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エイズの発見から20年を超えて
国連合同エイズ計画、ミシェル・シディベ氏がエイズとの闘いのポイントを語る

雑誌「Jeune Afrique L'inteliigent」 2165号(2002年7月8日号)掲載の記事を、AJF感染症研究会が翻訳・紹介しています。
このインタビューの内容を論評する際には、原文と引き合わせてくださるようお願いします。

国連合同エイズ計画の4つの挑戦

ジュネーブにて、ジュリエット・バスティンによるインタビュー

バルセロナで第14回世界エイズ会議が開かれるのに合わせて発表された国連合同エイズ計画の報告によると、地球上に4000万人のHIV陽性者がいて、そのうち2850万人がサハラ以南アフリカ諸国に暮らしているという。抗レトロウイルス薬(ARV)はまだ高価でありまた簡単に手に入らないため、ARVによる治療を受けている人は、アフリカ大陸全体でフランスの半数以下に留まっている(フランスでは7万人、アフリカ大陸全体で3万人)。それでも2840万人以上のHIV陽性者がいるのだ。北では、何とかエイズとともに暮らすことができるようになった。一方、南では、エイズは、保健の問題であるだけでなく災厄以外の何ものでもない。どうしているのか?

国連合同エイズ計画ピーター・ピオット事務局長と彼のスタッフにとって、この悲劇の大きさを、各国の首脳そして国連に認識させるために、6年間の訴えと行動が必要であった。現在、国連合同エイズ計画は、エイズに対する闘いの新たな段階に入り、四つの挑戦を開始している。

昨年10月、新たに国連合同エイズ計画『国別・地域別支援局』の局長となったフランス系マリ人のミシェル・シディベ氏が、 Jeune Afrique/L'intelligentに四つの挑戦とは何かを解説してくれた。国家経済の専門家であり、かつてウガンダ・ブルンジでユニセフ代表を務めたシディベ氏は、国家にそれぞれの取り組みの強化することを促し、諸国家の努力を支える仕組み作りとNGOとの共同作業を担当している。

JA:最初のエイズ患者発見から20年以上が経ちました。HIV感染の現状はどのようなものですか?

シディベ氏:最もエイズ感染率の高い国においてさえも、感染拡大減速の兆候が、未だに全く見られません。ボツワナでは、これ以上感染率が高まることはなく、しばらく現状の感染率が続いた後、感染率は落ちていくものだと、考えられていました。ところが、この2年間で、感染率は36%から39%へと増加しました。スワジランド、ジンバブエも同様です。1999年には、25%だった両国の感染率は、現在33%だと言われています。毎日6000人の若者が感染しており、新規感染者の半数を占めています。私たちは、悲劇的でスキャンダラスな状況の中にいる、と言わなくてはなりません。悲劇というのは、現在の感染拡大が世界的なものだからです。東欧では感染が急激に拡大しています。感染率がわずか3年で15%へと増加しています。アジアにおいては、一年間の新規感染者が100万人を超えており、インドには400万人を超える感染者がいます。中国には、感染爆発の諸条件がそろってしまいました。数億人が国内を移動・移住しており、HIV感染したコマーシャル・セックス・ワーカーの数も、麻薬使用者の数もフォローしきれないほどに増えています。しかも、これらの人々は部屋に閉じこもって人との接触を断っているわけではないのです。それで、アフリカと同様に異性間性交渉による感染が増加しています。一方、エイズと闘う手段があるにもかかわらず、有効に闘いが進められていない、と言う意味でスキャンダラスと言わざるを得ません。感染拡大防止のための、あるいは感染者に対する治療のための手段があるにもかかわらず、多くの人々に手を差しのべるためには資金が必要なのです。そして、この資金を誰が出すのか、がセンシティブな問題となっているのです。

JA:どのくらいの資金が必要なのですか?

シディベ氏:国連合同エイズ計画が行った研究では、年間70億ドルが必要、と見積もられています。アメリカの経済学者、ジェフリー・サックス博士は、最近出版した「マクロ経済と保健」の中で、2015年まで毎年250億ドルが必要と主張しています。エイズとの闘いに成果をあげるためには総額3250億ドルが必要だというのです。もしこの期間に資金が投入されなかったら、発展途上国は5000億ドルの失うことになるだろうとも、見積もられています。

JA:なぜ事態はここまで来てしまったのでしょうか?

