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AJFは、日本・ブラジル・モザンビーク三角協力ProSAVANA事業に対する、モザンビークの農民組織、市民団体の声を日本に届け、ともに考えていこうと努めています。
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2018年2月8日
平素より日本の市民・NGOによる政府開発援助事業へのモニタリングについて、ご理解とご協力をありがとうございます。
昨年(2017年)10月24日〜25日にモザンビークの首都で、プロサバンナ事業対象郡の小農代表を含む200名近くの市民社会関係者が参加して開催された、第三回「3カ国民衆会議」(主催:プロサバンナにノー!キャンペーン)に、JICAモザンビーク事務所並びに在モザンビーク日本大使館からご臨席ならびにご発言いただきましたことにお礼申し上げます。
本状では、この会議直後(11月上旬)に行われた記者会見で、ナンプーラ州農務局長ペドロ・ズクーラ(Pedro Dzucula)氏による発言が現地社会に不安を広げている点について指摘するとともに、その内容に懸念される点が多く含まれていることを受けて、事態の緊急性と深刻さに鑑み、公開にて質問いたします。なお、ズクーラ局長は、JICAの招聘により度々来日し(1)、プロサバンナ事業の推進において要となる役割を果たし(2)、昨年4月に住民11名がJICA環境社会配慮ガイドラインに基づき行った異議申立でも問題が指摘されていることはご承知のとおりかと存じます(3)。
なお、昨年の記者会見時のズクーラ局長の発言については、昨年12月13日に開催された第2回ODA政策協議会(4)、ならびに3月1日に開催予定の同協議会に向けた議案書でも指摘と確認を要請しています(5)。本状は、事業の直接の運営主体かつ責任母体でもあるJICAに対して、事実確認のために具体的な回答を要請するものです。記者会見の録音記録によると「2月上旬」にマスタープランの見直しが完了するとのことで、大変恐縮ではありますが、質問部分について、2月15日(木)までのご回答を要請いたします。
以下、質問いたしますので、ズクーラ局長記者会見の録音記録(6)をご確認の上でご回答下さい。
1.マスタープランの見直しプロセス
これまで、JICAは、モザンビークに「開発」あるいは「支援」だけを持ち込んできたわけではありませんでした。JICAの活動自体が、前述した自身が守るべき諸原則の履行に疑念を抱かせるものでした。これには、「Do No Harm」の原則も含まれます。JICAの一連の活動は、自身の文書が明示するように、モザンビークにおける公正、民主的、透明で責任のあるガバナンスとは裏腹の困難な状況を作り出しています。
2.人権侵害について
また、JICAの事業担当部署(アフリカ部・農村開発部)は、「環境社会配慮ガイドライン」を抄訳し、相手国政府の主要カウンターパートに周知していると主張しています(13)。しかし、このような言動が改められることなく繰り返されていることから、2010年に導入され、国際評価も高かった「環境社会配慮ガイドライン」の評価を下げる結果となっています。
ご承知のとおり、昨年10月にナンプーラ市では野党系市長が暗殺され(14)、今年10月に地方都市選挙が予定される中、農村社会を巻き込んだ政治的暴力の可能性が指摘されており(15)、政府高官による上記の発言は、当事者の身を危険に曝すばかりか、地域社会の不安を掻立て、政治・社会状況に悪い影響を及ぼします。理事長のリーダーシップの下、早急なるご回答とご対応を求めます。
別添として、昨年11月上旬の記者会見の録音の逐語仮訳を添付しまずが、貴機構として録音を直接ご確認の上、ご回答いただければ幸いです。
署名団体:
(特定非営利活動法人)アフリカ日本協議会、(特定非営利活動法人)日本国際ボランティアセンター、ATTAC JAPAN、No! to landgrab, Japan、モザンビーク開発を考える市民の会
【註】
(1) 2015年8月にもプロサバンナ推進のためにJICAが招聘したモザンビーク食料安全保障農業省の政府派遣団の一員として来日。 > 本文へ
(2) Notícias (2014年8月26日) “Prosavana diz que vai avançar apesar da “propaganda falaciosa” que “vem da fora do país” 「プロサバンナは『外国からくる』『誤ったプロパガンダ』にかかわらず前進する」http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/20171112/20140826.pdf > 本文へ
(3) プロサバンナ(マスタープラン策定支援プロジェクト)ProSAVANA-PDへの地域住民11名による異議申立書のJICAによる日本語訳(ただし正確ではない) https://www.jica.go.jp/environment/ku57pq0000205x3b-att/objection_170517.pdf > 本文へ
(4) http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/shimin/page22_000790.html > 本文へ
(5) 12月のODA政策協議会時の外務省からの提案に従い、この記者会見の録音を提供し、現在その確認がなされているところと承知している。 > 本文へ
