Homeへ戻る特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会:Africa Japan Forum

アフリカに関わる活動を行っているNGOのデータベースおよびアフリカのエイズ問題に関するニュース・情報データベースです。
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エイズと闘うアフリカの人々:HIV陽性者を中心として

2003年8月

〜「TICAD NGOシンポジウム」HIV/AIDS・感染症分野の討議〜

現代世界最大の危機の一つ:HIV/AIDS

稲場:ACT2003感染症分科会コーディネイター

午前中のセッションでロラケさんが強調していたこと、それはアフリカのエイズの問題とは現代世界が抱えている一番大きな危機の一つであるということです。その危機に対して、今すぐ行動しなければならない、さらに日本にもその行動の責任があるということを強く強調していたと思います。午後の最初にアスンタ・ワグラさんからお話を頂きます。

エイズは現代の世界の中で特に周縁化されたコミュニティ、あるいは周縁化された地域に最も大きな被害をもたらしている。それは日本でもアフリカでも同じことです。日本でも特に社会の中で周縁化されたコミュニティである、ゲイ、セックスワーカー、在日外国人などに大きなインパクトを与えています。またアフリカに関して言えば、かつての植民地支配、そして現代の国際的経済秩序のなかで周縁化を強要されている大陸としてのアフリカに対して、世界で最もエイズのインパクトが及んでいる。さらにそのエイズのインパクトを最も強く受けているのは、アフリカの多くの人口を占める貧困層、そしてセックスワーカーあるいはドラッグユーザーなどの周縁化された集団であるということです。このようななかで、具体的にどういった活動をアフリカでされているのか、ケニアのナイロビのスラム街で、感染者として互いに支え合いながら活動を進めているアスンタ・ワグラさんにコメントを頂きたいと思います。

HIV感染:差別・スティグマから行動へ

アスンタ・ワグラ:(ケニア・エイズとともに生きる女性達のネットワーク 事務局長)

どうもありがとうございます。私はアスンタ・ワグラといいます。このシンポジウムの組織者に対して感謝したいと思います。HIV/AIDSと共に生きる者として、どうやってこれが私の生活に影響を与えているかということを話し、この状況をどうやってコントロールするのか、ウイルスの方がコントロールするのではなく、私がコントロールするのだということをお話ししたいと思います。

1988年高校を卒業し、大学に入った後のことですが、検査をした時に、HIVのポジティブであると言われました。私が他の学生に対して危険だと言われ、大学を辞めなければならないことになりました。「実際にどのくらい生きられるのですか」と聞きますと、『6ヶ月ぐらいだろう』ということでした。ですから私の命は6ヶ月しかないということを言われたのです。私の家庭では、私は長女だったので、多くの期待をされていました。しかし、私は家族に、HIV感染は不名誉なことである、だから家で死んでは困る、どこか他の所で死んでほしい、と言われたのです。

ですから私は自殺を試みました。その後、私はHIVポジティブにという同じ境遇の人を探したわけです。私は売春婦ではありませんでした。私は普通の人間であり、誰も私を軽蔑する権利はなかったわけです。それで、私の人生をどうすればいいか、私は永遠に泣き続け、人から隠れていなければならないのか、そうではなくてエイズと闘わなくてはならない。この疾病は、誰だって感染する可能性があるのだ、さまざまな差別、スティグマ、恥辱を克服し、この疾病はアフリカだけではなくて、あるいは性産業に従事する人や、同性愛者だけのものでもない、誰であっても感染する危険性があるのです。そこで私は、死ぬ前に何かしようと、行動することを決めたのです。そして多くの感染者と共にKENWA(ケニア・エイズと共に生きる女性たちのネットワーク)を始めたわけです。

検査・ケア・教育……KENWAの多様な活動

私はKENWAの重要なメンバーであり、2980名のメンバーを擁しております。一緒にいれば、苦痛、悲しみ、喜び、全てを共有できるわけです。そして将来にどう対処するか、我々の子どもに対してどういう資源を残すことができるかを計画できるのです。KENWAを始めたとき、我々が求めていること、例えば検査を受けるときに何が必要なのかを考えたわけです。そこで、こうした検査の前後にカウンセリングを行い、HIVに感染した人たちが、それに対応できるような措置をあらかじめ講じておくことを考えました。

