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南アフリカの信念にあふれた力

フィナンシャル・タイムズ
by David Pilling and Nicole Degli Innocenti, Apr 21 2001 00:00:00

ザッキー・アハマットは、政治や企業関係者にとって、最も危険な人物といえるだろう。高いモラルを持つ人、それが言いすぎならば、豊かな感情を持つ人と言える。全ての南ア国民が抗レトロウイルス薬を入手出来るようになるまで、その服用を拒むHIV陽性の活動家。そして、感染が広がっているにもかかわらず、口に出すことが未だタブーとされる病気のシンボルとなった人である。

このような立場が、彼に大きな力を与えた。ANC(アフリカ国民会議、南アの政権与党)のメンバーであり、少年の面影を残す、反アパルトヘイト活動家であったアハマットは、政府にとって、この病気に対して自分達がいかに無策であったかを思い知らせる、歩く批判塔である。

製薬業界にとっては、彼はさらに手強い敵である。安価なエイズ治療薬を求める理論的な活動家であり、製薬会社の今週の稀有な撤退を後押しした運動の先鋒でもある。

南ア政府が、特許権を無効にできる法律を施行しようとしたことに対抗して、製薬会社は、その差し止めを求めて訴訟を起こしていたが、それを今週取り下げた。製薬会社が訴訟を取り下げた大きな理由は、エイズという病気が人々の感情を揺り動かしたからに他ならない。アハマットが1998年に創設したエイズ治療実現キャンペーン(TAC)は、裁判との関わりの中で病気によってこうむるダメージを明らかにしてきた。

マレーシア系で、同性愛者であることを公言しているアハマットが、この問題に足を踏み入れたのは、西側の人間にとってHIV感染がもはや死を意味するものではないことを知った時である。「南アで、エイズ治療問題を口にしたとき、人々は私が狂っているのではないかと思いました。私は、ただ単に貧しいという理由だけで、人々が毎日死んでいくような世界に生きていたくはないのです。」

ほとんど手におえない状況にまで至っているこの感染症に対処するために苦闘している南ア政府も、そして、自分達が寄りかかっている特許システムを守ることに奔走している製薬業界も、アハマットの考えを単純すぎると考えている。しかし、470万人と推定される南アのHIV陽性者を代表している人物に、誰が石を投げられるだろう。

「残念ながら、私はHIV陽性者を代表する顔になってしまいました。」そう言いながら、彼は、HIV陽性である事を理由に、自分達の町を追われた人たち、−白人、黒人、カラード、−そういった人たちの話を語った。

アハマットの活動は、彼が、衣料品店に勤める母親と叔母によって育てられたケープタウンに始まる。1976年にアパルトヘイトに反対する学生運動に身を投じたアハマットは、18歳になるまでに、何度も収容所を出たり、入ったりすることになる。彼によれば、刑務所にいた約10年前にHIVに感染したとの事である。

1998年、彼は、免疫システムが弱ってきた人を襲うカンジタ症を発症した。抗レトロウイルス薬が開発されるまで、西側でも、カンジタ症の発症は生命に関わるものだった。アハマットは、ファイザーの特許薬であるジフルカンによる治療を受けたが、抗レトロウイルス薬での治療は拒否した。なぜなら、抗レトロウイルス薬での治療は1ヶ月4000ランド(500米ドル)もかかり、ほとんどの南ア国民にとって手の届くものではなかったからである。

貧しい人たちと連帯するために、治療を受けないことにしたという自らの決心について語りながら、アハマットは続けた。「子供の頃、空腹のままベッドに入ることがありました。でも、叔母も母も物乞いをするようなことはありませんでした。そんなことは、自尊心が許さなかったでしょう。私は、貧しい人たちが、薬を手に入れるために、物乞いのようなことをしなければならないなんてことは、絶対に間違いだと思います。」

それからまもなくして、彼は、タイでジフルカンと同一成分のジェネリック薬が、南アでのジフルカン販売価格の10分の一の値段で売られていることを知ることになる。その後、ファイザーは寄贈プログラムを始めた。このことによって彼は、企業が主張していることに反して、特許権が、入手可能な価格で医薬品を販売するための障害となっていることを確信する。

多くの活動家と同じように、アハマットも製薬会社による最近の医薬品寄贈や、原価でのエイズ治療薬販売の申し出は、裁判で彼らの評判が地に落ちたことによるものだと考えている。このことがなければ、また南アが彼らの知的所有権を脅かさなければ、製薬会社が同じような行動をとることはなかっただろうし、今でさえ、こういった申し出には、条件がついていることが多いのだと彼は語った。

アハマットの闘争心は、製薬会社との戦いに限られたことではない。今月、彼は、その手が子供達の血で濡れていると、政府のエイズ・プログラム責任者のノノ・シメレラ博士を徹底的に批判した。これは、HIVの胎内感染防止に効力を持つ、ネビラピン薬に特別許可を与えるかどうかについての政府の鈍い対応を批判したものである。

アハマットは、シメレラ博士のような役人は、政府によって身動きできないようにされていると考えている。タボ・ムベキ大統領の伝記を研究しているジャーナリストのマーク・ゲヴィセールは、最近、何故政府が麻痺しているように見えるのかについて、彼らの立場にたって、考えてみた。「何十年にも渡って、民主主義を勝ち取るために戦ってきた私たち指導者が、勝利を収めた瞬間に、死にかけた人々、答えのない疫病に直面してしまうなんて、なんて事なんだろう。」

