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医薬品価格の急激な値下がりが、エイズとの戦いを元気づける
アフリカと国連機関、政治指導力を結集

2001年6月に発行された国連アフリカ専門情報誌「Africa Renewal」エイズ問題特集号掲載記事です。

マイケル・フレッシュマン

20年の後、そしてアフリカでの何百万人というエイズ患者の苦悩に満ちた死の後に、この病気の治療薬の値段を高止まりさせていたものが取り払われた。ここ数カ月間で、高まる民衆からの圧力や国連の「静かな外交」により、製薬会社は多くの医薬品の価格を8割から9割引き下げたのである。6月初旬、ボツワナは、来年中に最大で10万人の感染者に対して全面的なエイズ治療を実施したいと発表し、この価格引き下げの恩恵を受ける最初のアフリカの国となった。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)事務局長のピーター・ピオット博士が、5月下旬に行った会見によれば、非常に最近まで、多くの援助国政府、民間セクター関係者、人道援助団体そしてヘルス・ケアの専門家達は、途上国の患者に高価な救命薬を投与したり、複雑な医療ケアを行ったりすることは議論の余地のあること、あるいは急進的なこととさえ考えていた。

1987年にエイズ患者に対して最初の延命治療が施されて以来、北側先進諸国の多くの患者達は、貧しい人々も含めて、治療薬へのアクセスを確保し、しばしば命を長らえてきた。しかし、貧しい南の国の患者達は、非常にお金持ちか、あるいは非常に幸運ででもなければ、薬品を手に入れることはできず、すぐに死を迎えた。一部の論者は、苦々しい思いで、この格差を「医療におけるアパルトヘイト」と名付けた。コフィ・アナン国連事務総長は、あらゆる手段を講じて病人に治療を施すことは「倫理の命ずる」ところであると訴えつづけてきた。

1996年に設立されて以来、UNAIDSはこの病気を二つの方向から攻撃するべきだとしている。一つは、非感染者に対する教育と予防、そしてもう一つは世界中の数千万に及ぶ感染者に対するケアと治療である。

しかし、多くの援助関係者や医療専門家は、ごくわずかな資金しかない中で、エイズを引き起こすHIV感染者治療を行うことは、費用対効果が高い教育や予防プログラムに投じるべき資金を奪うことになり非現実的と、決め付けた。これらの人たちは、その値段があまりにも高いため、途上国では最富裕層を除けば全ての人達にとって、医薬品は手の届くものではない、と考えていたのである。さらに、貧しい国々の保健システムでは、複雑な治療や、それに付随して必要とされる効果測定と経過観察を行っていく事ができないと断定するアナリストもいた。現在、世界中の感染者の70%がアフリカに住み、そしてこれまでの死者の約80%がアフリカの人々であった。昨年、UNAIDSはこのアフリカを対象とした予防と治療のための数十億ドルのプログラム設立を世界に呼びかけたが、ピオット博士によれば、その反応は「無責任と言う言葉とそれほどかけ離れたものではなかった」。

しかし、このようなことはもはやなくなった。ここ最近の市場の動きと、製薬会社に対して高まった政治的な圧力によって、多くの医薬品の価格は一挙に引き下げられたのである。いくつかの治療薬は、途上国に対して無料で提供されるようにさえなった。値下げされても、多くの医薬品は未だアフリカの人々にとって入手可能なものではない。しかし、この値下げは、世界保健機関(WHO)がエイズ治療薬の頒布を妨げている主たる障害としてあげていた価格についての議論を変容させることになったのである。

貧しい国々での問題とされてきた配布面での懸念についても意義を唱える声が高まってきている。4月4日、米国のハーバード大学で、100名以上の医療や開発の専門家達は「低所得国でのエイズ治療実施に対する反対には説得力がない」とする声明とともに、広範な治療プログラム実施のための詳細な青写真を発表した。「インフラの不備は、適切に計画され、適切な財源が確保された国際的な努力によって克服できる」とこれらの人々は断言する。

そして、最後のポイントである外国からの財政支援については、4月下旬にナイジェリアのアブジャでアナン国連事務総長によって発表された世界エイズ保健基金の設立が後押しをすることになったのである。この基金は、途上国でのエイズ、マラリア、結核の各プログラムのための財政支援を現在の年間20億ドル以下から、必要とされている70〜100億ドルへと増額することを目的としている。

アフリカや他の途上国でのエイズとの戦いに勝利するために必要とされる財源や政治的意思は未だ確保されていないが、ピオット博士が語るように、「パラダイム」は途上国の患者を治療するかどうかから、どのように治療するかに移ってきたのである。

