Homeへ戻る特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会:Africa Japan Forum

AJFが開催するイベント・セミナーの案内、報告です。質問、関連情報などをAJF事務局に寄せていただけるとうれしいです


AJFの活動

あなたの寄付がAJFの活動強化につながります
AJFへの寄付について
テーマから探す:
事業から探す:
活動内容から探す:

「北アフリカの変革と西サハラ問題 =TICAD開催国としてどう向き合うのか=」報告

当日配布した資料 pdfをダウンロード
当日のプレゼン資料(稲場) pdfをダウンロード


日本サハラウィ協会・(特活)アフリカ日本協議会主催 緊急セミナー
北アフリカの変革と西サハラ問題 =TICAD開催国としてどう向き合うのか=
 映画「雲の子どもたち」「サハラウィの女たち」上映
 日時:2012年4月22日(日)14:30〜16:30

当日は30名弱の参加がありました。

●短編映画上映
セミナーの前半は、短編ドキュメンタリー映画を上映。「雲の子どもたち」(カルロス・ゴンサレス監督)では占領地ライウンで暮らす人々が、「サハラウイの女たち」では人権活動家のアビナド・ハイラル氏を中心に、ティンドゥフ難民キャンプで暮らす女性達が紹介されました。

●パネルトークセッション
後半は、2人のパネリストによる講演。
高林氏は西サハラ問題の歴史的概要を踏まえ、「北アフリカ革命」と、日本の歴史的な親モロッコ外交によって西サハラが受ける影響などについて、また稲場氏はTICAD IVフォローアップ閣僚級会合(2012年5月5・6日)の開催地がモロッコに選ばれた背景を中心に話しました。

高林敏之代表(日本サハラウイ協会)

◇最近の北アフリカの動向について

1990年代以降、サハラ砂漠以南アフリカ諸国の民主化の動きの方が先行しており、多くの国が複数政党による選挙を実施してきた。昨年の「アラブの春」そして住民投票による南スーダンの分離独立は、国連が定めた住民投票実施を求めるサハラウイを励ますものだったのではないか。

◇日本の親モロッコ外交

日本はモロッコに対して、未だ資源外交、皇室外交を行っている。TICADにおいても西サハラを除外している日本政府は、TICADの理念である「民主化」「人間の安全保障」などを実行できていない。

TICADには日本と関係の深いモロッコが参加する一方、AU加盟国であるサハラ・アラブ民主共和国は「日本政府の未承認」を理由として一貫して排除されている。
*西サハラは2013年度開催TICAD V本会議に招待されていない。

外務省が出した声明も、王権の本質を何ら変えることのないモロッコの弥(び)縫(ほう)的な「改革」を持ち上げるばかりで、西サハラで抑圧される人々、難民キャンプに暮らす人々のことなど、まるで眼中にないものだ(これは欧米諸国に共通するものではあるが、自分たちのコントロールや理解から外れた変革を歓迎しない本音が、「北アフリカ革命」への対応には見られた。モロッコの「改革」持ち上げは、その象徴といえる)。要は、王制が崩壊しない形での部分的な「民主化」が、(これまでも皇室外交を通じてモロッコと深い関係を築いてきた)日本の望むものであり、それを明確に後押しする場としてTICADを活用することが、日本にとって「意義」のあることだと考えたのだろう。

日本が金もロジスティクスも負担する国際会議であるのなら、すでに民主化選挙をすべて終えて新体制の発足したチュニジアこそ、開催地にふさわしい場所だった。それこそ、日本の「民主化支持」のメッセージを伝えるものとなったはず。

◇フランス語圏アフリカ諸国の親モロッコ主義

AUにおけるモロッコの不在を埋め合わせる存在が、フランス語圏アフリカ諸国である。というのも盟主フランスが世界一の親モロッコ国だからである。冷戦期には「社会主義」を掲げる政権がRASDを支持したこともあったが、現在はフランス語圏のほとんどが親モロッコだ。モロッコ側が南ア・ナイジェリア・アルジェリアの3カ国を「モロッコに敵対する三角の軸」と呼ぶほど、AUの主要国、さらに英語圏諸国はRASD支持が強いが(英語圏に接近するルワンダも然りです)、フランス語圏は国の数としてAU内の最大勢力ですから、その発言は無視できない。

