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エイズによる経済的被害
南アフリカ共和国 労働可能人口の五分の一がHIVに感染しているというエイズ危機の中で、経済発展が持続可能だろうか?

J.A. / L'INTELLIGENT No 2189-2190(2002年12月22日ー2003年1月4日号)

Juliette Bastin

2002年10月30日付英紙フィナンシャル・タイムズは、『堅調の南アフリカ共和国経済』というタイトルの記事を掲載した。何年もの不景気と2001年の同国通貨ランドのドルに対する40%切り下げを経て、経済成長率予測は、2002年2.6%、2003年3.5%、2004年3.7%、2005年3.9%と上方修正されている。トレバー・マニュエル財務相は議会で胸を張り、「先進諸国が世界的な景気後退に陥っている中では、南ア経済の健全さは注目に値する」と語っている。しかしながら、この堅調な経済は、エイズによって完全に逆転させられる危険にさらされている。

これまでの約20年の間、人への影響のみが見られた。しかし、企業が危機に瀕していることは、世界労働機関(ILO)が2001年7月「HIV/エイズと働く世界に関する行動規範」(訳注:ILO東京支局が日本語版を作成・販売している)を発表し、その後10月に、この災厄と闘うことを目的とする国連の共同機関であるUNAIDSに再加盟したことにも明らかである。この行動規範は雇用主に情報および相談の機会そして安価な治療薬提供を推奨している。

エイズ危機が経済活動に及ぼす悪影響を認識した一部の南ア企業はそうした活動を開始している。加えて国外の投資家たちが企業主たちに要求を突きつけている。一方で、海外投資家たちは経営者に対してサインを送っている。生産性の20%向上を求めており、株主たちと同様に、2003年以降、エイズの影響を財政図表に数字として反映させることを要求している。

正確に特定することは難しいものの、マクロ経済的な影響はすでに現れている。多方面で現れている社会的な活動の低下そしてまた社会学的な指標によって、知ることができる。この病気によって最も影響を受けているのは15歳から49歳の労働可能年齢層で、感染率は20%になる。従って、人的資源、ことに熟練労働者が厳しく欠乏することは避けられない。UNAIDSの推計では、現在から2020年までに、南アフリカ共和国では平均寿命が25歳低下し、労働力の25%が失われる、という。国連によると、2010年の南アフリカ共和国の出生時平均寿命は42歳と推計される。もしエイズがなければ、この数字は69歳になっている、という。同じ2010年時点で、人口増加率は減少に転じる。未だかって経験のない事態である。

これらの社会的指標は、これから10年ほどのうちに経済的な重荷を生じさせるであろう。国内総生産(GDP)は、エイズがなければ得られたであろう額より17%少なくなる。経済成長率は毎年0.3%から0.4%低下していく。

しかし、全てのHIV陽性者を対象とした抗レトロウイルス薬(ARV)プログラムを開始した隣国ボツワナとは対照的に、南アフリカ共和国政府は動くことを拒否していることですでに有名である。最近の例では、公共医療機関での母子感染率を50%低下させるネビラピンの無償供与がそうであったように、どの決定も、訴訟を起こすことによってやっと出されている。製造者であるベーリンガー・インゲルハイム社によってネビラピンが提供されており、この薬は無料だというのであるのに。ネルソン・マンデラ前大統領は、さらなる行動を求める声明を何度も出している。ジョハネスバーグで発行されている2002年12月8日付のサンデー・タイムズ紙で、彼は政府当局に対して、「現場へ行きなさい、神話を打ち壊し、病気が広がっていくのを防ぎなさい」と強く訴えた。そうしている間にも、公共部門、とりわけ保健セクターと教育セクターは苦しんでいる。保健セクターでは、ますます多くの人々が治療を求めており、保健医療従事者の増員が必要になっているが、保健医療従事者自身がエイズの犠牲になっているのだ。教育セクターでは、教員の数が減っている。2000年から2001年にかけて、エイズによる教育者の死亡数は40%増加した。一方で学校に通う子どもたちの数もそれほどに多くはない。通学率の低下も、言ってみれば、エイズ危機の兆候である。親たちが授業料を支払う手段を失い、子どもたちは病気の親たちの代わりをするために家にいなければならなくなる、単純に学校に通う年齢に達しないで亡くなる、その結果なのである。この教育を受けていない人口は、失われた熟練労働者と同程度いる。新たに養成された人員では、労働力の不足を埋め合わせするには十分でないし、全体の半数以上はエイズでなくなった労働者に代わることになる。

