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アフリカに関わる活動を行っているNGOのデータベースおよびアフリカのエイズ問題に関するニュース・情報データベースです。
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【2017年3月】アフリカに関わる活動を行っているNGOのデータベースを順次、更新しています。


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アフリカに「買い物」に:ブッシュが来たとき

海外から招いた人々と一緒に考えます。


ロラケ・ンワグ* Morolake Nwagwu
ナイジェリア治療アクション運動(Treatment Action Movement Nigeria)
エイズと闘うジャーナリスト連合(Journalists against AIDS Nigeria)

あるジャーナリストが、私に聞いた。世界でいちばんパワフルな男、アメリカ合州国大統領、ジョージ・ウォーカー・ブッシュと握手して、どんな感じでしたか?

よくぞ聞いてくれました……実は私、土曜日から風呂に入ってないんですよ。*1

なぜって、銀行に行って、口座から数百万ナイラ引き落とすまで、この手を洗うなんて神様が許しませんよ。口座からお金を引き下ろした後は、ウォルター・キャリントン通りにあるアメリカの大使館に行って、アメリカの万能ビザをとってこなくちゃ。そして、私が、HIVに感染している私たちみんなにとって不快なこの質問、「あなたは公衆衛生上悪影響のある伝染病に感染していますか?」」*2という質問に答えなきゃならないときは、こう答えるつもり。「私はあなたたちの大統領にも握手してもらったぐらいの人間なのよ!」

いちばん大事なのは、火曜日にHIVの診療所に行って、お医者さんに見てもらうとき。私は4年前、説明なしで6ヶ月間、医薬品による治療を受けさせられたので、今は医療にかかるお金もない。そのときは、お金もなくなり、言いなりになる気もなかったせいで、治療を終わらせることさえできなかった。今、私は治療薬にアクセスする必要はあるけれど、過去に治療を受けたことがあるせいで、通常、最初に与えられるべき医薬品のラインナップは私には適さない。もし、私が抗レトロウイルス治療を始めるとしたら、少なくとも一ヶ月に37000ナイラ(300ドル、3万6千円)は持ってなくちゃだめ*3。でも、この件についても、私には、「彼」が握手してくれたこの手がある。彼はきっと150億ドルの約束手形をお医者さんにくれるから、高い医薬品でも何とかなる!アーメン……!

握手のためのこの旅は、勘違いした陽気さと、ひどい腹立たしさを同伴したものだった。私たちは、この旅の最優先事項は、母子感染予防のことだと聞かされていた。あらゆる団体や個人が母子感染予防プログラムについて要求したときのことだが、私は最後に確認した、それは通常、VCT(自発的カウンセリング・検査)と抗レトロウイルス薬と、乳児のための人工乳のセットを意味すると。もしかしたら、それは、VCTと、まだ始まっていないナイジェリア政府のネビラピン・プログラム*4に関する何らかのコメント、そして6ヶ月の完全母乳育児プログラム*5(exclusive breast-feeding)のことを意味するかも知れない!もしそうだとしたら、この母子感染予防のイニシアティブは、歓迎されるべきものだし、着飾って行って、大統領の前で歌を歌い、握手をするにふさわしいものだ、と私たちは考えた。

機会が来て、私たちの議題を俎上にのせようとしたとき、私たちは拒否された。会合を組織した側がいうには、時間がないんだ、5名の人しか彼とは会えない、5名の中に、感染者の女性の代表を入れる、とのこと。感染者の女性に期待されていることは、ただ、感謝状を読むことだけだという。感染者の女性の持ち時間はわずか2分、そこでやらねばならないのは、議題をテーブルに載せることではなく、感謝状を読むことなのだそうだ……。

「ジョージ・ブッシュが聞きたいのは、あなたの感謝の言葉だ。彼は、すでに問題の所在を知っており、あなたがたの声も聞いている。この訪問が計画されたのはそのためだ。ブッシュ大統領は、スピーチや議論はお嫌いだ」。私の持ち時間が2分間だけだというなら、彼が聞くべきなのは、彼の訪問に対して私が提出したい議題ではなく、私が耐え続けているスティグマと苦痛の方だ、と私は思った。

