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GFATM支援会議に向けて

1980年代以来、国際協力活動に関わってきたAJF代表理事・林達雄が折々に発したメッセージです。


皆さん

今、パリに向かう途上です。

先のエビアン・サミットでのフランスからの提案を受け、7月中に開催が決まったエイズ・結核・マラリアと戦う世界基金ドナー会議がパリで16日に行われます。基金事務局長のリチャード・フィーチャムさんから直接招かれ、このハイレベル会議に出席することになりました。昨年秋、同氏来日のおり、ケニアのアスンタさん、南アTACのフォロゴロさん、タイのエイズNGO協議会代表のプロンブン氏とともに彼を囲んで会合を持ったことを思い出しています。彼はアクチビスト(運動家)の存在がこの基金の成功の鍵になると私の目を見て語りました。

この基金の成否は、毎日16000人ずつエイズ・結核・マラリアで死んでいく人々の生死を左右するものです。エイズに関して言えば、アフリカを始めとする途上国での治療を促進する世界的な仕組みです。

1995年前後に治療法がかなり確立し、日本を含む先進国の感染者は生き延びることができるようになりました。薬害エイズによる感染者のひとり、花井さんが奇跡が起きたと語りました。この奇跡が途上国の感染者たちにも届く第一のハードルがルールの問題(WTO/知的所有権の壁)だとすれば、第2のハードルが世界規模の医療制度です。ルールが変わり、相当に薬の値段が安くなったとしても、制度が整い、インフラが整備され、技術がともなわなければ、貧しい感染者たちが薬を飲み続けることは不可能だからです。日本の保険医療制度やブラジルが国家財政を傾けて作った、受益者負担なしの医療制度の世界版が必要になります。一国単位での制度だけに任せるなら、ブラジルよりも国力の弱い途上国では、エイズ治療は永久に不可能ということになります。

そこで、この世界基金に期待がかかるわけです。

しかし、この第2のハードルを越えることは簡単ではありません。第1のハードルが裁判に象徴されるように、勝つか負けるか白黒がはっきりするものであったの対し、第2のハードルは総合力が問われるものだからです。制度を作り、動かすことは、様々な矛盾をかかえ、克服してゆく作業です。経済は世界規模のものになりましたが、社会制度が世界規模になったことはありません。世界規模というイメージを一体どれだけの人が持っているのか、・・・・未知への挑戦でもあります。

世界基金は各国政府・国際機関・企業・NGO(感染者)の4者が構成している機関です。感染者が理事やスタッフに存在すること自体、画期的なことです。これだけ大規模な問題に対応するためには、感染者自身に対策の担い手としてのやる気をだしてもらわうことが重要だからです。構成するそれぞれのセクターが力を合わせる以外には道がないことも確かです。

しかし、各国政府がそれぞれの国益をのりこえて力を合わせることは至難のことです。力をあわせるどころか、米国の例を見ても孤立主義(独自路線)に走りやすい時代です。日本も援助を国益(わが国の平和と繁栄)の方向に変え、8月に閣議決定しようとしています。外交の道具として使いやすい2国間援助に傾斜し、世界基金のようなところにはお金を出したくない・・・ほおっておけばそんな方向に向かうことでしょう。 企業は過当競争の渦中にあり、世界各国のNGOだって一枚岩ではありません。

今回の会議は、世界基金が動き始めて18ヶ月の成果を報告し、来年度以降の資金調達をはかることが主な目的です。感染症の対策には長期計画が必要ですが、来年度のお金の目途もたっていない。その呼びかけのための会議に私は行くのです。日本政府代表の藤崎審議官は、お金を出せないことの言い訳に行くのかもしれません。

今回は感染症研究会の同僚である河野さんと一緒にいってきます。国会議員の川田悦子さんともパリで合流します。急な話だったにもかかわらず、ご両人とも参加することを快く引き受けてくれました。

現地では世界基金のありままの姿を、その矛盾や欠点も含めて確かめてきます。

それを皆さんに報告して、未知への挑戦を始めたいと思います。

一番目のハードルをのり越える作業に出遅れた、日本の私たちですが、2番目のハードルの際には是非、世界の輪の中で、元気をとりもどしたいと思います。

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