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2005年9月よりアフリカ理解促進事業の一環として「アフリカひろば」を開催しています。これまでに「在日アフリカ人」シリーズ、「アフリカ・ミクロ話」シリーズなどを開催しました。


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第22回アフリカひろば
関西からアフリカのエイズ問題を考える

AJFは、アフリカを知る、触れる、考える機会を提供するために、「アフリカひろば」を毎月開催しています。

10月20日(土)に行われたの報告です。今回は、(特活)アフリック・アフリカ(財)京都府国際センターの協力を得て、初めて関西で開催しました。司会・モデレーターは、(特活)アフリック・アフリカ理事・京都大学特任助教の西真如氏が務めました。

第1部は、アフリカのエイズ問題に取り組むNGOスタッフ3名からの講演でした。一人目は、(特活)アフリカ日本協議会の稲場雅紀さんから、サハラ以南アフリカのHIV/AIDS問題:その現状と課題についてお聞きしました。二人目は、大阪大学外国語学部(旧:大阪外大)の学生が主体となって活動しているトゥマイニ・ニュンバーニの青木梨花さんから、ケニアにおけるHIV陽性者支援について話を聞きました。最後に、(特活)TICOの吉田修さんから、NGOスタッフとして、また医師・専門家として、南部アフリカを見つめ、見えてきたエイズ問題、アフリカの現状についてお話ししてもらいました。 第2部では、会場からの質問を受け、パネルディスカッションを行いました。 参加者は58名、講師3名、スタッフ8名、総勢約70名の熱気ある「アフリカひろば」となりました。

さて、シンポジウムの内容ですが、各講師ごとに振り返っていきたいと思います。

始めに稲場さんから、HIV/AIDS問題についての基本認識、アフリカにおけるHIV/AIDSへの取り組み、マクロな視点からみたHIV/AIDS対策の概要(2000年〜現在)、普遍的アクセスについて、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)の概要などのお話がありました。 HIV/AIDS問題は、アフリカだけの問題ではなく世界の問題で、日本でもHIVの感染率は増えています。但し、日本と違い、世界のHIV感染者数の70%を占めるアフリカでは、普通(マジョリティ)の人の問題になっています。それを解決するには、アフリカの国々の保健医療システムを変えていく必要がありました。しかし、80-90年代の構造調整下でアフリカの国々の保健医療システムは機能しなくなり、ようやくHIV/AIDS問題に対して世界的な取り組みが始まったのが90年代後半に入ってからでした。その空白期間にHIV感染が拡大しました。現在は、必要としている全ての人々に対してHIV予防・治療・ケアおよび支援サービスを供給するという地球規模の政策=普遍的アクセスの実現に向けて、先進国ドナーや国連、NGOや当事者団体が連携して、さまざまな対策や政策が実施されていますが、空白の10年に国際社会がこの問題に関して何もしなかった責任は大きいのです。日本は経済大国であり、世界が普遍的アクセスに取り組むよう政府に働きかけていく必要があります。

アフリカひろばvol.22_photo



続いて、トゥマイニ・ニュンバーニの青木梨花さんから、ケニア・ナイロビのスラムにおけるHIV陽性者支援についてお話をしていただきました。日本人のメンバーは25名で、主に大阪外国語大学(旧大阪外大)外国語学部・スワヒリ語専攻の学生で構成されています。そして、男性一人を含む15人のシングルマザーの支援を行っています。創立者である学生の1人がケニア人女性と出会い、支援活動が始まったそうです。今までの活動がどういう成果をあげているかというと、以下の3点になります。A)経済的支援:サイザル麻のバッグを作り、給料を渡すことで、自分たちの収入で夕食代や家賃など、生活資金に使えるようになった。セックスワークから脱却できた人もいる。またマイクロファイナンスも実施する予定である。B)精神面での支援:今までは自分がHIV陽性者であるという事実を受け入れることができなかった人も、悩みを共有し、励まし合うことで、徐々に受け入れることができるようになった。C)啓発や医療面での支援:積極的に勉強し始めた人が、その知識を全員に共有し始めた。また知識が深まったことにより、自主的に検査に行き、ARV治療を始めた人もいる。 当事者からの要望は多いのですが、学生主体の団体ということもあり、なかなか全ての要望に対応できずジレンマを感じることもあります。でも、これからも長く続けていきたいとということです。