フランス語圏諸国は基本的にAU内でのRASDの存在は黙認しているが、その代わりにAUが関わる様々なフォーラムではモロッコの参加を後押ししている。駐日アフリカ外交団も然りだが、アフリカ諸国は結束を保つためにコンセンサスを重視する傾向が強いので、TICADその他の会議にモロッコを参加させるようフランス語圏諸国が求めれば、その方向に流れてしまう。

要は、中南米スペイン語圏とアフリカ以外の地域では圧倒的に西サハラ問題無視の傾向が強く、アフリカでもフランス語圏は事実上モロッコ陣営に属するため、外交的にサハラウイは不利な状況に置かれていることは事実。その現れが、150票以上を獲得しての(そして、AUが候補と決めていたモーリタニアを押しのけての)モロッコの安保理当選だった。このことも、TICAD-IVフォローアップ閣僚級会合のモロッコ開催に向けて大いに後押しとなったと考えられる。しかしはっきり言えることは、駐日アフリカ外交団もAUも、これを容認した共同責任を負うということだ。

モロッコはAUの加盟国でないことはもちろん、オブザーバーやゲストの地位でもない。したがって、AUの首脳会議、閣僚執行理事会、常駐代表理事会のいずれにも参加しておらず(これはAUの公式文書でも確認できる。もっとも、アディスアベバ駐在大使が密かに傍聴やロビー活動をしていることはあり得る)、パン・アフリカン議会などのAU機関にも参加していない。ゆえに、「実質的には加盟国と同じステータスを持ち、主要会合には参加している」というのは、まったくの誤りである。

ただし、AU内部での直接的な参加はなくても、モロッコをAUに実質的につなぐ「パイプ」が存在することは、否定できない事実である。そのためAU以外の会議に関して、TICADだけではなく、EU-AU間の首脳会議、中国・アフリカ協力フォーラム、アフリカ南米首脳会議、その他の会議でも、AU加盟国であるRASDが参加せず、モロッコが参加することが慣例化している(日本政府もそれゆえに、TICADからRASDを遠慮なく排除できる)。これは、いずれの対話パートナーもRASDを認めていない(むしろ親モロッコ的ですらある)ことと関係している。人権よりも「経済的実利」というわけだ。

日本サハラウイ協会ではTICADへのRASDの招請と、TICADにおけるRASD・モロッコ間の仲介努力を繰り返し要求している。

稲場雅紀(AJF国際保健部門ディレクター)

AUを共催者にするTICAD閣僚級会合がモロッコで開催される理由については、日本政府の用意周到な根回しと、旧仏領諸国における影響が強い国の多くがモロッコを支持する在日アフリカ外交団のロビー活動の結果だと考えている。

TICAD Iから一貫してAU加盟国である西サハラを招聘しない政府は、「原則よりも目先の利益」を優先せず、長期的には「正統性のないものは弱い」ことに気づくべき。

また、日本の市民社会の側も、<アフリカの知られざる紛争>であった西サハラ問題に感心を高め、現状への疑問を政府にぶつけていくなどの「強い発信」が重要である。

●参加者の声
「マラケシュ会議に向けて、早くから動きを形成できればアドボカシーの機会も増えた」
「アラブ・北アフリカでの政治的連動の話は、日本のメディアがあまり取り上げないのも問題だが、もう少し発信を増やす機会があればいいと思った」
「TICADとの繋がりの上でも西サハラを理解する重要性を感じた」

▲このページのTOPへ

特定非営利活動法人アフリカ日本協議会 (Africa Japan Forum)

〒110-0015 東京都台東区東上野 1-20-6 丸幸ビル3階
TEL:03-3834-6902 FAX:03-3834-6903 E-mail:info@ajf.gr.jp

Englishプライバシー・ポリシーサイトマップお問い合わせ
Copyright© Africa Japan Forum. All Rights Reserved.