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セネガル成功の秘訣
早期の住民巻き込みと政治的コミットメントがHIV感染率を低く押さえる

2001年6月に発行された国連アフリカ専門情報誌「Africa Renewal」エイズ問題特集号掲載記事です。

Mamadou Mika Lom(ダカール)

セネガルは、アフリカ諸国の中でエイズとの戦いに奮闘している国の例として、引き合いに出される事が多い。1986年に最初のエイズ患者が確認されて以来、成人の感染率は1.74%から1.77%にとどまっており、900万人の総人口の中で、感染者は大人と子供をあわせて約8万人となっている。

このような成功の理由として、早いうちからこの病気への対策を講じてきたこと、また、思い切った予防活動、エイズ患者へのケア、そして教員、軍人、女性、宗教指導者、NGOといったあらゆる階層の人たちの巻き込みを図ってきたことなどがあげられる。また、セネガルが民主主義の長い歴史を有し、報道の自由が確保されていたことは、この問題について公に話し合うことや、病気についての情報を簡単に入手することを可能にした。

最初のエイズ患者が発見される遙か以前の1970年に、政府は既に輸血管理に関する政策をうち立てている。そして、1986年以降は、献血された血液に対する体系的な検査を導入し、その政策を強化した。また、セックス・ワークを通してのHIV感染拡大を防止するために、保健当局は、非常に早い時期に、性感染症についてのプログラムと同様に、セックス・ワーカーの人たちの健康問題に対処するためのシステムを確立した。

また、医療専門家と政府関係者の間の信頼関係が構築されたのも早い時期であった。政府関係者は、問題の重大性を理解し、この病気と戦うための予算を割り当てた。エイズと戦うための国内委員会がスタートしたのは1986年10月のことである。

しかし、これらの行動も、他の活動と一緒に展開されたのでなければ、そのインパクトは限られたものであっただろう。1988年、保健関係者は女性と若者、特に学生を対象とした全国キャンペーンをスタートさせた。エイズと他の性感染症の関係に関する授業が、学校のカリキュラムに組み込まれた。これらの対象集団は、その後、セックス・ワーカーや移民労働者といったよりリスクが高いと判断される集団への啓発活動を支援していくことになる。

セネガルはさらに、感染者の治療のために抗レトロウィルス薬の使用に踏み切った最初のアフリカの国の一つである。エイズにより引き起こされた疾病の治療に要する基本的な医薬品の平均価格は、90%も値下げされている。その上、アブドゥライ・ワド(Abdoulaye Wade)大統領は、抗レトロウィルス薬を購入するための予算を年2億5千万CFAから5億CFA(約70万米ドル)へと倍増することを約束している。

ピア・エデュケーション

上述のようなプログラムを支援するために、文化やスポーツ団体、あるいは女性グループといった地域組織では、多くの啓発プロジェクトが立ち上げられ、その活動は全国に及んでいる。

若者を対象としたセンターが各地に設立され、そこでは、コンドーム使用の促進が図られ、エイズについての知識を持っている若者が、別の若者に語りかける「ピア・エデュケーション」が行われている。

「この方法は、性についてのタブーを回避できるというメリットがあります。若者は大人の前でセックスについて話すことにためらいがあるからです。」ルガのスポーツ・文化組合に参加している女子高校生のアミ・セックはこう説明する。「自分たちだけなら、互いの目を見て、ためらうことなく何でも言い合うことが出来ます。」

対エイズ最前線に立つ宗教指導者

セネガルでは人口の95%がイスラム教徒で、4%がキリスト教徒である。いずれの宗教指導者も反エイズ活動を積極的に展開している。ワークショップやカンファレンスを主催しており、その中でも、1997年に、イスラム教、キリスト教、仏教をはじめとする様々な宗教団体が世界中から集まり、ダカールで開催された「宗教とエイズ」についての国際会議は最も重要なものとして位置づけられる。

はじめから、イスラム教の宗教指導者達は、病気を予防するための最良の方法として貞節や禁欲主義を薦めており、コンドームについて話すことは拒否している。しかし、夫婦のどちらかが感染している場合に、コンドームを使用することを禁じてはいない。また、指導者達は、感染者に対する偏見を取り除く事にも成功している。感染者の中には、かつて近親者や地域社会から拒絶されていた人達もいるのである。