企業はどうかといえば、社会全体と変わらない20%のHIV感染率という状況の中で、自力で対処する以外に選択の余地はない。南部アフリカで行われた調査によると、エイズによる欠勤の影響、保健支出、新規採用および教育訓練費用が、企業収益を6%から8%減少させる可能性があるという。南アフリカ共和国の電力公社エスコムは、1996年になって、エイズが従業員および医療費と葬儀費用におよぼす影響に関する調査を発注した。2005年には38000人の従業員のうち26%がHIVに感染していると予測する調査結果が出され、エスコムはエイズを戦略的最優先事項にせざるを得なくなった。従業員一人当たり125ランド(14ユーロ)の予防啓発費と治療費負担が計上された。1990年代初め、他社同様、この企業も採用時に健康診断を強制していた。後に、この健康診断は、南アフリカ共和国憲法が保障する人権を侵害するものとしてやめなければならなくなる。1996年、HIV感染を隠していなかったある若いスチュワードが、南アフリカ航空から採用を拒否された。憲法裁判所はこのスチュワードの訴えを受け入れ、これが判例として確立した。

エイズ危機という現実を受け入れるしかなくなった。まず最初に、会社は同一ポストに二人を採用し訓練して、どちらかが欠勤が多くなったり死んでしまったりした場合すぐに後任者を入れることができるようにすることを検討した。それでも、従業員にかける費用は、欠勤・葬儀そして従業員がHIV感染で体力を無くしたことによる生産性の低下に伴う費用よりもかなり少なくなると算出された。

巨大鉱山会社アングロ・アメリカンは長い間、躊躇してきた。コストをかけるべきか、否か。 鉱山部門はことにエイズの影響を受けていた。賃金労働者は基本的に家族から遠く離れて働くためにやってきた季節労働者で、セックスワーカーの常連顧客である。南部アフリカの10万人の鉱山労働者、そのほとんどが南アフリカ共和国で働いているのだが、の23%がHIVに感染していると見られる。家族も含めこれらのHIV感染した労働者がARVを望んだ時、実施するための費用は従業員一人当たり168ユーロと見積もられている。アングロ・アメリカン経営陣は、初年度の費用を408,000ユーロと見積もっている。しかしアングロ・アメリカンが2002年8月にこの決定を下したのは、2001年に行われた調査が、エイズ関連経費による生産コスト増は金1オンス当たり6ユーロで、会社全体では911,000ユーロになる、と示したからである。しかも、もし何もしなかったならば、すぐにも1オンス当たり9ユーロのコスト増が待っていたであろう。その後1カ月も経たずに、ダイヤモンド業界のリーダー、デ・ビアスが同様のプログラムを開始した。現時点では、両企業グループのいずれもARVの配布を始めていない。両グループは、通常であれば政府が行うべき製薬企業との治療費をめぐる交渉をしている。

唯一実際に2001年からARV治療を実施しているのはダイムラー・クライスラー社である。23,000人が潜在的に治療の対象となる。というのは、従業員に加え、家族の治療費も会社が負担するからである。会社は、30人に一人の割合で「お父さん先生」を雇用している。彼らは、毎月、啓発のため(情報交換のため?)の集まりを持つ、従業員の支援をできるように待機しているという役割を持っている。150人がこの役割のために徐々に養成されつつある。

しかしながら、全ての人々を対象としたARV治療費負担は、未だ一般的ではない。多くの企業の中では、エイズ危機に対する戦略を予防に限定し、健康診断を勧め、せいぜいが日和見感染症の治療費を負担するにとどまっている。しばしば、エイズ対策は啓発パンフレットをいくつか作り、コンドームの自動販売機を一台置く、というものでしかない。それでも、二つの巨大な鉱山会社が最近下した決定は、他の企業にも影響を及ぼす可能性がある。というのは、アングロ・アメリカンもデ・ビアースの関心は、まったく人道的なものではなく、純粋に経済なものだからである。加えて、2000年に隣国ボツワナで、デ・ビアスは政府と同様のプログラムを開始する協定を結んでいる。この取り組みの成果は、人道的な面でいえば、HIV陽性者の従業員のわずか10%しかARV治療に応じていないという、全く期待に及ばないものである。原因は?自身のHIV感染を知ること、知られることへの恐怖である。

さて、南アフリカ共和国では、2002年12月10日、タボ・ムベキ大統領がようやく2年間の否認を覆してARVが「エイズとの闘いにとって有効」と認めたものの、差別意識は未だ非常に強い。国の役割についての明確なメッセージがなければ、人々は治療に応じないであろう。たとえ、エイズ危機に関わる諸費用(予防啓発費、日和見感染症の治療費)が2003年には3倍増の10億ランド(1億ユーロ)、そして2004年〜2005年には18億ランドに達するというのであっても、南アフリカが目を覚まさない限り、アフリカ大陸の経済の40%に当たる南アフリカ共和国の経済は、エイズによってますます苦しみ続けるであろう。

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