人々の怒り、政府の動きを超えた外交

抗HIV治療薬をより多くの人のもとに届けようとするためになされていた努力が転換期を迎えたのは、この3月のことである。このとき、北側の製薬会社39社は、南アフリカ政府を相手取って裁判を起こしていた。この裁判は、製薬会社が、エイズ関連治療薬の価格引き下げの権限を政府に認めた同国の法律を、自分たちの特許権を侵害する行為であると断定して、その差し止めを求めたものである。この訴訟は企業側にとって広報面での大打撃となった。1ヶ月後、批判の嵐と世界中に及んだ抗議行動の中、企業側は訴訟を取り下げ、かつて可能と考えられていたよりもはるかに広い範囲にわたって医薬品アクセス・プログラムを国連との連携のもと展開していくことを公約したのである。

「世界中で人々が反乱の声を上げた」。アナン事務総長は、アブジャでアフリカの指導者達に対してこう語っている。「単に貧しいという理由だけで、富裕な人たちの人生を変えた薬を手に入れることのできない人たちがいると言うことを、人々はもはや容認することができなくなってきたのである」。この反乱が、特許薬を服用した場合にかかる年間1万から1万5千ドルの費用を、最低で350ドルまでに引き下げるという、途上国で抗レトロウィルス薬のジェネリック薬を販売しているインドの製薬業者からの申し出と相まって、価格問題の行き詰まりを打破したのである。

これらの進展は、国連事務総長やUNAIDSが長年にわたって製薬会社やドナーと特許権保護、医薬品の価格設定、そして他の治療方法へのアクセスに関わる問題について、話し合いを行い、また「静かな外交」を展開してきた成果なのである。特許権を失うことや医薬品を適切に投与していくための診療施設がない、といった民間セクター側の懸念を受けて、当初の話し合いは、ウガンダやセネガルやその他の途上国で、医薬品を使っての治療プログラムをいくつか試験的に実施するというものにとどまっていた。

UNAIDSが行っている医薬品へのアクセス加速イニシアチブの一部であるこういった限定的な試みは、増加する民間セクターやフィランソロフィー活動で行われている研究や社会福祉プログラムと共に、ケアと治療の実現を阻んでいるものが何なのかを見極めるためのものだった。そして、これらの動きは、共に行動していくための関係や当事者間での共通認識の枠組みの構築と言ったことにも役立ってきたのである。4月初旬、アナン事務総長は主だった製薬会社6社との会合の後、後発途上国を対象とした医薬品価格の新たなる値下げと、世界の最も貧しい人たちの健康を守るために、緊急に必要とされている新しい薬品、ワクチン、診断法開発のための鍵として特許権の保護を国連として支持していくことを発表した。

これに応えて、米国の巨大製薬会社ファイザーは、6月初旬、日和見感染症に苦しむエイズ患者に対して広く投与されてきたフルコナゾールを最貧国50カ国に無料で供給していくことを発表した。これは、国連エイズ特別総会に向けて発表された一連の民間セクター主導プログラムの一つである。

迅速な建て直し

エイズは「グローバリゼーションの物語であり、性感染症の世界的広がりの物語であり、世界的な不平等の物語であり、そして世界からの返事を待ち望む物語である」と、ピノット博士は言う。アフリカ以上に、不平等が悲劇をもたらしてきた場所はないだろう。アフリカでは昨年だけで240万人がエイズで死亡した。それにもかかわらず、先進国でエイズを死の病から慢性病へと変質させた抗レトロウィルス薬の投与を受けている人は1万人に満たないのである。

しかし、複雑な治療、自発的なHIV抗体テストとカウンセリング、そして効果的な教育や予防プログラムといったことを実施する能力がないとすれば、医薬品のアクセスだけを取り上げても何の意味も持たない。アフリカのほとんどの地域では、保健サービスに割り当てられる予算は悲しいまでに少なく、特に農村に住むほとんどの人達にそのサービスは届いていない。訓練を受けた保健医療の専門家や診断と検査の施設がともかく不足しているのである。開発専門家や医療専門家の間では、アフリカの保健システムを再構築しなければならないと言う点で一致しているが、活動家達は、そのような長期間に渡る作業をアフリカの2500万人のHIV陽性者は待っていられないと主張する。

一つの可能と思われる解決法がハーバード大学で開発されている。そこでは、HIVそのものに効く抗レトロウィルス薬の投与と、ウィルスが人間の免疫システムを攻撃することによって引き起こされる日和見感染症に対する治療との両方を途上国の患者達に今すぐにでも提供できるとする声明に、100名を超える教授たちが署名したのである。ハーバード式青写真は、1998年に同大がハイチで実施したパイロット・プロジェクトでの経験に基づいて策定された。この方式は、患者への薬の投与を、最低限の訓練を受けた地域のボランティアに任せるもので、後は、血液検査と診断のための施設の拡充にわずかな投資を行うだけである。

