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【声明】
モザンビーク住民によるJICAへの異議申立の不当な審査手法・結果(プロサバンナ・マスタープラン策定支援事業ProSAVANA-PD)


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2017年11月17日

2017年4月27日に、プロサバンナ事業の対象地であるモザンビーク北部の住民11名が、JICA(独立行政法人 国際協力機構)が進める「ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援事業(ProsAVANA-PD)」に対して「環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立」を行いました(1)。これらの住民は長らく異議申立を検討していましたが、さらなる被害を懸念し躊躇していたところ、現地政府による人権侵害の状況に改善が見られないだけでなくJICAによる社会介入が示唆される出来事が頻発したため危機感を強め、今回の異議申立に至りました(2)

正式な手続きを踏んだ異議申立を受けて、JICAによって選ばれた異議申立審査役3名(松下和夫名誉教授、金子由佳教授、早瀬隆司名誉教授)は、同年5月17日に予備調査を開始し、7月3日に本件を本調査に移すことを発表しました(3)。2010年に異議申立制度が設置されてから、本調査に進んだケースは一件にすぎず(4)、画期的なことでした(5)

7月4日に本調査が開始され、7月下旬に現地調査が実施されることになりました。しかし、その準備に問題が散見されたため、私たち日本のNGOは、7月21日に、JICA理事長宛に要請書を提出しています(6)。その上で、7月26日には、現地調査の延期を含む要望書を審査役に手交しました(7)。しかし、現地調査は7月29日から8月6日まで実施され、7月30-31日には、申立人11名へのヒアリングが行われましたが、多くの懸念される問題が生じました。特に、審査役が再三にわたりJICAの立場に立った説明と質問を繰返したことに疑問の声が上がりました。そこで、申立人の意向を受けた代理人は、8月15日に、「異議申立プロセスに関する見解」を審査役に提出し、「バイアス(偏った見方)」に基づく審査への懸念を表明しています(8)

さらに、申立人は、審査役がモザンビークはもとよりアフリカの政治社会状況、公用語のポルトガル語を理解せず、プロサバンナ事業のこれまでの出来事も十分把握していないことが、審査結果にネガティブな影響を及ぼす可能性が高いとの懸念を持つようになりました。そこで、日本のNGOに協力要請が行われました。以上の事態を受けて、私たち日本のNGOは、審査役の了解を得たうえで、8月21日のヒアリング記録提出を皮切りに、11月2日までに120点にのぼる追加資料を提出しました(9)。また、以上の「見解」を重く受け止め、8月28日には、JICA理事長宛に「要請」を提出し、本件の審査の問題を指摘しています(10)

以上の経緯を経た11月1日、審査終了日まで5日を残す形で、JICAは調査報告書(英語・日本語)を発表しました(11)。同報告書の結論は、「JICAにガイドライン違反はなかった」でした(12)

私たち日本のNGOは、審査過程と調査報告書を詳細に検討した結果として、この審査が非常に懸念される不適切・不公正な手法に基づく不当なものであったとの結論をここに表します(13)

また、この審査結果により、モザンビーク政府による人権侵害やガバナンスの問題が不問にされたとの誤解が生じ、厳しい圧力下にいる申立人の身に危険が及ぶことを強く懸念します。さらに、調査報告書発表から2週間以上が経過した現在も、日本語と英語版の報告書のみが公表され(14)、モザンビークの公用語で申立人が唯一読めるポルトガル語の翻訳は提供されておらず、依然として申立人が審査結果を確認できない状態に置かれていることにも抗議いたします。

この結果を受けて、現地では申立人を含む事業に異議を唱える人びとに対し、異議申立書に人権侵害の中心人物として記される州農務局長が攻撃的な発言を再開させています(15)。また、プロサバンナ事業の中心地であるナンプーラ市の野党系市長が、先月4日の「平和の日」に何者かに暗殺され、地元紙はこれを「民主主義の構築への強い逆風」「表現の自由への侵害」と報じるなど(16)、来年の地方選挙に向けて政情不安が増しています(17)

現在、調査報告書に関する詳細な分析を作成しておりますが、申立人が依然として自らの言語の調査報告書を受けとっておらず、それへの意見を表明できない状態に置かれたままであることを踏まえ、また上記の事態の緊急性を鑑み、この不当な審査結果が一人歩きすることを懸念し、この声明を広く発信していく決意を表します。

(特定非営利活動法人) アフリカ日本協議会
(特定非営利活動法人)日本国際ボランティアセンター
モザンビーク開発を考える市民の会
ATTAC Japan
No! to landgrab, Japan

【註】

(1) 異議申立書の日本語版 https://www.jica.go.jp/environment/ku57pq0000205x3b-att/objection_170517.pdf
但し、JICAが準備した日本語の翻訳は、表現の強度において原文に忠実に訳されておらず、大臣をはじめとする政府要人の人権侵害に相当する発言の表現は極めて弱いものになっている。例)原文“E lembre-se, qualquer um que pisar no meu caminho, receberá imensa dor”は、JICAの日本語訳では、「私の邪魔をする人は酷い目にあいます」となっているが、直訳では「覚えておけ、私の道の前に足を踏み入れる奴は、ひどく痛い目に遭わせるぞ」である。 > 本文へ