シディベ氏:これまでエイズの問題は、個人・特定の国の問題と考えられてきました。これまでに取られてきた対策は、エイズの問題が、国際的な問題、すなわち安全保障、平和、国際的・地域的な安定と直接関わっていること踏まえていないものでした。テロリムズとの闘いであれば、今日、国際社会は地球規模の課題としてとらえており、国連に対応を一任しようとはしません。ところが、ODAは減少しています。先進諸国のGDPの0.2%強にすぎないのです。もし、0.7%が途上国援助に当てられるようになれば、年間新たに1000億ドルの資金が生まれるのです。あらゆる方法でエイズ戦略を見直さない限り、こうした状況には至りません。その端的な現れがアフリカ諸国への年間130億ドルの支援なのです。

JA:GFATM(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、このための資金を拠出することができるでしょうか?

シディベ氏:いろんなことが言われていますが、GFATMは成功しているのです。わずか18カ月前には何もなかったのです。現在、システムが作られ、資金を配分する機関が動き出し、20億ドルの資金が拠出されることになっているのです。第一回目の判定を経て、6億1600万ドルが配分が決定されました。たしかに、資金拠出は満足できるものではありません。しかし、まだ第一段階なのです。国々が、GFATMを変革のための道具として活用し始めたのですから、成功といえるでしょう。リアリストにならなくてはなりません。GFATMは、既存のプログラムの再現でも、二国間援助に取って代わるものでもありません。途上国と先進諸国がともに一つの課題に取り組んでいくと仕組みを体現するものなのです。

JA:では、何か希望の持てることはあるのですか?

シディベ氏:この10年間に、たくさんの評価できることが起こりました。何よりも、まだ十分に積極的な動きを引き出し切れてはいないことを忘れてはなりません。ウガンダを見てください。12年前、ウガンダはエイズ危機の中心地でした。握手をするとエイズがうつる、と言って、誰もがウガンダへ行こうとしませんでした。そのウガンダで、28%だった感染率が2年前には8%になりました。2002年(今年)は5%だと言われています。セネガルも注目されています。感染率が0.5%から増加しないのです。ザンビアでは、感染した妊婦の数が増えなくなりました。最近の南アからの報告は、分娩前の母子感染防止が有効であることを、数字で表しています。また、カンボジア、タイでの取り組みが、私たちに大きな希望をもたらしていることも、広く知られています。

JA:政治的指導者たちも、これまで以上に積極的に関わっているのですか?

シディベ氏:このことは重要な点です。成果が出ています。政治的指導者たちの関与は、単にことばにとどまらず、具体的な取り組みとして実現されています。ほとんどの成功をおさめた国々では、エイズの問題が国の発展に関わる問題であることを認識したあらゆる立場の人たちによって取り組みがなされました。こうした取り組みへの参加が、新しい希望を生み出しました。数年前には、誰もがPWAと共生することなどできない、と言っていました。今日、PWAたちは自らのグループを作っています。またNGOは活動領域を広げて、薬価引き下げ要求や、情報開示要求などにも取り組むようになっています。南アフリカ共和国では、こうしたNGOの取り組みが大きな成果をあげました。政府と交渉を行い、政府は、エイズとの闘いに800億ドルの予算が投じることを決定しました。ボツワナでは、エイズとの闘いに投じられている資金の80%は政府が拠出したものです。

JA:ジェネリック薬の使用と、特許権を持つ製薬会社との交渉の、どちらを優先すべきだと考えますか?

シディベ氏:この二つの組み合わせが必要なのです。世界保健機関(WHO)は、ジェネリック薬による必須医薬品リストを作成しました。しかし、特許権を持つ製薬会社が大きな資金を持っており、新薬開発に大きな投資をしていることも忘れてはいけません。私たちの果たすべき役割は、こうした製薬会社に、薬へのアクセスは必要であり、人々の権利であり、だからこそ製薬会社は薬価引き下げの交渉に応じるべきである、ことを理解させることです。したがって、製薬会社との継続的な交渉は必要であり、またすでに90%の薬価引き下げを実現してきた交渉をさらに前進させていかなくてはなりません。

JA:しかし、ARVの薬価は下がったと言っても、まだまだ高いですね?

