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アフリカに関わる活動を行っているNGOのデータベースおよびアフリカのエイズ問題に関するニュース・情報データベースです。
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ブラジル保健省のエイズ治療薬政策(2001年6月)

ブラジルの国家性感染症・エイズ計画(NSAP)の主な任務のひとつは、国の公衆衛生システムを通して、必要とするすべての国民が、エイズ治療薬を無料で入手できるようにすることである。この努力は1990年代初頭に始まり、当初は限られた量のAZTカプセルの分配に限定されていたが、1996年の大統領命令で強化され、HIVに感染しているすべての国民がHIVと闘うために不可欠な薬物療法に無料でアクセスすることを保障した。プロテアーゼ阻害剤(protease inhibitors)の分配は1996年の12月から1997年1月の間に開始された。同じ大統領命令で、保健省がHIV治療の実施基準を確立することが明記され、成人および青少年と、子どものHIV治療に焦点を当てた二つの対策委員会が設置された。この対策委員会は、基準を見直し、新たな医療の進展や新しい治療の入手可能性について討議するために、少なくとも1年に1度は集まっている。

薬剤の分配政策とともに、ブラジル政府の性感染症・エイズ計画は、エイズ治療や日和見感染に対する化学的治療法の指示のために必要とされる検査を受けられるようにし、同時に治療を受けた患者のための適切なモニタリングを行えるように、「CD4・リンパ球数の測定およびHIVウイルス量の測定のための全国研究所ネットワーク」(National NetworK of laboratories for T CD4+ lymphocyte counting and for quantifying HIV viral load)を確立するために、全国の公立研究所を強化する努力をしてきた。過去2年間にわたって、15万回以上のウイルス量測定検査と23万5千回以上のCD4測定検査が行われ、約1600万米ドルの費用がかかった(CD4検査の単価は15米ドルで、ウイルス量測定検査の単価は29米ドルである)。

ラテン・アメリカの水平的技術協力計画(The Horizontal Technical Co-operation Programme)に参加する国によって1998年に行われた調査によると、ラテン・アメリカの10カ国で治療を受けている全患者の中で、ブラジルはその73.33%を占め、メキシコの12.64%、アルゼンチンの11.38%が続き、残りの国(チリ、パナマ、コスタリカ、キューバ、ウルグアイ、エクアドル、ペルー)は3%にも満たない。

およそ9万人の患者が公衆衛生システムを通じて抗レトロウイルス薬(ARV)を受け取っている(95%が成人と青年で、子供は5%である)。1997年にプロテアーゼ阻害剤が初めて入手できるようになったとき、国家計画は過去最大の患者数の増加を経験し、約26,000人も増加した。1998年の増加は約14,000人で、1999年には約19,500人だった。

最近では、保健省によって、12種の薬(5種類の核酸系逆転写酵素阻害剤、3種類の非核酸系逆転写酵素阻害剤、4種のプロテアーゼ阻害剤)を含む様々なエイズに対する薬物療法を入手できるようになった。こうした12種のHIV抑制剤は、合計25の調合薬の形で入手できる。(前ページ一覧参照)

ブラジルにおける日和見感染のための薬物治療の取得と分配は、脱中央集権化されていて、連邦政府ではなく、州や地方自治体が責任を負っている。

ブラジルの計画におけるARVのニーズは以下の情報より推測できる:

  • エイズ治療を受けている全患者に関する累積データ
  • それぞれのARVを使用している患者の数と割合に関する累積データ
  • 成人と青年のためのエイズ治療の新提言
  • 子供のためのエイズ治療の新提言

連邦政府によるARV治療の購入のための支出は、1996年に3400万米ドル、1997年に約2億2400万米ドル、1998年に3億500万米ドル、1999年に3億3500万米ドル、2002年(予測)には3億3500万米ドルである。 支出増加は、主に患者数の増加や複合治療の使用増加や全体的な治療の改良によるものである。保健省の予算に関しては、この支出は1996年予算の24%、1997年の1.18%、1998年の1.82%、1999年の3.18%、2000年(予測)の3%を占めている。

