Information-access technology for visually disabled persons
『アフリカNOW』78号(2007年10月20日発行)掲載
執筆:斉藤龍一郎
全盲あるいは弱視の視覚障害者が教育を受け、研究を行うにあたって、どのようにして情報を得ているのか、そして情報保障に関してどのような課題があるのかについて、簡単に紹介しよう。全盲の人は、点字やレーズライターなどを使って触覚から、あるいは会話、講演、朗読などにより聴覚を通して教育を受け、さまざまな情報を得ている。弱視者であれば、視力の程度に応じた拡大文字を利用することもできる。点字を習得したりレーズライターに書かれた文字を読みなれるためには、適切な指導を受けることが必要になる。点字文書を作成するためには、点字板や点字タイプライターを使う。近年、パソコン上で動く点訳ソフトと点字プリンターを使って点字文書を作成することも増えている。
点字で出版される新聞・雑誌・書籍はほとんどなく、点字使用者が晴眼者と同じ文献にあたるためには、多くの場合、新たに点訳が必要になるため、点訳者や点訳を提供してくれる機関を確保しなければならない。一方で、書籍内容を電子テキストで提供する出版社や、点訳する際の著作権に関してあらかじめ必要な手続きを明記した書籍なども増えている。電子テキストで提供された書籍データは、パソコン上で作動する音声読み上げソフトを使って聞き取ることもできる。拡大文字を利用するためには、拡大コピーする、パソコンの表示文字を大きなサイズにする、といった機器利用の機会や機器使用技術習得が必要になる。
対話や少人数の会話・討論であれば、視覚障害者も質問や意見を出しやすいが、板書やプレゼンテーション、ビデオなどを使用する講義や講演などの際には、板書やプレゼンテーションの内容を点訳した資料を用意する、あるいは記述内容や画像の説明を行う要員を視覚障害者に付けるなどの支援が必要になってくる。