アフリカひろばvol.22_photo



3人目は、TICOの吉田修さんから、医療活動から見えてきた南部アフリカのHIV/AIDS問題についてお話をしていただきました。まず南部アフリカの多くの地域で、医療を受ける以前に水や食料が不足している状況があります。90年代の空白の10年間に、南部アフリカで、医師として働いていました。構造調整の結果、教育や医療にかけるお金がどんどん削られていきました。2002年の飢饉のときにはザンビアで200万人が飢餓状態であったとも言われています。さらに温暖化の影響が、最も貧しいアフリカの国々に襲いかかっています。空白の10年のとき、勤務している地域では多くの人がエイズで亡くなりましたが、全く適切な対策がなされていませんでした。包括的なアプローチを取れば、感染率を減らすことができると国連は言っていますが、まだ支援が不足していると思います。特にHIV/AIDS問題に関して、エイズ遺児は大きな社会問題だと思います。一部の国や機関は、その国のコミュニティが面倒を見るのが良いと言っていますが、現実は、コミュニティで面倒を見る限界を超えている、それほどエイズ遺児は増え続けています。また、働き手が死に、平均寿命が減少している中で、家族や親戚で支え合うことができず、コミュニティが崩壊しつつあります。 例えば、母子感染を減らすために、粉ミルクを飲むことを推奨することも、明日の食べ物もない地域では、現実的ではないと思います。会社や学校、コミュニティを巻き込んで、行動変容のキャンペーンを行う必要があると思います。またHIV/AIDSは、カウンセリングが非常に必要な病気で、VCTセンターの役割も大きいと考えています。

そして第2部では、講演を踏まえた上での質疑応答が行われました。 日本の中で、HIV/AIDS問題をどのようにすれば関心を持ってもらえるのか?という質問に対し、エイズ問題は日本の問題でもあるということを知らせることが大切だ、という意見や、学校に話しに行くことが効果的だと思うが、政府の政策(性教育)が、後退していることが懸念材料だという意見もありました。 また、アフリカから日本の若者が学ぶことは?という質問に対し、ケニアの当事者たちから「生きる力」を学んだ、という意見や、会場からは、スタデイーツアーでインフラ不足の問題を実感し、医療だけではなく、色々な分野の連携が重要だと思った、という意見もありました。最後に、司会・モデレーターである西さんが、「アフリカでは、HIV感染者が互いに支え合って生活しており、私たちが彼らから学ぶことも多い。しかし治療薬の供給やエイズによる孤児の問題など、アフリカの人たちの努力だけでは解決できないこともある。その問題を、世界の人たちがどう支えてゆけば良いのかということを、今日のシンポジウムでは考えるきっかけになったと思う」という発言で締めくくりました。

アフリカひろばvol.22_photo



ここでアンケートに寄せられたメッセージを紹介します。

  • 同じ大学2年生の方が、具体的にHIV/AIDS問題に取り組んでいて、大変な驚きと尊敬の念を抱きました。講師の方全員が、経験を踏まえた実感のこもったお話を聞いて、心を打たれました。今までよりもっとアフリカを自分に近づけて、自分の問題として考えようと思いました。(20代女性)
  • 制度的な問題をあまり考えたことがなかったが、マクロな面にも触れることができて良かったと思う。様々な観点からのアフリカのHIV/AIDS問題を見つめることができ、逆に日本ではどうしてこんなに問題が拡大しているか、考えることができました。(10代女性)
  • 専門的な言葉が多用されていて分かりにくいところがあったので、語句の説明を交えながらの講演だったらわかりやすかったと思います。時間が短いのも残念でした。関西でのこういったイベントを増やして欲しいです。(20代女性)
  • HIV/AIDSの問題は、非常に複合的で難しい問題ですが、地域の人たちがいかに継続して取り組んでいけるか、その点を重点的に考えていらっしゃるのが印象に残りました。

次回は、11月23日(土曜日)は、京都から、辻村英之さんにお越しいただき、「フェアトレードA to Z〜タンザニア・ルカニ村のコーヒーの事例から学ぶ〜」をお話していただきます。都合がよければ皆様もぜひご来場ください。

アフリカひろばvol.23「フェアトレードA to Z〜タンザニア・ルカニ村のコーヒーの事例から学ぶ〜」 http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/africa-hiroba/023.html

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