ーブルキナファソ・ワガドゥグのストリートからー
イベント概要
- 日 時:2006年11月25日(土)14:30~16:30
- 講 師:清水貴夫氏
- 場 所:丸幸ビル2階 共同会議室
1930年代にジャマイカで生まれたラスタ。ボブ・マーレーを初めとするレゲエミ ュージシャンにより世界中にその名は広まり、多くのディアスポラ・アフリカン (奴隷として新大陸、欧米に連れてこられた)を始め、今では白人に至るまで支 持を集めています。 そして、現在では、自分を「ラスタ」だとする若者たちはアフリカのどの都市に 行っても見ることができます。 元来、ラスタは反白人、アフリカ回帰などを志向する宗教社会運動と言われてき ました。その特異なスタイル(マリファナの吸引、ドレッドロックスなど)によっ て、外からは異端者として見られてきました。しかし、世界的に見ても、80年代 以降ラスタの運動がポップになるに従ってソフトな運動になってきました。 今回お話しする、ワガドゥグのラスタたちは、主にストリートでの民芸品や楽器 の販売をすることで生計を立てています。怖そうに見えるが本当に悪いやつらな のか?どんな生活をしているのか?彼らの抱く夢、現実のつらい生活とそれを乗 り越える楽しみ、ここでしか聞けない愛すべきアフリカンラスタの話が一杯です !
講師プロフィール
清水貴夫さん
1999年、明治学院大学国際学部を卒業。学生時代から(認定NPO法人)日本ブル キナファソ友好協会(JBFA)に参加、数回のバックパッキングでアフリカ通いを 始める。大学卒業後、都内海運会社に4年間勤務するが、2003年に退職、同時に JBFAの現地駐在員としてブルキナファソに半年間滞在する。この時に知り合った 多くの友人が「自分はラスタだ」とすることに興味を持ち、NGOの仕事をしながら 研究者の道を模索している。現在、名古屋大学大学院文学研究科博士前期課程在 籍、(認定NPO法人)日本ブルキナファソ友好協会理事、AJF会員。
イベント報告
参加者は17名(AJF会員9名 非会員8名)でした。ラスタが大好きという学生の方から、アフリカ関係の書物の翻訳をなさってる方まで、幅広い方々にお集まりいただきました。
まずブルキナファソ・ワガドゥクの基本的な状況を写真やレジュメを使って説明していただきました。ブルキナファソの面積は日本の本州と同じくらいの面積で、西部はサハラ砂漠と接している内陸国です。気候は非常に乾燥していてとても暑く、特に4月5月は人が住めるものではない程まで気温は高くなります。国の政治は安定していて、人間開発指数は下から3番目で開発は遅れながらも農業は結構盛んで、最近では輸出量が輸入量を上回るほどという展望が開いていくだろうとのことです。
今回の話の舞台でもあるワガドゥグはブルキナフアソの首都で、その中でもメインストリートだけは日本の地方都市と変わらないほど栄えているそうです。国や文化などについて皆様からの質問を受けた後、今回のテーマである「ラスタ」のお話をしてくださいました。ラスタ運動の成立までの歴史の流れと、ラスタとはどういうものなのかという話ですが、ラスタは19世紀後半アフリカ大陸からジャマイカなどの中南米の大陸に連れてこられたアフリカ系リーダーが始めた運動、思想です。具体的には『黒人優位、優越』『アフリカ回帰』『聖書の強い読み替え』などで、他にも戒律や習慣がたくさんあります。
そしてこのような思想や戒律を心情、信仰としているワガドゥグの人々=ラスタの話に移り、どのような1日を過ごしているのか、どのような商業活動をしているのか、どのような音楽があるのかなどの話をしていただきました。ワガドゥグのラスタは主に楽器民芸品を制作・販売したり、ラスタの代表的な音楽であるナイアビンギやレゲエの演奏やその練習などをして一日を過ごし、商業活動としています。
まとめとしては、現在ブルキナファソのラスタたちは初期ラスタ運動の「黒人優位」からPeace&Loveに比重が移っていること、また彼らの生活は音楽と密接に関係しているが音楽だけで生活していくことは大変困難であるとおっしゃっていました。
その後質疑応答を行いました。
Q「ジャンベは伝統楽器では無く近現代に作られた楽器なのでは?」
A「グリオ(吟遊詩人)の音楽や伝統音楽の文献にはジェンベは出てない、伝統楽器とみなされてない」
Q「ラスタはラスタファリズムをどう思っているのか?」
A「自分も疑問に思っている。お前にとってラスタとは何なのか?と聞くが。宗教と応えた人は一人しかいなかった。大体の人がエスプリ=信仰と答える。日本でも宗教的な事を日常生活に取り込むのは良くある」
Q「ラスタの組織的な活動はあるのか?」
A「基本的にラスタは個人主義だが組織的な活動の動きもある。アフリカではエチオピアン・ワールド・フェデレーションやイスラエル十二使徒派といった組織が大きい」
アンケートから学んだことや師に対するメッセージが寄せられましたので、一部を紹介します。
- 音楽を聴くことができてより想像が膨らみました。(20代女性)
- ラスタという信仰や考え方があるということが分かりました。(20代男性)
- ジャマイカとか中南米の話も聞きたかったです。(20代女性)