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医師からジェイコブ・ズマ副大統領への公開書簡

2003年4月

※本解説文では、原文に忠実に翻訳を行うため、これまで「抗エイズ薬」としていたものを「抗レトロウイルス薬」と表記し、「抗エイズ薬による治療」については「抗レトロウイルス治療」と表記することとしてあります。

J・ズマ副大統領 閣下
M・E・シャバララ=ムシマン保健大臣 閣下
A・アーウィン通商産業大臣 閣下

私たちは公立のプライマリー・ヘルス・ケア・クリニックで働く医師のグループです。

私たちは、生きるために必要な薬を手に入れられないまま末期症状を迎える数多くのHIV陽性患者に接するなかで、いったいどうすれば誠実に働き続けることができるだろうか、と日々自問する段階にまで来てしまいました。

毎日、私たちは、私たちにできることをすべてしても、病んで、ひどく苦しみながら死んでいく患者たちに接しています。思いやりのある、熟練したヘルス・ケア・チームによるサポート、栄養豊富な食事、時宜にかなった日和見感染症の治療だけでは、結局のところ、どうしても不十分なのです。

抗レトロウィルス薬(ARV)を買うお金のある一握りの人たち、またARVを提供するパイロット・プログラムに幸運にも入ることができた人たちは、ラザロのように、死者のなかから蘇っています。この人たちのように幸運でなかった母親たち、父親たち、息子たち、娘たちは、衰え、静かに死んでいきます。日々、私たちは、この病気が家族やコミュニティにもたらす破壊的な影響を目の当たりにしています。

5年前には、ARVの使用はまだ半ば実験的な段階でした。投薬が難しく、身体に多くの負荷がかかり、また値段も非常に高いものでした。こういった理由のため、私たちは、ジレンマを抱えながらもやっていけました。しかし、今はもう、このジレンマに耐えることができません。WHOが承認した安価なジェネリック薬が−大半の患者が飲み続けることに成功している薬です−患者の生死に劇的な違いをもたらすことができるからです。この薬は、コンビネーション・タブレットを毎日2回服用するもので、マセル[レソトの首都]では一ヶ月分が400ランド[約6000円]程度で売られています。[服薬状況は]臨床で、簡単で安価な血液検査によって、細かくモニターすることができます。

そのことを知っていながら、私たちは、医師として、患者の苦しみを和らげ、死を遠ざけるためにあらゆる手だてを尽くすというヒッポクラテスの誓い[医師倫理綱領の宣誓]を全うすることができないでいます。薬を買うことのできる人たちが生き延びる一方で、貧しい人たちが苦しみ、命を落とし、その家族が貧困と社会的転落の一途をたどるのを、私たちはただ脇に立って眺めることしかできないのです。

確かに、ヘルス・ケアのインフラがしばしば不十分であること、またARVの提供がヘルス・ケア・システム全体の犠牲の上におこなわれるべきではない、ということは私たちも認識しています。しかし、これらの問題は相互依存的なのです。クリニックや病院は、ARVがあれば防げたはずの日和見感染症の患者であふれかえっています。スタッフは希望とやる気を失っています。ARVプログラムをきちんと実施するためのシステムがあれば、ヘルス・ケアの他の面でのサービス向上、またヘルス・ケア部門で働く人たちの志気の向上につながるでしょう。

確かに、栄養は大事です。お金があって、十分な栄養をとっている人たちのほうが、エイズの症状が進行するまでに多くの時間がかかるでしょう。しかし、理想的な栄養をとっていたとしても、結局のところ、不可避的に、免疫システムは衰えていくのです。フォーマル・セクターであれインフォーマル・セクターであれ、かつては働いていた貧しい患者たちの多くは、ARVがないので、食べ物を買うお金を稼ぐために働けないほどに症状が悪くなっています。もし治療を受けられていたら、働き続ける体力があって、自分自身と家族にもっと栄養のあるものを食べさせることができたでしょうに。

確かに、予防も大事です。しかし、470万人がすでに感染している状況では、治療は人道にかなった応答であるのみならず、予防にとっても重大な意味を持つのです。治療は、自発的カウンセリングや検査を受ける人の数を増やし、コミュニティのなかでのスティグマを減らし、オープンさと意識を高めることが知られています。

確かに、ARVは病気を治すものではなく、すべての人が薬の負荷に耐えられるわけではなく、注意深い投薬とモニタリングが必要です。しかし、私たちはHAART療法が、それを5-6年にわたって続けている世界中の何万人もの人たちを延命させ、またクオリティ・オブ・ライフを高めていることを知っています。それをおこなわないのは、糖尿病患者にインシュリンを与えないようなものです。

このような倫理上、職業上のジレンマのなかで、私たちは自問しています。

  • フラストレーションがたまり、士気が低下するこの状況のなかに、とどまり続けようか。
  • プライベート・セクターで資金を集め、特許法を破り、安価なジェネリック薬を患者のために輸入しようか。
  • 市民的不服従キャンペーンに加わり、患者の窮状を訴えるために逮捕されようか。
  • 辞職して、どこか別のところで働こうか。

パブリック・セクターでもARVを提供する方向で動いている、と言われていますが、保健大臣が「何を急ぐ必要があるのか」と尋ね、保健省が「調査結果を待っている」と言うのを、私たちは絶望的な気分で聞いています。こうしている間にも、毎日、私たちは、時期尚早の死を迎える患者たちと向き合い、愛する人を、親を、大黒柱を、を失う家族と接しているのです。

私たちはもはや、良心に照らして、延命効果のある治療をできることを知りながら、その場しのぎのターミナル・ケアをエイズ患者に提供し続けることができません。

ARVプログラムの実施には多くの課題があることを理解しつつも、私たちはエイズ危機が国家の非常事態として認識され、早急に取り組まれるべきだと強く主張します。そのため、パブリック・セクターにおける抗レトロウィルス薬療法の実施を含む、包括的な全国予防管理計画に向けてただちに手だてを打つことを求める要求に、私たちの声を加えることにしました。

カレン・コーエン(Dr Karen Cohen)
ルース・コーニック(Dr. Ruth Cornick)
ベス・ハーレー(Dr. BethHarley)
フランソワ・ルイ(Dr. Francois Louis)
キャサリン・オレル(Dr. Catherine Orrell)
イヴ・サボツキー(Dr. Eve Subotzky)

2003年4月10日

原文:Open Letter by Doctors to Deputy-President Jacob Zuma, in TAC e-Newsletter, 12 April 2003.
※この書簡はDoctors speak from Aids coal faceというタイトルでCape Times, April 14, 2003にも掲載された。

翻訳:牧野久美子

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