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カナダサミットとNGOの声

1980年代以来、国際協力活動に関わってきたAJF代表理事・林達雄が折々に発したメッセージです。


2002年6月

2年前の沖縄サミット以来、G8サミットに注目している。現代の世界の方向は、国連のような場で世界各国が議論の末決めるのではなく、G8サミットというインフォーマルなクラブの中で決まるといわれる。市民やNGO、マスコミはその会場に立ち入ることはできない。しかし沖縄では、NGOやマスコミに対して専用のブースが用意され、シェルパと呼ばれる外務官僚によって、会議の内容が逐次報告された。プレスセンターも用意され、NGO側の意見を表明する機会もあった。

サミットは次の1、2年の世界の政治・経済上の争点を提示する。その時点で注目を集める国際問題にG8がいかに貢献するかを示す一方、(特に米国から)その問題を機にいかに儲けられるかが示される。2年前の沖縄では、世界規模で流行するエイズ・感染症が国際問題として提示された一方、医療(ゲノム・遺伝子解析を含む未来医療)が今後の儲け口であることが示された。そして、『特許』の強化が儲けを確保するための手段であった。裏返して言えば、医療は加速的に進歩し、夢のような治療法が開発されるが、それはお金を持った一部の人にしか買えないことを暗示していた。今後、医療における格差はますます広がるのである。少なくとも私は沖縄で、米国が世界に打ち出す特許優先政策の狙いとそれに対するEUの反論を知ることができた。エイズ治療薬の普及を『特許』が妨げる。そのことが国際世論の争点になることを予想しえた。そこで今回もサミットが開催されるカナダをその時期に訪問した。

6月26日から28日までカナダでG8サミットが行われた。ロッキー山中の保養地カナナキス、ここはカナダで最も美しい自然に囲まれた場所である。しかし、私たちNGO関係者は、サミット開催期間中ここに一歩も足を踏み入れることができなかった。私はカルガリ市で行われたNGOの集会に参加していたが、そこから100キロ離れたカナナキスで何が話されたのか、その内容も新聞やテレビを通してしか知ることができなかった。

地元の新聞によると、カナナキスからプロテスターたちをシャットアウトできた。昨年のジェノバサミットと比べても、集まった人間の数は少なく、平和的な抵抗だったといわれる。その一方、カナダ政府がサミットの前にアフリカに対する支援として発表した額と同額が警備のために使われた。と町のカフェーで怒るおやじもいた。ヘリが町の上を飛び交った。ブッシュは夜カナナキスに宿泊せず、あれで毎日米国から通って来たのだという。

アフリカの首脳たちはサミットの会場の中で、G8の指導者たちと同席した。かつてないことだという。

ムベキたちアフリカ首脳は大きな成果をあげたと誇らしげである。G8という会員制のクラブにビジターとして入れてもらえた。そのことを喜んでいるのだろうか?あるいは、アフリカのリーダーとして世界に認められたことが、成果なのだろうか?

カナダサミットでは論点、対立点など詳細が市民、NGOに対して知らされなかった。テロ対策を理由に、サミットに象徴される世界の政治は秘密裏の中で行われる傾向を深めた。『テロ対策を中心とする平和』『アフリカ』が議題となったこはわかっても、その裏にある米国とG8の『儲け口』、政治的利害がどこにあるか断定できない状態である。以下、これらの問題に対するNGO側の意見を報告する。

G6B『60億の人々のサミット』

カナナキスG8サミットに対して、6月21−25日の5日間にわたって、ひとつの人々、ひとつの世界、ひとつ地球と題したNGO側の会議『60億の人々のサミット』が行われた。政治、経済、環境、社会(人種、階層)、女性、メディア、平和、アフリカ、人間安全保障、医療、教育、先住民など、今の世界のありとあらゆる問題について、過密なほどのスケジュールの中で論じられた。千人越える参加者は、若者から熟年者までの年代層にわたり、いまの世界の真実を知りたいという熱意にあふれていた。カナダの中部は政治や社会に関心の薄い地域として知られているようだが、運動家の集まりというよりは、素朴な人々の集いといった感じで好感が持てた。

今回のG8サミットの主要議題は平和、そしてアフリカであった。『平和』に対して、G6Bでは『いわゆるテロ対策』という言葉が使われ、9・11の真相、戦争の背後にある利権と経済問題が指摘された。そこに不必要なお金をかけるなと言うわけである。また、『人間安全保障』『ユニバーサリー・アクセス』『コモングッズ』という言葉の下に、生活生存に必要なものへのアクセスこそが、人々にとっての安全・平和であることが確認された。エイズに象徴される感染症の危機が強調された。債務・構造調整、民営化、新自由経済主義(ネオリベラリズム)の潮流の中で悪化した医療や教育を世界の誰でもアクセスできるように、公共財としていこうと主張された。

