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シンポジウム
『ルワンダとブルンジにおける紛争予防と平和再建』報告

AJFは、季刊の会報「アフリカNOW」を発行しています。AJFの活動紹介にとどまらず、アフリカに関する最新情報を伝える、日本で出会えるアフリカを紹介する内容の記事を掲載しています。

【アフリカNOW No.10(1995年発行)掲載】

 去る6月15日、明治学院大学白金キャンパス内大学議場に於いて、国際紛争予防研究寄稿(IPIC)、アフリカ平和再建委員会(ARC)共催でシンポジウム「ルワンダとブルンジにおける紛争予防と平和再建」が開催された。
 シンポジウムの基調講演者にはムタングハ・ゼフィル駐日ルワンダ大使を招き、またパネラーはゼフィル大使に加え、ルワンダ中央銀行総裁として6年間ルワンダに在住した服部正也氏、ルワンダ国民再融和支援委員会(現アフリカ平和再建委員会)の発足からのメンバーで昨年の11月に調査のためキガリ、ゴマを訪れた前JVC代表の林達雄氏、国際予防研究機構の会長である武者小路公秀明治学院大学教授と出会った。
 まず、ゼフィル大使の講演に先立ち、武者小路教授から挨拶があった。その中で「ルワンダについて紛争予防を論ずる前に考えなければならないのは、ルワンダで起こったことが歪められて報道されたために、我々は誤った考え方を持ってしまったことを自覚し、それを正していかねばならないということである」と、ルワンダに関する報道のあり方について提起した。
 続いてゼフィル大使から主にルワンダの現状及び現政府が行おうとしている戦略についての講演がなされた。

 以下はその要約である。
 今日この講演に参加できたことを感謝している。これまでルワンダに関して誤った情報が全世界に伝えられましたが、今日この場で真実について話す機会を得て大変うれしく思う。
 今回のルワンダの悲劇の原因について国際社会は民族対立であると考えているが、それは誤りである。ルワンダには3つの民族、すなわちツチ、フツ、トワが存在するが、それぞれの民族は同じ言葉を話し、同じ文化を持ち、同じ土地に住み、自由に異なる民族の人と結婚し、平和に暮らしていた。今回の内戦、虐殺に至らせたのは植民地主義である。旧民主国はルワンダを分割統治という形で一方の民族(ツチ族)を偏重し、独立の際はその支配関係を覆したのである。それ以降1994年までの間難民を絶えず発生させ、国内では独裁政治を蔓らせる結果になってしまった。
 話を現在のルワンダの状況に移す。現在のルワンダの状況を整理すると次のようになる。
1.虐殺によって生じる心理的ストレス
2.家族の破壊
3.孤児の発生
4.治安悪化(暴行の横行、またそれによって引き起こされるAIDS)
5.インフラの破壊
 こうした状況を改善するため、ルワンダの現政府は国民再融和・社会経済再建プログラムを開始した。その戦略は大きく次の6つに分類される。
1.マクロ経済の立て直し
 まず最初に着手しなければならないのはマクロ経済の立て直しである。ルワンダ政府は1995年の戦略として、次の5項目を掲げた。 @財政の活性化
A労働、財の自由化、民営化
B生産の規制の枠の明確化
C適切な予算措置
D援助の適切な経済運営
2.行政の立て直し
 ルワンダを安全で、平和で、国民が再び融和できる国にするために、適切な行政の運用がなされることが絶対条件である。そのための戦略として、つぎの3つが挙げられる。
@地方も含めた行政機構の再組織化
A司法制度の確立
B大勢の人々の参加による行政v 3.難民の再定住
 難民の帰還についてはかなり急を要する課題だと考えている。今後2,3ヶ月で解決する必要がある。特に40万いると言われている国内避難民についての対処は最優先課題である。国内避難民キャンプの1つキベホキャンプでの虐殺について触れる。キベホは国の南西部に位置し、フランス軍が占領していた地域にある。フランス軍撤退後はUNAMIRが統治しており、現政府はまったく管理していなかった。キャンプでは赤痢などの病気が蔓延していたため、UNAMIRや赤十字などが活動を行っていた。しかし、難民のなかにはインテルハムエと呼ばれる旧民兵がいて、住民を盾にとってキャンプを支配するようになった。そうした状況を受け、現政府は安全保障の観点から国内の避難民キャンプの廃止を決定し、キャンプの閉鎖を開始した。その後3つのキャンプの閉鎖は支障なく完了したが、キベホキャンプでは旧民兵が抵抗し、戦闘が発生して今回の惨事が引き起こされた。
 難民の帰還については、1959年ごろに国を出た人々の機関は進んでいるが、今回発生した新しい難民の帰還についてはほとんど進んでいない。その原因はルワンダ国内に司法制度が無いからである。国際法廷もまだ開かれていない状況で、犯罪者がキャンプを支配しているのが現状である。UNAMIRをはじめ、人権監視団体やNGOの協力が必要である。
4.インフラの整備
 ルワンダではインフラが壊滅的に破壊された。国内を移動するにも車もなければ、道路は破壊されている。そうしたインフラ及びガスや水道などの公共サービスも再整備する必要がある。
5.生産力の向上と環境保全
 ルワンダ政府は目標として、生産能力を内戦の前のレベルまで引き上げることを掲げている。また、それだけでなく環境の保全についても考慮していくつもりである。
6.社会セクターの再建
 内戦で破壊された病院や学校などの社会セクターにおけるインフラの整備も重大な課題である。

