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手を縛られた世界基金

Globe and Mail, Canada 05 October 2002
Global Fund fights AIDS with tied hands
手を縛られた世界基金

By STEPHANIE NOLEN

世界基金は、現代世界が直面している最悪の危機に対する画期的な新しい解決策であり、富裕国と多国籍企業が手に手を取って貧困国の人びとの命を奪っているエイズ・結核・マラリアをなくそうとする前例のない取り組みだったはずだ。

2001年半ばに生まれたアイデアが、今年1月には世界基金の設立として結実した。発案者のコフィ・アナン国連事務総長は、年間70億米ドルから100億米ドルが三つの感染症対策に必要と訴え、世界基金は集めた資金を、それを使うに最もふさわしい人びとの手に直接渡すことになっている。

途上国であれいかなる団体であれ、それぞれの状況に応じたエイズ対策プログラムを練り上げ、世界基金に申請することができる。世界基金は、出された申請を、技術的観点、実行可能性、プログラムの透明性において検討して採否を決することになる。採用されれば、前例のない大金が即座に申請者に届けられることになっている。

しかし、9ヶ月たって、世界基金は必要とする資金のほんの爪の先ほどしか確保できていない。世界基金は貧困国へ16億ドルの資金供与をアナウンスしたものの、一銭も支出できないでいる。この世界基金の状況にアクティビスとたちはブツブツと愚痴をこぼしており、スタッフは身を縮めている。これが画期的な解決策だというのであれば、問題解決の前途は暗い。

「何ヶ月もお金がないんだ、一銭も入ってこない。しかも、拠出者がどうやって支払ってくるかについても何のプランもない。」と、コフィ・アナン国連事務総長アフリカ・エイズ問題特使、スティーブン・ルイスは言う。

世界中で4000万人がHIVに感染していると見られており、毎月25万人がエイズで死んでいる。しかもほとんどが途上国の人びとなのである。HIV感染拡大は、年間200万人に死をもたらす結核の感染拡大、あるいは数千の人びとを床につけ年間100万人の死を招くマラリアの感染拡大にもつながっている。この三つの感染症の感染拡大により第三世界が近年実現してきた公衆衛生の成果が急速に失われている。

この4月、総額16億米ドルの最初の資金供与対象の58事業が決定した。これらの事業には、東アフリカでの殺虫剤に浸した蚊帳のプロジェクトも、西アフリカにおける抗レトロウイルス薬カクテル療法プロジェクトも含まれている。第二次募集は先週開始され、来年1月に選考結果が明らかにされることになっている。しかし世界基金には配分する資金があるのだろうか?

これまでにプレッジされた拠出額は21億米ドルで、アナン国連事務総長が要求した額のほんの一部にすぎない。実際の拠出はまた別物で、現時点で世界基金の口座には5億米ドルしかない。カナダは4年間で1億5000万米ドルの拠出をプレッジしており、第一次分の3750万ドルはすでに世界基金の口座に入っている。民間企業からの資金提供にも見るほどのものはなく、唯一、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が1億米ドルの拠出をプレッジしている。

世界基金事務局長のアドバイザー、アニル・ソニは、混乱が広がっていることをよく判っている。しかし、彼に言わせれば、「(他の国際機関と比較すると)驚くべき迅速さ」で、今月から事業への資金支出が始まることになっている。

一方、世界基金は、これまでのさまざまな機構とは全く違う国際機関を作らなければならないという条件に縛られている。つまり、世界基金は国連の基金ではなく、資金を運用するのにすでにある国際機関に頼ることなく、資金を速やかに支出できる“軽快な”しかもバランスの取れた機関になることを条件に設立されたのだ。

“無駄ばかりの”援助を攻撃するキャンペーンを進める米国は、設立に先立って「米国の支援を受けたければ、現存の国際機関とは全く違うところを見せろ」と主張した。というわけで、世界基金はジュネーブの本部だけでなく基金が資金を支出する全ての国で自前の運営・支出・監査の機構を作らなければならないのである。

英国人の公衆衛生の専門家、リチャード・フィーチャムが事務局長の任にある。しかし、世界基金には、権限を持つスタッフが不足しており、ジュネーブの本部には電話もなく、もっと悲惨なことには、資金計画もないのである。

来週、フィーチャム事務局長は配分資金支出のスケジュールを発表することになっている。また、冷淡なドナーに資金拠出を促す計画もアナウンスする予定だ。彼の机の上にあるプロポーザルの一つは、国連が一覧にしたのと同じやり方でGNPに応じた拠出額を富裕国に示している。この働きかけが成功するか否かはホワイトハウスの対応にかかっている。

この大胆な新しいイニシアティブはさらに多くの問題を抱えている。第一次分の資金配分が決まっただけで、すでに“何の縛りもなく”事態が進行するわけではないことが明らかになっている。たとえば、マラウイは5年間で1億9600万ドルの資金供与を受けることになった。しかし、この南部アフリカの小国では、成人の4人に一人がHIVに感染しており、当初4年間で16億米ドルの資金供与を求めたのだった(この件については「Malawi: A Suitable Case for Treatment」をご覧ください。Sun, 29 Sep 2002 19:52:40の配信です)。

公式に語られているところによると、世界基金理事会はマラウイの積極的な提案を賞賛したものの同国のエイズ評議会がそれだけの資金を扱いきれるのかどうか不安を抱いた、というのだ。マラウイは何度か提案を書き直し、結局1億9600万ドルのプランが採用されることになった。

