想像力がつなぐ共生社会 ー「法」と「表現」で切り拓くアフリカン・ユースの挑戦ー
2026年1月17日、第4回アフリカ玉手箱「アフリカのルーツを生きる、新たな価値をつくるユースの挑戦」が、オンライン・対面(JICA地球ひろば)のハイブリッド形式で開催されました。登壇者は、高校時代にアフリカ日本協議会で「African Youth Meetup(AYM)」を立ち上げ、現在は22歳の映像作家として行動と表現を通じて社会に声を届ける三浦アークさんと、アニメ制作の道からある事件を機に法の道へ転じ、社会課題に向き合う26歳の弁護士、柏倉キーサレイラさんでした。今回は、グローバル化が進む中で可視化される分断や緊張に対し、多文化共生社会をどのように築いていくか、異なる分野で活躍する二人の「ユース」の実践を通して考えました。
最初に登壇した三浦アークさんは、自身のアイデンティティと表現活動について語りました。幼少期から「絵」を第一言語として育ったアークさんは、日本の学校でのマイクロアグレッションや、自身の髪型が校則違反とされる経験などを通じ、中学生ながら様々な葛藤を抱えていたといいます(その時に作詞・作曲した曲:“Invisible”)。高校進学後には、African Youth Meetupとの出会いを機に、自分と同じルーツを持つ人と語りあうことで、自分を肯定的に捉えられるようになったそうです。現在は映像作品を通じ、社会の無意識な偏見や構造的な問題にアプローチし続けています。
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続いて登壇した柏倉キーサレイラさんは、「アニメの主人公」から生き方の指針を得てきたというユニークな経歴を紹介しました。中高生の頃からアニメが好きで、日々アニメに助けられていたといいます。大学もアニメ制作を学べる学校へ進学しました。アークさんとは対照的に、「私は『~~人』ではなく、『レイラ』である」と前向きに自身のルーツと向き合っていたレイラさんですが、入管施設での死亡事件を知り、在留資格の中で暮らす父も同じ立場になり得るという身近に感じた危機感から、こうした問題を抜本的に解決したいと考え、弁護士への道を歩み始めました。現在は、弁護士として法的課題に取り組む傍ら、演劇やメディア出演など「表現」の力も活用し、外国人に関する問題の可視化に努めています。
後半の対談では、二人の共通項であるアニメ『少女革命ウテナ』の話題からスタートしました。性自認は女性でありながら王子様を目指す主人公の姿に、レイラさんは「潔く、かっこよく生きる」という座右の銘を得たと語り、アークさんも「私は私でいい」と自己を肯定する力を得たと振り返りました。
続いて話題は、この社会の現状に対する「法」と「表現」の役割についてへ。
アークさんが「中学時代の経験は人権問題にも関わると思うが、自分たちのような存在が法律で想定されていないのではないかという不安がある」と吐露すると、レイラさんは「前例がない」という司法の壁を動かすには、デモや表現活動を通じた「問題の可視化」が不可欠だと応答しました。また、映画や音楽など視覚に訴えるアプローチも有効であるとし、表現者と弁護士という、両者の活動が相互に補完し合う関係性が再確認されました。
質疑応答を交えたセッションの最後には、困難の乗り越え方として「学校とは別の『ホッとできる場所』」の重要性が語られました。「いじめや偏見と真正面から戦う必要はない。アニメでも絵でも、学校外に自分が肯定される場所を持つことが大切」というメッセージが印象的でした。
「立場が逆転する可能性は誰にでもある。共生社会に必要なのは、互いの人生への「想像力」や「エンパシー(共感)」なのではないか」ということを改めて会場に問いかけました。
前回の玉手箱では「知ること」が共生社会への入口であることを学びました。
今回はそこから一歩進んで、アークさんが手がける映像作品や社会活動を通じて当事者のリアリティに触れ続けること、そしてレイラさんが語ったように「もし自分がその立場だったら」と考える「想像力」こそが、共生社会には必要だということを強く認識させられました。
アフリカ玉手箱インターン 松本晴菜

<登壇者プロフィール>
三浦 アーク(みうら あーく):
父親がウガンダ人。高校生の時にアフリカ日本協議会の下で仲間たちと一緒に「African Youth Meetup(AYM)」を始める。アフリカにルーツを持つユースが出会い、体験や思いを共有できる場を育んできた。22歳の映像作家として表現を続ける。共著に『わたしたちの世界を変える方法 アクティビズム入門』。行動と表現を通じて、若い世代の声を社会につなげている。現在は、Coyote Sun Productionsと長編デビュー作『アークによる桂子』に取り組む。現在、NHK Eテレ「toi-toi」出演中。
柏倉 キーサ レイラ(かしわくら きーさ れいら):
マリ出身の父親を持つ。日本大学芸術学部でアニメ制作の道を目指したが、長崎の大村入管で起こったナイジェリア人飢餓死という出来事に強い衝撃を受け、法の道へと進む。26歳で弁護士として活動し、多文化の背景と自身の経験を生かしながら、社会の課題と向き合い続けている。
<本セミナーに関するお問合せ>
アフリカ日本協議会 アフリカ玉手箱 ajf.africatamatebako2@gmail.com
<AJFアフリカ玉手箱セミナーとは?>
NPO法人アフリカ日本協議会の事業の一つとして行っているアフリカに関わる多様な人々の経験や想いを共有し、日本とアフリカのつながりを深める連続セミナーです。アフリカに関心がある方、グローバルな視野を広げたい方、新しい世界に触れて刺激を受けたい方、だれでも是非ご参加ください!