シディベ氏:そのとおりです。ARV服用は、現在のところ、北の国々とラテンアメリカ、それもブラジルでだけ実現しているのです。たしかに、ARVの値段は、一番安いもので300ドル前後に下がり、以前の1万ドルとは比べようがないくらいになりました。しかし、一人当たりGNPが290ドルにすぎない国々においては、超高価であり、最も感染率の高い国々の人々の手に届かないものなのです。

JA:では、企業やNGOが従業員やメンバーのためにARVを買わなければ、治療は実現されない、ということですか?

シディベ氏:マイノリティの問題があります。それぞれの国が国内の感染者に(製薬会社の提供価格より)さらに安価にARVを供給する仕組みを作り出すように訴え、働きかけなくてはなりません。ARVアクセスだけでなく、継続した治療も問題です。ですから長期にわたる活動に必須の医療保健基盤の整備、検診システムの構築、カウンセリングの仕組み作りも必要です。

JA:多くの感染者がARVを服用できるようにはなっていませんね。

シディベ氏:アフリカでは、2800万人の感染者のうち、3万人がARVによる治療を受けており、その一方で2001年には220万人がエイズで亡くなりました。先進諸国には50万人のARV服用者がいて、昨年のエイズによる死亡者は25000人と見積もられています。ARV服用によって、ウイルスの増殖が抑えられ、感染者がより長いこと生きることができる、というのが現在の治療の実態です。これは、何よりも現存する力を保持することにつながります。南部アフリカでは、最近の5〜6年で700万人の農民が死亡しているのです。

JA:ワクチンには期待できますか?

シディベ氏:いつ実用化されるのか、まだ誰にもわかっていません。大きな努力がなされており、一部の研究機関は分子レベルのテストを行っています。しかし、もしワクチンが実用化されても、人々にワクチン接種を受けるよう働きかけるにはたいへんな説明努力が必要なのです。すなわち、ワクチン接種を受けることは不活性ウイルスを接種されることであり、ことば通りであれば、HIV陽性者になることです。国連合同エイズ計画は、研究資金の増額のために努力しているところです。また、ワクチン開発は保健医療基盤の整備と予防努力の強化とセットになって取り組まれなくてはなりません。ワクチンが実用化されても、感染はなくなりません。したがって、治療と予防の枠組みの中にワクチンも位置付けなくてはなりません。

JA:予防の果たす役割は何ですか?

シディベ氏:治療と並んで重要です。「予防か、治療か」という論争は、存在の余地がありません。この二つがともに必要なのです。ブラジルがよい例です。昨年、ブラジルでは、ARVを供給したことで、25万人が入院する必要がなくなりました。このことよる経済的影響には非常に大きなものがあります。新たに10万人が治療を受けることができるようになり、また画期的な予防プログラムを実施することができました。治療を受けることができるので、人々はHIVテストを受けることを恐れなくなり、カウンセリングのプログラムも大きく増えたのです。間違いなく、治療のダイナミクスが一つの基盤となっているのです。

JA:北アフリカとサハラ以南アフリカとで、感染率が大きく違うのはなぜですか?

シディベ氏:北アフリカと中東に50万人の感染者がいると推定されています。この低い感染率は、宗教、社会統合の仕組み、そして家族関係のあり方に関わっていると考えられています。モロッコには現在、人口の0.1%の感染者がいます。モロッコもGFATMから補助金を受けています。よいニュースとして、啓発の取り組みが継続されていることがあります。その一つの現れとして、国連諸機関の取り組みが再開され、政府と並んでエイズに関する取り組みを進めています。

JA:サハラ以南アフリカでも国によってずいぶん違いがありますね。

シディベ氏:マダガスカルでは、現在、感染率が1%に留まっていますが、南アフリカ共和国くらいに感染拡大の要因がそろっており、10年も経つと南部アフリカのような状況になりそうです。

JA:ベナンとマリだけをとれば、非常にうまく感染拡大を抑えていますね。

シディベ氏:疑う必要があります。やはりずっと感染率の低かったブルキナファソは、現在8%を超えました。カメルーンは12%です。ナイジェリアのいくつかの地域でも感染者が増えています。どの国にも、エイズ感染の潜伏期があり、もし予防措置が機能しなければ、急激な感染拡大の時期を迎えます。たとえば、マリにはたくさんのNGOがあり、地域地域で人々と近いところで活動しています。これらのNGOは政府以上に人々を動かし、知識を広め、そしてよい成果をあげることができるはずです。

JA:どのようなカテゴリーの人々が感染しやすいのですか?