(6) Press conference by Nampula DPA Director on ProSAVANA (November 2017) https://www.youtube.com/watch?v=VWS_TW0ZKJY > 本文へ
(7) 外務省議事録 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000326817.pdf > 本文へ
(8) JICA理事長宛「環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申し立てに係る調査報告書」(2017年11月1日) https://www.jica.go.jp/environment/ku57pq0000205x3b-att/report_171101.pdf > 本文へ
(9) 参議院決算委員会(2014年5月12日) http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/186/0015/18605120015007c.html
参議院決算委員会 (2015年4月20日) http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/189/0015/18904200015006a.html > 本文へ
(10) Press conference by Nampula DPA Director on ProSAVANA (November 2017) https://www.youtube.com/watch?v=VWS_TW0ZKJY > 本文へ
(11) ナンプーラ州農民連合に対する度重なる電話など(第9回[2014年5月20日] http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/9kai_shiryo/ref9.pdf)。第13回「ProSAVANA事業に関する意見交換会」(2015年10月27日、12月8日)にあたって事前に次の文書を提出し、対応を要請した。 資料1-「プロサバンナ事業で招聘されたモザンビーク政府一行との面談」に関する日本の市民社会による記録・問題提起・要請 http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/13kai_shiryo/ref1.pdfしかし、十分な回答が得られなかったため、第14回時(同年12月8日)に再度提出を行っている。 http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/ProSAVANA/14kai_shiryo/ref5.pdf > 本文へ
(12) この録音もすでに外務省に提供していますが、非公開のため、外務省国際協力局国別開発協力第3課からお取り寄せ下さい。 > 本文へ
(13) JICA事業部署の説明文(2017年7月)。 https://www.jica.go.jp/environment/ku57pq0000205x3b-att/material_170704_01.pdf > 本文へ
(14) O País (2017年10月5日)“Murder of Nampula mayer represents a hard blow to the construction of a state of democratic rights” http://clubofmozambique.com/news/murder-of-nampula-mayor-represents-a-hard-blow-to-the-construction-of-a-state-of-democratic-rights/ また、ナンプーラ新市長を選出するための選挙においても混乱が続いており、国内外で懸念が広がっている。 http://clubofmozambique.com/news/nampula-election-catholic-church-protests-aim-report/
http://clubofmozambique.com/news/electoral-rolls-for-nampula-by-election-are-a-mess-centre-for-public-integrity/
http://clubofmozambique.com/news/mozambique-complaints-of-irregularities-at-the-nampula-by-election/ http://clubofmozambique.com/news/election-called-unacceptable-full-results-another-cne-error-by-joseph-hanlon/ > 本文へ
(15) http://clubofmozambique.com/news/council-of-religions-worried-about-conflicts-mozambique/ また、昨年11月から現在も続くナンプーラ新市長の選挙における上記の混乱(多くは与党と選挙管理委員会に関する問題)のほか、選挙キャンペーンの初日に暗殺された元市長と同じ野党(MDM)の支持者がポスターを貼っている最中に暗殺されるという事件も生じているとの報道がなされている。http://clubofmozambique.com/news/nampula-mdm-member-killed-on-first-day-of-election-campaigning > 本文へ
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