社会の構成員を感染させてはいけませんし、我々の兄弟を感染させてはいけないと考えました。他に重要なのは、ホームベースド・ケア home based careであります。これは感染した人たちを家で介護するということです。例えば、ほとんど介護されずにほったらかされて亡くなっていくということがあります。実際にまた同じ部屋にいたために、家族も日和見感染症に感染する状況もあったわけです。こういう状況をなくさなければならない、寝たきりの人を介抱して、清潔な環境の中で過ごせるようにする、こういう環境が非常に有効なものだということも示さなければならないのです。

HIV・エイズに関する情報が必要なわけです。コミュニティが持っている、HIV・エイズについての間違った情報を払拭していかなければならない。そのためにドラマや人形劇、紙芝居などを使うことによって、孤児に対しても正しい情報を、子どもたちがわかるような形で伝えていくのです。例えば、孤児に対して、自分の両親に何が起こったかを説明せず、天国に行ったという程度のことしか言わないということが多かったわけです。しかし私の場合は、真実を話す、HIVが何かということを説明する、そして、死とか、両親なしで生きることの苦しさも伝えようとしました。これは「ロンリープロジェクト」 lonely projectという名前になりました。「ロンリープロジェクト」は、親に十分な準備をさせるいうことでした。親がウイルスに感染している場合に、感染者の子どもたちがどうやって自分たちの財産を将来相続したり分割したりするかということも教えたわけであります。

未来に希望を伝えることは可能か

KENWAの組織のなかでは、メンバーのうち700名が寝たきりという状況もありました。この人たちには、食料・治療が必要でした。絶えず心理的なサポートが必要でしたし、社会的・福祉的なサポートも必要だったわけです。毎週3人ずつ死んでいくという状況がありました。1週間の死者が多い場合、1ヶ月で見ると約11人が死亡しています。新聞記事に書いてある話ではなく、私が毎日どういうことを目の当たりにしているかについて話をしているのです。子ども、特に孤児に対して何を話したらいいのかということはわかりません。今日どういう希望を持つべきか、そして彼らの人生に何が起こるかということを話すのはとても難しいと思います。たしかに、時として、子どもに対して希望を与えられないと思うことがあります。自分の子供に対してもそうです。日本に来る時に、私の子供が「お母さん、日本はエイズのための薬があるの?」と聞きました。もし薬があるなら、ちゃんと治療できるのに、と思ったようです。

子供に対しての影響を考えなければなりません。例えば私自身は、HIVと共に14年間生きてきました。HIVと共に14年間生きることもできるし、20年間生きられるかもしれないという話ができます。もちろんマイナスな形でのでいろいろな影響もあります。だから、情報・モニタリングが必要なのです。

私は、HIVと共に生きている人間として、私たちを患者としてでなく、参加者として見てほしいと思っています。この闘いに参加するパートナーとして見ていただきたい。私たちの福祉のために、あるいは他の人の福祉のために貢献する、KENWAの資源として、とにかく薬剤が必要ということです。私たちを人間として人道的に見ていただきたいのです。全ての人がは重要であり、誰も無為に死ぬべきではないのです。

理解・情報・教育を武器として:エイズとの戦争に勝つ

申し上げたいことは、個人のレベルであっても家族のレベルであっても、コミュニティのレベルであっても、全ての人が、会社のトップであっても、政府の要人であっても、HIVに対して闘ううえで果たすべき役割があるということです。個人にできることは少ないかもしれませんが、これはグローバルな戦争であり、みんなが参加して闘うべき戦争です。もし私たちが勝つならば、世界全体が勝つのであって、負けるのであれば世界全体が負けるというような戦争であります。以前戦争には銃を使いましたが、現在は銃の代わりに必須医薬品を使わなければいけない時代です。やはり共感と理解が必要なのです。以前は、私たちを保護するために、いろいろな壁が作られていましたが、今は壁を破って一緒に仕事をするということが重要なのです。隔離は正しい方法ではありません。原子爆弾を使った時代もありましたが、現在は、理解・情報・教育という新しい武器を使うことによって、お互いの同胞意識を作ることが重要だと思います。私たちは、お互いの違いを理解した上で、共通の敵であるエイズと闘うことが必要です。