シディベ氏:若者たちです。しかし、ともすれば、このことが問題としてだけ捉えられがちですが、むしろ若者たちを変革の主体に変えていく、問題の解決につながるものだと考えることが重要です。若者たちに責任を持たせるためにも、学校教育の中にエイズを取り込んでいく必要があります。取り組みのあるところには成果があります。コンドームを無料で配布し、カウンセリングと治療センターに行きやすくすることも必要です。若者たちが活動を始め、働きかけを受ける受益者以上の存在になった時、全ては変わります。新しい試み、新しい対話が始まっています。人々は、声をあげることで、それぞれの国ごとにそしてまた国際的に存在する黙視の陰謀をうち破ることができたのです。まちがいなく、これ以上、安全保障理事会におけるエイズに関する特別会合はないでしょう。それでもまだいくつもの障壁があります。男性と女性の間、支配するものと支配されるものとの間、夫と妻の間、家族と子どもたちとの間、都市と地方の間にある壁です。これらの障壁が、事実に基づく具体的な情報へのアクセスを阻んでいる限り、全ては変わらないのです。

JA:どうやって、取り除くのですか?

シディベ氏:私たちがこれまで取り組んできた闘いは、世界的なキャンペーン、世界に理解を呼びかける取り組みでした。国連合同エイズ計画、ピーター・ピオット事務局長は、エイズが開発と安全保障を脅かす重大な危機であることを明らかにし、めざましい活躍でこの任務を果たしてきました。このキャンペーンによって、あらゆる指導者たちがそれぞれの国でエイズのことを語り始めました。しかし、エイズをめぐる対話が共同体の中で行われなくてはなりません。エイズに関するサービスの対象地区を広げ、共同体がもっと自立性を持てるようにしなくてはならないのです。

JA:感染者への差別は弱まるでしょうか?

シディベ氏:簡単ではないですね。常に女性が犠牲者です。その点への注目が弱いです。女性の男性への従属を社会が認めている限り、女性たちは、女性として自由に生きることができません。こうした女性の男性への従属が、HIV感染拡大の大きな要因の一つなのです。個人の振る舞いを変えることが語られています。しかし、社会的なレベルで行動の変化がなければ、効果的、直接的で急速な行動はありえないのです。個人の振る舞いの変化が語られているのは、こうした文脈の中でなのです。逆ではありません。

JA:では、国連合同エイズ計画の今後の方針はどのようなものですか?

シディベ氏:大規模な会議や、広く発せられる宣言の時期は終わったのでしょうか?まだまだ注目しなければならない課題があります。私は、これからの闘いは、高揚しているNGOの活動にかかっていると感じています。4000万人の感染者が求めるものを受けとめていき、また多くの人の声が結集して組織化されていけば、理解は広がっていくでしょう。私は楽観しています。人は、世界中から発せられる声に対して無関心ではいません。私はNGOが変わると信じています。人々が、6カ月から18カ月しか生きられない人たちを無視するとは思えないのです。ほんの数年前まで、抗レトロウイルス薬(ARV)による治療など語られてもいなかったのです。事態は驚くほどの速さで変わっています。

国連合同エイズ計画、そして国連事務総長は、これから数年のうちに四つの挑戦と向かい合わなくてはなりません。全ての個々人に届く有効なプログラム、社会そして個々人の新しい行動規範、そして共同体の中での対話、NGOと国家の間での対話、という挑戦です。NEPADは、こうした対話を開始するよい機会です。なぜなら、エイズと貧困は堅く結びついているからです。(了)

アフリカにおける感染率とエイズ遺児

2001年末、サハラ以南アフリカには1100万人のエイズ遺児が存在し、平均感染率は9%であった。(国連合同エイズ計画による)

> 成人感染率(15〜49歳)% エイズ遺児
南アフリカ共和国 20,1 660 000
ベニン 3,6 34 000
ボツワナ 38,8 69 000
ブルキナファソ 6,5 270 000
カメルーン 11,8 210 000
コートジボワール 9,7 420 000
ガボン NC NC
ハイチ 6,1 200 000
マラウイ 15,0 470 000
マリ 1,7 70 000
ウガンダ 5,0 880 000
コンゴ民主共和国 4,9 930 000
セネガル 0,5 15 000
スワジランド 33,4 35 000
ザンビア 21,5 570 000
ジンバブエ 33,7 780 000
アルジェリア 0,1 NC
モロッコ 0,1 NC
チュニジア NC NC
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