保健省が入手しているARV治療の価格は、一般にここ数年間で減少している。 おおよそのところ、これは、排他的な生産者である製薬会社との効果的な価格交渉や、保健省の国立研究所などの設立に対する投資による。もっとも劇的な値下げは、最近ブラジル国内の私企業・国立研究所の両方で製造されている薬剤に関連している。実際、ブラジル国内で作られた薬の価格は1996年から2000年の間に平均して72.5%下がった。輸入される薬の価格は同じ時期に平均して9.6%減少した。最も価格が下がった薬はザルシタビン(ddC)で95%減少した。

国によるARVの生産と最初の生産年:AZT (1993); スタブジン (1997); ddC (1997); ddI (1998); AZT+3TC(1999); 3TC(1999); インジナビル (2000) ネビラピン(2000).

1999年には、ARVの47%は、ブラジル内で生産され、全支出の19%を占めていて (92%が国立の研究所から、7%が私企業から)、ARVの 53%は多国籍製薬企業から購入され、全支出の 81%をしめた。 興味深いのは、1999年に保健省は国内で様々な薬を許可の下で生産しようと計画したが、多国籍な製薬会社が薬の輸入を続けるのが経済的に可能な程度に価格を下げたので、結局は断念したということである。

ブラジルでのARV治療の値下げは、HIVの母子感染を防止するためのAZTを使った化学的防御法についてみると、一人の患者単位で、1996年の661.94米ドルから2000年の207.56米ドルまで68.6%も減少した。(患者ごとの核酸系逆転写酵素阻害剤の二剤併用療法の平均費用は、1996年の3,812.06米ドルから2000年の763.22米ドルにまで80%も減少した。 核酸系逆転写酵素阻害剤の平均費用の減少のおかげで、プロテアーゼ阻害剤を使った三剤併用療法の費用も1997年の 7,341.87米ドルから2000年の4,716.84米ドルまで減少し、非核酸系逆転写酵素阻害剤を使った三剤併用療法は1998年の4,583.74米ドルから 2000年には3,008.70減少した。35.7%から34.4%の変化があり、特に核酸系逆転写酵素阻害剤の費用削減によるものと推測される。 1年に1人の患者がARV治療に必要な平均的コストは、プロテアーゼ阻害剤の分配開始によって1996年から1997年で急増している。 しかし、より効果で複合的な治療方法を使う患者の増加と比例して、1997年から2000年にかけてはおよそ15%減少している(1997年の4,858.14 米ドルから2000年の4,137.20米ドルへ)。

治療の日常的な費用を考えてみると、核酸系逆転写酵素阻害剤はさらに低い費用を示し、0.24米ドル(ddC)から2.04米ドル(ddI)の間、次に非核酸系逆転写酵素阻害剤はおよそ 5.36米ドル (NVP)から6.97 (EFZ)米ドルになり, そして最後にプロテアーゼ阻害剤は 6.75 米ドル(SQV)から12.24米ドル (NFV)の間くらいの価格である。

ARVのロジスティックス・システム

ARVは保健省によって中央で購入される。スライドで見るように、茶色の矢印は、性感染症・エイズ計画で始まり、需要の計画を立てる保健省でのエイズ薬の取得を、緑の矢印は、システムの様々なレベルでの分配の予定を、青の矢印は、研究所による初期の出荷からの薬の異なった流れと患者へのすべての手段を、最後に、赤の矢印は、患者から国家計画へ戻ってくる情報、つまりエイズ薬の分配と購入の計画に欠かせない情報の流れを示している。

性感染症・エイズ計画はSICLOMと呼ばれるARVのロジスティックス管理のためのコンピュータシステムを開発した。この主な特徴は:

  • 国の患者登録
  • ARVの分配部門とリンクした登録
  • 保健省の分類に基づく登録と薬分配の確認
  • 薬分配部門のコンピュータ化
  • 磁気カードを利用したARVの要請の認証
  • 正しい薬の飲み方と保管方法に関する患者への情報提供
  • 性感染症・エイズ計画へ電話での情報更新

現在、ブラジルには424の薬分配部門がある。SICLOMはすでに国で最大の26の分配部門で設立され、それは全患者数の30%を占める。最近では、さらに85の分配部門にも拡大され、全部で111の分配部門で患者の65%を占めるまでになっている。

エイズ治療の影響

ARV治療への普遍的なアクセスのためのプログラムは、もっとも重要な日和見感染のための化学的防御法の使用や、病院への入院の減少を目的とした特別巡回治療、診療所や家庭訪問ケアなどのケアの方法の有用性など他の活動とあわせ、先進国で実践されたものに比べて大きなインパクトを与えている。死亡数の低下に関連して、ここ数年でエイズによる死亡数の急速な減少がみられる。この減少は97/95年では約38%、国のエイズの事例の22%が集中しているサンパウロ市内では99/95年で 54%だった。 また、免疫低下のひどいHIV陽性の患者によく見られる、クリプトコックス症やサイトメガロウイルス症、カポジ肉腫のような日和見感染の過程も60〜80%減少した。

費用に関しては、いくつかの研究によると、エイズ治療の支出の大部分は、日和見感染性疾患の治療や入院のための出費で相殺されている。保健省で入手できる情報分析では、入院者数・患者数の激減が立証されている。1997年から1999年の間に、国家が保健省に対して、およそ4億2200万米ドルの財政出費を行うことを認めたために、約14万6千人の入院が回避されたという見積もりがある。例えば、サイトメガロウイルス症という、HIV感染の段階がかなり進んだ人を襲い、失明につながるかもしれない病気に関していえば、その治療に使われるガンシクロビルgancyclovirという治療薬の使用に関する登録された情報によると、1997年から1999年でその使用は69%減少している。過去2年間でのガンシクロビル使用の減少は、3400万米ドルの節約を意味する。入院や日和見感染性疾病 (サイトメガロウイルス、ニューモシスティス・カリニ肺炎、クリプトコックス症、MAC症=非定型抗酸菌症の一つ)の治療の削減で節約された合計額の予測は 4億7200万米ドルだった。

ブラジルと発展途上国の協力

ブラジルの治療薬分配プログラムが達成した成功の大部分は、ブラジルの製造研究所による、国際市場をはるかに下回る費用でのジェネリックエイズ薬の品質開発によるものだ。2000年7月に南アフリカのダーバンで開かれた第13回国際エイズ会議の間、発展途上国、特にアフリカに対して、ブラジルのエイズ薬製造の専門家が提言をした。協力と国際連帯の精神のもとで、ブラジルは工業的なエイズ薬生産の確立のための技術移転を促進する。このような移転は、製造工場のデザインや建設やカプセルや錠剤としての薬の製造(すべてブラジルで製造されている)、原材料の品質管理の訓練のための技術支援や、分析方法の移転などが含まれる。南アフリカやウガンダなど数カ国は、部分的な協力活動を通して、ブラジルの技術やチリ、ブルキナファソ、グアテマラなど他の国々の直接の薬剤購入を学ぶことに関心を持っている。

ブラジルは、ポルトガル語を話すアフリカの国々(アンゴラ、モザンビーク、ギニア・ビサウ(Guin_-Bissau)、サオトメ、プリンシペ)との協力協定に署名した。他のアフリカの7カ国はブラジル−ポルトガル語を話すカーボ・ヴェルデと英語を話すナミビア、ジンバブエ、南アフリカ、ケニア、ナイジェリア、ボツワナで、治療薬に関する情報交換に関心を持っている。

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