これは悲劇でもありますが、こうした悲劇をひとつの機会に転化することによって、一緒に協力することができます。同胞意識・共感・理解によって闘っていきたいと思います。それによって不正義とか差別に対して闘う、そしてHIVと共に闘う人の間で支援のリソースを共有していきたいと思います。

日本の政府と国民に対して、エイズ・結核・マラリア対策基金に資金を拠出していただきたい。このイニシアティブはエイズと闘う人たちのためのものです。この世界基金というメカニズムを使って、実際に政策に対して影響を与えるということが必要です。KENWAは世界基金へののアクセスをもっています。この基金は十分に支持すべきものです。KENWAは、コマーシャル・セックスワーカー、薬物使用者、青少年、母子感染による感染者全部が関わるわけです。今世界基金のコーディネーターが会場内に来ておりますので、基金について説明していただきたいとおもいます。

統計数字を越えて

ケイト・トムソン:(世界エイズ・結核・マラリア対策基金 市民社会関係コーディネイター)

ありがとうございます。主催者に対して、このような大きなイベントに招待していただき、また発言の機会をいただいたことに感謝します。

エイズの統計数字はたくさん出ています。300万人が2002年に死んだとか、更に500万人が新たに感染したとか、2400万人の子供たちがエイズ孤児となったとか、世界中で4200万人の人たちがHIV・エイズと共に生きていると言われています。また、その数字は増えているのだ、と言われています。

サハラ以南は最悪の状態であることがよく知られています。中国・インドなども、確かに今、対策をしていかなければならない状況が生じていますけれども、今日もすでに明らかになったとおり、重要なのは、こういった統計数字を越えて、問題を捉えるということです。

ザンビアの私の友人が、今年初めに亡くなりました。自分自身の子供と養子、合計11人残して死にました。彼女はこんなことを言っていました。『私は統計数字の一人になりたくない。HIVに感染した一人の女なのだ』。この病気が人間の顔というものをもったとき、例えば昨年亡くなった300万人の人たちひとりひとりに、皆さんと同じように家族がいたのだということを考えるとき、この病気の恐ろしさがわかってくると思います。だからこそ、みんなが協力してこの疾病に取り組んでいかなければならないのです。

3大感染症克服のためのグローバルな努力

世界的な感染症は、国境を越えて感染します。ということから、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」のような世界的な努力が必要なのです。できる限りすみやかに、基金を活用していかなければなりません。2000年に沖縄で開催されたG8サミットでは、2001年に向けてアクションを求めることになりました。2001年に開催された国連エイズ特別総会(UNGASS)の時に、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」を作るということになりました。この世界基金は非常に速いスピードで設立され、この世界的な緊急事態を要する疾病に対する取り組みが展開されてきました。ジュネーブに事務局が置かれ、一年半の間に15億ドルが集まり、92ヶ国で合計153のプログラムが実施されました。そのうちの60%がアフリカに対するものでした。アフリカでは、34ヶ国がこれを受けました。HIV・エイズに関しては6割が使われました。マラリア・結核に関してはそれぞれ20%が使われました。

そしてそのうちの半分が政府に支払われました。その残りの半分がNGO・コミュニティベースの組織、その他感染者の団体、さらには研究機関などが受け取りました。

「患者・感染者の参加拡大」をモットーに

この基金の特徴を申し上げましょう。というのもこの基金におきましては、1994年のパリ・エイズサミットで打ち出されたGIPA(Greater Involvement of PHA患者・感染者の参加拡大)という理念を体現するということが重要だと考えたわけです。簡単にこれを説明しましょう。それは、HIV感染者・AIDS患者に対して支援を行い、私たちがこの疾病に対して共通の責任を国・地域・世界的なレベルにおいて果たしていくことです。このイニシアティブにおいて、特に、政治的・法的・そして社会的な環境をさらに刺激して人々を動員していくということが訴えられています。

