2004年 第4回 食料安全保障研究会公開セミナー 案内
日 時:2004年9月30日(木)19:00-21:00
会 場:文京シビックセンター4階(シルバーセンター)会議室A
講 師:小崎隆さん(京都大学教授)
大学院地球環境学堂陸域生態系管理論分野
同農学研究科地域環境科学専攻土壌学分野と両任
内容:アフリカ大陸は古く、かつ、熱帯に位置しており、他の地域より強烈な風化環境に晒されてきました。そのような自然環境がそこに住む人々の生活様式を規定し、一方、彼らの生き方が自然環境に作用して、現在の農業や土地利用の形態を創りだしていると思われます。ここでは、まず、アフリカ地域に焦点を当て、土壌を創り上げる要因である土壌生成因子とその組み合わせである土壌生成作用、その結果である土壌の理化学的特性について概説し、次に、西アフリカ湿潤地域の水田農業、同半乾燥地域の畑作・放牧混交農業、東アフリカ大地溝帯地域の畑作農業の事例研究をもとにして、土壌を生業としての農業に利用する際に顕在化している、あるいは、将来予測される問題点(土壌劣化)を探り、アフリカにおける将来あるべき食料・環境安全保障のあり方についてともに考えてみたいと思います。
講師プロフィール
小崎隆さん
1952年大阪府生まれ。1975年京都大学農学部農芸化学科卒業。1982年京都大学大学院農学研究科博士課程修了(専門:土壌学、土壌調査情報の高度利用法について、主に水田土壌を 対象として研究した。現在のデータ処理システム、インベントリーシ ステムGISなどの初期段階として位置づけられるソフトウエアー開発と 応用に関する研究を行った)。1982年~84年国際熱帯農業研究所(在ナイジェリア)研究員(ポスドクとして「西アフリカにおける水田基盤農業構築のための基礎土壌調査と肥沃度評価」にかかわった)。
1985年~90年帯広畜産大学助手(作物生産環境情報システム構築のための手法開発を行う傍ら、西アフリカ土壌の材料的特徴づけと肥沃度との関係に関する研究や、東アフリカ大地溝帯地域の伝統的農法が土壌肥沃度に及ぼす影響評価や農民のもつ土壌肥沃度観の解析に関する研究を実施した)。
1990年~94年京都大学助教授、94年~現在まで教授(対象とする生態系を中央アジア砂漠から東部ヨーロッパ半乾燥温帯ステップ、東南アジア湿潤熱帯雨林、モンスーン季節林へと広げ、各生態系での土壌劣化(例えば、塩類集積、砂漠化、土壌侵食)プロセスの解明とそれに基づいた環境調和的土地利用と営農手法の開発に関する研究を進めている)。
【著書】
1. 土の世界編集グループ(執筆分担)1990:土の世界-大地からのメッセージ, pp160, 朝倉書店, 東京
2. 久馬一剛編(執筆分担)1997: 最新土壌学、pp216、朝倉書店、東京
3. 廣瀬昌平・若月利之編著(執筆分担)1997: 西アフリカ・サバンナの生態環境の修復と農村の再生、pp484、農林統計協会、東京(粘土鉱物の特性、123-125)
4. 土壌教育委員会編(執筆分担)1998:土をどう教えるか,pp118,古今書院,東京
5. M. Mizutani et al. Ed. 1999: Advanced Paddy Field Engineering. pp388, Shinzan-sha Sci. & Tech. Publ. Co., Ltd., Tokyo(Characteristics of paddy soils, 11-30)
6. 久馬一剛編(執筆分担)2001:熱帯土壌学、pp439、名古屋大学出版会 名古屋(熱帯土壌とその分類)
7. S. Hirose and T. Wakatsuki Ed. 2002: Restoration of Inland Valley Ecosystems in West Africa. pp572, Association of Agriculture and Forestry Statistics, Tokyo (Characteristics of clay minerals, 135-137)
8. 不破敬一郎・森田昌敏編(分担執筆)2002:地球環境ハンドブック、pp1129、朝倉書店、東京(舟川晋也・小崎 隆、アラル海地域の砂漠化、 708-717)