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ケバレング・モケツィは薬がなくて死んだ!

※本文では、原文に忠実に翻訳を行うため、これまで「抗エイズ薬」としていたものを「抗レトロウイルス薬」と表記し、「抗エイズ薬による治療」については「抗レトロウイルス治療」と表記することとしてあります。

TACの抗エイズ薬への焦点は「狭く」などない

マーク・ヘイウッド(TAC事務局長)

4月1日、ケバレング・モレツィはミッドランド[訳注:ハウテン州、ジョハネスバーグとプレトリアの中間にある地域]の墓地に埋葬された。秋の火曜日の早朝、数百名が彼女に別れを告げるために集まった。他にいくつもある真新しい墓の周りに注意深く立って、まだ生きている者たちが、ますます数を増す死者たちとともに、彼女の葬儀に加わった。年若い死者はケバレングだけではない。最近、亡くなった人たちの多くは、やはり1960年代生まれだ。大人の墓に混じって、子どもの墓もそこかしこにある。

ケバレングはHIVの感染症によって突然亡くなった。3月20日、彼女は「元気」だった。彼女はシャープビル警察署に向かう200人のTACボランティアの先頭に立って、HIVによる彼女の友人の死への責任が保健大臣と通商産業大臣にあるとする供述書を自らの手で手渡した。

私はその前日のワークショップで彼女を見かけた。深い感情を湛える目をもつ、沈黙のなかに強さのある、美しく尊厳ある若い女性だった。一週間後に突然、肺炎と下痢とが彼女を襲った。これらは、すでに治療中だった結核とあわさって、彼女を殺すのに十分だった。

なぜケバレングは死んで、他の者はHIVとともに生きているのか。アレクサンドラ[訳注:ジョハネスバーグ近郊の主要なタウンシップの一つ]のクリニックはほんの数キロ先にある。しかし、そこには抗エイズ薬は置いていない --- それが政府の方針だからである。看護婦や医者のほとんどは抗エイズ薬の使い方についての訓練を受けていない --- それが政府の方針だからである。

公立病院と私立病院とを隔てる医療制度上のカーテンの向こうには、過剰なほどの近代的なクリニックと、それさえあれば彼女が生きていられたはずの薬を常備している薬局があった。しかし、これらのクリニックや薬は、昔からの金持ち(アパルトヘイトの受益者)と新しい金持ち(新しい南アフリカのなかで急にのしあがった人たち)のためのものなのだ --- 彼らには、必要なときに必要な治療が受けられることが保証されている。ケバレングも一時的に私立病院にかかることもできたかもしれない。しかし、月に1,000ランド[約15,000円]以上もするのでは、とても払いきれなかっただろう。

ケバレングは統計のなかの一つの数字などではない。彼女は新しい時代の南アフリカ人であり、11歳の男の子の母親であり、娘であり、アレクサンドラ・タウンシップの住人であり、彼女と同じ状況にある人たちの面倒を見ることを選んだ若い女性だった。ケバレングは抗エイズ薬を求める運動に加わることを選んだ。それが彼女の命のための運動だったからである。母親であり続ける権利のための運動、新しい南アフリカが保障する権利をもつ者として、人間らしく生きる権利のための運動だったからである。

これらの事実を指して、キャメロン・ダグモアなどのANCの指導者たちは、TACが抗エイズ薬にその運動の焦点をあてていることを「狭い」と糾弾している。なんと根拠のない、恥ずべき言いぐさであろうか。

TACは、病気で死にかけている者のいる家々や病棟を毎日訪れる数千人の人たちから成り立っている。TACには様々な人たちがいる。新たなHIV感染を防ぐために不断に働いている人たち。HIVが原因の病気の治療に当たる看護婦。自分自身や愛する者がHIVに感染している人たち。これらのすべての人々が、金持ちが健康を回復できる薬があるのなら、貧しい人々もその薬を手に入れられるべきである、との結論に達している。政府の言い訳や先延ばしは、そしてこの感染拡大による多大な犠牲を否定しようとする政府の侮辱的な試みは、とても通用するものではない。文字通り、もう時間がないのである。

生きる権利、息をしつづける権利を確認すること、それは決して「狭く」などない。残念なことに、エイズの感染拡大は事実である。そして、症状の段階が進んだ多くのHIV感染者にとっては、その権利を失うか否かは、薬を入手できるかどうかにかかっているのだ。

120年前、チャールズ・ディケンズはある小説で、若い道路掃除夫ジョーの死を描くことで、貧しい人々の早すぎる死への怒りを表明した。今日、彼の言葉をケバレングのために大声で響かせよう。彼女を救えたはずの人たちの耳に届いて、彼らに恥を知らせんがために。

「陛下、死んだのであります。閣下並びに紳士たち、死んだのであります。有徳、無徳の牧師様、死んだのであります。心の中に神の如き慈悲を持って生まれた男と女よ、死んだのであります。そして我々の周りには、毎日死にゆく者があるのです」

訳注:ディケンズの小説「荒涼館」からの引用の翻訳は、水野隆之「『荒涼館』におけるジョーの役割」『ほらいずん』早稲田大学英米文学研究会、1999年2月、http://wwwsoc.nii.ac.jp/dickens/archive/bh/bh-mizuno-2.pdf、によった。

原文:Kebareng Moeketsi dies without medicines! TACユs focus onAnti-retrovirals is not メnarrowモ by Mark Heywood, TAC National Secretary

翻訳:牧野久美子

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