それから2001年の国連エイズ特別総会(UNGASS)のコミットメント宣言というのがありました。これはGIPAを更に一段新しいレベルへと引き上げるもので、それをすこしご紹介したいと思います。この宣言のなかでは、2003年には、他分野を含む国家戦略を開発し、そしてそれを実施して、HIV感染者・エイズ患者がこのエイズ戦略に全面的に参加していくことを求めています。また、一部の国でこの疾病の封じ込めに成功していることについて、これを歓迎すると述べています。そして、エイズに関して、政治的な意思と、そしてコミュニティのリーダーシップが必要であり、その中で、従来の伝統医学も含めた形であらゆるリソースを導入し、そして支援・治療・教育のイニシアティブなどが必要だということを訴えています。さらには、コミュニティー、NGO、そして、HIV感染者・AIDS患者とのパートナーシップの重要性も強調されています。

結局この基金というのはどういうものか。これは、有意義なパートナーシップのプロセスにおいて実現しています。22人のメンバーが理事会を構成していますが、その中には、患者・感染者の代表、及びNGOの代表、アフリカ地域の代表が参加しています。

国内調整メカニズムを通じた資金配分

この基金で重要なのは、国のレベルにおいて、国の調整メカニズム(CCM:Country Cordination Mechanism)を通じて、広範な利害関係者が、これをオーナーシップという形で自分の問題として捉えることができるということです。CCMが提案を策定し、プログラムを実施するということになっており、これが重要です。CCMが、NGOや患者・感染者を排除するということはあってはなりません。

他に、我々の理念の要となっているのは、国家レベルにおけるオーナーシップということです。つまり、ある国にとって何がベストなのかというのを、我々が決定するのではなく、それぞれの国が決定するのです。ただ、先ほど申しましたように、国=その全体を代表するものということではなくて、このパートナーシップというのは、市民社会も含めなければいけないということで、あらゆる関係者が有意義な対話を展開するということが重要なのです。これはTICADIIIにおける「オーナーシップ」、「パートナーシップ」という考え方とも整合性をもつもので、そういった意味で、アフリカはエイズ対策のパイオニアであるといえます。

全てが今までうまくいってきたとは言えません。パーフェクトではありません。うまく機能したCCMもありますが、それがうまく機能していない地域もあり、改善の余地はあります。しかし、私個人もHIV感染者としてHIVとともに生きているわけですが、私が生まれた国ではたまたま、生命の危機を救ってくれるような医療を利用することができたから、ということではなくて、できるだけ、世界基金がうまく機能するようにしていかなければいけないと考えています。HIVは、私たちすべてが心の底からエネルギーを投入して取り組んでいかなければいけない問題だと考えています。ありがとうございました。

稲場:
ありがとうございます。これでは、質疑応答の方に移ります。

必須医薬品と特許権の相克

稲場:
これから、あと15分間ありますので、Q&Aの方に移らせて頂きたいと思います。ここでは4つの質問をします。最初の質問はロラケさん(モロラケ・ンワグ氏:ナイジェリア治療アクション運動)に対してです。特許権の問題と、必須医薬品の問題の関係について、つまり、必須医薬品のアクセスが、知的所有権の保護によって、脅かされているのではないかということですね。これについて、ロラケさんのほうから4分くらいでお答えください。

モロラケ・ンワグ:ナイジェリア治療アクション運動 アドボカシー・コーディネイター

ありがとうございます。日本のような国は、特許権とは何かということをよく理解しているわけです。日本には、多くの特許がありますし、こうした特許権というものは守らなければいけません。製品の発明には多くの時間やエネルギーが必要であり、時間や労力をそれだけ費やしたのであれば、その報酬を得ることができるのが、フェアなやり方です。それからまた、いろんな知的所有権や著作権によって、いろんな人間の創造の成果と成果物を守るということが必要です。もちろん、これは十分理解するわけです。しかし、問題が医療とか、薬剤の方になってくると、患者の権利と特許権の間のバランスをどこにとるかということが問題になってくるわけです。そして、発明・創造の代償、例えば発明者が発明に投じたお金に対しての代償の問題と、人間の生存の権利の間のバランスをどこに取るか。特許権というのは紙の上のものではありません。これはどういうこの価値を持っているか、そして、何がなされたという仕事に対しての代償であるわけです。ここにいる私の姉妹アスンタさんは、HIVと診断されてから15年が経ちます。私はHIVに感染されていると知らされてから5年間なんです。私がもし、合計15年間エイズと生きられるとすると、少なくとも、あと10年は生きられるわけです。しかし、もし薬剤にアクセスできれば、私の子供と一緒に生きていけるし、子供たちももっと長く生存できるようになるわけです。

