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ナイロビさんからのメール 9月13日

1980年代以来、国際協力活動に関わってきたAJF代表理事・林達雄が折々に発したメッセージです。

2001年9月

神戸俊平。獣医であり、マサイ族の応援団であり、環境運動家でもある彼がエイズをに関わりはじめたのは、旧友がコロンビア大学エイズ専門家であり、ケニアでの活動の協力を神戸氏に求めたことがきっかけだそうだ。神戸氏は2年前、米国でエイズ・カウンセリングの研修をうけた。その場所が先週崩壊したニューヨークの貿易センタービルだったという。ビルへの通行証を自慢げに見せてくれた。

ケニア政府は昨年の12月のエイズデーに際し、エイズが国家的災害であることを発表した。感染者を社会的に受け入れようという呼びかけた。観光立国であるせいもあり、ケニアでのエイズの存在は、この時点まで政府によって正式に認められてはいなかったのである。感染者は周囲からつばを吐きかけられるので、昼間を歩けない。そんな偏見のなかに暮す時期が長く続いてきた。ケニアのエイズ対策が本格的にスタートしたの今年になってから、まさに始まったばかりである。

一夫多妻、売春などの習慣がエイズを助長した。コンドームで防げるといっても、男性に対して立場の弱い女性たちが、その装着を求めることは困難であった。かつては長距離トラックの運転手と売春に関係する病気だといわれていたが、今は学校の先生、学生、看護婦など教育水準の高い人々の間にまで広がっている。

キビラスラム アヤニ女性センター

ナイロビの人口の中で、スラム人口の占める割合は大きい。スラム人口こそがナイロビ住民の代表的存在である。そのスラムの中でも最も人口の多いキビラを訪問した。スラム(不法占拠地)とは言え、家を貸す大家もいるし、行政事務所もある。スラムで生まれ育った住民たちは部族の垣根を越えて共存している。スラムを囲む道沿いには路上で野菜や炭を売る人々が並び、葬式があったのか、ときおり棺おけを担ぐ男たちが出てくる。

アヤニ女性センターは、カトリック教会や社会福祉事務局の支援を受け、76人のメンバーで1986年に出発。女性の貧困対策、学校からドロップアウトした子供たちの教育などを目的にしている。失業したシングルマザーたちが毛糸を紡ぎ、機を織り、わずかな現金収入を得ようとしている。ここの女性たちにとってもエイズは深刻な問題で、47名中5名がエイズで死亡し、孤児となった子供は親戚や隣人に引き取られている。毛糸を紡ぐ女性たちの中にも、やせ細り虚ろな目をした、いかにもという感じの婦人(カメラを向けるにも気が引ける人)がいる。しかし、ここではまだ、病気を話題にできる雰囲気はない。神戸氏はここの女性たちと話し合い、HIVエイズのカウンセリングを始めようとしている。

神戸氏でだけなく、AMDAも同じスラムの中でカウンセリングの活動を準備中だという。

最近ケニアに導入された簡易検査を使って、検査前と検査後のカウンセリングである。検査をしても治療につながるわけではないが、しっかりと自分の体のことを自覚してもらうことは本人のためにも良いし、周囲への感染を防ぐことができる。そのように信じていると、AMDAの担当者は語った。神戸氏によれば、カウンセリングは死刑を宣告するようなつらい仕事だという。特に、小さな子供を抱えた若い母親が泣き崩れる姿は見るにしのびない。

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