メディア報道:プラスチックごみがタイのゾウを殺す もうひとつの警告

Sustainability Timesが配信した記事を、AJFが翻訳・紹介するものです。
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プラスチックごみがタイのゾウを殺す もうひとつの警告

Plastic waste kills a Thai elephant in another wake-up call

2020年7月14日 Sustainability Times

プラスチックごみは大小様々な野生動物にとって明らかに現在の危機であることは、もうこれ以上言うまでもないことだ。しかしまた起こってしまった。タイで野生のゾウが大量のプラスチックごみを摂取した後に死亡した。

体重約3.5トン、年齢20歳ぐらいのオスのゾウが、タイ中央部のKhao Khitchakut国立公園で死亡しているのが発見され、その後行われた剖検でプラスチック製ごみ袋その他が、この厚皮動物の腸に閉塞と感染を引き起こしたという死因が判明した。

「いったい何頭の野生動物が死ねば、人々の良心や罪悪感を呼び起こすことができるのでしょうか?」国の天然資源環境大臣であるVarawut Silpa-archa氏がFacebookの投稿で嘆き悲しんだ。

ゾウは、おそらく自然保護区の来訪者が残したプラスチックごみを気づかずに飲み込んでしまったのだろう。 「人々は私たちのキャンペーンにいまだに耳を貸さない」と大臣は述べた。 「最近のこの哀れな野生の大きな動物の事例を含め、私たちはプラスチック製ごみ袋によって引き起こされた他の動物の死を見てきた。」

彼は地元の人々に「公園内にプラごみを残さないことで、私たちを手伝ってください」と呼びかけた。

プラスチック製のごみ袋はお店や商店で買い物のたびに惜しげなく配られるので、最近まで、タイの約7,000万人近くの国民が、1か月あたり約37億5千万枚のプラスチック製の袋をごみとして廃棄していた。これら膨大な量のプラごみを削減するため1月に開始したキャンペーンによってかなりの良い結果がもたらされたが、この東南アジアの国は、依然として世界有数のプラごみの発生国である。

回収もしくはリサイクルされずに残ったごみの多くは、海洋に流出する。タイは昨年、海洋にプラスチックごみを排出量で世界第6位だった。過去10年間、タイは年間平均200万トンのプラスチックごみを排出した。

タイの野生生物や海洋生物への廃棄物の影響は深刻である。昨年、絶滅の危機に瀕している種のひとつであるジュゴンの幼い孤児が、地方の水域で死んでいるのが見つかった。その雌の動物は、プラスチックごみを誤って摂取した後に死亡した。メスのジュゴンの死という全国的に注目されたその悲劇は、タイの国民に衝撃を与えた。

「彼女がプラスチックの破片が引き起こした腸閉塞により、ショックの状態に陥った後に死亡したことはとても悲しいことです。それらは炎症を引き起こし、消化器系にガスを充満し蓄積させました」と地元の獣医であるNantarika Chansue氏は見解を述べた。

それでも、タイ1国だけが膨大な量のプラごみを発生させているわけではない。他のいくつかの東南アジアの国々は最悪のプラスチック汚染者であり、中国とともに多くの海洋プラスチックごみに責任がある。中国、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムはともに、海洋にたどり着く地球上のプラごみの半分を発生させる。

「東南アジアは、プラスチックの主要な供給源であり被害者であり、そこでは海を窒息させつつあり、生態系と生活を脅かしています」と、国連環境計画の化学物質と廃棄物の地域コーディネーターである Kakuko Nagatani-Yoshida氏は言う。「世界的な海洋ごみ問題を解決したいのであれば、私たちはこの地域で解決しなければなりません。」