11月1日(木)、グローバルファンド渉外局長に新しく就任されたフランソワーズ・ヴァンニ氏を迎え「エイズ・結核・マラリアの終息に向けた新たな取り組み~グローバルファンドと市民社会の対話~」を日本国際交流センターの会議室にて、日本国際交流センターとアフリカ日本協議会の共催で開催しました。NGO側の参加は10団体、15名でした。グローバルファンドからは、フランソワーズ・ヴァンニ渉外局長に加え、國井修戦略・投資・効果局長と高山眞木子渉外局ドナー・リレーションズ担当官にご参加いただきました。
開会挨拶に続き、まずはフランソワーズ・ヴァンニ氏が自己紹介を兼ねてスピーチを行いました。もともとNGOで長く勤務経験があることから、市民社会を身近に感じていること、またグローバルファンドの使命、成果重視の方針、パートナーシップのあり方に共感したことからグローバルファンドでの仕事を選んだこと、これまでのグローバルファンドの成果と現在の傾向を示したうえで、来年の増資会議、G7、インドでの準備会合、日本でのG20やTICAD7、国連でのUHCハイレベル政治フォーラムなど様々な機会を通してグローバルファンドへのサポートを期待していることなどを話していただきました。次の増資会議以降の投資計画については現在作成中で、来年2月のインドの増資準備会合より前には発表されることになっています。
続いて國井修戦略・投資・効果局長から、RSSH(Resilient and Sustainable Systems for Health/強靭で持続可能な保健システム)の構築においては、各国の状況やレベルにきめ細かくあわせた取り組みが必要であること、最後に取り残される層の人びとのところに到達することが様々な社会的バリアがありもっとも難しいこと、また、グローバルファンドが効果のあるところにピンポイントで支援をしていけるよう仲介としての役割とパートナーシップを今後も重視していくことを話していただきました。さらに、デジタルヘルスなどイノベーションへの期待も共有してもらいました。高山渉外局ドナー・リレーションズ担当官からも日本政府
についてのこれまでの貢献や企業との連携についてコメントをいただき、NGOとの意見交換にうつりました。
NGO側からは、エイズ、結核、マラリアのそれぞれの分野から発言し、現在のCSOの活動における現場の課題、グローバルファンドへの提案や疑問点を共有しました。また、三大感染症以外の保健分野で活動するNGOからもグローバルファンドの活動を含む途上国での現状について意見交換が行われました。
グローバルファンドが設立された2002年に比べ、三大感染症を取り巻く状況は確実に改善してきています。しかし同時に、依然としてかなりの介入が必要な分野や地域も残っており、今ここで足踏みをすることになればこれまでの成果が後退してしまうことにもなりかねません。当事者の人びとの声と優先順位を反映しながら、企業のノウハウやツールの安全かつ適切な活用、共同投資の枠組みのさらなる発展などを通して資金を有効に活用しながら、三大感染症対策を終結に向けて加速させていく必要があります。来年はG20やTICAD7を控え、またUHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)のハイレベル政治会合も国連で開催され、グローバルな保健の課題に日本政府がどのように取り組むのか注目される年でもあります。今後も、日本および世界で活動する市民社会の人びとと連携して働きかけを続けていきます。