(2) モザンビーク市民社会組織からJICA理事長宛の公開書簡「プロサバンナにおける JICA の活動に関する抗議文」(2017年2月17日)http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/ps20170217open_letter.html
外務省・JICA理事長宛の「3カ国市民社会によるプロサバンナ事業に関する共同抗議声明・公開質問 〜政府文書の公開を受けて〜」(2016年8月26日)http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2016/08/20160829-prosavana-ticadvi.html
日本のNGOからJICA理事長宛の公開質問「プロサバンナ事業におけるJICAによる社会介入関与の継続可能性について」(2017年4月26日) http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2017/06/20170627-jica.html
日本のNGOからJICA理事長宛の緊急抗議・要請「『JICAによるモザンビーク農民・市民社会来日者への弾圧の試みについて』とそれに対する回答について」(2016年12月21日) http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2016/12/20161221-prosavana.html > 本文へ

(3) 異議申立書の日本語版 https://www.jica.go.jp/environment/ku57pq0000205x3b-att/objection_170517.pdf > 本文へ

(4) JICA:異議申し立て制度 https://www.jica.go.jp/environment/objection.html > 本文へ

(5) 日本の政府開発援助/ODA「プロサバンナ」事業の対象地住民 11 名(小農男女)による JICA への異議申立が本審査に進む href="http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-261.html > 本文へ

(6) 「JICA環境社会配慮ガイドラインに基づく地域住民による異議申立(ProSAVANA事業)に関する要請」(2017年7月21日)http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/advocacy-statement/2017/07/20170721-prosavana.html > 本文へ

(7) 現在公開準備中。 > 本文へ

(8) “Our views regarding the objection procedures”(全3頁)が、8月15日に審査役事務局にメールで提出されている。申立人と代理人に現在公開が可能かについて問い合わせ中である。 > 本文へ

(9) 右記サイトで順次公開。http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/ps20171105.html > 本文へ

(10) 「JICA環境社会配慮ガイドライン改定に向けたレビュー調査に関する要請書」http://www.ngo-jvc.net/20170912-environment-guideline.pdf「添付17 プロサバンナの事例に関する詳細」 http://mozambiquekaihatsu.blog.fc2.com/blog-entry-281.html > 本文へ

(11) 2017年10月29日には、日本のNGO窓口から、モザンビーク農業大臣の人権侵害現場の証言記録が同席者によって手配されており、11月1日中には他の追加文書のすべてとともに提出されるとのメールが審査役(松下名誉教授、金子教授)と審査役事務局宛に送られており、証言記録が10月31日午前9:38に1通(ブラジル市民社会)、11月1日午前7:19に1通(日本市民社会)から送られ、事務局により受領も確認されているが、この内容を踏まえないままに「客観的証拠なし」として、大臣による行為は不問に帰された(17頁)。なお、追加文書の提出期限などの指定、あるいは11月1日の提出では間に合わないとの連絡は、審査役からも審査役事務局からもなされていない。 > 本文へ

(12) ナカラ回廊農業開発マスタープラン策定支援プロジェクト https://www.jica.go.jp/environment/present_condition_moz01.html (2017年11月16日閲覧) > 本文へ

(13) 上記(注11)の大臣の言動に関して、調査報告書には、「申立人へのインタビューからも、これらの発言内容について客観的に裏付ける追加情報は得られなかった」と記されているが(17頁)、審査役から申立人へのヒアリング記録(録音)には、そのような質問は一切行われていないことが確認されている(現在、審査役の質問部分だけ発表の準備を行っている。右記サイトで掲載予定 http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/ps20171105.html)。このように、審査体制そのものの独立性と、調査から分析・検討そして審査結果に至るプロセスにおける公正性・公平性・透明性・人道性に疑問が残る結果となっている。これらを含む詳細については、分析・評価報告書を近く発表する予定である。 > 本文へ

(14) 同上リンク > 本文へ

(15) 2017年11月6日に開催された記者会見の録音記録から。この局長の発言について、調査報告では、「JICAはこれらの会合には参加しておらず、議事録などの直接の物的記録は存在しない」と記されているが(17頁)、この会合に参加し、その内容を報道した政府系新聞の記事が申立書に記され、追加資料としても英語訳を付けて提出されている(http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/20171112/20140826.pdf)また、JICAの立ち会いの下に日本のNGOが州局長と面談した際の逐語記録も審査役に提出されている(http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/20171112/20140801.pdf、 農業大臣と州農務局長による発言集 http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/activities/20171112/20150831.pdf)  > 本文へ

(16) http://clubofmozambique.com/news/murder-of-nampula-mayor-represents-a-hard-blow-to-the-construction-of-a-state-of-democratic-rights/ 現在も犯人は捕まっておらず、暫定市長が突然投獄され、中央政府・与党が市政に関与を強めている。 > 本文へ

(17) 南部のガザ州では、先月頭に野党MDMの党支部が焼き討ちされているが、警察がこの件に取り組もうとしないと批判されている。http://clubofmozambique.com/news/mdm-headquarters-in-gaza-torched/ 現在も犯人は捕まっておらず、暫定市長が突然投獄され、中央政府・与党が市政に関与を強めている。 > 本文へ

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