人々の態度に変化が現れていることは最も重要なことであると、イスラムNGO ジャムラ(アラビア語で祈祷と断食をさす)のコーディネータであるバマール・ゲイ(Bamar Gueye)氏はそう強調する。「私たちは、常に個人のモラルの重要性を強調しています。」セネガルのハリフ(精神的な指導者)がエイズ問題を公に討議するようになったのもジャムラの努力による。

キリスト教系NGOのシーダ・サービスも、反エイズ活動を積極的に展開している。この団体は、無料、かつ匿名でHIV抗体テストが受けられる施設を運営している唯一のNGOである。代表のポール・サーニャ(Paule Sagna)によれば、彼の団体はコンドームの使用を禁じてはいないが、多くの場合は「禁欲主義と貞節」を薦めていると言う。

危険な慣習

(HIV感染率が高い)ルガ地域の保健教育事務所職員であるビンタ・ボクン(Bineta Bocoum)氏は、現在「どのような人達の間で最も感染が拡大しているのかを見極めること」は大変難しいと語る。アフリカにおける反エイズ女性社会の活発なメンバーである同氏は、特に、セックス・ワーカーの間での感染率を特定することが難しいと語る。「職業」セックス・ワーカーは病気についての教育を受けており、その動向も把握されている。しかし、その他の人たちは、目に付かない形で売春行為を行っている。しかし、このような状況にも関わらず、病気についての情報がNGOや、女性、青少年あるいは宗教団体を通じて、人々の間に広く浸透しているという事実が、彼女を勇気付ける。

しかし、問題は、セネガルで広く行われている文化的慣習の多くが、病気の感染拡大に繋がっているのではないかと言うことである。これらの慣習の中には、男性が死亡した自分の兄弟の未亡人と結婚することを義務づけたレヴィラート婚、あるいは女性が死亡した自分の姉妹の配偶者と結婚することを義務づけたソロレート婚がある。一夫多妻や女性の割礼も広く行われている。幸運にも、エイズについての啓発活動に宗教指導者が参加することで、そのような慣習を実践する人たちの数は減ってきている。このような指導者達が強調するように、「自分の命を危険にさらすことになる」ならば、そのような結婚をする必要はないはずである。

兵士達は準備万端である

兵士達は、セネガル国内で最大のコンドームの消費者であると考えられている。これは、HIV感染拡大を防ぐために、軍隊を対象とした特別な啓発教育が行われてきた結果である。このような成功の背景には、医療部隊の大佐であるスレイマン・ムブップ(Souleymane Mboup)博士自らが、この病気の研究に深く関わってきていることがある。彼は、セネガルで発見されたこの病気の変種であるHIV-2を取り出すことに貢献した人の一人であり、彼の研究成果は多大な賞賛を得ている。

セネガル軍の将軍達は、しばしば軍医からエイズについての研修を受けている。そして、彼らには自分達が監督する部隊やその家族を啓発する役割が期待されている。セネガル軍が参加するすべての平和維持活動においては、「部隊に対して適切な教育が行われ、充分な数のコンドームが用意される」と軍医は説明する。そして、従軍中、部隊は定期的にHIV抗体テストを受けることにもなっていると言う。

民間産業界では、予防に力が入れられている。チエスにあるリン酸塩の採掘と加工を行っているセネガル化学、サン・ルイで砂糖のプランテーションと工場を運営しているセネガル砂糖といった国内の大企業では特に、予防に力が入れられている。大企業経営者の代表として、パパ・ナラ・ファル(Papa Nalla Fall)氏は「病気から従業員を守るためにあらゆる手段を尽くしています」と語っている。

彼は次のように続ける。「企業は、社会から隔絶して存在しているわけではありません。ですから、事業が最終的に時間や資金を無駄にすることのないように、従業員を取り巻く環境やさらには、従業員が属する地域社会全体について留意することが必要です。」

ファル氏は、2000年12月に国連アフリカ経済委員会が主催した、エイズ問題を取り上げたアフリカ開発フォーラムに出席している。フォーラムで彼は、エイズとの戦いにより多くの資金を投入するために、途上国の債務を軽減するよう求めた。この会議からセネガルに戻った後、彼は他の経営者と共に、産業界でエイズについての情報を周知させることの重要さを訴える一連のセミナーを行っている。

横ばいの感染率

セネガルで最初のエイズ症例が報告されてからの17年間、エイズ感染率は横ばいの状態が続いている。感染者は8万人前後で、そのうちの約3千人が子供たちである。当初、男女の感染比率は、女性1に対して男性4であったが、現在は、ほぼ同数である。