同大の調査によれば、エイズ末期患者を対象に、体内のウィルスの活動を非常に効果的に押さえ込むことが証明されている3−4種類の抗レトロウィルス薬を併用する化学療法:HAART(Highly Active Anti-Retrovial Therapy)による治療を行う場合、5年間で300万人に対して、この救命治療を行うことができ、その費用は約60億ドルとなる。

新しい、そしてより簡単な投与が可能な医薬品が開発され、医薬品の価格がさらに下がれば、プログラムの費用は下がるだろうとハーバード大の研究者達は語る。また、国家の保健システムが再構築され、かつ拡充される一方で、地域のボランティアが、第一線の医療従事者として結核やマラリアを含む他の病気に対する投薬を行うことも可能であると研究者達は考えている。

予防か、それとも治療かといった議論の中でしばしば見失われがちなのが、HIVについてのカウンセリングとHIV抗体テストが予防と治療のいずれにも欠かす事のできない要素であるという点である、とUNAIDSは主張する。例えば、1993年、科学者は抗HIV治療薬AZTの一回の服用が、出産時の母子感染を減らすことを発見した。しかし、8年後の今も、UNAIDSの報告によれば、治療を必要とするHIV陽性の妊婦を見つけるために必要な検査を受けることのできるアフリカの女性は1%に過ぎない。検査とカウンセリングのための施設がない事で、次の世代への感染を防ぐためのこの簡単で安価な方法は広まっていかないのである。

広く普及し、かつプライバシーを保つ事のできるHIV抗体テストがなければ、発病するまで、自分が感染していることに気付くことはない。その結果、不注意にも他者に感染させてしまうことも多くなるだろうと研究者達は指摘する。

いずれにしろ、陽性のテスト結果が死刑宣告や社会的な迫害のみを意味していたら、たとえHIV抗体テストを受けることができる環境にあっても、人々にとってテストを受ける意味はほとんどないだろう。

医療におけるアパルトヘイト

無名のアメリカの医療雑誌に5人の若者の免疫機能が、原因もなく破壊されているという症例を紹介した短い記事が掲載されたのは1981年の事である。ピーター・ピオットという名の若い医師は、その記事に目を留めた数少ない人たちの一人であった。「当時、その記事を非常な関心を持って読んだものです。」ピオット博士は当時を思い出しながらこう語る。「しかし、それが22年の間に6000万人に感染し、2200万人を死に追いやり、そして人類史上、もっとも破壊的な病気の始まりだったとは思ってもみませんでした。」

その指導者達、北側のドナー、国際金融機関によって、アフリカでもこの病気は長いこと無視され続けた。さらに、感染者数が何百万に達する一方で、これらの人々は、アフリカの保健や教育予算を骨抜きにしていった。

ピオット博士によれば、貧しいアフリカで起こっているこの悲劇を議論するためにドナーが初めての会合を持ったのは、なんと1999年半ばになってからのことだった。そして、今やっと、1700万人の死の後、世界は感染者を救い、新たな感染を防ぐために必要とされる資金をかき集めようとし始めたのである。

世界エイズ保健基金設立に対する最初の反応は、それなりに心強いものであった。アメリカは、まず手はじめに2億ドルの拠出を発表し、フランスの1.5億ユーロ、そしてクレディ・スイス・グループの系列会社であるヴィンターツール保険の100万ドルがこれに続いた。そして、アフリカ・リカバリー発行に先立って、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が1億ドルの拠出を発表した。

6月初旬、50以上の国、多国間機関、NGO、そして民間のフィランソロフィー団体からの代表がジュネーブに集まり、今年末の活動開始が予定されている基金の組織体制や優先項目について話し合った。最初の試みとして、基金は、教育と予防に重点を置いて、医薬品の配布や治療については、パイロット・プロジェクトに限定していこうとする提言がなされた。

いく人かの民間セクター関係者も含めて、治療に重点を置こうとする人たちは、基金が最終的には途上国での医薬品購入のための重要な財源となることを期待している。6月11日、ヨーロッパの製薬会社グラクソ・スミス・クラインのジーン・ピエール・ガルニエール代表は、エイズ治療薬として同社の製品の中でも最も一般的に投与されている医薬品のいくつかについて、途上国での販売価格を引き下げると発表した。しかし、同氏は、この価格引き下げによっても医薬品の価格は貧しい人々が購入できる範囲のものとはならないことを認めており、レポーターには次のように語っている。「これらの国々にとって、あらゆるものが高価すぎると言う事実を単純に受け止めているわけではありません」。そして、国際社会が保健基金などのメカニズムを活用して、違いを埋めてくれることを期待していると付け加えた。「今や、ボールは私達の手にではなく、彼らの手の中にあるのです。」

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