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南アフリカ共和国を含む途上国での抗エイズ治療の実現のために

もっとよく知りたい人のために(2)

(文責:アフリカ日本協議会感染症研究会)


※本解説文では、原文に忠実に翻訳を行うため、これまで「抗エイズ薬」としていたものを「抗レトロウイルス薬」と表記し、「抗エイズ薬による治療」については「抗レトロウイルス治療」と表記することとしてあります。

●南アフリカで多くの人々が治療にアクセスできないのは、全て南ア政府の責任なのでしょうか?

現在、多くのアフリカ諸国では、インドやブラジルで作られる安価なジェネリックの抗エイズ薬を輸入したり、多国籍製薬企業からのディスカウントを受けたりして、一般人口への抗エイズ治療の導入が進んでいます。これに対して、南アフリカでは、政府が抗エイズ治療の公的医療への導入を拒んでおり、この点で南アフリカのエイズ対策のポリシーは特異なものであり、その点、南アフリカ政府はエイズと共に生きる人々からの厳しい非難にさらされて当然であると言えます。

しかし、一方で考えなければならないのは、抗エイズ薬の価格がまだまだ高価であるということ、また、抗エイズ薬を始めとする「必須医薬品」の輸出入に関する国際社会の意志が未だにまとまっていないということです。

南アフリカ共和国には、500万人ものHIV感染者がいます。公的医療に抗エイズ薬治療を導入する場合、国の財政負担はきわめて巨額なものになるでしょう。南アフリカ共和国だけでは抱えきれず、国際社会の支援が大規模に必要になる可能性もあります。南部アフリカのエイズ危機を、あらゆる手段を尽くして解決するのだ、という国際社会の意志が確立されていなければ、南アフリカ政府としても、おいそれとは抗エイズ治療の公的医療への導入には踏み切れません。

翻って、世界の状況を見てみましょう。WTO(世界貿易機関)は2001年11月のドーハ会議で、WTOの知的所有権に関する規定(TRIPS協定)は各国の公衆の健康を守るための措置と矛盾してはならないこと、加盟国が強制実施権を発動し、特許で保護された医薬品を製造する権利を有することを認める「ドーハ宣言」を出しました。しかし、強制実施権を発動して製造した薬を、公衆の健康の危機に直面している国に輸出する権利については、WTO内での議論は未だまとまっていません。アメリカ合州国を始めとする、多国籍製薬企業を多数擁する先進国が、必須医薬品の輸出権を認めることに頑強に反対しているためです。

南アフリカという国の特異な経済的位置の問題もあります。他のアフリカ諸国の多くが最貧国であるのに対して、南アフリカは大量の貧困人口を抱えながらも、世界有数の工業力を有する中所得国です。すなわち、他のアフリカ諸国よりも、国際社会の中で経済的な恩恵や義務の免除に預かるのが難しい立場にあるということです。こうした状況で、「抗エイズ治療の公的医療への導入」を政策化することができるか……南アフリカ政府の置かれている立場は、それほど甘いものではありません。きわめて厳しい選択の前にたたされているわけです。

日本を含め、私たち先進国の市民社会がしなければならないことは、南アフリカのエイズと共に生きる人々と連帯し、彼らの取り組みをサポートすること以外に、もう一つあります。南アフリカ共和国を含む途上国がエイズと正面から取り組むことができるような国際的な環境を整えるために、自国政府の政策を変えていくことです。

WTOの知的所有権に関する交渉において、日本はアメリカ合州国や西欧の一部諸国と協調して、必須医薬品のジェネリック薬の輸出に反対しています。途上国のエイズ・結核・マラリア対策への国際的な資金供給メカニズムである「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(GFATM)への拠出額も十分ではありません。こうした現状を変え、途上国が安心してエイズ対策・感染症対策に取り組める環境を整えるために、自国政府に働きかけることが、私たちに課せられているということができます。

なお、アフリカ日本協議会では、昨年夏に、日本政府に対してGFATMへの拠出額を増やすことを求める「円 for GF!」キャンペーンを、また、本年2月に日本のいくつかのNGOと連携して、WTOに対して必須医薬品の輸出入の拡大を求めるキャンペーンを実施しており、今後も取り組みを拡大していこうと考えています。

●複雑な抗エイズ治療を、南アフリカのような途上国で実現できるのでしょうか。
●抗エイズ薬による治療は複雑なものですが、南アフリカのような途上国で実現できるのでしょうか。

抗エイズ薬による治療が、治療薬の導入だけで実現できるわけではないことは、今や誰でも知っている事実です。HIV感染の事実を知るためには自発的カウンセリング・検査(VCT)が必要です。また、抗エイズ薬による治療では、3種類の薬を並行して服薬しなければならず、薬の効果と副作用に関する知識を十分に持っている必要があります。さらに、投与されている薬が効いているか、耐性ウイルスが発生していないかを知るためには、CD4(免疫細胞)数やウイルス量の測定などのモニタリングが必要です。

アフリカ諸国のPHAで作るNGOなどは、抗エイズ薬による治療を受ける上で必要なこれらの知識を、PHA同士がお互いに学びあう「治療リテラシー」の普及のプログラムをすでに開始しています。 南アフリカで市民の不服従キャンペーンを展開しているTACは、同時に、ケープタウン近郊の黒人居住区であるカイェリチャで、「国境なき医師団」と連携して、ブラジルから輸入した抗エイズ薬を使用してエイズ治療のパイロット・プロジェクトを実施していますが、TACはそこで治療リテラシーの向上を目的としたワークショップを実践しており、また、カイェリチャなども含め、全国で日和見感染の治療薬等についての啓発活動も実施しています。

途上国でのエイズ治療の導入が大きく語られ出したのはここ数年のことですが、この数年間で、服薬の簡易化、十分な医療機材などのない「資源の乏しい地域」での抗エイズ薬による治療の進め方などの実践がかなり研究されてきました。まだまだ十分な状況ではありませんが、エイズに取り組む人々の認識は「だから不可能だ」という消極的なものから「いかにして可能にするか」という積極的なものへと変わってきています。あきらめる必要はないのです。

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