TRIPS協定と抗レトロウイルス薬の問題

患者の権利と、それに対する特許の権利ということですが、WTO(世界貿易機関)に「知的所有権と貿易の側面に関する協定」(TRIPS協定)が存在しており、特許権と患者の権利の間のどこにバランスがあるかということを模索しているわけであります。

ナイジェリアはTRIPS協定に署名した国です。他のアフリカ諸国と同様、ナイジェリアも、WTOの中で強い発言権を持っていません。ですから、私たちはこれによって、非常に大きな影響を受けることになってしまいます。ナイジェリアでこうした法律が通ってしまいますと、強制実施権を発動したり、並行輸入を行ったりして、安く治療薬を入手することができない、また、免責もなく、非常に大きな問題になるわけです。

現在、ナイジェリア政府は一万人に治療薬を供給していますが、例えば、こうした薬剤を毎月100ドルも出して買わなければならないとすれば、大きな問題です。
例えば、ある医薬品を購入するために、毎月9500ナイラ(1ドル=130ナイラ)を支払わなければならない。私は5年前、あるエイズ治療をうけ、毎月65000ナイラも支払わなければならなかった。これは本当に無理なことです。3万ナイラでも払えないナイジェリア人はたくさんいるわけです。政府が毎月1000ナイラで治療薬を供給するとしたら、それにかかる補助金も非常に高くつくわけです。
人々が、保健の問題にあまりセンシティブでなかったり、特許についての権利について、非常にうとい場合があります。個人がどういう形で法的な権利を持つのか、ジェネリック薬に対するアクセス権を持つのか。TRIPS協定に関わる特許権の問題、これは、紙の上で議論するには、面白い問題です。非常に強力な討議が交わされています。しかし、これは私の心を強く悲しませるような議論でもあります。いわゆる知的な議論というものに関して、私はフラストレーションを感じます。紙の上の議論を越えて、「利益」というものと、「人が生きる意味」の関係を見なければならないわけです。 もちろん、人間が何かを創造したら、その利益を保護することは必要です。しかし、それと人々の生存権のバランスをどうとっていくかは非常に重要な問題です。必須医薬品にアクセスする権利をどう維持していくか、それがこの問題の中軸です。

HIV/AIDSに関する教育と予防啓発の重要性

稲場:

次の質問はエイズに関する教育と予防啓発に関するものです。

社会の中で、HIV/AIDSの問題を解決するためには、HIV/AIDSに関する教育を促進することが重要だと考えますが、それに関連して、皆さんの活動の例をお聞きしたいと思います。

アスンタ・ワグラ:

HIV/AIDS教育に関して、この病気に関する情報が最初にどうやってコミュニティーに伝えられたかということを思い出してみましょう。イメージとしては、HIV/AIDSに感染すれば、死んだも同然、ということでした。ですから、KENWAの活動において、私たちはコミュニティーでの教育、コミュニティーの参加をはかりました。

先ほど申しましたが、演劇や、いままで伝承されてきたいろいろなやり方をによって、また、実際の経験とか、また、コミュニティーに何が期待されるか、あるいはコミュニティーがどうこれをとらえているかということを伝えてきました。コミュニティーの参加、コミュニティーの支援が、サステイナビリティ(持続可能性)の向上につながると考えたからです。

国会議員を対象に、HIVのセミナーを行ったときに、ある国会議員が言いました。「HIV感染者はどこか檻の中に入れてそのまま死ぬに任せた方が良かろう」。それがHIV予防になるという趣旨でした。そこで、私は自分の経験を説明しました。そうしたら、その議員は先ほどの意見は撤回すると言い、その発言を謝罪しました。