『アフリカ』に対しては、すべての議題に対して、アフリカからのゲストが用意され、その現状が語られた。特にアフリカの指導者たちの提唱するNEPADに対しては、批判的な声がアフリカのNGOからあがった。基調講演の中でも、アフリカが米国、G8をまねたやり方で経済的繁栄を得ようとしても、それは幻想であると述べられた。

最終日には、カナダの外務大臣と援助担当大臣がG6Bの会場(カルガリ大学)を訪問し、14の分野にわたるNGOの提言を受けた。日本とカナダは、政治にうとい、世界の問題にうとい、米国のいいなりになりやすい、などの共通性を持つが、こうした場に外務大臣が来て、NGOの声を聞くだけ、カナダのほうがましであると感じた。

1)平和

対テロ戦争といわれているが・・・

So-called war against terror

カナダの新聞によると今回のサミットでは、対テロ、中東和平、アフリカが議題として突出し、経済問題の扱いは比較的小さいといわれる。6月26日、G8は大量破壊兵器の破壊のために300億ドルの拠出に合意した。テロの再来を防ぐという理由で、ブッシュ、ブレアが提案したものである。これに対してG6Bでは、対テロ戦争という言葉の前に、『いわゆる』という言葉をつけられた。ここには、対テロという言葉は欺瞞、幻想、でっち上げだというニュアンスが込められている。

G6Bの最終日のパネルでは、戦争と経済と題して、『9・11』事件の背景とその真相について、米国のジャーナリストと経済学者によって語られ、会場は騒然となった。

アフガンは石油、天然ガスの産出国に近隣し、同時に核保有国に囲まれた地理的位置にある。中東の石油は産出のピークを終え、中央アジアが今後の石油産出の主役と目されている。そして、最も有力な石油搬出ルートが中央アジアからアフガン、パキスタンを経て、インド洋に抜けるパイプラインである。21世紀の石油をめぐる利権こそが9・11とその後のアフガン戦争(いわゆる対テロ戦争)の背景にある。

CIAは米国の機関のように見えて、実は中央アジアの石油の利権をにぎる石油会社と銀行の傀儡のようなものである。アングロアメリカン石油とそこに出資している銀行から出向した人間たちによってCIAの主要ポストは占められてきた。そして、それらの銀行こそが(世界経済の)グローバル化のエンジンとなっている。

ビンラディンがCIAによって育てられ、事件の直前まで、CIAと深く結びついていたことは衆知の事実である。米国政府の高官は9・11がおこるという情報を事前に入手いていた。それは諜報活動の失敗ではなく、逆に、成功だといわれている。9・11による株価の変動で儲けた人間もたくさんいる。明らかにインサイダー取引が行われていた。

石油利権に加えて、麻薬の利権も関連している。アフガンはオピウムの主な産出国でもある。麻薬取引によって生じたお金のロンダリング(洗浄)にフォードやソニーも加わっているといわれる。

アフガン戦争は対テロ戦争ではない。経済利権をめぐる米帝国の犯罪である。

過去20年間のすべての戦争は米国によって引き起こされている。

戦争はグローバル化経済と深く結びついている。中国のWTO入りも9・11の2日後であった。

その他にも、ダイヤモンドなど鉱物資源と戦争の関係、戦争と森林資源、武器輸出の問題など、様々な視点から戦争とその裏にある経済・『儲け口』について語られた。

現代の戦争も平和もすべて、利によって動いている。

一見ばらばらに見える、戦争は実は相互につながっている。

核をめぐる印パ戦争も含めて、次にはどのようなシナリオが用意されているのだろうか。

2)NEPAD アフリカの開発のための新パートナーシップ

カナナキスG8に南ア、ナイジェリア、セネガル、アルジェリア、エジプトから首脳たちが来訪した。

ひとことで言えば、NEPADの売り込みである。今回のG6Bの大きな特徴は、アフリカに問題の焦点を当てる同時に、NEPADに対する批判が大きく取り上げられたことにある。

■基調講演 ステファン・ルイス 国連アフリカHIV/AIDS特別代表

アフリカの政治指導者たちの努力を評価しながらも、以下の点でNEPADを批判した。

トップダウンの傾向が強く、草の根の人々と話し合っていない。

貿易と経済の自由化によって発展がもたらされるという『イリュウジョン(幻想)』を抱いている。

HIV対策をほとんど含んでいない。

Impossible hopeという言葉が使われた。エイズにより子供が被害を受け、教育・医療その他の分野で熟練した人材が不足している今、経済成長がとげらるわけがない。

