ACTアクセラレーターへの市民社会の参画はどう進んでいるか?

顔ぶれが決まりつつあるACTアクセラレーターへの市民社会代表

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する新規保健医療技術の開発と平等なアクセスを一体で手掛ける国際機関や財団等の枠組みである「ACTアクセラレーター」(COVID-19関連製品アクセス促進枠組み)は、9つの国際機関、国際金融機関および民間財団によって構成され、調整機関としてG20をはじめとする国家政府と民間財団、市民社会などをメンバーとする運営評議会(Facilitation Council)を持っている。この運営評議会およびACTアクセラレーターを構成する4つのパートナーシップ(ワクチン、治療、診断、保健システム)の意思決定に参画する市民社会関係者の顔ぶれがほぼ決まってきている。

市民社会自身による公開されたプロセスでの選出

ACTアクセラレーターの全体及び各パートナーシップへの市民社会参画については、ACTアクセラレーターの発足以来取り組まれてきた。最初は、ACTアクセラレーターに参加する国際機関、特に市民社会の参画に力を入れてきたグローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)やUNITAIDをはじめ、それぞれの国際機関の理事会や運営委員会に市民社会から参画する理事や運営委員が連名で、各国際機関の長に宛てて共同書簡を発出し、結果として、各国際機関と連携しつつも、市民社会自身が、出来る限り公開された透明かつ公正な選出を行う形となった。そのうえで、「診断」および「治療」の二つのパートナーシップの各中心的調整メカニズム(Central Coordination Mechanism)や各ワーキング・ストリームの市民社会メンバーの選出プロセスが先行した。これは、診断パートナーシップの主要機関であるグローバルファンドと治療パートナーシップの主要機関であるUNITAIDがいずれも市民社会参画に積極的な機関であり、事務局と市民社会の連携も進んでいたことによる。

ワクチン・パートナーシップは難航するも決定

ワクチン・パートナーシップについては、注目が集まっていることもあり、市民社会参加者の選考は診断、治療のパートナーシップに比べて難航した。結果として、10月末日までにCOVAXの中央調整メカニズムおよび各業務枠組みに対する市民社会代表が決定した。

現在進められているのは、ACTアクセラレーターの運営評議会に向けた市民社会代表の選出プロセスである。9月に開催された第1回の運営評議会では、その回のみということで臨時にグローバルファンドおよびUNITAIDの理事会の市民社会代表から各1名が選出され、出席をした。その後、公開性・透明性を確保した形での委員の選出プロセスが進行している状況である。また、選出された市民社会代表により、「ACTアクセラレーター・市民社会・コミュニティ代表プラットフォーム」も設立された。

ACTアクセラレータは今年の6月から18ヶ月という臨時のプロジェクトであり、市民社会の選出はスピード感が重要である。一方、ACTアクセラレーターをめぐっては、新規に開発された製品の知的財産権保護等の課題を含め、市民社会の中からも一部、疑義を呈する意見も表明されている。そういう中で、より批判的な層を含めた市民社会の参画を保障していくことは、中長期における市民社会の参加の効果と信頼性という観点からも重要であると言える。

(参考)
以下のサイトには、ACTアクセラレーターに対する市民社会の参画についての情報が順次掲載されている。
COVID-19アドボカシー
http://covid19advocacy.org/