ということから、市民社会におけるエイズのイメージを変えることができるのは、HIV感染者・AIDS患者なのです。HIV/AIDSについての認識を変えることは、同時に、いかに、我々が差別やスティグマと闘うかということにも関連しています。コミュニティにいる人間が、経験を伝えていくということのほうが、つまり、実際の患者・感染者がその経験を伝える方が、専門家の話よりも説得力があります。

患者・感染者における治療リテラシーの向上の重要性

モロラケ・ンワグ:

同じ質問に関してお答えします。ナイジェリアには、HIV/AIDS教育に関連して、いろんな組織が、いろいろな活動を行っています。我々はアドボカシーのためのグループです。エイズ活動家ということで、治療が行われるようにするとか、あるいはHIV/AIDSの人たちに対するサポート活動も行っています。ナイジェリアにおいて、このHIV/AIDSをかかえている女性たちに関して、同じような問題に取り組んでいるグループがあります。基本的にはコミュニティーに対して、治療に関して、あるいはこの疾病に関しての教育・啓発を行っています。

エイズ治療については、いろんな誤解があり、間違った治療も行われています。何百万もの巨額のお金を使って、間違った治療が行われることがあるのです。何百万ものお金を使っても、きちんと治療が行われなければ何にもなりません。

治療に関しても教育を行っていく必要があります。まずは、良い栄養ということから始めなければなりません。健康的な食生活を心がけることが大事なのです。

もう一つ、前向きな生き方(Positive Living)ということです。食べ物と医薬品、そしてもう一つ、自分の置かれている立場を受け入れることも必要です。

HIVに感染したからといって、すぐに死ぬというわけではありません。それを理解したうえで、次に治療に入ります。地域社会に対しては、予防とか、あるいはサプリメントなど、補助食品に関しての教育も行います。HIVのクリニックには、カウンセラーもおり、外来クリニックにおいて、こういったHIV/AIDSを抱えてる人達がやってきたら、どういった薬を飲んでいるのか、あるいはどういった薬を取るべきか、あるいは何をするべきかを伝えていきます。

我々の組織は、30の組織の連合体で、治療へのアクセスということでいろいろな取り組みを行っています。医師、労働組合、学生、こういった人からマスコミに至るまで、きちんと地域社会へこの情報が伝わるように、あるいはマスコミに対してその意識を高めていく、宗教団体、学校、職場などに、例えばHIV/AIDSに関してのポスターを掲示したり、あるいは寸劇とか、あるいは歌とか、キャンペーンソングとかそういったものを使っています。

私たちがHIVをコントロールしていくことは可能だ

アスンタ・ワグラ:

HIV/AIDS完全な治療法はありませんけれども、コントロールは可能です。「HIV=死」ということではないのです。一つ付け加えますと、意識を高めるということに関して、私たちはコミュニティに関して、成功裏にコミュニケーションを進めてきました。その結果、コミュニティの方からKENWAにやってきて、「そうか、自分はエイズについて知らなかった。自分の姉に対してはこしたらいいんだ、奥さんに対してはこう言ったらいいんだ、と初めて分かった」というようなことを聞くようになってきました。HIVを抱えている人たちも含めて、リソースや資金が限られている中でも、例えば、医療とかあるいは食料というだけでなく、例えば医師とか会計士とか監査役とか、そういった専門職の人たちおり、それらの人々も現在、KENWAを支持してくれています。コミュニティでKENWAのアプローチとイニシアティブが受け入れられたということで、コミュニティでもあらゆる人達が協力してくれています。

アフリカの人々を支える:国際社会の役割

稲場:

どうもありがとうございました。そろそろ、感染症HIV/AIDSに関しては、これで終わりになります。お二人の今の話を聞けばおわかりと思いますが、アフリカの人々は常にHIV/AIDSに関して、エイズに敢然と立ち向かっています。国際社会がそれに対してどのように応えていくのかが問われているのではないかと思います。お二人に是非拍手をお願い致します。(拍手)

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