マラウイでUNAIDSの取り組みを指揮しているカナダ人のエラスムス・モラーのような世界基金支持者によれば、このプロセスは合理的だ。「言ってみれば、そんなに大きなパイに飛びついて、後でもっとパイを得る機会をなくさないように、ということだよ」とモラーは言う。「マラウイは、必要に鑑みて“合理的な予算”ではなく、実際にできることから見て“合理的な予算”を求められているというプレッシャーを感じただろう」と言うのだ。

たしかに、マラウイ政府は透明性と腐敗に関して芳しくない過去を持っている。加えて、資金供与決定後、エイズ評議会および資金運用の権限が広範な尊敬を集める副大統領府から信頼度で言えばもう一つの大統領府に移されている。

しかしコロンビア大学の有名な貧困に関する理論家であるジェフリー・サックスを含む論者たちは、英国国際開発省・米国国際開発庁(USAID)などの二国間援助のドナーが、巨額の資金が直接マラウイ政府に供与されることで援助側の影響力が弱まることを恐れ、資金供与決定に必要な“パートナーとの合意”を出さないと脅しつけてプロポーザルを縮小させた、と非難している。サックス教授が言うには、援助をめぐる競合を好まない勢力がある、という訳だ。

アミール・アタランが言うところの「けちくささ」である。「これが援助国の、ことにHIV/AIDSへの取り組みに関する一貫した姿勢なのです。要請をひねり回し求められていることを値切ろうとするのです」。その結果、マラウイのプロポーザル、スケール・ダウンがあった。

「2億米ドルのプランは、当初のもっと大きな計画に比べて、失敗に終わる確率が高くなっています」と、途上国の保健問題の専門家であるハーバード大学のアタラン教授は語る。2億米ドルのプランでは、インフラ整備にほとんど資金が行かない、と言うのだ。「私にはこの展開が見えている。医薬品の梱包が次々にリロングウェ空港に到着するのだが、そこにはロジスティックの面でも人材の面でも大きな困難が待ちかまえているのだ。何か失策をしたからというのではなく、人びとが貧しくそして次々に死んでいくがために生じる困難が。」

アタラン教授は第一回の選考が、チリやアルゼンチンのような中程度所得国を対象にしたことも、鋭く批判した。「一人あたりGDPが8000米ドルのチリが、無償資金供与を得るなんてどうかしている。チリには無償援助は不要だ」と、彼は言う。「世界基金は最貧国のためのもの、最も感染症に苦しんでいる国々のためのものだ。最貧国が十分な資金を得られないのであれば、チリへの8000万米ドルの供与をやめて、チリには世界銀行に借款を申し込みに生かせるべきだ。」

もう一つの原則である、グッド・ガバナンスの確立が、ジンバブエおよび北朝鮮への資金供与で脅かされている、とアタラン教授は付け加えた。

それに対し、世界基金アドバイザーのソニは反論する。「私が思うに、これは世界基金が正道を歩んでいる実例だ。私たちがハイチやキューバの政府に求める条件がNGOと協議しNGOが求めることを明らかにすることであれば、この条件は、単に感染症による危機との闘いを支援するだけでなく、国がもっとよくなることにつながる民主的な体制を支援することにもなる。たとえばハイチでは、政府に対する二国間援助はなくって、世界基金からNGOへ資金が供与されることになる。」

政府とNGOの提案の関係もまた不明確な問題である。南アフリカ共和国クワズールーナタール州では、抗レトロウイルス薬(ARV)治療を含むエイズ・ケア・プロジェクトに7500万米ドルが支給されることになった。しかし、ARVの毒性を強調する南ア政府の反対のため、ARVが用意できないでいる。

南ア政府はプロジェクトに資金が提供される前にプロジェクトそのものをやめさせると宣言している。世界基金は、このプロジェクト以外には資金は提供されない、と明言している。この件はまだ未解決だ。しかし、世界基金ウオッチャーたちは、フィーチャム事務局長がこのテスト・ケースについて姿勢を明確にし、南ア政府に対して、資金がプロジェクトに届くかどうか注視していると宣言するのを待っている。

しかしどこに現金があるのか?世界基金はすぐにも、まだ手元にない資金をあてに小切手を書くことになるのだろうか?アタラン教授は、ドナーに働きかけるためにも、それは必要な戦略だと言っている。「世界基金は、基金をチマチマとたくさんの国配分してどの国も何かをなすには不十分な額しか得ない、という風にもできる。あるいは、『我々の基本方針はエイズ・結核・マラリアによる危機に見合う資金を、技術的に適格で真剣に必要としてグッド・ガバナンスを実現している国に提供することであり、この方針をつらぬいていったら支出過剰の資金不足に陥った。国際社会がこの状態を好ましくないと考えるのであれば、世界基金に対する姿勢を変えて、世界基金が求める年に70億米ドルから100億米ドルの資金を拠出すべきだ』と主張することもできる」と言うのである。

ソニは、第一次分の資金供与を受けたプロジェクトがどのように資金を活用したのかが、世界基金にとっての次のテストだ、と指摘する。「私たちは、プロポーザルを出した国・機関・NGOに大きな信頼を寄せたのだから、これらの国々が成果をあげるよう支援していきたい。」一方で、様子見をするドナーから実際に資金を受け取るのはもっとたいへんだ、とルイス氏は言う。

マラウイのエイズによる荒廃のただ中にいるモラーは、世界基金が直面する諸問題は解決できると、用心深くはあるけれど楽観的だ。「大胆なアプローチを試みたわけだ。この件に係わる様々な課題を扱う込み入った状況からの脱出を試みて、新しい基金を引っ張り出そうとしたわけだ。特に民間の資金を」と、ことばを選びながら彼は語った。「でも、完全に状況が変わってしまっても、自力で維持するのは大変なことだよ。」

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