医療専門家は、セックス・ワーカーが最も感染の危険にさらされた集団とみなしている。彼女たちの感染率は12から15%程度である。反エイズ国家プログラムの代表であり、ダカールのファン病院に併設する主要なエイズ治療・研究センターの責任者でもあるイブラ・ンドイ(Ibra Ndoye)博士は、半数が感染していると推定されている他のアフリカ諸国のセックス・ワーカーの感染率に比べれば、この数値は悪くないと考えている。「セネガル国内のセックス・ワーカーの感染率は、警戒を要するほどではありません。」こう言いながら、彼はセックス・ワーカーの感染率が1988年から変化していないことを付け加えた。彼は、この理由として、一般国民、そして特にセックス・ワーカーに対する効果的なモニター体制が取られているためとしている。

今後数年間のうちに、全体の感染率は増加するかもしれない。しかし、博士は、2005年までに感染率が3%を超えないようにすることを目標としていると述べた。

博士は続ける。「現在直面している最大の問題は、医薬品の価格が感染者にとっては、未だ高すぎるということです。」もう一つの問題は、病気に対処しなければならない医師達が充分な情報を持っていないことである。「エイズは新しい病気であり、治療行為を行う専門家は新しい方法でこれに対処することが求められています。」そのため、より効果的にウィルスの感染拡大に対処するために、より良い研修を受けたより多くの医療従事者が必要とされているのである。

保健大臣とエイズ専門家

HIV/AIDSと他の感染症の専門家であるアワ・マリ・コル・セック(Awa Marie Coll Seck)博士は、5月12日新しい保健予防大臣に任命された。彼女は、セネガルの反エイズ国家委員会が1986年に設立されて以来のメンバーであり、長年にわたってエイズ教育と予防活動を手がけてきている。国家委員会設立から3年後には、彼女は女性が男性よりもエイズに感染しやすいことを周知させるためのNGOを設立し、1996年までその代表を務めた。その後、大臣に任命されるまでの間、彼女はジュネーブの国連合同エイズ計画(UNAIDS)の職員として働いている。

彼女の登用は、いくつかの点で注目に値する。最近まで、保健専門家が閣僚に任命されることは非常に稀で、たいていは影響力のある政治家が就任してきた。4月29日に行われた議会選挙の結果を受けて、新しく立ち上げられた政府に参画する、他の多くの「市民社会」出身の閣僚と同様に、彼女は政党に属していない。また、マム・マジオール・ボイ(Mame Madior Boye)首相を含む6名の女性が閣僚に就任したのも初めてのことである。


【注記】

上記の文章に関して、以下のコメントがついています。

楠田一千代@元青年海外協力隊員(セネガル)です。

セネガルダカールに本部を置く国際NGO、Enda-Grafの紹介で以前、HIV感染防止のための啓発活動を訪問したことを思い出しました。

ダカール市近郊の町で上半身裸で腰蓑をつけ、顔を白く塗った「エイズ悪魔」が若者の耳元で「コンドームなんか要らないよ」とか、床屋さんに対しては、「カミソリなんて使いまわしで大丈夫さ」なんて囁き、その悪魔に対して”エイズ啓発マン”が、「それはだめだ!エイズにはこうこういう原因で感染するんだから」と戒めるといった寸劇が記憶に残ってます(手元に書いた資料が残ってないか探したのですが、見つかりませんでした。残念)。演じるのも、見るのも地元の住民。やはり地元住民たちのバンドによる演奏や、アカペラの歌など盛りだくさんで、子どもたちもたくさん見に来ていました。

以下、気がついた点です。

  1. Enda-Grafでは、やはり高リスク集団と考えられている、長距離輸送の運転手たちに対する啓発活動(キャンペーン)も展開していました。

  2. シーダは、SIDAと書き、AIDS(エイズ)のフランス語標記です。

  3. 「議会選挙」とは、国会議員選挙のことで、現大統領を支持するSOPI連合が120議席中89議席を占めるという圧勝でした。

Africa Ricoveryの文章では、社会文化的背景についてはあまり触れていないようですが、セネガルの友人たちとの話では「不特定多数の相手とセックスすることはない」(相手は決まっている)というのもあるのでは、ということでした。また、本文で紹介されているさまざまな活動の成果なのか、1987〜89年とセネガルにいた時に隣村の兄ちゃんは、「コンドームは5回までなら洗って使う」と言って、部屋の奥から「それ」を持ってきて見せてくれました。使い捨てであるべきコンドームを洗うなんて正しい使い方ではないですが、普段からコンドームを使っているんだな、と少し驚いたのを思い出しました。

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