 以上、ルワンダ政府の戦略を説明したが、一番の課題は戦争の被害の回復と、経済を戦争前の状態にすることである。

 ゼフィル大使の講演の後、服部正也氏、林達雄氏の順でルワンダ問題についての考え方を述べた。
 服部氏は次のように述べた。
「まず私は、ルワンダの問題を部族問題として捉えるべきではないと考える。西側諸国が民族問題としてしたアフリカの問題を捉えないのは人種偏見です。西側の国々はアフリカは民族紛争があるから野蛮である、というふうに植民地時代から行政してきたのである。現に民族問題でないという証拠に初代大統領も、殺されたハビャリマナ大統領も奥さんはツチの人のなのである。また、ツチの王制が倒れ、フツが指導権を握った後に王女が帰国した際、国を挙げての大歓迎を受けたのである。こうした事からベルギー人がいうほど民族問題は深刻なのか疑問である。ルワンダには珍しい法律があって、村の中で認められればどの民族出身であろうともルワンダ人として認められるというものである。こうしたことから、今回の問題を部族間の問題と捉えられないのである。
 また、ルワンダの政治構造として大統領が同族の出身者が側近として起用されることが多いために周囲に次第に不満が広がり、それが反乱につながっている。
 ルワンダの再建についてはとても難しいと言わざるを得ない。なぜなら傷口が非常に深いからである。今はまだ難民が帰れる雰囲気ではないだろう。『20世紀は難民の時代である』といわれるが、まさにその通りである。
 次に、ルワンダ政府の再建プログラムについて言えば、『国民はどこにいるのか?』と感じてしまう。援助、援助と言うが、援助は我々国民からルワンダの国民に行くべきで個人が中心で、政府は単なる仲介者である。ルワンダ国民が飢えていると言うが、私から言わせればとても考えられない。なぜなら、国民の3分の1がいなくなったのであり、食物にしてもバナナ、芋など多年生であり、きちんと耕せば飢える事はないのである。ルワンダに対して援助するのであれば、次の4つの条件を満たしていなければならないであろう。 1.政府が国民を代表し、信任しているか。
 2.政府のやることが国民のためになるのか。
 3.財政再建の努力をしているのか。
 4.政府に援助(資金)を活用する能力があるのか。
 最後に、アフリカのことはアフリカにまかせるべきである。今回の再融和についても『アフリカ的』に融和してほしい。もっと時効や恩赦を活用してもいいのではないだろうか」