アハマットは、このように考えれば、ムベキのエイズの原因に対するあいまいな態度、(できればアフリカ的な)魔法の解決策が見つかることへの希望、国防費の15分の一にも満たないこの病気への政府予算といった事柄も理解しやすい、と語った。

アハマットは、政府がこの流行病としっかりと向き合わない限り、破滅が訪れることになると思っている。「これだけの数の日和見感染症を治療することは不可能になってきます。何百万という人が肺炎に罹り、脳膜炎に苦しむでしょう。」

今週まで彼は政府と休戦し、協同で製薬会社との法廷闘争にあたってきた。しかし、今、彼は、政府が抗レトロウイルス薬の使用を開始しなければ、安いエイズ治療薬の密輸を始めると警告している。

「私たちと政府との同盟関係が、終わってしまったわけではありません。どんな結婚でもそうであるように、場合、場合に応じて、私たちは第一の支援者となり、率直な批評家となるのです。」とアハマットは語った。



ザキ TAC

2001年9月11日 朝9:30 林達雄

    ケープタウンの中心部から車で25分、ムーゼンバーグにあるザキの自宅を訪ねた。家の1階には、彼の妹さんを始めとするスタッフが仕事をしており、2階が彼の部屋である。

不精ひげのザキは、2年前ダーバン2000年でエイズ会議を取り囲む運動を展開していたときと比べると少しやつれて見えた。健康状態は、よくなったり、悪くなったりの繰り返しだという。

貧乏ゆすりをしながら、日本の特に政府について質問してくる。南ア大統領のエイズへの対応にいよいよ業を煮やした彼らは、12月初旬から本格的な抵抗運動を開始しようとしている。南ア政府に対する国際的なプレッシャーが欲しい彼は、『日本』の可能性を知りたいのだ。日本政府はムベキ・NEPADの路線でアフリカに対応するつもりなので難しいと応えると、左翼はどうか?と聞いてくる。・…それも困難だとわかると今度は、治療のパイロットプロジェクトの可能性を打診してくる。それは多少可能性があると応える。

11月の中旬に彼を日本に呼ぼうと以前手紙を書いた。しかし、今日の面談の際、もし彼がOKしてもこちらから辞退するつもりでいた。彼はいま、南アで最も必要とされる人物だからである。彼の代わりにTACの他のメンバー、先週ジョハネスで会って好感の持てたポドコロ君を招くことを彼に頼むと、快くOKしてくれた。そして、その来日の際、日本でキャンペーンを展開してくれと頼まれた。南ア大統領への抗議とグローバルファンドについてである。韓国の運動とも連帯することを勧められた。

ジョハネスサミットについての意見を聞いてみた。彼はアフリカ大陸を覆う環境問題を心から憂いていた。彼がまず指摘したのはエネルギーの問題だった。サミットの中で最後の最後までもめた議題である。南アの半官半民の電力会社ESKOMはいまやアフリカ大陸全体を支配しつつあるという。主に石炭そして原子力(10%)からなる彼らのやり方は、自然に優しくない。一見、空気が澄みきっているように見えるケープタウンでも、いったん風がやむと空が茶色に染まる。ESKOMと車の排気ガスのせいで、喘息が増えていることを指摘した。12歳のときから、反アパルトヘイトを始めとする社会運動に取り組んできた彼はたんなるエイズ活動家ではない。

次に指摘したのは『なぜ今回のサミットでエイズがほとんど議題に上らなかったか?』である。過去2年間に開かれたあらゆる国際会議で、エイズは常に重要議題としてあつかわれてきた。しかし、アフリカの地で開かれた今回のサミットで無視されたことは奇妙なことである。ザキは3つの理由をあげた。第一に議長国南アのムベキ大統領がエイズ問題を故意に避けたこと。第二に議長国南アと口裏を合わせた各国が、敢えて口を閉ざした。第三に、他の運動に忙殺されるあまり、TACがのりだせなかったと。自分が怠慢だったからだとザキはもらした。

ムベキは不正直な男だとザキは語る。ついにマンデラとも仲たがいし、マンデラの忠告を全く聞き入れなくなったという。マンデラは最近、近親者がエイズであることを告白した。マンデラはザキの事務所を訪問し、マンデラ基金をとおしてTACを応援しはじめた。

昨日ジョハネスに住む友人から電話があり、保険会社の了解が得られなかったために友人は家を買うことができなくなったとザキは言う。南アでは生命保険に加入することが家をローンで購入するための条件なのである。サミットの開催中、感染者グループNAPWAが、保険会社をめざしてデモを行った理由がよくわかる。しかし、NAPWAは南ア政府から資金をもっているとザキは語る。だから保険会社に対してはデモを打てても、南ア政府に対してはデモが打てないのである。

ザキは飾り気のない、気持ちの良い男である。治療薬を飲むことを拒否しつつ、アフリカの感染者すべてのために運動を続けてきた。もっともHIV陽性率の高いカイリチャ居留区では4万人が感染しているが、3000人しか病院にかかれない。そしてそのほとんどが、検査を受けるだけで治療を受けることができない。

ザキは12月からさらなる運動を展開しようとしている。そして『日本』に対しても応援を求めている。TACの友人が来日する11月が、日本に住む私たちにとっても勝負のときだ。せめて1万を超える署名を集めたい。

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