アフリカの農村では、水汲みや食料の買い出しといった役割を担う女性の方が、日々の生活が自然や市場の動きと密接しています。(例:薪を取りに行く距離が長くなっている←環境悪化が人々の生活に影響してきている)このことから、環境の変化に対しても女性の方が敏感であると考えられ、アフリカの環境保全分野において、今後女性がイニシアティブをとっていく可能性が考えられます。

検討会―今後のアプローチ

これらの問題提起をふまえて、アフリカの開発と環境保全を今後どのように考えるかについて、以下のような意見が交わされました。

  • JICAの環境社会配慮ガイドラインの有効性を再考
    現地の人々の声が反映されているか疑問→ワーキンググループの傍聴の必要性
  • 「自分たちのいないところで自分達のことを決めないでほしい」という意見の尊重
  • 日本がアフリカに対して「してはいけないこと」のルールを作る
  • 動物園と博物館の連携(教育分野での改善)
    動物園にいる動物を通して、その動物の生息地域や環境について知ることが重要
  • 認証制度の拡大(ダメージからの回復分の負荷をかける)
    鉱物等にも適用
  • 現状(西原さん)と大きな議論(神野さん)の噛み合わせ
  • 外部(アフリカ)からの先進国の見え方

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