食べ物—野生動物乱獲 熱帯木材と消費の関連

食べ物—野生動物乱獲 熱帯木材と消費の関連

2020年3月25日(水)信濃毎日新聞掲載

『地球環境2020 動物起源の感染症猛威』の記事から一部掲載

アフリカでの経験が長い西原智昭・星槎大特任教授(自然環境保全学)の話

アフリカなどの先住民は古くから森の中の動物をタンパク源としてきた。だが、近年、熱帯林地帯では木材や鉱物など森林資源開発のために道路が切り開かれ、多数の伐採労働者が送り込まれるようになったことなどから、食べ物として捕獲される野生動物の量が急増した。道路ができたことで都市部への輸送も容易になり、都市部で売るための「森の肉(ブッシュミート)」消費が拡大した。道路網の発達は同じタンパク源となる河川の魚の乱獲と都市部へのその大量流出も引き起こした。その結果、先住民にはブッシュミート消費が根強く残り、鉱物採取等による水質汚染による河川生態系の撹乱がそれに拍車をかけている。持続的でないブッシュミートの消費の拡大は、自然環境保全上の大問題であるとともに、野生動物と人間が接触する機会を増やし、新たな感染症の拡大につながるという問題もはらんでいる。日本の企業や消費者も、熱帯木材やアフリカなどで産出する鉱物資源の消費が、これらの問題の深刻化と関連していることを認識し、持続的に生産された製品であることが証明された製品だけを調達、消費するようにするといった努力が必要だ。