今、すでにブッシュは来て、そして去っていった。私はナイジェリアに、米国国際開発庁(USAID)とともに残された。私たちがアブジャに来た理由は、母子感染予防のことで、私たちが期待していたのは、包括的な母子感染予防プログラムだった。大統領閣下が私たちの問題を知っているなら、そしてその問題に取り組むためにナイジェリアに来たというのなら、私は是非見てみたい、自発的カウンセリング・検査、抗レトロウイルス治療、そして乳児のミルクについて触れた、USAIDの模範的なウェブサイトを。どれか一つでも欠けるなら、それはこっけいな見せ物で、受け入れることはできない。ブッシュの訪問の成果が、ナイジェリアの石油と、インドやそのほかの国でなされたような、遺伝子操作され特許権で守られた穀物だった、なんてことはあってはならない。もしそうだったとしたら、私たちは、大統領は楽しいショッピングのために来たのだ、と考えざるを得なくなる。

大統領、あなたはもしかして、次のように聞くかも知れない:あなたが自分の課題について相談する相手が自国政府ではなく、アメリカ合州国大統領なのはなぜなのか?……悲しいことに、私たちがブッシュ大統領と会ったとき、そこにはナイジェリア政府の代表団はいなかった。私が言いたいのは次のことだ:もしアメリカ合州国が、アフリカのエイズ問題に取り組みたいと言うのなら、適切なときに、適切なことを、適切な方法でやるべきだ。大統領、もしあなたが、抗レトロウイルス薬が手に入るようにする気がないなら、母子感染予防をやりたいなどと言うな。ジェネリック薬の入手をほとんど不可能にするような法律を強制しようとしている者が、同時に、アフリカの人々がジェネリック薬を使えるように援助する、などと言うな。アメリカ合州国の担当者たちが、未だに現地採用職員にHIV検査を強要しているときに、外国で幸運にも米国のビザを取得した者たちが、情報を与えられることもなく、自発的な、守秘義務を満たしたカウンセリングを受けることもなしにHIV検査を強制され、高額な費用をかけて病院で受けた検査の結果は、まず最初に本人ではなくアメリカ合州国大使館に通知される*6、そんなときに、HIV感染者・AIDS患者への差別とスティグマに反対する、などと言うな。私がアメリカ合州国の大統領の前に私たちの課題を提出することを望んだのは、私が、あなたが自分の意図していることを言うべきだ、そして言ったことは遂行すべきだ、と信じているからに他ならない。

ブッシュはアフリカに買い物に来た。彼はアフリカのHIV/AIDSとの闘いにアメリカ合州国が関与することについて語った。彼はアフリカの5つの国々を回り、約束をし、夕食を食べ、ダンスを見て、そして、撮影のためにポーズを取った。ナイジェリアで彼が面会したグループは、HIV陽性の女性たちだけだった。「ナイジェリア・HIV/AIDSと共に生きる人々のネットワーク」(NePWHAN)でもなければ、「ナイジェリア・HIV/AIDS市民社会諮問グループ」(CiSCGHAN)でもなかった*7。彼の身振りの全てが、あっという間に茶番劇へと変わっていったとき、すでに私は帰りの飛行機便の準備ができていた。しかし、私が言いたいことを言えるのは、この機会しかなかった。だから、私は着飾って、列に並び、私の言うべきことを言って帰宅したのだ。

大統領、ありがとう、そこに立って私たちに耳を傾け、私たちの言葉を聞き、私たちに対して語りかけ、そして、私たちの伝えた山のようにたくさんの課題全てが認識され、取り組みの対象になるだろうと保証してくれて。あなたが私たちにしてくれたたくさんの約束が、すべてあなたの手によって実行されることを、私たちは楽しみに待っています。

とくに感謝したいのは、私たち一人一人が、私たちが持っている以下の課題について、一人一つずつ大統領に対して言うことに同意してくれた、15人のナイジェリアで最も美しい女性たち、そして私の親愛なるシシさんに対してだ。その課題とは、