 続いて、林氏がこれまでのルワンダとの関わり、またこれからの活動の方向性について述べた。林氏の発言内容は次の通りである。 「ルワンダの問題は自分たちの問題であると考える。なぜなら、日本も大きくかかわっている世銀の構造調整による経済的破綻が今回の問題にも深く関わっていると考えるからである。
 また、今回のルワンダの難民に対する援助についてはいろいろな問題を提起した。まず、難民はかわいそうな人であり、援助しなければならないと言う理由で開始された難民に対する援助が、虐殺を行った民兵たちを助ける事になってしまったと言う事実である。その結果として、援助をしてもそれが問題の解決に結びつかず、かえって紛争を助長させることになってしまった。
 国際社会は難民に対する援助ばかり行い、ルワンダ国内に対する援助ばかり行い、ルワンダ国内に対する援助は全く行わなかった。難民が帰還する要因は難民キャンプの側にはなく、国内の状況が整えば、自然と難民は帰還するのである。その条件として、やはり司法機能は重要であると考える。
 こうした事を踏まえて私たちアフリカ平和再建委員会では国内に主眼を置き、現地のネットワークの団体や、かえるにも家がないと言う女性たちを支援するハグルカという現地のNGOの支援を通じて、ルワンダに対する支援活動を行っていきたいと思う」

 次にパネラー間の討議に入り、服部氏から林氏の世銀の構造調整に関する発言を受けて、ルワンダに対して行われた構造調整の話、および自衛隊のPKO活動について、次のような発言があった。
「ルワンダでは構造調整により、経済的な不利益を得た事はない。1990年に世銀から9千万ドルの融資を受けた直後に内戦になったため、構造調整が行われなかったのである。
 私も難民だけを援助すると言うのには問題を感じる。しかし、難民の支援という事で自衛隊のPKOについて言えば、今回の自衛隊の活動はいいことをやったと評価された。なぜなら、あまりに遅く行ったものだから、難民キャンプに入れずに、ゴマの村の病院で活動した。それが地元の人々の評判を高めたのである。難民が発生して一番被害を受けるのは難民の受け入れ地の人々である。そうした人々に対する援助を行った事は評価に値する。
 難民キャンプにいる旧政府が宣伝として流している『帰還した人々が殺された』と言うのは事実であろう。難民キャンプで難民が組織化する事自体に問題はないと考える。難民は弱くなければならないと言うのは援助する側の勝手なレッテルである」

 当日司会を務めたアフリカ平和再建委員会委員長である首藤信彦東海大学教授から、難民キャンプの状況についての補足説明があった。
「ルワンダの難民キャンプにあるのは1つの政府であり、資金や物資を持っている。その一方で、ルワンダの現政府は政府として機能していない。現政府に対する軍事支援については、亡命政府が軍備拡張している現在、容認せざるを得ないのではないか」

 次に、会場からのパネラーに対する質問に移り、いくつか出された質問の中で、過去において繰り返されてきた虐殺の背景に関する質問があり、ゼフィル大使が以下のように発言した。「なぜ虐殺が繰り返し起こるのか、その原因は虐殺を行った人々が罰せられていない事である。1990年のアリューシャ合意でまず合意された事は、法治国家を作り、法律によって物事を解決するという事であった。しかし、それは果たせなかった。
 今回の虐殺について、恩赦をすればいいという考え方があるが、それは間違っている。虐殺を行った人々がきちんと罰せられないのであれば、残された人々が考えるのは復讐である。しかし、復讐では何の解決にもならず、また虐殺が繰り返されることになる。  今、現政府でも警察機能を立て直そうとしている。しかし、昔ゲリラをやっていた人たちが警察官をやっている状況ではなかなか難しい。しかし、ただ待っていても始まらない。現政府を支えて、法と秩序を確立しなければならない」 シンポジウムの最後に、司会の首藤氏から津田政明さんが紹介された。津田さんは音楽を通じて人々のすさんだ心を癒して行こうと、首都のキガリに音楽スタジオを作る事を計画している。
 閉会にあたり、司会の首藤さんから今後もルワンダに対して活動するアフリカ平和再建委員会に対する支援が訴えられた。

アフリカNOW No.10:記事

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