今考える、アフリカのこれまでとこれから
イベント概要
- 日 時:2007年3月24日(土)14:00~18:00
- 場 所:JICA地球ひろば セミナールーム301
- 共 催:JICA地球ひろば
2007年3月6日、ガーナは独立50周年を迎えます。サハラ以南アフリカで植民地支 配から初の独立を達成したガーナは「アフリカの星」と呼ばれ、アフリカ独立の 旗手となりました。その後、数々の紆余曲折を経て、ガーナは複数政党制による 政権交代を実現したアフリカの国として堅実な発展を遂げています。日本との関 係も深く、また、多くのガーナの人々が日本社会に基盤をもって生活しています。
アフリカ日本協議会では、ガーナ独立50周年を機会に、アフリカ諸国独立の意義 を再確認しつつ、この50年のアフリカの歴史を検証するシンポジウムを開催しま す。ガーナとアフリカがこの50年でどう変わり、今後どうなっていくのか、日本 の市民がアフリカとどう関わっていけばよいのか考えていきます。
プログラム
第1部 ガーナ独立50年を振り返る ・高根務氏(アジア経済研究所地域研究センター アフリカ研究グループ長代理 /80年代以降のガーナ:軍政から民政、そして複数政党制民主主義の確立までを語る) ・吉田昌夫氏(日本福祉大学大学院教授/ 独立当時のガーナを語る)
第2部 50年を問う 現在のガーナとアフリカ ・ジョン・アコパリ氏(アジア経済研究所客員研究員/ガーナ人研究者の視点から独立後の50年を問う) ・アモアベン・クワシ氏(在日ガーナ人協会/在日ガーナ人の視点からアフリカを見つめて)
第3部 これからのアフリカと日本の市民社会 参加者を交えてディスカッション ※第3部 司会:稲場雅紀(アフリカ日本協議会)
まず第一部で、ガーナ独立の翌年に現地を訪れた吉田昌夫氏と、20年以上ガーナ を見続けてきた高根務氏という二人の日本人研究者が、独立直後とそれ以降のガ ーナの変遷を振り返ります。第二部では、在日20年以上、日本のガーナ人コミュ ニティをまとめてきたクワシ・アモアベン氏と、欧米や他のアフリカ諸国からガ ーナを見つめてきた研究者ジョン・アコパリ氏という2人のガーナ人から、経験 や研究を通じて感じた日本とガーナ・アフリカの関係などについてお聞きします 。第三部では、これからのアフリカと日本の市民社会の、関わりのあり方につい て、参加者の皆様を交えてディスカッションを行います。
イベント報告
まず第一部で、ガーナ独立の翌年に現地を訪れた吉田昌夫氏と、20年以上ガーナを見続けてきた高根務氏という二人の日本人研究者が、独立直後とそれ以降のガーナの変遷を振り返りました。第二部では、在日20年以上、日本のガーナ人コミュニティをまとめてきたクワシ・アモアベン氏と、欧米や他のアフリカ諸国からガーナを見つめてきた研究者ジョン・アコパリ氏という2人のガーナ人から、経験や研究を通じて感じた日本とガーナ・アフリカの関係などについてお聞きしました。第三部では、これからのアフリカと日本の市民社会の、関わりのあり方について、参加者の皆様を交えてディスカッションを行いました。
全体で四時間の長丁場となりましたが、スタッフ、ボランティアを含め総勢63名の参加で、会場は満員となりました。在日アフリカ人の方々も9名お越しいただき、冒頭には、後援をいただいたガーナ駐日大使からの挨拶もありました。
さて、シンポジウムの内容ですが、各部ごとに振り返っていきたいと思います。
第一部では、はじめに高根さんから、独立後のガーナの政治史、ガーナの歴史の特徴、ガーナの現在と課題、等についてお話がありました。ガーナ独立の 1957年から年代ごとに政権の遷移やガーナの国際社会との関わりを振り返り、ガーナが他のアフリカ諸国と異なり政治的に安定している理由として、政権交代が上手くいっている、権力者が進んで退陣している、新権力者が旧権力者に寛容であるといったことが挙げられました。その結果国際社会からの評価も得られている、しかし一方では、独立直後から変わらず金・カカオ・木材が経済を握っているという問題もあるということでした。
続いて独立の翌年にガーナを訪問し、その後は研究者としてアフリカを見つめてきた吉田さんには、個人の視点からガーナについてお話していただきました。アメリカ留学時代にアフリカに興味を持った話、国会副議長の父親を持つガーナ人の友人の家にホームステイしたときの話、そして議会を見に行った話と、数々のエピソードから独立前後のガーナの雰囲気が生き生きと伝わってくるようでした。最後にはなんと当時のガーナを捉えた貴重な写真のスライドショーが行われ、若かりしころの吉田さんの写真などが披露されると会場は盛り上がりを見せました。また、50年前の母国を見つめるガーナの方たちの姿も印象的でした。
第二部では、アコパリさんとクワシさんという、二人のガーナの方にお話していただきました。 アコパリさんは、現在南アフリカで人間の安全保障について研究しておられる方です。講演ではガーナの状況とその評価、ガーナの直面する課題、ガーナ政府・民間・非政府組織の面する問題、ガーナから学べる教訓についてお話していただきました。とりわけ最後にお話された、ガーナ人の暴力より対話を好む気質、政府や人々の人権に対する敬意といったお話は、真剣に聞き入ってしまう内容でした。
在日ガーナ人協会のクワシさんには、クワシさんが奨学生として来日した80年代前後の日本におけるガーナのイメージや在日ガーナ人の置かれていた状況、また国外へ出ていったガーナ人について、そのとき発生してきた経済難民についてなど、多岐に渡り説明していただきました。その中でも、同じように海外へ出ていったガーナ人でも、日本に来たガーナ人とその他の国に行ったガーナ人では仕事の感覚が異なるといった話や、華僑を見習えばガーナ人にできることはまだまだたくさんあるといったお話、またガーナを作るには、ガーナ人自身の手によって作る必要があるといった意見が印象に残りました。
そして第三部では、一部二部を踏まえた上での質疑応答が行われました。主なトピックとして政治課題・開発課題・日本社会と在日ガーナ人について挙げられました。特に開発課題についてでは、同じガーナ人同士でも意見が分かれ、議論は白熱したものとなりました。
ここでアンケートに寄せられたメッセージを紹介します。
- ガーナの歴史に触れることができ、有意義でした(30代男性)
- ガーナの方々と直接話す機会が無かったので、具体的な話が聞けて楽しかった(20代女性)
- ガーナがアフリカの中で重要な位置を占めていること、これからのアフリカの発展に欠かせない存在であることを学んだ(10代女性)
- 吉田さんがニコニコしながら、1958年当時のガーナのことを話していたのがよかった。親近感が沸き、ガーナに行きたいと思った(20代女性)
- 多様化・パンアフリカニズムという言葉が印象的だった(20代女性)