  1. 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)への資金の欠如
  2. 私たちの赤ん坊に与えるミルクの欠如
  3. 子どもたちへの、そして私たちへの抗レトロウイルス薬の欠如
  4. 日和見感染症の治療薬の欠如
  5. 赤ん坊に感染させることを防ぐ努力はあるが、同じ赤ん坊たちが孤児になることをくい止める努力はないこと
  6. アフリカに対して約束した150億ドルの援助を真に履行すること
  7. 万能の製薬企業に対して圧力をかけることを実行すること
  8. 私たちが制限なく旅行する障害となっている、スティグマと差別を撤廃すること

しかしながら、私は、自分が、権力者らが自らの思うがままに物事を枠に収めようとすることを許さず、いわば、怒髪天を突く状態と化したことについて、そして私がジョージ・ブッシュ大統領の前で歌と踊りを披露しなかったことについて、間違っていたとは思わない。

もうひとつ。私の美しい顔が、CNNで全世界に、NTA(ナイジェリア・テレビ公社)でナイジェリア中に届けられたこと、南アフリカで同居していた人までが、SABC(南アフリカ放送協会)で私を見たということを付け加えるのを、すっかり忘れるところだった。大統領!アフリカの、そして世界中の同志たちがあなたに抗議の手紙を書き、記者会見を開き、抗議デモを繰り広げたのに、それらの映像は、CNNには映しだされるどころか、言及すらされなかったのを、あなたは見ているはず。しかし、私たちは知っている。これらの人々の存在は、そして声は、最も重要なところでその存在を認識され、聞き届けられているのだ:歴史によって、私たちの心によって、そして、世界の治安維持のための監視装置によって。

私は期待している。この記録された握手と、大統領の写真によって、私が自分の治療薬を入手できるようになることを。この恐ろしいウイルスが、私を経由して私の赤ん坊に侵入することがないことを。そして、母乳で子どもを育てることができない私の食卓の上に、赤ん坊のためのミルクが十分に用意されることを!

PHATAM(汎アフリカ・治療アクセス運動)*8、万歳!

<訳注>

筆者Ms. Morolake Nwagwu は「ナイジェリア治療アクション運動」(Treatment Action Movement)のリーダーで、ナイジェリアでは数少ない、HIV感染をオープンにしている女性の一人。ナイジェリア南西部の主要都市ラゴス(人口約1300万人)に在住。ナイジェリアの首都は、ラゴスから北東に800キロ行った内陸、国土中央にあるアブジャ(人口60万人)。

  1. ブッシュ大統領がナイジェリアの首都アブジャで筆者と握手したのは7月12日土曜日であった。
  2. 米国入国時に記入しなければならない入国審査カードの質問の一つ。
  3. この段落はわかりにくいが、言いたいことは以下の通りである:筆者は4年前にHIVに感染していることがわかったが、その際に、十分な説明を与えられることなく、高額な抗レトロウイルス薬の投与を受けてしまった。その結果として、現在ナイジェリアにおいて公的医療のラインにのっている安価な3剤併用療法の治療薬のラインナップでは十分な効果を得られなくなってしまった。その結果、現在、筆者が治療を受けるには、民間医療機関にアクセスし、公的医療のラインにのっていない高価な抗レトロウイルス薬を含む3剤併用療法を受けなければならなくなってしまった。
  4. ネビラピンは抗レトロウイルス薬の一種で、「非核酸系逆転写酵素阻害剤」(NNRTI)に分類される。NNRTIの中では最も早く開発された治療薬である。母子感染予防にも高い効果がある。
  5. HIVは母乳によっても乳児に感染するが、「完全母乳育児」(exclusive breastfeeding)の場合はHIVへの感染の可能性は格段に軽減されるという説がある。
  6. 米国の永住権を得るためには、HIV陰性であることを証明しなければならない。(アメリカ合衆国移民法の規定)
  7. いずれも、ナイジェリアのHIV/AIDS政策にアプローチしている全国規模のネットワーク)
  8. 2002年8月にケープタウンで結成された、抗レトロウイルス治療へのアクセスを求めるアフリカのNGOのネットワーク。

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