■バージニア・セセディ;オーターナティブ・インフォメーション・センター(南ア)

南アでは話を始める前に演者は壇上から掛け声をあげ、聴衆はこれに応える形で言葉を返す。精神を高揚させ、一体感をつくるためである。ジョハネスブルグ近郊、最大の黒人居留区ソエトから来た女性、バージニアの演説は、アマンダ(パワー)。ダウンIMF、WORLD BANKで始まり、ダウンNEPADで終わった。

ムベキ大統領は変わった。当初彼は、帝国主義の打倒を主張していたのに、今では逆に帝国主義を打ち立てることを唱え、そのための海外からの援助を求めている。以前彼は債務の削減を求めていたのに、最近のダボスにおける発言では、債務の削減はNGOたちの意見であり、自分の意見ではないと語った。NEPADとそれを実現するための援助は、アフリカの人々に役立つものではなく、北の国々のニードを満たすものに過ぎないと考える。

民営化によって、ソエトでは最近、水や電気もお金持ちしか買えなくなり、住宅事情も悪化している。医療や教育へのアクセスが悪くなっている。人権侵害もひどくなり、ガードマンに保護された市長が、テロ撲滅のためには、抵抗運動は認められないと語った。NEPADの目標として平和と民主主義が掲げられているが、人々が声をあげることこそが、民主主義ではないのか。良いガバナンスを掲げているが、美人コンテストのように表面的に良く見せてようとしているだけである。北の国々はアフリカの政治腐敗の一掃を援助の条件として求めているが、政治腐敗は一方通行では起こりえない。アフリカの政府だけではなく、アフリカにビジネスに来る連中もまた腐敗している。

NEPADこそがテロを招く。

3)医療・保健

カナダの国連・アフリカHIV特別代表ステファン・ルイスの一時間におよぶ基調講演がによって、G6Bは始まった。医療・保健問題に対する、国際的関心の高まりを反映している。これは同時に、平和・安全保障が論じられる際、人々にとっての安全とは必ずしも、テロや戦争による脅威ではなく、むしろ、医療に象徴される生存手段の確保にあることを示している。以下、論点とキイワードを列記する。

■G8のコミットメントと医療

沖縄では2015年までにエイズで25%、マラリア・結核で50%の減少が目標とされ、ジェノバではグローバル・ファンドが設置された。沖縄では医療分野におけるODAの増加が呼びかけられ、ジェノバでは効果的に使おうといわれた。医療・保健はG8の主要テーマとなってきたが、9・11がすべてを変えた。医療に対する支援が、安全への投資に比べ、減少するようになった。これまでカナダと英国のODAにおける医療の割合は高かったが、いま減少しつつある。

ドーハ(WTO閣僚会議)では、保健に関する特許の緩和が宣言された。しかし、カナダや日本は米国に追随するような形でこれに反対していたことを忘れてはならない。(ロナルド・ラボンテ)

■感染者と被災者

従来から使われてきたPWA、PWH(エイズ・HIVとともに生きる人々)という感染している本人を意味する言葉に加えて、被害者(被災者)を意味するaffectedという言葉が使われるようになった。エイズに関しては、感染者infectedの周囲にはその何倍もの被災者affectedがいることを忘れてはならない。

■公共財common goods

WHO事務局長ブルントラントによって提唱されたといわれるこの言葉は、沖縄でG8によって使われ、2000年12月の沖縄感染症会議の際、キイワードとなった。そして、このカナダでも頻繁に使われた。

■Neglected disease など MSF代表

市場は医療のニードを反映するわけではない。市場から無視された感染症が置き去りにされている。

『治療』を予防を促進するものとしてとらえるべきである。

医薬品を安く購入して、質の良い医療を提供することが、(公共医療)の継続のために必要である。

ドーハで採択された;医療に対するTRIPSのセイフ・ガードが妨害されないよう。運動してゆこう。

『技術移転』を広めてゆこう。

■技術移転

モノを与えるのではなく、モノの作りかたを伝えよう。これは、従来から言われてきた援助の基本である。しかし、最近の特許の強化によって、技術移転は妨げられてきた。最近使われ始めた『技術移転』はジェネリック薬(特許適応外の治療薬)の製法を、途上国に伝えることを意味する。そこには、法律の解釈や裁判闘争などを含めた立法や法を駆使した抵抗手段;legal methodも、言外に含むことが多い。つまり、科学技術的な移転だけではなく、社会的・政治的な手法の移転を含む。

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